アリアラ公爵領までの道のり
アリアラ公爵領までの道のり
エルフの隠れ家をあとにした私は、改めて魔法でマップを開き、経路を探っていた。どうやら公爵領までは20キロあるかないかくらいだけど、公爵領の領都まではまだ4~50キロあるみたいね。これは火が落ちる前までに入れるかな?ちょっと怪しくなってきたわね・・・。けどこんな辺鄙な場所に人なんていないわよね・・・
「・・・ねえ・・・」
「・・・」
「・・・ねえ・・・」
「・・・うん?何処から声が・・・」
「・・・ねえったら・・・」
「こっちから聞こえるわね・・・。けどこの道って少なくても領都までの道のりから外れるわよね・・・。どうしようか・・・。けど、困ってるかもしれないからね」
ちょっと予定とは狂ってしまうけれど、声がした方角に進んでみることにした。暫く歩くとまた声が聞こえてきた
「・・・助けて・・・お願い・・・」
「・・・これは?」
「・・・お願いよ・・・」
「・・・雲行きが怪しくなってきたわね・・・。まさか誘拐?」
道のりは険しいが、何とか足早に進んでみる。次第に声が大きくなってきたが、今度は霧に見舞われていた
「かなり濃い霧ね・・・これは帰れるかな?けど困っているのがいるのに振り返る訳にはいかないからね。えっと?方角はこっちかな?」
すると少しずづ霧が晴れてきて、森の奥から目を疑う光景を見てしまった
「離してよ!!その手を離してよ!!」
「うるせえ!!お前らは俺達の資金源だ!!ここで逃すかよ!!おいお前ら!!こいつらを取り囲め!!あとお前は霧を濃くしろ!!見られないようにな!!」
まさかの盗賊どもだった。しかも話を聞いた限り、霧も意図的に出し視界不良によってこいつらの犯行を見えなくするという何とも愚劣なことをしていたのだ。円の中央には、全員女性・・・いや、未成年の女子が十数人が固まっていた。よく見ると種族もバラバラである。そして現在進行形で一人の女の子、あれは妖精かな?小さいし羽もあるからそうだと思うけど、その子の手を汚い男が無理やり引っ張っていた。これはこの子らが連れ去られると性奴隷にされるだろうと思った私は、すぐに動き出した。動き出したと言ってもこの計画のある誘拐はそうそうないと思うので、まずはこいつらが逃げないように伏線を敷くことにした
「まずは・・・【探知魔法。範囲《半径3キロ圏内の敵の仲間及び非戦闘の女性または子供》】えっと?こういうのってもしかしたら仲間や別の女の子がいるかもしれないと思って展開したけど・・・一人だけいるわね・・・中心から300メートル離れたところに一人。それ以外はいないみたいね。なら・・・」
まずは逃げ場をなくすことにした。無論転移魔法などすべてを無効にしてね
「【結解魔法《レベル3》】これで逃げ場をなくして、次に【無効化魔法。効果範囲《転移魔法などの移動魔法の無効化》】これで移動魔法を無効化して、最後に【抹殺魔法・・・】いやここは大々的にやりますか」
私は初めはこいつらを懲らしめようと思ったのだけど、相手は盗賊だから死んでも治らないと判断した私はこれで最初の一手を放つことにした
カチャカチャ・・・ジャコ・・・(照準を合わせて・・・)ドーーーーン!!!!
そう。銃による狙撃である。目標の霧を出した盗賊は頭を撃ち抜かれて絶命していた。当然ながら今の銃声で盗賊が警戒するのは当然なので、ここで私は前に出ることにした
「ダメじゃないの・・・女の子が嫌がっているんだから離してあげないと・・・」
「誰だ!?」
「全員警戒しろ!!」
「はいはい。こっちですよ~。盗賊さん?」
「?ハッハッハ!!これはか弱い女子ではないか!こんなところでどうしたの?迷ったの?もしそうなら俺達が楽しい場所に連れて行ってあげるよ?」
「生憎だけどそれは間に合ってるわよ?私はこの子たちを助けに来たのよ」
「はっはっは!!何言ってるんだ?そいつらはこれから商品にするのだからな!邪魔するんじゃねえ!!」
「それはこっちにセリフね。この子たちはこれから私が保護するからね。そっちこそ邪魔しないでね?」
「・・・このアマ・・・!?おい!!この周囲に霧を出せ!!不意打ちしてやる!!」
シーーーン・・・
「?おい!!どうした!?」
「霧出すって言っていたけど、それってこのアバズレかしら?」
そういって先程狙撃したこいつらの生首を差し出す
「なっ、何!?」
「さて、次はどうする?」
「クソ!!なら・・・お前ら!!やれ!!次いでに人質にとれば大人しくなるはずだ!!」
「残念♪それも・・・」
ジャギ!!ゴキ!!バゴ!!!ガコ!!ジャゴ!!
「はい。この通りね?」
「クソ・・・クソ!!逃げるぞ!!転移の石だ!!」
シーーーン・・・
「転移・・・転移しろ!!」
「残念でした♪それも私が結解で封じ込めましたので無理です。さて、この子たちを離しなさい?そうすればある程度は軽くなるかもよ?」
「・・・分かった・・・離すから、命だけは・・・」
「よろしい!さあ、君達は・・・」
っと振り返った瞬間
「んな訳ないだろ!!アホk(ジャギ!!)・・・」
「そう思っていたわよ。それは敵の常套手段だからね。さて、お騒がせしたわね。悪い人たちはいなくなったからもう大丈夫よ」
「・・・」
「あれ?」
「お姉さん・・・は、悪い人・・・?他の人もこうだった、から・・・」
あちゃ~・・・同業者として見られてしまったか~・・・
「ううん、違うよ。お姉さんは、盗賊じゃないよ?私は君達の叫び声で駆け付けたのよ?」
「・・・本当?」
「本当よ。助けて、って言っていたでしょ?」
「・・・うん」
「それで来たのよ。だから大丈夫よ」
「・・・ありがとう・・・」
「良いのよ。さあ、君達も怖かったよね?もう怖いのはいないから良いよ」
「『・・・うわ~~ん!!』」
「よしよし・・・」
これでこの子たちが助かったのは良いけど、この子たちをどうしよう・・・。暫く待つか
暫く経って涙が収まったみたいなので、この子たちに聞いてみた。歳は上は(人間基準で)15歳、なんと先程盗賊に立ち向かっていた妖精が一番上だった。逆に一番下は(これも人間基準で)5歳と、まだ幼かった。これで性奴隷とか、私は怒りしかなかった。家や家族はどうかと聞くと、皆して暗い顔や首を横に振ったりしていたので、その時点で察しが来た。そう、この子たちは家も家族もいないのだと。それは良いがこの子たちをどう保護したものか・・・。そう迷っていたら、ふと思いついた。この子たちも一旦エルフの隠れ家で一時保護したらどうかと。少し迷っていたが時間が無かったので、すぐに魔法で隠れ家まで繋いだ。エルフ達は急な登場で戸惑っていたが、事情を説明したら一時保護してくれることになった。エルフの隠れ家様方、感謝します!!元の場所に戻ろうと思ったが、ここで一つ問題が発生してしまった
「やばっ・・・どうやって領都に向かおう・・・」
そう悩んでいたら、さっきの妖精の子が地図?を渡してくれた
「これは?」
「それはさっき盗賊たちが持っていた地図です。貴女に保護される前に奪っておいたのですが、道が分からなかったのでどうしようかと迷っていました。ですのでこちらをあげます。ありがとうございます。私達を保護してくれて」
「それは良いけど・・・いや、受け取りましょう。ありがとうね?」
「いいえ。その代わり・・・帰ってきてくださいね?」
「それは勿論よ。あくまでも今はここにいてね。どこにも行っちゃだめよ?またいつ悪い人たちに捕まるか分からないからね」
「はい。気を付けます」
そういう事で子供たちを預けて再度出発した。これで道中の道のりまでのルートは確保!っと思ったけど、時間大丈夫よね?そう思った私は急いで向かう事になりました




