潜入前打ち合わせ
朝飯を終え無事に寮に戻った矢先、部屋に戻るとライゼンとその上司とアレクサスの上司が皆して仁王立ちしてアレクサスの帰りを待っていた。突然の出迎えにアレクサスは困惑していたが、上司の手に資料をがあったことを確認したアレクサスは即座に任務の話だと察した
「ご苦労様です三尉。本日はどういったご用でしょうか?」
「おうご苦労、アレクサス一士。早速本題に入る前に一つ。
数日前にあった試合をアレクサスは覚えているか?ほら、対戦相手がアリアラとバンゲーガーといった、頭のネジがぶっ飛んだキチガイゴミ野郎らを」
「あっ、はい、あのアバズレどもですね。何か進展がありましたか?」
「ああ、実はそのことで今外務省と打ち合わせしていたところだ。そこからが本題になるが、実は外務省と一緒にそいつらが籍を置いている国に裏付け調査したら、これが出るわ出るわの連続となってな。それを外務省と一緒に確認しあっていたんだ。あまりの酷さに外務省の一人が唖然するくらいにな。なので、これから我が自衛隊はその国にまずは潜入調査をしようと思っていたんだ。んで、誰を派遣しようかと思った矢先、先日アレクサスが今回の派遣に参加したいと思いだしてな。それで待っていたわけだ」
「そうなのですね。思い出していただいてありがとうございます。まあ自分のことは一旦置いといて、という事は今回の任務は諜報と兵士を兼ね備えた任務になるという事ですか?」
「そういう事だ。本来この任務は潜入と強行を兼ね備えた部隊に依頼するのが筋なのだが、今回はアレクサスの教育という意味で、その部隊に参加することが認められたからな。それで今アレクサスの返答待ちだったという訳だ」
「そうだったのですね。その事でしたら勿論参加いたします。何でしたら今からでも派遣可能ですよ」
「まあ待てや。今から焦っても仕方ないぞ。それに編成も完了していないし、何よりもう一つの問題も解決していない」
「?もう一つの問題?何ですか?」
「実はな、今回の派遣先であるアラロウロート異世界のグレーチング貴族国なんだが、アラロウロートに自衛隊などの支部はあるが、グレーチング貴族国に支部は無いんだ。つまり?」
「完全アウエーから潜入を開始する、という事ですね」
「そうだ。しかも俺達は異世界最大の法執行機関とはいえ支部も何もないから、下手をすれば向こうの国でこの権力は通じないどころか、門前払いされる恐れすらあるからな。無暗には行けない。事と場合によっては不法侵入しなければならない」
「そうですか・・・けどでしたらあのクソガキどもは何故自分たちの存在を知っていたのですか?」
「お前もガキだろうが・・・。まあいい。俺達の存在を知っている理由は、向こうにも俺達で言うところの国連があってな。そこから俺達の存在が知られているわけだ。けどな・・・流石に支部が無いとやりづらいことありゃしないからな・・・」
「なるほど、そういう事だったのですね。ですけどこのまま指を咥えたままにはできませんよね?」
「そうだ。俺達もそこまで馬鹿じゃないからな。」




