会議（調査内容）
会議（調査内容）
『さて、本日も引き続きグレーチング貴族国の潜入に関して会議をしていきます。今回は調査する内容を決めたいと思います』
『それでしたら私、調査班の仕事になりますね。それでは発表前に資料をお配りします。・・・各席に配り終えたみたいなので、これより発表に移ります。
先ずはアリアラ公爵家の調査から。アリアラ公爵家の家族構成は貴族当主の父、奥方は正妻、側室を数えまして４人いることが分かりました。正妻は元辺境伯令嬢、側室はメイド、冒険者など様々です。子供は各奥方に二人ずつの合計１３人となっています。その中で特に調査の必要人物を紹介します。初めに貴族当主の父から。貴族当主の現在の経歴は王都衛兵の総隊長及び内省の官房長を務めており、表向きは超エリートで周りや領民からの信頼は厚いと言われています。実際に先に潜入した調査員が一領民として聞き込みした結果なので表向きは間違いありません。内省からの信頼も厚く「良い上司」や「相談に乗ってくれる優しい同僚」など様々な声が上がりました。しかしそれとは裏腹に黒い噂も絶えません。内密な話からは「自分の権力に酔っていて、犯罪行為を揉み消している」や「口裏合わせて権力を維持している。その代わり見返りも受けている」など裏情報も絶えません。実際にこちらも調査員から報告もございます。箇条で申しますと、脅迫賄賂拉致監禁身代金殺害など犯罪は出るわ出るわで絶えません。なのでこちらを調査対象として加えさせていただきました。
次に側室の第二妃。こちらは経歴は元冒険者、階級もB＋と一般的に見れば中々の高ランク女性冒険者です。こちらの情報はとにかく悪い情報しか出ません。冒険者時代では気に入らない冒険者はとにかく突き放し、場合によっては手を下すこともしていたそうです。結婚後の傲慢な態度は変わらず、同じ公爵妃にも関わらず、幽閉や嫌がらせなどを現在も続けています。なのでこちらも対象として加えさせていただきました。
次に正妻の子供姉妹。こちらの表向きは頭脳明晰運動神経抜群人当たりが良くおまけに超が付くほどの美少女と称されています。こちらも実際に報告が上がっており、中にはファンクラブやお姉様と発言する程大人気ですが、表があるように影も濃く入学時は気に入らない生徒には闇討ちや強盗などもしていますが、これが父親の権限で無かったことにされており本人もそれに乗じて彼女らも次第にエスカレートしていってます。流石に第二妃に比べればその黒さは多少薄れますが、それでも濃いのは事実です。こちらも対象として加えさせていただきました。
最後に第四妃の兄弟。こちらも先程の姉妹と同様に頭脳明晰などで人気があり、毎日の恒例如く告白をされていますがこちらの裏の情報も姉妹と同様に、闇討ちや脅迫などもしていたため対象として加えました。以上この事からアリアラ公爵家の泥沼を解消すべく、まずは調査することにいたしました。
次にバンゲーカー公爵家ですが、家族構成は至って簡単で、貴族当主の父と母、そして兄の４人となっていますが、調査対象に上がった理由として、その兄以外は全てクロという報告が上がっています。
父の経歴は王都衛兵の副隊長と宰相を務めていますが、これが裏ばかりの情報でして、宰相になる代わりに政権の全くできない知り合いを国王にしたり、国王の権限を強力にしたり、自分勝手または自分の意見に同意してくれる貴族や軍人を爵位または政権に加えたりなどとやりたい放題です。
母の方も今では公爵家妃としてなっていますけど、結婚前は裏社会の副ボス的な存在で恐れられていました。勿論その時の影響力はかなりのもので裏取引、例えば人身売買や薬物売買、抗争などが度々起こっていたのです。その影響は今でも続いており、未だに誰彼構わず誰かしらとやっている、いわゆるギャングみたいなこともしています。当然ながら裏社会の副ボス的存在なため彼女を討とうと、今でも命が狙われることも多々あるようなのです。それで収まれば良いのですが、彼女の性格上それは出来ないのが関の山でして「討たれる前に討つ！」を信条にしており、戦っては狙われ戦っては狙われを続けているようなのです。これ以上はあまりにも時間が足りないのでここで切り上げます。
最後に当の本人のバンゲーカーですが、これはそちらもご存じの通りです。
このように貴族の中でも実質最上位に就く公爵家が裏マシマシな状況が今の貴族国の現状です。
これを国はどうしているか。答えは簡単で〈何もしない、寧ろ賛同する〉といった感じで、ある意味では犯罪支援国家となり下がっているわけです。勿論国民もまともな貴族は当然納得はしないので何度も掛け合ったそうですが、国は放置、鬱陶しい奴には国外追放や貴族はく奪、挙句には何もしていない罪まで着せられて鉱山奴隷に行っている方もいるそうです。という事で我々の調査結果は、これはこれでディスディーンの二の前になった。という結果を報告をし、発表を終えます』
『あっ、ありがとうございました・・・。確かにこれはこれで胸糞悪くなりますね・・・。皆さまの気が変わらないうちに、本日の会議を終えたいと思います』
