潜入(バンゲーカー公爵家)
潜入(バンゲーカー公爵家)
ようやくバンゲーカー公爵家に着いた俺は、早速HQに連絡する。・・・何人か”城”と聞いたが確かにこれを見ると城だな・・・。これで国民からの反発は無いのだろうか・・・?いや、絶賛反発中か
「HQ、こちらヘビー。送れ」
『ヘビー、こちらHQ。どうした?』
「バンゲーカー公爵家に到着した。これより潜入を開始する。送れ」
『了解。徹底的に洗い出せ。些細なことも全てだ。場合によっては脅迫も辞さないと念頭に入れてくれ。送れ』
「了解。アウト」
さて、潜入を始めるか。と言っても正攻法じゃ多分入れないだろうから、俺は隠密?忍者?みたいな潜入方法で行くか。という事でまずは服装を変えることにした。野戦中心の服装から建物の風景に特化した戦闘服に着替える。そして万が一のことも考えて光学迷彩も引き続き使用する。これさえあれば、ほぼ無敵状態になるだろうが、万が一光学迷彩が破壊されることも念頭に潜入しなければならない。着替えた俺は早速城内に侵入する
「ここが一番警備が緩いか。その代わり塀の高さはかなりあるな。ここは壁走りで行くか。その際の注意事項は・・・?鳴子やセンサーだが、この世界にセンサーなんてあるか?一応念のため調べておくか」
そう思い立った俺は、魔法でセンサーを探知することにした。結果は?
「・・・特になしか?まさか塀の高さで警備を賄っている訳じゃないよな?」
今度はその疑問に応えるべく、魔法探知を城内全てに範囲を変えた。自問自答の答えは?
「まさかの無しかよ・・・これは警備としては最低ランクじゃないか?いや、逆にそう見せかけて実は使用人の技量が高かったりするか?」
また疑問が思い浮かんだため、今度は対象を城内全員に変える。結果は?
「・・・」
そう、まさかのまさかである。多分ご覧になっている皆さんなら察しがつくかもしれませんね
「ここの警備の評価はマイナスだな・・・。さてと、侵入しますか」
答えが出たところで早速塀を壁走りで登り、塀頂上で一時停止し辺りを見渡す
「えっと?兵の数はそこそこで?城内の中の使用人の数は・・・?赤外線だと・・・?流石これだけデカいのだけはあるな。結構いるな。これは見つかったら厄介そうだ。時と場合によっては暗殺も頭に入れないとな」
塀の周りを巡回している兵士をそそくさとかわし、開いている窓から潜入を開始した。さてと、こういうのって執務室や隠し部屋に証拠を隠している場合が多いため、まずはそこを目指すことにした。と言っても流石の広さなので、どこに行けばいいか・・・尋問も良いが、ここだと身体を隠せれる場所は少ないだろうし、なにより善良な使用人だっているはずなので、闇雲には出来ない。最悪は魔法で暗示または記憶改竄するしかないだろう。
そう思っていたら一人の使用人、あれは執事か?が正面から来た。ちょうど良いのでカマを掛けてみることにした。まずは隠れて・・・。次に周りを確認し誰もいないことを確信して、通り過ぎたら
「動くな・・・!!」
口を押えて首元にナイフをかざす。使用人は護衛の経験があるのだろう。俺に肘打ちやつま先、脛をけっていて怯んだところに助けを呼ぼうと思っていたのだろう。けど残念。その程度の攻撃だと効かないし、何よりそこら中に対打撃の物を入れているからな。猶更効かん
「ふう~ん?これでも暴れるんだ?それは構わないけど、血まみれになりたいのか?俺はそれでも構わないが?」
「・・・何が望みだ・・・!!」
「別に?場所を教えて欲しいだけだ」
「・・・何処だ・・・!!」
「あんたなら分かるだろ?貴族ご当主の隠し部屋か執務室」
「・・・何のためだ・・・!?」
「別に?バンゲーカー公爵家様は不正などをしているようだから、その証拠を押収しにな」
「・・・・・」
「黙ってても良いが、その場合は殺害するのが俺のポリシー、ポリシー?まあ良いがそういう事なので、大人しく吐くことをお勧めするよ?」
「・・・その証拠なら、地下2階の一番奥にある左手の部屋が証拠がある部屋だ・・・。他は俺は知らない・・・!!」
「本当だな?嘘だったらあんたを殺しに来るからな?あと、何かしらの罠でも切り抜けてあんたを殺しに来るからな?良いな?」
「・・・」
「あっ、この間はあると判断した。そうだな・・・。入ってすぐにドアが閉まってまずは大量の使役している魔物が襲ってきて、その後落とし穴があるんじゃないか?」
「・・・!!」
実は城内侵入前に気が付いたことなんだが、周りは良くても城内はどうだ?と魔法を再度途端、多数の罠が見つかったのだ。多分だが囮の部屋に案内して闇討ちか、場外へか、または最悪死亡か、そういったトラップがあちこちに反応があったのだ。数は多くはないが、それでも誘い込むには十分な数がある
「やっぱりな。さて、どうする?次は無いぞ?フッフッフ・・・」
俺はのど元にかざしたナイフを一旦少し離し、勢いをつける仕草をする。すると
「・・・分かった・・・!!分かったから・・・!!だからその手を・・・」
「なら?話してくれるよね?」
「地下二階までは一緒だが、手前から二つ奥の部屋がそうだ・・・俺ですら入ったことは無いが、チラリと紙が多かったのは印象に残っている・・・それ以外は本当に知らない・・・!!教えてあげたから、その手を・・・」
わお、これは少し脅し過ぎたか?まあいいや。吐いたし、記憶改竄しておくか。この記憶改竄は記憶をたどっても何かの拍子で思い出すってこともないため、俺の中では万能と考えている。俺の中ではな。という事でまずは記憶改竄を掛け、30秒ほど動けなくした。この間は当の本人は暗闇の中だがそこから復活すると何もなかったかのように元に戻るので「あれ?俺は何を・・・」みたいなことはあれど、その後は普通に戻るのだ。実際に30秒後は普通に動き出したし、指向性マイクでも何もなかったかのように元の仕事に戻ったので、支障にもきたさない。やはり万能と考えるな。俺は。
という事で早速向かった。地下二階なので鉢合わせなどを覚悟したが、降りても誰もすれ違わなかったし、何なら誰もいない始末程であった。これは必要な時以外は立入禁止にしたのか?暫く進むと例の場所に辿り着いた。ここか。確かにドアの張り紙には『必要な時以外は立入禁止』の表示があったのでこれである程度は確信した。中に入る前に魔法で探知したが、誰もいなし、罠も無し、という事だったので階段付近の天井と入り口天井に潜入特化型超小型カメラを仕掛け、お邪魔した。
中に入ってみると超ビックリ。紙の山であった。しかも紙を複数枚拝見したがその複数枚全てが不正などの証拠であった。ご丁寧に証印まで押している。一枚一枚全て確認したかったが、そこまでの時間は無いと判断し、証拠を全て回収。不正の助長をしたであろう本や器具もまとめて回収した。流石にこのままだと誰かが来た時に怪しまれる可能性がある為、これも全て魔法で再形成した。本物に限りなく近い偽物を作成したので、これで誰が見てもただの紙の山の部屋だろう。
次の証拠に取り掛かろうと思って部屋を離れようとしたところ、カメラに人影が写った。これはイタチ族か?しかも若い。そのメイドが下りてきたので、次はこいつにカマを掛けることにした。さて、こっちに来るか?・・・いや、部屋を通り過ぎるか?なら・・・
ガチャ!!(え?)バッ!!(んん!?)パタン・・・
そう。ドアを開けて、はい、連れ去りの方法を取った。さて、このメイドさんは何を吐いてくれるか。さっきと同じように首元にナイフをかざす。今回はしゃがんでいる状態での尋問だ
「どうもこんにちわ。おっと?君の太ももに隠してあるナイフは既に取ってあるよ?何なら今確認してみても良いぞ」
そう。このメイドさんは護身用でナイフを隠していたのだ。まあ、これは常套手段ではあるがな。メイドさんは自分の太ももに置き、顔を青くし、自分のスカートをめくり、確認をしていた。めくるのは構わないが、自分の下着が見えるのは構わないのか?ナイフが無いと判断した途端に身体を震わせていた。これは恐怖だな。実際にその後すすり泣きが聞こえてきたし、涙で俺の手が潤っているからな
「おっと。泣かれると困るんだがな。まあいいや。メイドさん。別に君を剥いだり危害を加えたりする気はないんだ。ただ情報が欲しいからな。それに答えたら放してあげる。ただしそれにも条件があってな?もしその情報が偽物とかだったら君のことを殺しに来なきゃならん。それが嫌なら本当の情報を教えてくれ。因みに罠は効かないからな?そこは頭の中に入れておいてくれ」
さて、出来る限り柔らかな意思表示をしたが、どうだ?
「ぐすっ・・・ううっ・・・」
・・・ダメっぽいか?
「・・・ヒック・・・どんな情報ですか?・・・ぐすっ・・・」
「ここの貴族ご当主は色々な不正を行っているのは知っているな?」
「・・・えっぐ・・・はい・・・」
「その情報が集まっている部屋に行きたいのだが、それは知っているか?」
「・・・はい・・・ずずっ・・・最上階の一番手前の部屋が・・・ヒック・・・旦那様の・・・執務室で・・・壁飾りを動かすと・・・隠し部屋に通じます・・・ぐすっ・・・ただどの壁飾りを動かすのまでは・・・これ以上は・・・怖い・・・」
「そうか。よく頑張りました。虚偽ではないな?さっきも言ったが虚偽なら君を殺しに来るからな?」
「うう・・・本当です・・・なので・・・ヒック・・・お願いですから・・・殺さないで・・・」
「・・・分かった・・・なら・・・『眠れ』」
「・・・・・」
俺が魔法で暗示をかけたのは、催眠魔法と記憶改竄である。今はかなり心も精神も乱れているので今は眠ってもらうことにした。落ち着きを取り戻したら自ら起きるはずだ。彼女を壁に寄りかからせ。俺は最上階へ向かった。最上階に行くには階段しかないので、それだと発見のリスクが高まる為、壁をよじ登ることにした。しかも今は日も暮れたため、尚更分からない。という事で誰にも怪しまれずに最上階へ辿り着く。
取り敢えず、開いている窓から再度侵入して目的の部屋に向かう。一旦部屋を出て再度位置を確認したところ、隣の部屋が執務室と分かった。侵入前に部屋の中を透しカメラで確認すると、中には獣人兵士男女4人がいた。・・・これはかなり厄介だな・・・仕方ないので短期決戦で終わらせることにした。え?スタングレネードとかは?煙や音が出て応援を呼ばれる可能性があるので今回は使わない。え?結解?・・・それは今後のお楽しみ。という事で?
「失礼」
正面切ることにした
「侵入者か・・・」
「どうやってここまで来ました?」
「この警備を切り抜けるか・・・」
「中々厄介な敵ね」
「まあ、侵入者と言えば侵入者です!と答えるな」
「帰って行けると思ったら大間違いだぞ?おい。誰か応援を呼べ。この高さだと声が届かんからな」
「はい」
「それは出来ない相談になるな【固定魔法。対象《入口ドア。窓全て》】はい。これで仲間は呼べないぞ。次いでに結解も敷いたから声も猶更聞こえないぞ」
「クソ・・・」
「敵、かなりやりますね」
「ああ・・・ここまで強い敵は初めてだな・・・」
「貴様。何が目的よ?」
「目的ね。貴族当主の不正などの証拠。だな」
「それを奪ってどうする気よ?」
「別に?それを公表するだけだ」
「そうか。それならこっちも出来ない相談になるな。だが、あんたの技量ならかなり役立つな。どうだ?我々と一緒に組まないか?」
「誘いか?」
「そうだ。それで貴族当主を助ける。その代わり多大な額を得られる。どうだ?」
「ふう~ん?つまり国を裏切れと?」
「そうだ。あんたがこっちに来たという事はどこかの国に所属しているんだろ?裏切れば当然祖国ではお尋ね者だが、その代わりこっちでは裕福な生活が出来るぞ?」
「残念だが、それはお断りさせてもらおう」
「残念だ・・・ならあんたの首を・・・もらうぞ!!一斉にかかれ!!」
「「「おう(はい)分かったわ!!!」」」
「・・・【重量魔法・・・】いや、止めた」
初めは魔法で対処しようと思ったが、魔法で対処してもこいつらの心が折れないと意味がないと思った俺は、物理攻撃で勝つことにした。まずは一人の男兵士を片手一本でつかみ、それをバットの要領で他三人を跳ね飛ばす。次に掴んだままの兵士を円盤投げの要領で投げ飛ばす。
投げ飛ばした後、女兵士が俺に魔法、これは重量増加魔法だな。これを受けながら『私は効いてませんよ』アピールを醸し出した。その時女兵士は更に魔力を増加させてきたが、なおも効かない俺に焦りを募り始めた。
少しずつ近づくと、一人の男兵士が俺に剣を突き付けてきたが、爪先一本で受け取り、剣を強奪し剣を握りつぶした。へし折りではない。握りつぶしだ。
更に近づくを今度は別の女兵士が炎の魔法で俺に攻撃してきたが、それを俺は払いのけるかのような仕草をしたら、女兵士に帰ってきて、女兵士はカウンターを受けた。
ようやく目の前まで来たところで、今度はさっき投げ飛ばした男兵士がこちらに襲い掛かってきたどうやら格闘を得意としているようだった。俺はその拳をかわし、男兵士の腕を掴み、一本背負いで床に叩きつける。叩きつけられた男兵士はむせていたが、間髪入れずに男兵士の利き腕を思いっきり足でへし折る。男兵士は声が出ないほどの悲鳴を上げていた
ようやく女兵士に辿り着いた俺は、そいつの腕を掴み、前後左右にとにかく床に叩きつけることを続けた10回、20回・・・その後も叩きつけた俺はふと女兵士の力が無くなっていることに気が付く。遠心力任せで叩きつけたので全く気がつかなかった。俺は女兵士の顔を覗き込む。するとそこには、涙で顔をぐしゃぐしゃにした女兵士の顔だった。床を見るとどうやらお漏らしもしたようだった。若いのに・・・。
次は俺に暴力で戦っていた男兵士に向かう。こやつは利き腕を支えながら立っていた。その根性にあっぱれを送ったが男兵士は俺に唾を吐いたので、それにムカついた俺は、今現在俺に拳を入れようと飛んでいる男兵士を足払いで払った。払われた男兵士は顔から落ちた。最後は立てないように全ての四肢の関節を外し、男との戦闘を終わらせた
今度は俺に剣を突き付けた男兵士だが、こいつは今度は槍で突こうとしていたので、奪い取り、逆に突き刺し、そのまま壁に突き刺した。へそ辺りか?突き刺された男兵士は項垂れていた。それもそうだろう。防具すら突き破ったのだからな。まだ存命なのが逆に凄いくらいだ
最後に俺に魔法で対抗した女兵士は、先程のカウンターを食らった炎によって服が焼かれていた。何とか火傷は最小限で済んだようだけど、下着すら燃えてしまったので、今は全裸になってしまった。褐色が良い女兵士がどこで道を外したのだか・・・。取り敢えず魔法で来たので、最後は俺も魔法で締めることにした。取り敢えず蹴飛ばし、仰向けになったところで重量魔法を発動し、最後は集中魔法で女兵士の神経を全て破壊した。これで動けなくなって、戦闘終了した
「残念だったな。俺がお前ら4人の首をもらう事になったようだ」
「ば、化け物め・・・お前・・・どこの国だ・・・」
「それを答える必要はないだろ?さて、俺は証拠の押収で忙しいんだ。邪魔するなよ?」
「・・・クソ!!」
戦闘を終えた俺は早速隠し部屋に向かうことにした。確か影飾りをどれか動かすんだったな?どれだっけ?・・・これっぽいな。壁の色が違う。動かしたところ、壁が動き隠し部屋が露出し始めた。と同時に使役している魔物が多数現れた。なるほど、こいつらが門番ってな訳だ
「はっ!馬鹿ね!!そいつらに食われるといいわ!!」
「そいつならお前も勝てないだろうな!!」
「し、死ぬが良い・・・!!」
「・・・冥途の見上げに丁度良いでしょう・・・」
それなら・・・
「そうだな・・・取り敢えず【時間停止魔法。対象《結解内全ての魔物》】これで止まったけど?」
「じょ、冗談でしょ・・・」
「嘘だろ・・・こんなこと出来るやつに・・・」
「・・・勝てない・・・」
「・・・私達が・・・還付無きにまで・・・完敗・・・ですと・・・」
「んで、次に。おい、そこで槍に腹突きされて項垂れているへっぽこ男兵士。お前の剣を借りるぞ」
「・・・どうするんだ・・・ゲホっ・・・」
「こうするんだ。まずは【魔法解除】これで魔物たちが再度動き出したな?この状態で・・・」
「何するんだ?言っとくが一切りで終わらせようなんて魂胆、止めた方が・・・」
「一閃!!(ジャギーーーーン!!!)・・・」
ブシャーーーー!!!ギャーーーオーーーー!!!
「ば、バカな・・・」
「え・・・?嘘・・・」
「・・・・一切りで・・・」
「・・・門番魔物が・・・全滅・・・?」
「そういう事だ。あっ、剣ありがとな。床に置いとくわ」
早速隠し部屋に入った瞬間、女兵士が
「クソ!!こうなったら・・・私が・・・【消滅魔法・・・】『詠唱強制変更魔法。対象《女兵士》』!?【省時魔法・・・】!!??【証拠マジ・・・】どうしてうまくいかないのよ!!」
そう。証拠隠滅しようとしていたので、強引に詠唱を変えて魔法が使用出来ないようにした
「そら。そうだろ。あんた今証拠を燃やそうとしていただろ?それを俺が防いだわけだ」
「!?嘘!?嘘よそんなの!!」
「なら言ってみ?」
「【ショウグ魔法・・・】【人し魔法・・・】【ゲボ魔法・・・】・・・何よこれ!!」
「そういう事だ。大人しくしな」
という事でようやく証拠にありつけることだ出来た。ああ、新鮮な気分だ。酔いに浸るのはこれくらいにして、早速証拠を探ることにした。その結果は大当たり!!しかも一等賞!!まさかのバンゲーカー公爵家の不祥事どころではなく、国の存続が危ぶまれるほどの証拠がわんさかわんさか出たので、これで突き付けることが出来ると意気揚々としていた。この証拠を早速全て押収。次いでに偽の風景も作り出した。これで誰が見てもただの隠し部屋だ。その後ろで眺めていた兵士たちは驚愕の顔をしていた。・・・一人を除いて。そう。先程腹に槍を突き刺した男兵士である
「ねえ・・・ねえったら!!返事して!!」
「どうした?」
「・・・何かあったんですか・・・?」
「一人返事しないのがいるのよ・・・」
「何!?」
「・・・まさか・・・」
「どれどれ・・・。ああ。君達には残念だったね。このへっぽこ男兵士。もう絶命だ」
「嘘・・・返事・・・返事してよ!!」
「・・・」
「本当に・・・死んだの・・・?」
「だからさっきからそう言ってるだろ?絶命だって」
「そんな・・・私の・・・彼氏が・・・」
「あんなへっぽこ兵士のどこがいいんだよ?」
「あんたには分からないわよ!!」
「今現在全裸になっているやつがそんなこと言ってもね。説得力がないぞ?」
「煩い煩い!!私達はもう直ぐで婚約するはずだったのに・・・既に・・・私のお腹の中には・・・まだ分かったばかりだけど・・・お腹の中に・・・赤ちゃんがいるのよ!!」
「ふう~ん?そうなのか」
「冷たいね!!」
「関係ないからな。そんなの。次いでに言っとくと、君達ももう直ぐであのへっぽこ兵士のもとに行くことになるからな」
「それって・・・」
「そのまさかだ」
「お願い!!見逃して!!お願いよ!!」
「頼む!!お願いだけでも!!聞いてくれ!!」
「・・・お願い・・・します・・・」
「それは出来ないな。君達は最初、なんて言ったっけな?ああ『国を裏切れ』と言っていたな。しかもこの国は不正などが溢れていると知っていてだ。それだけで君達の運命は決まったようなものだろ?」
「「「・・・・」」」
「てことだ。悔やむなら自分を悔やみな。犯罪に手を染めるのはそういう事だ。金が欲しかった?だったら働け。名誉が欲しかった?なら努力しろ。またはこだわるな。だからこうなるんだろうな。これ以上話しても君達の運命は変わらないから。そろそろ俺もお暇するよ。あっ、君達が絶命してないから、もう少しだけ付き合うか。さて、次に絶命が近いのは・・・君だ。威勢のいい女兵士さん」
「!?え?私なの!!うぐっ!?・・・なに・・これ・・・」
「実はな。神経壊したときに一緒にぶっ込んでいたのさ。有毒なものをな」
「・・・え・・・?」
「基本的には毒矢に使われている毒を使った。威勢が良いから効くのにちょっと時間がかかったがな」
「・・・ってことは・・・次は・・・私?」
「そう言っているだろ」
「・・・嫌だ・・・死にたくない・・・お腹に子供がいるんだ・・・ゴホッ・・・」
「今血吐いたろ?そろそろだ」
「嫌だ・・・嫌だ・・・」
「おい!!俺らが悪かった!!投降するから!!今だけは!!」
「・・・お願いよ・・・」
「さっき言ったろ?無理だって。犯罪に手を染めった君らの自業自得だろ?」
「だが・・・だからと言って・・・」
「・・・残酷すぎるわ・・・」
「知るかバーカ。ほら、死に際だぞ」
「い・・や・・・だ・・・・・・い・・・・」
「・・・毒が回って・・・死亡だな。口から泡も吹いているしな」
「そんな・・・クソ!!」
「・・・もう・・・あとはない・・・の・・・?」
「そういう事だ。次は・・・君ですよ。男兵士さん」
「何!?何を仕込んだ!?」
「別に仕込んでませんよ。というか君たち二人は関節外しと精神病み以外は何もしていない。ならどういう事かって?ここからは物理であの世行きってことだ」
「「!?」」
「まあ、君にした理由なんてものはない。ただの気分さ」
「なら・・・今なら・・・何とか・・・おりゃーーーー!!」
「おお。関節を戻したか。いやーあっぱれあっぱれ。けどな?その前にな」
「何だゴラ!!あいつらの仇(ジャギ!!)・・・」
「頭が胴体と離れてあの世行きの片道切符になるってことさ。最後に君」
「・・・ひっ・・・」
「君の場合は単純でな?」
「・・・」
「こうなるんだ。せーの」
ジャキ!!グサ!!ジャリ!!ザキ!!
「身体全てが刃物で八つ裂き、というオチがな。さて、結解を解除して逃亡を図るか・・・流石に誰か侵入者がいることがバレたっぽいな。なら」
俺は更に上を目指し光学迷彩発動し、屋根の上からグライダーで逃亡した。勿論グライダーごと迷彩に溶け込んでいるのでバレずに脱出成功した。その時の方角も忘れずに、マニーとの離合ポイントに方角を合わせ飛び立ったので問題ない。流石にグライダーだと体力も消耗するので、ある程度まで飛行したら着陸し、グライダーをしまう。おっと、HQに連絡していなかった
「HQ、こちらヘビー」
『ヘビー、こちらはHQ。どうした』
「バンゲーカー公爵家の潜入成功。かなりの掘り出し物が出た。あんたらもみたらビックら仰天するレベルくらいにだ。送れ」
『そうなのか。それほど掘り出し物が見つかったのか?送れ』
「ああ。正直に言って貴族国の存続の危機くらいだろうな。今からそちらに転送する。見てみてくれ。送れ」
『了解・・・届いたな・・・えっと?・・・なっ、何だこの不正の数は!?』
「それがバンゲーカー公爵家だけでだ。マニーの方もこれくらい届くかもしれん。因みに向こうは家族や親戚の数がこっちより多いから、俺の予想が正しければ、俺より数は多い筈だ。送れ」
『これほどまでとはな・・・了解した。潜入中トラブルはあったか?送れ』
「トラブルってほどでも無い。ただ単に証拠の部屋に辿り着く前に兵士が見張ってたから殺しただけだ。送れ」
『まあ、予想外の出来事なら仕方ないな。了解した。取り敢えず潜入は終了したな。次は、マニーとの離合ポイントだな。距離はどれくらいだ?送れ』
「大体200キロってところだ。王都までの距離はバンゲーカー公爵家の方が少々遠いからな。これくらいあっても無理はないだろう。送れ」
『日程に狂いはないか?送れ』
「今のところは予定より少々早いくらいだな。大体6時間ってところか。送れ」
『了解。なら早く着く分には構わないが、敵との遭遇には十分な注意を払え。送れ』
「了解。では離合ポイントに向けて進行する。送れ」
『了解。アウト』
大きな問題は特になく、次のポイントに向かい、森の中に消えていく俺であった




