移動(マニー視点)
移動(マニー視点)
ヘビーと別れた私は一路アリアラ公爵家領地に向かって一人進行中です。まあ道中、国軍VS民兵と傭兵の戦闘を結構見てきましたがね。これは向こうも同じではないでしょうか?けど流石にこれは違いますよね?これというのは
「そこの女を捕まえろ!!我々国軍の戦力にするんだ!!」
「そこの女を保護しろ!!隣国へ送り治療するんだ!!」
そう。追われていたのです。まあ、迷彩服も何もしていないのでこうなるのは当然と言えば当然でしょうね。何しろ今の私の服装は外見から見れば《凌辱されて服が乱れてそこから逃げている状況》という感じになっていますからね。正直に言ってかなり恥ずかしいですが、女の色気に負けて潜入する予定でありましたが、ちょっと狂ってしまいましたね。こうなった以上は何とか逃げ続けますよ。どちらに捕まるor保護されるのはごめんですね。時間すら狂ってしまいかねませんから。なので何とか逃げるのに精いっぱいです(予定通りではありますが)。まあ、何故追われる形になってしまったのかというと簡単です。
敵味方関係なしに広範囲の治療魔法を放ってしまい、敵味方関わらず回復してしまった。
という訳です。たまたま一人の女性が怪我していて治療したところ【治療魔法。対象《女性一人》】ではなく【治療魔法。対象《女性全員》】と唱えてしまったのがきっかけです。こらそこ!ドジっ子と言わない!!とまあそんな感じで追われの身ですね。あぁ、どこか私を匿ってくれる女神か白馬の王子様はいないのでしょうか?っと思っていたら急に腕を引っ張られて穴に落ちていった(まあこれも穴に落ちる前に腕が伸びているのを確認はしましたがね)。落ちていったのは良いがどこまで続くのだろう?暫くすると落ちるのが止まってその場に座り込むことが出来た。さてと、ここは何処だろうと直ぐに冷静になりマップを広げたかったが、目の前に女の子がいて、それをするのは阻まれた
「ありがとうお嬢様。助けてくれたのは良いけど、ここは何処?」
「・・・ここは私達エルフの隠れ家。服が乱れていて逃げていた貴女を保護するように、長老に頼まれて、今に至る」
「へえそうなのね。その長老に感謝しなきゃね。取り敢えずありがとう」
「ううん。気にしないで」
そういうと少女は走って去っていた。さてと、どうしよう?
「そこの女性の方」
「私ですか?」
「そうよ。貴女も追われていたのよね?」
「はっ、はいそうです。助かりました」
「良いのよ。それより貴女の服装をどうにかしないとね」
「・・・そうですね。お願いします」
「こっちよ」
そう案内された私はその女性についていくとそこには大樹と呼べるくらいには大きな木が立っており、その枝の麓に家が建っている、いわゆるログハウス?みたいな家が建っていた。勿論地のところに家も建ってはいるが、それでも少数であった
「ここで貴方の服を見繕うわね。家の中に入ったら奥の部屋に入ってね」
「はい。ありがとうございます」
家の中は?・・・どうやら普通の家みたいだね。間取りも普通の一軒家と同じくらいかしら?さて、あまりエルフの家を凝視するのは不味いわよね。ここらへんで止めて椅子にでも座りましょうか。暫くすると先程の女性が入ってきた
「お待たせ。貴女くらいの身長ならこれくらいの服は入ると思うけど・・・試してみてくれるかしら?」
「はい。ありがとうございます。試着してみます」
どれどれ?服は裾の短いワンピースの服で、お?流石エルフ。服の色が緑一色だね。まあこれなら下着も隠せれるかな?ウエストもキツくないし、ちょうど良いんじゃないかな?
「ありがとうございます。大体ピッタリですね。ただ欲を言えばですがもう少し小さいのが良かったですが、ぜいたくは言えませんのでこれで大丈夫ですよ」
「あらあら。そんなに気を使湧く手も良いのに。まあ貴女がそれで良いのなら良いけどね。さてと。改めて。いらっしゃいエルフの隠れ家へ。一時的でしょうけど私達は貴女を歓迎するわ」
「ありがとうございます。・・・一つ良いですか?」
「はい?質問?良いわよ?」
「その、助けを指示してくれた長老に感謝を伝えたいのですが」
「ああ、それなら私が案内するわね」
「ありがとうございます」
またもやこちらの方に案内を頼んでしまったが、快く了承してくれて重ね重ね感謝している自分でした。暫く進むと何やら籠の中に入っていく。そしてその籠は上に向かって進んでいった。エレベーターかな?どういう原理何だろう?それにエルフなら空飛べれると思ったけど、違ったかな?そんな考えをよそに、女性は案内を続けてくれる
「この籠の中に入って?入ったらこの籠が上下するから。ちょっと衝撃はあるけれどね、これで長老のところまで行くわよ」
「そうなのですね。お願いします」
実際に乗ってエレベーターが動き出した。これは確かに少々衝撃があるね。衝撃と言っても動き出しの時と止まるときに、ガゴンッ、みたいな感じだから許容範囲内だけどね。さてと、ここが最上階ね。ここにいるのかしら?
「この奥の建物に長老がいるわよ。言っておくけど失礼のないようにね。私が案内できるのはここまでよ。この先は長老の護衛がいるから、その指示に従ってね」
「何から何までありがとうございます」
「良いのよ。では、気を付けてね」
女性と別れた私は、長老の家に向かって進んでいく。今更だけど籠の原理を見てみると、ツタの紐を使って上下していた。但し人力ではない。確かにあの速度は人力では不可能ね。なので多分エルフの力を使っていると判断した。暫く進むと護衛の人?に捕まる
「止まれ。この先は長老の家だ。何の用だ」
おう。流石は護衛。威圧感ある~~。まあ護衛の人は男性だしね。っと答えないと
「実は私を保護した女の子に誰から?と聞いたところ、長老と申していたので、その感謝を述べるため、ここに来ました」
「そうか。なら私の後についてきてくれ。おい。こいつを案内してくる。入り口を頼む」
「分かった」
流石は屈強なエルフいかちぃ~~。惚れ惚れしますわ。っと気をそらすところだった。暫く案内されていると
「この先に長老がいる。長老は女性なので中には近衛として女の護衛がいる。私は外で待っているので終わり次第部屋から出るように」
「分かりました。ありがとうございます」
今回の長老は女性か。どんな方なんだろう?取り敢えず入るか
「失礼します」
「?おお、お主か。ようこそエルフの隠れ家へ」
どうやらちょっと幼いエルフみたいね。ロリババアって言うのかしら?それはさておき
「ありがとうございます。この度私を保護してくれたことに感謝を述べるためこちらに参りました」
「堅物な女じゃの~。そんなの気にせんでもええのに」
「そうはいきません。ですのでこうして参りました」
「まあ、そなたのことは分かった。ここはゆっくりするが良いぞ」
「ありがとうございます。一つ質問しても良いですか?」
「?何じゃ」
「どうして私が逃げていると分かったのですか?」
「ああ、それはな・・・」
カンカンカンカンカン!!!
「何だ!?」
「この音は・・・・」
「襲撃じゃ!!」
「え?襲撃!?誰からですか!?」
「ここの上は基本的に貴族国軍の領地じゃ!隠れ家と申したのも貴族国から逃げるためじゃ!」
「そうだったのですか」
「お主はここで待機しておれ。妾達で対処する!!」
「・・・お願いします!!」
「うむ!任されよう!!」
護衛の一人以外は長老も含めて皆襲撃に向かって出撃していった。襲撃者はどいつだ?窓の外から見れるはず!・・・えっと?あれは?・・・マジですか・・・
「襲撃者ですが・・・先程私を追っていた兵士達と同じですね・・・」
「本当ですか!?どうしてここまで・・・」
「それは分かりかねます。この場で質問するのはあれですが、一つ良いですか?」
「何ですか?私に答えられる範囲でしたら何でも」
「エルフって皆飛べるイメージがあったのですが、何で飛べないのがいるのが疑問でして」
「・・・あぁ。それですか。でしたら簡単ですよ。飛べるエルフと飛べないエルフがいるのですが飛べるエルフの方が少ないのです。何故なら飛べるエルフは妖精の血筋があるので飛べるのですが、それ以外は飛べないのです。なので飛べるエルフが少ないのは当然なのです」
「そうなのですね・・・でしたらこの状況はかなり不利では・・・?」
「ええ。かなり不利ですね・・・最悪はお客様の身を第一にこの身を捧げましょう・・・」
「・・・」
私は迷っていた。ここで反撃すれば瞬殺で勝てるけど、それはここに匿ってくれたこの人たちを裏切ることになってしまう。その葛藤で私は迷っていた。けどその葛藤は直ぐに砕かれた
「あの子は!?」
「さっき私を助けてくれた女の子!!どこに連れて行く気!?」
「貴族国の事なので性奴隷に・・・」
「・・・」
「?お客様?」
「申し訳ございません。ここで黙っていられるほど私もお人よしではないのでね・・・」
「それはどういう・・・!?」
「分かりましたか?今私が胸に下げているバッジのことが」
「・・・ええ・・・」
「つまりはそういう事です。力を隠していたのは謝りますが、ここに匿ってくれたのは感謝します。この事が想定内と言われたら流石に想定外と言いますがね」
「でしたら一つお願いが!」
「何でしょうか?」
「・・・あの子の人生を・・・救ってください!!」
「・・・承りました」
「おい・・・・その子をどうする気だ・・・」
「あん?何だてめえ・・・ってさっきの痴女じゃねえか。まさかここでダブルで掛かるとは、俺達も運が良いな・・・」
「そ・の・子・を・ど・う・す・る・気・だ!!!」
「何怖い顔で言ってるんだよ?かわいい顔が台無しだぞ?まあいいや。この子も可愛いから俺達貴族国がたっぷりお世話してあげるのよ。性奴隷としてな!!ギャハハハ!!」
「『ギャハハハ!!』」
「その子を離せ・・・じゃないと・・・」
「じゃないと何だっていうんだよ?まさか救おうと・・・(ジャギ!!)!?ぎゃああああ!?腕が!!!!!」
「そのまさかよ。大丈夫だった?怖かったよね?」
「うん・・・うん・・・怖かったよ~~・・・・うわ~~ん!!??」
「うん。もう大丈夫よ。ほら、お母さんのところに行って?」
「・・・お母さん居ない・・・この悪い人たちにお母さんは・・・攫われて・・・首の無いお母さんを見たのが最後・・・」
「・・・そっか・・・つらかったよね・・・でも大丈夫。私が代わりに悪い人たちを捕まえるから、後ろで見てて?」
「・・・うん・・・」
「すいません。この子をお願いします」
「そ、それは良いが・・・お客人、何故そんな力を秘めているのじゃ?」
「それは・・・このバッジを見れば分かりますか?」
「バッジ?・・・!?何じゃと!?お客人・・・」
「どうかしたのですか?確かに貴族国軍が怯んでいるのは分かりますが、彼女にそんな力は・・・」
「お主、いや、お主ら全員このお方のバッジを見てやれ・・・」
「バッジですか?では失礼して・・・!?」
「『!?』」
「皆さん申し訳ありません。あとで色々聞きますので今は・・・」
「う、うむ・・・頼むのじゃ・・・」
「さて、この人たちをどうするか・・・」
「き、貴様・・・」
「あ、生きてた」
「これで死ぬわけないだろ!!やれお前ら!!勝ったらこの小娘を好きにしてよいぞ!!」
「『おおおおお!!!!』」
「今までは手加減していたけど・・・流石にあの子を見るとね・・・ちょっと開放しちゃおっか・・・」
【氷結魔法。レベル10】
「はい。これでお仲間はカッチカチに凍っちゃったね?」
「・・・バカな・・・こんな魔法は・・・」
「聞いたこともないよね。そりゃそうだもんね。これでも初級魔法だけどね。さて、お仲間さんはこのまま壊れてもらいましょうか」
「ま、待て!俺が悪かった!だからこの者たちを・・・」
「離せって?無理な話だね。だってそれで待つと思う?バカだよね~~」
「く、クソ!なら」
【召喚魔法】
「はっはっは!!これなら対抗できま・・・」
「だから何?もう裁断したけど?」
「はっはっは!!そんなものは・・・そんな魔法は・・・」
「あ、見えちゃった?ならもういいよね?」
「ま、まて・・・」
「【氷結魔法】いや、流石に私もキレちゃったから【冰結魔法】こっちで良いよね。そして」
【破壊魔法。《三枚おろし》】
「はい。これで身体は三分割しておしまいっと。すいません。終わりました」
「・・・うむ見ていたぞ。流石は日本国の自衛隊様じゃな。あの貴族国軍1000人を瞬殺とは・・・」
「すいません。あの姿も任務だったのです。どうしても裏が無いと動けなくって」
「なるほどのう・・・それでか・・・これはこの子に感謝せねばならんな。これだけの者を一掃できるものを保護したのじゃからな」
「その・・・謝らせてください。申し訳ございません」
「妾は良いが・・・お主らはどうじゃ?」
「確かに初めは憤りは感じましたが、今はありませんよ。それに私達も感謝しているのです」
「だな。我が妻の仇を代わりに討ってくれたからな。今だけは娘と共に安心して眠れそうだ。妻にも良い手土産にはなっただろう」
「寧ろ私達じゃ、貴女の足手まといはなりたくなかったのでこれはこれで良かったのですよ」
「皆さん・・・ありがとうございます」
「・・・お主は行くのか?」
「ええ。流石に任務中なのでね。もう行かなくては」
「そうか。気を付けてな」
「はい」
「お姉ちゃん・・・行くの・・・?」
「ごめんね。これからやることがあるの・・・」
「嫌!!お姉ちゃんと離れたくない・・・」
「けどお姉ちゃんは・・・」
「良いではないか」
「長老?」
「その子はさっきその子の言った通り、今は身寄りがいない。父親を戦場で亡くし母親もさっきのやつらに性奴隷としてされて最後は・・・なので今はいない。連れて行ってやってはどうだ?」
「けど、皆さんは?」
「この子のことを考えるとその方が得策と今さっき話していたところじゃ」
「そうなのですね。だったら・・・連れて行きましょう。ですが今は出来ません。これが終わった後こちらに来ましょう。その時に引き取ります」
「分かったのじゃ。その時は頼む」
「はい。じゃ、お姉ちゃんは一旦仕事に行くけど、終わったら迎えに来るからね?良い子に出来る?」
「ぐすっ・・・うん・・・待ってる・・・」
「うん。偉い偉い。では暫くお願いします」
「分かった。気を付けるのじゃぞ」
「あ、忘れ物した。これを預かってください」
「これは?」
「今この周囲に結解を張りました。結構レベルを上げたので上級竜すら蹴散らす結解をその球体に込めています。これである程度の安全は守れるはずですよ」
「『!?』」
「い、良いのか!?こんな大事なもの!?こんなの王都に行って売れば、かなりの金額になるのじゃぞ!?王都で200年、それも特当地でプー太郎でもお釣りの出るくらいじゃぞ!?」
「構いませんよ。それにこれは我々自衛隊から見ればただのおもちゃなので、1フィートの価値すらないものなので、大丈夫ですよ。それにあくまでも預かってくださいだけなので、終わったら取りに戻りますのでそれまでは、という事です」
「こ、これが1フィートの価値すらないとは・・・全く底が知れんな、日本国は・・・それに預かりだけという発言だけで幾分楽になったのは妾だけじゃない筈じゃ・・・分かった。責任をもって預かろう」
「ええ。お願いします」
さて、気分転換にもなったところで、領地へ目指しますか!!




