会議(地理)
会議(地理)
『さて、本日も引き続きグレーチング貴族国の潜入に関して会議をしていきます。本日は潜入先である貴族国の地形や行動範囲などを会議していきたいと思います。ご意見などがあれば是非申し出ください』
『なら初めは俺ら情報課からの報告になるな。でないと何も始まらんしな。では発表前に資料をお配りする。・・・全員渡ったな?では始める。まずは地形からの発表からするぞ。地形の縮尺を把握するため、まずは異世界とその星の国土を述べる。
まずは異世界名:アラロウロートだが、この異世界は他の異世界とは大きな違いがある。それはこの異世界に存在している星は全て大きさが統一されていることだ。大きさは我々地球基準で言うと、太陽系惑星の太陽と同等の大きさをしている。この星がアラロウロートでは約30程存在している。今回の貴族国も同じ大きさを誇っている。
次に星名:ゾエルンデだが、この星には121の国が存在している。無論ほぼ全ての国に我々日本の支部は設立済みであるが、それでも一部の国はまだ国交を開いていないことや政治、治安が安定しないことから誘いを断っていることがあるが、今回は前者の国交を開いていない国に潜入するため、ある種の不法侵入となってしまう事を・・・ってここは既に分かっているな。
最後に国名:グレーチング貴族国だが、国土は121ある国の中でも上に来るほどの国土を保有している。但し、今現状でも隣国と戦争状態であることから国土の拡大縮小を繰り返しているがな。今現在の情報だと、国土の大きさは地球基準のオーストラリアをそのまま太陽に拡大した国土が貴族国の国土である。首都は王都・・・ここは今はあまり関係ないか。
余談だが、軍事力は他国と比べてさほど強力ではない。というのも実は貴族国家ならではの憲法が邪魔しているからだ。その憲法の要約にはこう書かれていた。「隣国または隣町から宣戦布告された場合は基本領主のみで対応せよ。国王が出るのは最終手段のみである」と。つまり、領主ごとに区分けされていてその時に起きた出来事に他は口出しするな、または出来ないという事だ。アメリカの州とある意味似ているな。最も、貴族国の軍または騎士が全員揃ったところでそこに毛が生えた程度の実力しかないがな。
取り敢えず国土関連の発表を終えるぞ。この時点で何か意見等はあるか?』
『さっき隣国と戦争中と申していたが、今回潜入する貴族国で潜入中に隣国兵士と遭遇するってことはあるか?』
『現段階ではその可能性は低い、とだけ申しておこう。低いと回答したのは幾つかある。
1.初めに潜入するであろう二名の公爵家だが、両方とも一つの州?市?を跨いだらその先は隣国であるが故、その飛び火が掛かることがあることがある為である。
2.その公爵家だが、どちらも悪名高い貴族であるが故、隣国でなくても隣町の兵士と遭遇する可能性がある
3.隣国に近いため、もう既に隣国の暗殺兵、または偵察兵等が潜入している可能性がある
このような理由から隣国と戦闘になる、または内部の兵士と戦闘になる可能性があることから、回答を低いと申した』
『なるほど、理解した』
『他はあるか?』
『さっき貴族国の軍の技量はたかが知れていると辛辣な意見を申していたが、どのような程度なんだ?』
『はっきり言って我々から見たらただのマヌケとしか言いようがないな。何故ならば、貴族の子供や使用人をまるでピクニックに行くが如く、お遊び気分で戦闘しているようにしか見えないからだ。ましてやその総指揮官である貴族当主は甘い蜜を吸っているほどだ。本場の兵士も同様に肌に毛が生えた程度にしかない技量だ。はっきり言ってまだ冒険者がまだまともに戦闘が出来るくらいにだ。挙句の果てに、領国民の期待を裏切ることも日常茶飯事で行われていると来た。この事から辛辣の意見になるのも仕方ないと判断した』
『なるほどな』
『他は?・・・無いみたいだから次に移るぞ。次に地形だが、全体的に見れば、貴族国は極端に地形が激しい。というのもとある土地は保有する土地全てが真っ平の場所もあれば逆に保有土地全て山だけの場所もある。幸いなのは両公爵とも平均的な保有土地があることだ。但しそれは土地が広大が故でもあるがな。ただ、前にそこが戦闘エリアだったのか、所々にくぼみや廃墟などが目立っている。恐らくだがそこに今は誰も定着していないだろう。但し、ランディングゾーンには最適だな。というのもここから多少移動したら両公爵家とも、公爵の城のある領都に辿り着くからだ。但しここである問題が生じる。アリアラ嬢側の領地だが、領都が少々高台にある為、千里眼持ちの兵士に見られれば警戒を持たれてしまう。ただの警戒で済めばいいがな。とまあ、アリアラ嬢の領地のランディングには少々手間取ることを念頭に入れてくれ。逆に離脱は楽だろう。
最後に王都だが、王都も防衛を得意としているのか、こちらも高台に構えている。かなり高台にある為、少々酸素が薄くなることも念頭に入れてくれ。もうここまで来たら高台ではなく、高地って言いなおしたほうが良いかもな。質問はあるか?』
『両公爵家と王都の標高はどうだ?』
『標高はバンゲーカー坊の標高は約10メートル、アリアラ嬢は約1300メートル、王都は3500メートルと算出された』
『中々高地に王都を設置したものだな』
『まあその代わり上空からは絶好のカモであるがな。他は?・・・無いみたいだな。これで地理の発表を終えるぞ。行動範囲は俺達の仕事・・・って途中からあるじゃねえか・・・まあいい。これで終える』
『ありがとうございます。ではこの事から行動範囲を決めてください。少し時間を上げますのでその後発表をしてください』
・・・・・
『さて、時間になりました。どなたから行きますか?』
『俺から行こう。さっき面倒くさそうに発表をした二尉はさておき、俺はバンゲーカー坊のランディングゾーンを廃墟に設定する。そのほうが隠密性が上がるからだ。アリアラ嬢はちょっと遠いが、高台の麓の草原をランディングゾーンの方が良いと考える。潜入順だが、先に上を抑えるという意味で先に王都の潜入完了後に両公爵家の潜入と提案する』
『次は私から行きましょう。二佐の意見も分かりますが、私は先に下から抑える方を選びます。ランディングゾーンに関して言えば二佐と一緒ですね。恐らくこの潜入は長期戦になりそうですから』
『次に僕が行きましょう。潜入順は二佐に同意しますが、僕はそれ以外の領主も調査が必要と考えています。どうしてもそこだけだと第二第三が出てきてもおかしくないのでね。なので貴族国全体を監視するという事から上から抑える方法で提案します』
・・・・・
『結果が決まりました。空曹長の貴族国全体の監視から、潜入順を上からという意見が採用されました。ご意見ありがとうございます』
『ありがとうございます』
『今回はこれで以上になります。お疲れ様です』




