アレクサス、パーティー仲間に連れ去られる
あまりにも文字数が嵩んでしまったので二分割します。
因みに試合風景は・・・察してください・・・
なお、文字数は20000文字をオーバーしています。
更に、いつもでしたら誰かの視点でお送りしていましたが、今回は挑戦してナレーターとして立ち回ります。
至らない点が多いと思われますがどうか暖かい目でお願いします。
最後に、読み疲れにご注意下さい。
アレクサス、パーティー仲間に連れ去られる
学園に到着した後、翌日になって急に連れ去られても困ると思ったアレクサスは早速ライゼンに相談を受けることにした。今は夜であるがライゼンの事なのでこの時間なら外に出ていると踏んだアレクサスは寮に戻らず、外で待つことにした。あんまりその場に居続けると不審者と間違えられる可能性がある為、適度に散歩も兼ねることにした。暫く夜風にあたりながら散歩をしているとお目当ての人影が見え始めた
「おっすライゼン。散歩か?」
「・・・ああ、アレクサスか・・・基本この時間は誰とも会わないと思ったから軽く驚いて戦闘態勢に入ってしまったぞ。んで?お前がこの時間に外で出歩いているのは珍しいな。見たところ、任務で出歩いているわけではなさそうだな。どうした?」
「まあ、この服装で出歩いているのだからな。お前が不思議がるのも無理はないな。んで本題だが、今日の昼間に俺はとあるパーティーに勧誘されてな。特段都合が合わない訳ではないから、条件付きでパーティーに加入したのだ」
「パーティーに?お前が?どうした?病院行くか?それとも医療班呼ぶか?まあそれは良いとして。珍しいな。俺もお前もだが、任務に支障をきたす可能性があるからパーティーやメンバーには基本入らない筈と俺は思っていたのだが?まあ特段制限を設けているわけではないから、俺としては任務に支障が無ければ良いが・・・けどそんなことで俺に相談に持ち掛けたのか?」
「いや、本当の本題がここからでな。明日俺はパーティーに連れ去られる予定だ」
「・・・なぜそうなる?何か弱みでも握られたか?しかも連れ去りとか、言葉だけ聞けば犯罪の匂いがプンプン漂っているけどな・・・けど予定と言ったな?何かあるのか?」
「まあ、端的に言えばそうだ。今日の帰りにな。明日の休日は皆どう過ごす?という会話でな。他の人は買い物や金稼ぎなどで学園にはいないのだが、俺は『任務があるから出ない』とは口が裂けても言えないから『相変わらず学園内で過ごす』と言ったら皆血相を変えてな。それで明日は俺を連れ去っても街に繰り出すと意気込んでしまってな。しかも俺の許可なしにでだ。一応集合時間や集合場所は指定してあるけど、恐らくそれを一秒でも過ぎると連れ去りが決定してしまうらしい。この部分は俺もよく聞いてないから確実ではないから曖昧で申し訳ないが、そういう事らしい。だから急遽俺が連れ去られても緊急事態に陥らないように、今のうちにお前に相談しておこうと思ってな。明日も学園は休日だから、俺もお前も基本的に学園の外には出ずに情報収集などをして、明日もそうしようと思ったがそうはいかなくなってしまってな。だから明日は俺も学園内にはいないことも併せて言っとこうと思って今こうして話を持ち掛けている」
「・・・そういう事か・・・それで時間を過ぎると問答無用で連れ去りか・・・俺が思うに厄介なパーティーに入ったものだと軽く戦慄するけどな。とまあそういう事なら分かった。けどそれなら緊急時はどうするんだ?無線機やインカムくらいなら持っていけるだろうが、容疑者などが割り出されたときはどうするんだ?流石に外部の人を寄こす訳にはいかないだろ?」
「それなんだが、明日お前の予定が合えば俺の部屋に入室を許可して自衛隊の情報を一部閲覧可能としようと思う。流石に情報開示は容疑者や割り出しくらいだがな。それくらいならお前も緊急時は対応できるだろ?」
「・・・確かにそれなら緊急時は対応出来るが・・・良いのか?それに情報開示可能にするって言ったが、仮に第三者が入ってきたらどうするんだ?」
「それに関しては問題ない。情報開示にはパスコードが設定している。無論地球関係者じゃないと解けないパスコードにしている。パスコードはお前のVRメールに添付しておく。勿論それだけではないからな。その他のパスコードは入力、網膜、指紋、静脈認証、顔認証、心拍安定のパスコードで構成しているからな。第三者が仮に入力を試みても無駄という訳だ。しかも心拍安定認証がまであるから、仮にお前が人質になって捕らえられて半ば強引に入力解除を試みても結局心拍が安定せずに解除が出来ないという寸法だ。つまりこの認証は解除者が自分の意思で解除をしようとしないと出来ないという優れものだからな。だから安心して良い。これで解除後に人質になっても中身はAIだからな。即座にパスコード認証に戻るから結局無駄さ。けどこいつの問題は、お察しの通り?」
「俺がそのパスコードをクリアしないといけないから、新規にパスコードを制作する必要があるわけか」
「その通り。だから済まんがもう少しだけこの面倒な工程に付き添ってくれ」
「・・・しゃーないな・・・けどパスコードを開示して良いのか?教えてもらったのは嬉しいが、俺がこのパスコードを持っていたらまたいつか開示するか分からんぞ?」
「それも問題ない。毎週パスコードが変わるからな。関係者しか知らないメールが来るから、それで変わるわけだ」
「なら俺に教えても良いわけだ。そこまで言われたら仕方ないな。良いだろう」
「すまんな」
アレクサスはライゼンに説得?をし、ライゼンは仕方なしに折れたようだ。その後はアレクサスの指示に従いパスコード作成に取り組む。その過程の道中、あまりにもパスコード請求の欄が多過ぎることにライゼンは軽く「面倒くさいし疲れる・・・」と、嘆いていたのは秘密・・・
☆
翌日になり、アレクサスは連れ去られる準備を整えていた。集合時間の一時間前にライゼンが入室をし、軽く操作説明をしていた
「ここをこうすればこの情報を見ることが出来る」
「ここはどうするんだ?」
「ここはこうすれば訂正や修正が出来る」
「ここは?どうしたら共有できる?」
「ここをこうすれば出来る」
「分かった。取り敢えず平気だ。もう良いぞ・・・って、思ったが・・・お前は何故まだ部屋着なんだ?もう集合時間の三十分前だぞ?いい加減着替えたらどうだ?まさかと思うが、連れ去りを目的にしているのか?」
「まあ、本音を言えばそうだ。何しろ向こうまで行くのが面倒。着替えはするが本来であれば今日は学園すら出ないからな。だから邪魔された気分に今更なっているから、ここまで来たらとことん抵抗してやると反抗する気である」
「・・・まあ・・・それはお前の自由だが・・・本当に連れ去られるのか?本当かどうか怪しいものだが?」
「なら待ってみるか?本当かどうかこの目で確かめることが出来るぞ?」
「・・・面白い・・・その提案に乗ろうではないか・・・」
「ははっ・・・さてもうすぐで来るな。準備はよし。忘れ物もなし。無線機の設定もよし。完璧だ。という訳でカウントダウンいくか・・・」
・・・・・
「・・・来んな・・・外れか?」
「・・・いや・・・来たな・・・じゃあ行ってくるわ・・・」
「・・・分かった・・・」
キューーーン!!!・・・・
「アレクサス君!何のんびりしてるのよ!!ほら行くよ!!」
「はいはい。リアリィ・・・そんなに引っ張るなって・・・」
「アレクサス君が遅いからでしょうに!!」
「だからって空魔法で空間を歪ませてここまで繋げるか?てかここは男子寮だぞ?女子禁制だろうが」
「良いじゃないの!アレクサス君が来ないから呼ぶに来ました!!ってことにすれば」
「そうですか・・・んで?どうやって連れ去るのだ?」
「こうするのよ。お願い!!マーク、アーカイブ、レラカイナ!!」
「おう!!俺の筋肉に酔いしれ!!」
「任された。アレクサス暫くこのままでいてくれ」
「分かったわ。私はこうするわ。アレクサス?恨むのなら時間内に来なかったご自身に恨んでくださいな」
「てことらしい。だからってアーカイブが緑魔法で草ロープを取り出して俺を縛り付けてレラカイナが闇魔法で束縛強化をし俺を簀巻きにしてマークが俺を運ぶという暴挙に俺は異論を唱えたいのだが・・・」
「『問答無用!!!』」
「・・・てことらしい。てことでライゼン。あとは頼む」
「・・・なかなか過激だな・・・これが連れ去りか・・・まあ分かった。気を付けて行ってこい」
「おう」
・・・・・
「さて、そろそろアレクサス君を開放しましょうか」
「そうですわね。ここで開放しませんと私達が今現在連れ去りを行っている犯罪者として見られて、衛兵を呼ばれて大騒ぎになりかねませんわ。流石にそれはアレクサス君が可哀そうですわ」
「そう思うなら何故簀巻きにしてまで俺を連れ出した?」
「それはアレクサス君が約束の時間になったのにも関わらず、お姿がお見えになりませんでしたので、ここは強制連行に踏み入りましたの。なのでこれは不可抗力ですわ」
「不可抗力の意味をはき違えていないか?まあいい。分かったからいい加減俺を下ろせ。いい加減周りの目が気になるぞ」
「!?そうでしたわね。マーク君。もう良いですわよ」
「分かった。けどこの束縛魔法はレラカイナに言ってくれ」
「分かりましたわ。我が妹よ。お願いしますわ」
「分かったわ姉さん。・・・はい。これで良い筈よ」
「うん。ようやく解放できた。お陰で腕が軽く痺れているな。レラカイナ。あんた少し束縛魔法が強すぎないか」
「それは申し訳ないわ。けどアレクサス君相手ですもの。ここまでしないと逃げられる可能性があったわ。だからこれは正当よ」
「さいですか・・・まあこの話は終わりで良いから、今日はどこに行くんだ?」
「そうね・・・今日は色々行く場所があるけど、取り敢えずギルドに登録は最後で良いわね?時間も取ってしまうし」
「そうだな。俺達の用事は最後で良いな。てことはまず始めは何するんだ?」
「そうね・・・アレクサス君は私服は無いの?」
「うーーん・・・一応あることはあるが、これと戦闘服を含めて二着しかないな」
「それは少なすぎるね・・・って戦闘服?アレクサス君って冒険者とかしてるの?」
「冒険者の登録ならこの学園に入る前に登録してるぞ?」
「あっ、そうなのね。それは知らなかったわ。因みに冒険者のほかには何を登録してるの?」
「冒険者のほかは商業と制作だな。どうしても物を作って売るとなるとどうしても許可がいるらしいからな。だからこの二つも登録している」
「そうなのね。なら登録はしてあるから、そのまま討伐に行けるわね。なら初めはアレクサス君の私服から新調しましょうか?」
「・・・俺に発言力が無いのは分かっているだろ?」
「あははっ。バレてた?てことで女子陣集合!!アレクサス君服を選ぶわよ」
「『はーーい』」
アレクサスは相変わらず自分の意見が通らないことに呆れを感じていたが、それと同時にアレクサスに中で「これも仲間として認められているのだろうな」といった仲間意識が変わろうとしていた。要はこれも面白いと思ってきたのだ・・・但しこれが衣装選びにも通用するかと思えば、実はそうでもないのも事実。実際に自分がモデルとして突っ立ったままであるが、持ってくる服がどれも女性用などの男性物があまりない服で合った。流石にこれはあまりにも逸脱し過ぎると思い、アレクサスは女子陣達にこう告げる
「なあ、これは俺の私服の新調だろ?何故それで女性ものや子供用が出てくる?」
「え?だってアレクサス様って女の子じゃないの?」
「いや、違うから。どこをどう間違えたら俺を女子と間違うんだよおかしいだろ」
「はい?どこがおかしいのでしょうか?ユレイナはアレクサス様は女子と思うわよね?」
「ええ。アレクサスは立派な女性ですよ?今更何を言ってるのですか?カイナ姉妹も同じですよね」
「はい!アレクサス様は女性ですわよ!しかもモデルとなると尚盛り上がりますわ!」
「ええ。これは売れること間違いなしね!!」
「・・・・・」
アレクサスはこう思った。「流石にキレていい?」そう発言して半ば強引に帰ろうと思った矢先、クエスタからお達しがきた
「お主ら。そろそろいつもの調子に戻りな。アレクサスがそろそろお冠じゃ」
「!?ごめんねアレクサス君。やっぱりアレクサス君ってカッコイイから女子物はどうなの?と調子乗っちゃった。許して?」
「・・・まああまり度が過ぎるとこんな感じになるからな。収まってくれて何よりだ。んで?俺用に新調したのか?」
「そこは任せて頂戴!!大きさというか、サイズはまた別で決めるから、一旦これらを試してみて?」
「おお。さっきの逸脱したものとは違って真面目になってるな。どれ、一旦試着室で着てみるか」
・・・・・
「これらは良いな。カジュアルだし派手じゃないし動きやすい。けど靴はちょっと合わないな。それ以外の装備は完璧なんだがな」
「そういえばアレクサス君の靴って今思ったけどそれ、ただのブーツ型の靴じゃないよね?持ってみたけど普通の靴とは違って結構重かったのだけど?」
「あっ、それは私も重いと思いましたわ。この靴に合う物が中々見つからなくって苦戦しましたわ。結局妥協しかなかったものなので、これにしましたがどうでしょうか?もし合わないのであればリストから外していただいて結構ですわ」
「そうか。ならすまんが靴だけは破棄だな。それ以外は買おう。いくらだ?」
「え?靴以外全部か?」
「そうだが?」
「お主、そこまで路銀があったのかのう?」
「金稼ぎなら複数のギルドで請け負っているからな。それにこういった嗜好品というか、物品を買うのは久しぶりだったからな。路銀が溜まっていく一方だったからな。だからそのあたりは気にするな」
「そうか。お主がそう言うのなら止めはせんが、金額に驚くになるのじゃぞ?」
「金額は聞いてから決めるさ。今は金額抜きならこれ全部買うと言ってる。ただそれだけだ」
「そうか。分かった。店員さん。この物を全部お買い上げしたらいくらになるかお勘定を頼むのじゃ」
「はい。分かりました。少々お待ち下さい。・・・・・お待たせしました。全てご購入の場合は452フィートになります・・・」
「『!?』」
「どうした?」
「ごっごめん・・・結構高くなってしまったわ・・・これ金額って・・・」
「ええ。私達が仮にギルドに働くとしたら、約二~三ヶ月分の給料になるわね・・・」
「流石に高すぎますわ。アレクサス君。減らしても構いませんわ。よくよく考えてみれば金額に考慮は一切ありませんでしたわ」
「そっ、そうね・・・無理して買う必要は無いわ。流石にこの金額を聞いたら私達貴族も一回は必要かどうか話し合うわ。だからね?無理して全部買う必要はないよ?」
「流石に妾達も悪戯過ぎたのじゃな。まさかこれ程までとは・・・アレクサス。お主はどうする?店員も合計金額を見て軽く引いておるが?」
「心配はありがたいが、俺は全部購入にするわ。それに俺からしたらこれだけあってこの金額は安いと思ってな。だから逆にありがたい」
「ほっ本気かお主!?これで安いって本気か!?その発言に妾達はお主の頭のネジが数本飛んだレベルで驚きを隠せんぞ!?」
「?ああ。本気で言ってる。それにその言い草は酷いな・・・。まあいいや。店員さん。これ全て購入でお願いします。勿論路銀もこのようにありますのでご安心ください」
「はっ・・・はい・・・では丁度いただきます。お買い上げありがとうございます・・・」
こうしてアレクサスと女子一同は支払いを済ませた後はそそくさと店を後にした。勿論男子陣は長時間外にいたため流石に疲れが溜まっていたようだ。但し女子陣の様子がおかしいことには気づいていた模様。そして男子陣に連れられて移動している最中、リアリィからこんな質問を受ける
「本気で買っちゃったよ・・・アレクサス君ってもしかして家がお金持ちとか?」
「いや?一般家庭だ」
「それが何故あれをいっぺんに購入できるの?」
「いや?そんなこと言われてもな・・・」
「どうした女子陣よ」
「それがね?アレクサス君に合う服を選んでいたのだけどね?私達はあまりにも夢中になりすぎて金額のことを忘れてしまってたのよ。それでね?結局購入した金額が452フィートに達してしまったのだけどね?アレクサス君はお釣りがでるほど路銀を持っていたのよ。それで購入してしまったから皆大慌てよ」
「・・・・・マジか?452フィートって二~三ヶ月分の給料相当だぞ?それをアレクサスはいっぺんに購入したのというのか?」
「そうよ。だから私達は問い詰めたのよ『アレクサス君の家ってお金持ちなの?』って。そしたら返答はまさかの『いや?普通の一般家庭だ』って。もう私驚いちゃった」
「それは驚くな。俺達でも普通なら躊躇うところを躊躇無く買ってしまうのだからな。だから店から出てきたときに女子陣皆驚いていたのか」
「そういう事よ。しかも安いと言ったから更に大慌てよ」
「・・・マジで言ってる?それはもう驚く驚かないどころじゃないぞ?」
「そうなのよ。これでお金持ちの御曹司やご子息とかならまだ説明というか辻褄が合うのだけど、一般家庭と聞いた以上、驚くしかないよね。いえ、驚くどころじゃないよね?」
「だな。これは今後が気になるな。まあ幸いな点は俺達男子陣はお買い物じゃないところだ。これから男子陣は街中にある訓練場を借りて冒険者としての腕が落ちていないか見極めるからな。さほど心配しなくても良いだろう」
「それなら構わないけど・・・。けどアレクサス君ってかなり強いのでしょう?君達で足手まといにならないかしら?」
「おい、俺らをおちょくってるのか?っと言いたいが、確かにアレクサスは強いからな。だから今回の訓練場はレベルに合ったエスカレーター式で行こうと思う。それなら自分の技量に合った訓練というか、特訓が出来るはずだ。それに上級ランクに稽古を付けてもらえば何処を改善したらいいか、どこを上げたら良いか、的確に言ってくれるはずだからな。最低でもこれをクリアしたら足手まといにはならない筈だ」
「そうね。それなら的確に言ってくれるね。なら安心かな。これでクリアして皆で討伐任務に行くわよ」
「おう。さてそろそろ着くな。って今日は混んでるな。これは稽古より手当たりしかないか?」
「アーカイブの言うとおりだな。流石に多すぎるからな。今回は仕方ないな。さて、申請するか。アレクサスは申請の仕方って分かるのか?」
「いや?この街に来て初めて休日での外出だからな。全く分からない」
「そうか。なら俺達が教えてやる。女子陣はどうする?一緒に来るか?それとも上の観客場で見てるか?」
「私達は上で見てるわ。今は体力を温存したいし、それにこれで喜ぶ女子とかマークみたいな脳筋やバカしかいないでしょ?」
「・・・それ等の本人に言ったら即ボコられるやつだな・・・まあ良い。んじゃ終わるまで上で待っていてくれ」
「そうするわ。っじゃ、頑張ってね」
「おう。という事で次は男子陣の時間だな。まずはこの記入用紙に必要事項を記入してくれ。分かる範囲で良い」
「えっと?名前はアレクサス、パーティーは有り、パーティーでの共闘はなし、出身地はカサジマ県、推定ランクは不明、指定のランクや指定の冒険者はなし、というか分からないっと。これで良いか?」
「推定は分からないっか。それだと低ランクから開始するけど良いか?エスカレーター式に上がる筈だ。だからいきなり上級クラスにはならない筈だから、安心して良い」
「そうか。因みにお前らは何処からだ?」
「俺らは下級クラスからだ。冒険者ランクで言えばDとかCクラスになるな。大半がここで挑戦を終了したりここで生涯を終えるやつもいる。最も俺らはここで終える気はない。だから目標は目指せ上級クラスだ!」
「最大で上級なのか?ここの訓練場って」
「いや?最大は最上級でな。冒険者で言えばA+のクラスになる。けどそこまでいってるやつは最低でもこの周辺では見かけない。だから実質上級が最大になるな」
「そうか。この訓練場でのクラス上げはどうしたらいい?」
「パーティーまたはソロで同等かそれ以上のやつに挑戦して、十勝で中級になる。但し十勝で自動的に上がるのではなく、十勝したら中級のところに行ってそこで昇級試験を受けるんだ。そこで勝利したら晴れて昇級確定なんだ。勿論中級から上級もそうだし何なら上級から最上級もそうだ。だが最上級の時は試験官がいないから、一旦冒険者ギルドに申請してそれで試合して勝利したら晴れて最上級に入れるわけだ。仕組みは分かったか?」
「おう。なら今回はソロでやってみようかな?記入用紙にもそう記入したしな」
「そうか。頑張れよ」
「最後に二つ聞くけど、ここって破門ってあるか?あとソロがパーティーに挑戦するのはありか?」
「一つ目はよっぽど犯罪行為しなければ基本は無い。二つ目はそれは出来るし逆も然りだ。けどあまりやりすぎたらそれはそれでペナルティが発生してしまうから要注意だ」
「そうか。分かった。お互いに健闘を祈ろう」
「おう。アレクサスも頑張れよ」
「すまん。俺との勝負を受けてくれるか?」
「良いが、俺らはパーティーだぞ?」
「問題ない。初めてだからここでどれくらい出来るか自分なりに見極めたいんだ」
「そうか。なら初めてだからな。俺達は八人パーティーだが初めは三人で行こうか?」
「すまんな。それでよろしく」
「分かった。ならこれもサービスだ。この中から三人選んでも良いぞ」
「それならまずパーティーリーダーである今話している君とあの巨漢で近接バカの彼と奥にいる鳥族で遠距離を得意としている彼女にしよう」
アレクサスはそう注文をしたが相手パーティーは驚きを隠せないでいる。それもそのはずだろう。何故ならアレクサスが注文した人って皆このパーティーの最強の三人組であるからだ
「・・・君、歳はいくつだ?」
「?十だが?」
「十で俺達最強の三人を選べるのか・・・君、その編成はたまたまか?それとも意図したのか?」
「・・・何が聞きたいのかは分からんが、その問いなら後者の意図したほうだな。
まずはパーティーリーダーだが、まずは俺の技量を見てきた。これはまず一匹狼やコンビで出来る技ではない。このパーティーのみならず、他パーティーも同じようにまずは相手の実力を見てそのあとどう攻勢を組むかを指示出したりする。これが出来るのはよっぽどでない限りは基本的にパーティーリーダーしかできない。
次に近接バカの方だ・・・バカは訂正する。続けると先の攻勢を組むときに前衛を行うやつは基本筋肉質や巨漢、または脂肪でたっぷりのやつが多い。理由としてはそのほうが後などの被害を減らせるからだ。そして彼は盾でも大剣でもない近接を得意としているナイフ。ならパーティーによっては猶更前衛に回すはずだ。そこから導き出した答えは自ずと見えてくるはずだ。
最後に女性だが、まず特徴的なのはその弓だ。それだけで中か後衛というのは分かる。勿論それだけではない。一番の要因は彼女の種族が鳥族という事だ。鳥族は目や耳が良い。となると瞬時に聞き分けたり目で捉えることも出来る。という事で彼女は後衛と答えが出る。どうだ?多少間違いがあるかもしれんが」
「・・・いや。正解だ。まさかここまで的確に当ててくるとは思わなかったな。これは本気でいかないと俺達が負けてもおかしくないな。てことだ。申し訳ないが本気でいかせていただく」
「望むところだ」
・・・・・
「嘘だろ・・・途中から全員でなったとはいえ・・・まさか俺達がソロに対して完敗?これは期待の星誕生か?」
「えっと?大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。まさか俺達が負けるとは思わなかったから精神的に軽く参っていただけだ。という事で君の勝ちだ。これに懲りずに更に高みを目指してくれ」
「勿論だ。良い試合をありがとう。という事で次は・・・」
「君、ちょっといいかな?」
「はい?」
「さっきの試合見てたわよ。次の試合は私達と勝負しない?」
「願ってもないことだが良いのか?」
「勿論よ。さっきの試合で私達も君に興味を持ってね。だからお願いね?」
「分かった。えっと?君たちは魔法を中心としたパーティーで良いか?」
「あら。さっきも思ったけど的確に相手の実力を見てくるね。確かに敵の技量を見るのも冒険者などの仕事であるけど、そこまで的確に判断されると逆に試合しにくいわね」
「それは失礼。で、パーティーはどうなんだ?」
「その答えに対する問いは、ご名答。君の言った通りの答えよ。私達全員魔法を中心にした女子限定パーティーよ」
「そうか。女子に傷を付けるのはいたたまれないがな。そんな冗談はさておき、試合内容はどうする」
「そうね。さっきと同じようにソロ対パーティーでいこうと思うわ。但しちょっとハンデを私達にくださいな」
「ハンデ?どういうハンデだ?」
「貴方は魔法を使えるのよね?」
「ああ。普通に使える」
「なら今回の試合は君は魔法無しでお願いできないかしら?どうしても魔法対決だと直ぐに私達が敗北!という決着がつきそうで怖いのよ」
「そうか。分かったならそれでいこう」
・・・・・・
「・・・これでもダメなのね・・・」
「えっと?一応ハンデはしてあるが?」
「ええ。それは私達がしっかりと見ていたから安心して良いわ。けどさっきより少ないとはいえ七人パーティーで全力魔法を放ってピンピンしていると逆に自身が無くなってしまうわね・・・と愚痴を言っても仕方ないわね。とにかく君の勝ちよ。次へどうぞ」
「分かった。怪我に気を付けてな。次は・・・」
アレクサスは次々と勝負を挑まれていく。中には珍しいパーティーやイカサマパーティーもいたが悉く粉砕していく。勿論冒険してアレクサスに対してソロで挑んで来た者もいたが普通に勝ってしまった。そして遂に中級試験まで勝ち進んでしまった
「えっと?この試合で中級試験の切符を手にしたという事になるか?まあ多分そうだろう。それで中級は何処にいるんだ?」
「君」
「はい?」
「どこに行きたいんだ?」
「下級クラスで十勝したから中級試験に行こうと思ったが、分からなくてな」
「そういう事か。それなら手順はまずは中級昇級試験エリアがこの下級クラスの角隅にあるんだ。そこで試験したらいい。合格したらそのまま中級エリアに移動してくれ」
「分かった」
・・・・・
「失礼。十勝したので中級試験を受けたいのだが」
「?ああ。はいはい。分かったわ。えっと?ソロかな?」
「ああ。ソロだ。ここに今回の勝負結果の内容も記載してある」
「見せてもらうわね・・・!?君、ソロでここまで勝ち進んだの!?」
「何に驚いているのか分からないが、まあそういう事だ」
「そっそうなのね・・・」
「?どうした?」
「ああ。これはこれは。実はこの子が昇級試験に受けたいのだそうですが・・・」
「?それなら受けてやれば良いじゃんか?」
「そうなのですが・・・この子の戦績を見てください」
「?・・・・マジで?全戦全勝でしかもパーティーもソロも戦ってこれかよ!!しかも下級で最大人数を誇るパーティーも全員で戦ってソロで勝つとか・・・まさか逸材か?」
「そうなのですよ。なので困ってしまって」
「確かにここまでの実力があると中級試験合格どころか、上級も速く上がりそうだな。けどルールはルールだからな。よしアレクサス。俺が試験官として執り行おう」
「え!?良いのですか!?ここで貴方が負けてしまうと中級クラスの殆どが彼に勝てなくなってしまうのですよ!?」
「けど規則だから仕方ない。という事でやるぞ」
「おう。ソロ対ソロで良いのか?」
「そうだ。不満か?」
「いや。何でもない」
・・・・・
「マジかよ・・・俺が完敗かよ・・・」
「大丈夫か?」
「お前に心配されると情けを受けてしまう。気にするな。さて、うだうだ言わずにやるか。さてアレクサス。君は全戦全勝で昇級試験もクリアした。これは快挙だ!今後も君の期待を祈っているぞ」
「ありがとう。それで中級にはどこ行けばいいのか?」
「?このまま中級に行く気か?」
「?ああ」
「・・・これは俺達が言っても無駄のような気がしてきた・・・君もそう思うだろう?」
「ええ。これは言っても無駄ですね・・・分かりました。ではアレクサス君。私達の階段を上がればその先が中級です。中級では強さもチームワークも下級とはけた違いです。気を付けてください。まあ、アレクサス君の事ですからね。そんな心配も無用と思いますがね」
「買いかぶりすぎだ。兎に角この後ろだな」
「ええ。では幸運を祈ります」
・・・・・
「さて、中級に着いたな。さて手始めに誰に・・・」
「おいお前。中級は初めてか?」
「?そうだ。今到着したところだ」
「なら初めは俺達との勝負だ。これは中級の入場関門と思え。ここで負けたらさっさと下級に戻りな!」
「?そんなのあるのか?」
「?ああ!あるに決まってるだろ!!そういうルールが中級からあるんだよ!!最下位の者またはパーティーは降級するってな!!」
「そうなのか。てことは君たちが暫定で最下位なのか?」
「・・・何だと!?」
「そういう意気がっているやつが大体御影を張っているやつしかいないからな」
「言わせておけば何だこいつ!?良いだろう。ならここで試合とそれの対価を掛けようではないか!!」
「それも規則にあるのか?」
「これもあるんだよ!!勿論対価もそれ相応でなければならないがな!!てことでお前はこの勝負で負けたらこの訓練場から去れ!!」
「ならその対価としてこの試合俺が勝ったらお前の仲間全員この訓練場から永久に去れ」
「!?良いだろう・・・その試合受けてやる!!おいお前ら!!やれ!!!」
「『ぎゃあっはっはっはっは!!!!』」
・・・・・
「これでも文句あるか?」
「なっ何故だ・・・何故俺らがここまでコテンパンにされる・・・」
「まだ終わらないみたいだな。なら追加をいくか」
「まっまて・・・」
・・・・・
「これでもまだか?」
「・・・負けを認める・・・負けを認めるから止めてくれ・・・」
「なら早急に去れ。それと約束通り永久に去れ」
「・・・・」
「去れ!!!」
「『はいいいぃぃぃぃ!!!!』」
「さて、厄介者を払ったところで次は・・・」
「君、次は僕らと一緒にしないか?」
「良いぞ。その前にあいつらは何だ?」
「実は僕達もあいつらには悩んでいてね。けど多勢に無勢だからどうしようもなかったんだ。だから君が来た時も他の人も同じかな?と皆してそう思っていたけど、圧勝してから君に向ける目が一気に変わったね。革命者が登場したと今では君のことを英雄といて崇拝するものまで現れたからね。けどそれくらいなことをしてくれたんだ。僕が代表して感謝を述べよう。ありがとう」
「別にそんな大したことはしていない。それに一同して感謝の意思を示されても俺が困る」
「いや、それだけのことをしてくれたんだ。これくらいの事はするさ。とまあ、確かにこれ以上は君を困らせてしまうね。ならこの話はおしまいにして、勝負をしよう」
「それを待っていたんだよ。パーティー対ソロか?」
「・・・やっぱり君は凄いね。感服するよ。そうさ。僕らは五人パーティーさ。さて試合するか。今度は気兼ねなくね」
「おう。そうだな。いつでもどうぞ」
・・・・・
「凄いな・・・これだけ頑張っても君に勝てないのか・・・」
「いや、お前も中々強かったぞ。良い勝負だった」
「そう言ってくれるのはありがたいね・・・君の次なる期待を祈っている」
「さて次は・・・」
中級も順調に勝ち進み、中級もまた全戦全勝を飾った。中級エリアの人は全員アレクサスとの勝負で老若男女問わずへばっていた。そしてまた中級最後の勝負後、またさっきみたいに上級への道に迷っていた(ただ単に案内も何もないからである)
「上級試験は何処だ・・・てかこれだともしかしたら・・・やはりエリアの端にあったな。失礼」
「おう若いの。どうした?」
「中級エリアで十勝したから上級試験に行こうと思って申請したところ」
「そうか。戦績情報を見せてくれ・・・?全戦全勝?しかも下級から負けなしと来たか・・・これは手ごわそうだ。分かった試験の許可を受けよう。試験は儂が執り行おう」
「頼む・・・?ほ~うさては爺さん、お前もしかして上級としては最強の剣使いだな?」
「・・・お主にもそう見えるか?」
「ああ。今までにはいないその大剣と爺さんからただならないオーラが見えるぞ」
「そうか。お主には儂のオーラが見えるか・・・これは苦戦しそうだな」
「まあそのほうが楽しいだろ?」
「・・・言えてるな」
・・・・・
「まさか儂がコテンパンにされるとはな・・・世界は広いという事か・・・」
「何水臭いこと言ってるんだ?爺さん。これでも俺も苦戦したぞ」
「そうか。なら最低でも良い試合が出来たと思おう。してお主。今お主が持っている剣はどうだ?使いこなせてるか?儂にはちとその剣は使いこなせてるとは思えんけどな」
「・・・そこを見抜けられたのは初めてだな。実はその通りだ。今は魔法学園に通っていて多少剣術は鈍っているが、学園に入るまでは爺さんと同じ大剣に大盾持ちだったな」
「・・・本当かそれは?それならお主は相当重量級の装備を持っていることになるが?」
「実際そうだ。通常時は背中に大型の盾を背負って、大剣は盾の内側に斜めに差し込めるように工夫がされていて、それで背中と盾の間に大剣を斜めに差し込んでいた。戦闘時には盾と大剣を使い分けている」
「それならあれ程の筋力があってもおかしくないな・・・ならこの訓練場が終わったら儂の工房へ来い。儂はこう見えても現役の鍛冶職人でもあるからな。儂に勝った記念に格安かつ頑丈な盾も大剣も制作してやろう」
「・・・本当か?それはありがたい。この片手剣だと脆いし軽すぎて直ぐに振り切れてしまってな。かなり使いづらかったんだ」
「・・・その剣でよくここまで勝ち進んできたのか・・・これはあっぱれものだな・・・本当なら剣を貸したいところだが、けどすまんな。今予備の剣は無いんだ。我慢してくれ」
「分かった。仕方ないな」
「すまんな。さて、ここから登った先が上級エリアだ。健闘を祈る」
「おう。そういえば爺さんの名前は何だ?どうしても迷ったときに名前くらい聞いておかないとな」
「?おお済まんな。儂の名はドエールだ。お主の学園からは多少離れているが、儂の名を街中で言えば案内してくれるだろう。一応この都市最大の総合工房だからな。制作できるものなら何でも任せろ」
「ドエールだな。分かった。俺はアレクサス。この訓練場が終わったら伺おう」
「アレクサスだな。よろしく頼む。さて、そろそう上へ行け」
「おう」
・・・・・
「ここが上級か・・・会場もかなり広いな・・・」
「どうもこんにちは。貴方は?」
「?おお済まん。俺は今さっき試験をクリアしてな。だから上級初心者になる」
「そっか。なら私達と勝負しない?一応この上級最大のパーティーを誇っているんだ」
「そうなのか。ならその勝負を受けようではないか」
「そうこなくっちゃ。さて?君の戦績を見せてくれない?」
「・・・ほい」
「ありがとう。えっと?・・・・・」
「あれ?リーダー?どうかしました?」
「・・・この子なんだけど・・・これ見て?」
「拝見します・・・!?これ本当ですか?」
「俺も見るぞ・・・これ本当に言ってるのか?」
「らしいわね・・・これは私達のパーティーが負けたりしたら実質上級クラスも彼に握られてしまうわね・・・」
「どうした?さっさと始めないのか?」
「あ、これはこれは。現段階での上級クラス第一位から第九位の方が勢ぞろいではありませんか・・・実は私達はこの子との勝負をしようとしていたのですが・・・」
「問題はこの子の戦績と勝負内容なのです」
「何だと?俺達も拝見するぞ・・・これは・・・」
「どうかなされましたか?」
「俺達の立場すら危うくなるな・・・それくらいこの子の実力は本物だぞ」
「『!?』」
「因みにどういった戦績なのですか?」
「今までここまで全戦全勝。しかも中級からはパーティー対ソロで普通に勝っている。しかもパーティーの方の人数制限は最大人数でだ。おまけにこの戦績表はいつ戦ったか、などの時間が刻まれるが、ここまで休憩を一度も取っていないで来たもんだ」
「嘘・・・」
「今は冒険者ギルドがここには不在で暫定的に一位とか名乗っているけど・・・これは順位を大きく変わりそうだな・・・」
「ですが期待の星をこのまま潰す訳にはいかないですよね?」
「そうだが・・・どうしようか・・・アレクサスに聞く。お前はこの上級エリアの者を全員と対決する気はあるか?」
「?あるかないかっで言えばある」
「そうか・・・ならいっぺんに勝負したいとなったらどうする?」
「『!?』」
「一位!!それはあまりにも酷では・・・」
「別に強制ではない。この子に聞いてその気があるのならそれでも構わないし、その気が無ければ一人ずつでも受けようと思う。つまりこの子次第という事だ。でだ、どうする?勿論いっぺんに戦って勝ったらその時点で上級クラス最上位は自動的に決定するぞ」
「けっけどしかし・・・」
「その提案を受けよう」
「『!?』」
「分かった。全員準備だ」
「けど・・・良いでしょう!こうなったらヤケクソです!!やりましょう!」
「てことだアレクサス。この訓練場最高の勝負を繰り広げよう!!」
「ああ!!」
・・・・・
「まさかここまで一方的に何もできないとはな・・・」
「しかもアレクサス君はまだ余力を残していますよ・・・」
「彼は化け物ですか・・・?」
「本当に十歳でしかもここまで休憩なしなのですか・・・?」
「その気持ちは分かりますが・・・戦績表が物語っていますよ・・・ここに時間もそれを証明する刻印までされているのですよ・・・これは認めるしかありませんね・・・」
「彼は本当に何者でしょうか・・・?出来るものなら彼を連れ帰りたいですわ・・・」
「・・・おお痛てて・・・さてアレクサスこれで君はこの訓練場のナンバーワンになった。最上級に行く気はあるか?勿論君がその気なら我々は祝福しよう。何故ならここにいる者全員と勝負して君は勝ったのだからな。それくらいの実力は君にはある。ここにいる上級クラスの全員が証明しよう」
「ありがたい話ではあるがお断りを入れよう」
「『!?』」
「さっきの実力もそうだけどこれもまた我々は驚きを隠せないな。何故断る?」
「簡単な話だ。俺は目立つのが苦手なんだ。仮に君たちが口を堅くしても誰かが『こいつなら平気だろう』と話した結果、情報が広まり、そのうち国や貴族、傭兵や、軍、果てには勧誘を受ける可能性だってある。そして最後には俺を巡って争いや貴族は我が娘をみたいなことにもなりかねん。俺はそれが嫌なんだ。しかも今現在で冒険者ギルドの職員や外部の者までいる始末だしな。このように・・・」
ドーーーーン!!!!!
「何だ!?」
「襲撃!?」
「戦闘態勢を!?」
「けどあの子を見てから・・・」
「な?このようにな」
「『・・・・・』」
「バレてしまいましたね。ギルドマスター」
「本当にあの子は底が知れんな・・・」
「どうしますか?大人しく出てきますか?」
「それとも撤退ですか?」
「まさかギルマスであろうお方が撤退とかしないよね?そんなことしたら信頼ガタ落ちよ?」
「言ってくれるなサブギル・・・ここは大人しく出てくるか・・・」
「見ていたのですかギルマス!?」
「ああ・・・誰を最上級に上げようか悩んでいたところに彼の情報が入ってな。それで見ていたんだ」
「口ぶりから察するに途中から見ていたように聞こえたのですが・・・」
「な訳ないだろギルマス。あんたは初めから俺を見ていたのではないか?しかも必要記入のところから」
「!?そこまでバレてしまったのか・・・本当に底が知れんな・・・けど俺が見ていたわけではなく・・・」
「知ってる。冒険者ギルド直属かまたはギルマスの権限かまたは役職付きの護衛などで寄こした隠密偵察部隊だろ?二十人の男女若い種族がバラバラのエリートが今そこら中に」
「・・・そこまで見抜くか・・・でも流石に今どこにいるかなんて分からんだろ・・・」
ボワーーーン・・・・ブワーーーーン・・・・
「今軽い結解で囲った。この中にいるんだろ?」
「さあ、どうかな?」
「冷や汗までは隠しきれてないぞ。まあしらばっくれるならいるという証明をするまでさ」
「何をする気だ?」
「別に殺しはしないさ。勿論非人道的なこともしない。この中にいるという証明をするだけだ。だからこうするだけさ。取り敢えずここに持ってくるか」
ボーーーン・・・・ブーーーーン・・・・
「なっ・・・」
「えっと?初めましてになるかな?取り敢えず君たちの姿は丸見えなんだ。今、君達の外側に居る人が君達を目視出来てるかどうか確認するから、君達はこの中で外の者達の目線を注目してみてくれ。疑っているなら、今から結解を広くするからこの中で色々動作してみてくれ。ああ、声は出さなくて良いからな。あくまでも目視出来てるかどうかを確認するだけだからな」
・・・・・
「な?丸見えだろ?・・・何人か本当に目視出来ているかどうかで意地張って、まるでマヌケダンスをしている奴もいるけど、意地張っても仕方ないぞ・・・しかも君なんか本当に見えているかどうか服まで脱ごうとしてるし・・・まあお遊びはそこまでにしておけ」
「・・・本当に見えているのですか・・・?」
「別にしゃべらなくても良いがな・・・まあ見えているぞ。君達が姿を消してたのって自分自身に結解か消滅魔法や空間を歪んだりしていたのだろう?それを無効にする魔法を俺は使った。だから今は丸見えという訳だ」
「そうなのですね・・・ギルマス、どうやら私達も負けみたいですね」
「・・・そうみたいだな・・・本当に君は何者なんだ?」
「別に平凡に生きている十歳なだけだ」
「平凡か・・・まあ良いだろう。君は冒険者ギルドには登録してるのか?」
「ああ。している」
「出来ればそのランクだけでも開示して欲しいものだが・・・そうはいかないよな?」
「ああ。さっき言った通りいつか情報が漏れるのを嫌う。だからだ」
「そうか」
「別に良いではないですか?ランクくらい?」
「・・・これだから君達は最上級には上がれないんだ。人の立場を分からないで何が最上級だよ・・・だから君達はダメなんだ。せめて相手の立場になって分からないと及第点は出せんな」
「『・・・』」
「けどギルマスとサブギルマスと隠密と職員はまた会うのだろう?その時にでも開示するさ。但し守秘義務を守る前提でな」
「そうか。分かった。一応バレてしまったが彼らや彼女らは冒険者ギルド直属の冒険者だからな。そのあたりはわきまえている。というかある意味彼らも職員と同等の立場だからな。それに俺らもこの都市の冒険者ギルドにいるからな。いつでも来い」
「おう。そうさせてもらう。さて、俺はそろそろお暇するぞ」
「おう。君はこの訓練場のナンバーワンだからな。腕試しならいつでも来い」
「腕が鈍らなければまた来よう。っと忘れていた。結解は今解いたからな。自由にして良いぞ」
「ありがとうございます」
「では」
・・・・・
「あ~!?アレクサス君やっと来た!!」
「すまんな。待たせた」
「結構待ったな。それで?アレクサスは何処まで行ったんだ?すぐに見えなくなったからてっきり初戦敗退したのか?と思ったぞ?」
「すまんな。結果から見ればこうなった。この戦績表を見てくれ」
「えっとどれどれ?・・・!?おいアレクサス・・・これマジか?」
「どうしたの?」
「こいつ・・・この訓練場のナンバーワンになってやがる・・・」
「『嘘!?』」
「ほれ。この戦績をみてみな?」
「『・・・・!?』」
「本当にナンバーワンになってる・・・」
「凄いね・・・」
「凄いというレベルじゃないだろ・・・」
「まあ、初めてだったから手加減が分からなかったな」
「手加減って・・・アレクサス君はもしかして全試合手加減していたの?」
「ああ。勿論初めは出来る限り手加減はしなかったぞ。けどそうしたら相手の一部が俺に対して軽くトラウマを植え付けてしまってな。だからそれ以降は全て相手の技量に合わせた勝負をしたんだ。そしたら皆『良い試合だった』と言ってくれてな。だからその戦術に変えたんだ。実際に俺も相手も改善点や課題点が見いだせたからな。だからそれを続けたんだ」
「・・・何かもう異次元過ぎるね・・・。アレクサス君と話していると色々常識がかけ離れていく気がする・・・」
「俺はそうは思わないけどな・・・」
「いいえ、本当に私達の知っている常識が崩れていく気がするのは気のせいではない筈よ」
「そこまで言うか・・・酷いものだな・・・。それはさておき、男子陣の戦績はどうだった?俺は知らないから教えてもらえるとありがたい」
「『・・・・・』」
「?どうした?」
「ははっ・・・そうなるのも無理はないわね・・・彼らの戦績は結局九勝止まりだったわ」
「?中級までもう少しじゃないか。それが何故諦めたんだ?」
「実はね?元々十戦目もしようと思ったのよ?私達もそう思ったのだけどね?・・・この先は彼らに聞いたほうが良いわね・・・」
「そうか。して?何で諦めたんだ?」
「そこで俺達に話振るとかさてはユレイナ、お前は小悪魔だな?いや種族的意味で悪魔って言ったわけではないからな?そこは勘違いするなよ?」
「しないわよ!!」
「まあ、話の続きをするとな、十戦目の相手はまさかの中級試験を行っている戦闘員だったんだ。そこで俺達は勇気を出してこう相手に提案したんだ。『これで勝利を飾ったらそのまま中級を合格にした扱いにしてくれ』とな。別にイカサマとかではなく、ただ単純にこの機会を逃す訳にもいかないし、それに相手もその提案に乗ってくれたんだ。だから調子に乗った俺達なら行ける!と思ったが結果は敗北した。だから九勝止まりなんだ。けど惨敗だけは避けられたから、まあそこだけが救いかな?」
「そういう事か・・・何かすまんな・・・」
「いや。気にするな。それでアレクサスにお願いがあるのだが・・・俺達のパーティーに入ってくれないか?アレクサスがいれば百人力なんだ。頼む!!」
「『頼む!!』」
「・・・百歩譲って俺が加入してそれでパーティーの実力が上がると思うか?少なくても俺はそうは思わないがな」
「それは・・・」
「それに俺が去った後のことも考えているか?俺の予想だと軽く天狗になる予想が容易に出来るのだが?そこもどう考えてるんだ?」
「・・・」
「何も言えないだろ?だからまずはパーティーの実力とチームワークの強化が先だ。俺の加入の話はそれからだ。最低でも中級で五勝が最低条件だ」
「そうか・・・まずは実力の底上げか・・・。分かった。ならこれならどうだ?俺達に指導してくれ!!それならどうだ!?」
「どの部分を指導するのかは分からんが、それくらいなら引き受けよう」
「ありがとう!恩に着る!!」
「ちょっと!?男子陣でアレクサス君の占領は無しよ!?それを言うなら私達女子陣もアレクサス君に指導してもらいたいわよ!!流石に訓練場は嫌だけど、ギルドなら話は別よ!!」
「そうよ!!独占は良くないわ!!」
「別に誰も独占するとは誰も言ってないだろうが!!」
「そうだ!最低でも話だけでも聞いておけ!!」
「・・・相変わらずこのパーティーの男女って良い意味でも悪い意味でも対立しあうよな。共闘したり協力や意見の合致、助け合いなどはしあう癖にな。どこからそのエネルギーがあるんだか・・・正直に言えばそこだけ俺には分からないから教えて欲しいものだ」
「ははっ・・・それはアレクサス君は知らなくてもいい部分かも知れないわね・・・」
「そうだな・・・遡ろうとしたり探ろうとすると逆にアレクサスが酷い目に合うかも・・・いや別に物理的でも間接的でも肉体的でも精神的でもないのだが・・・なんとなく酷い目に合う気がするんだ。だからそこは気に留めないでくれ」
「?そうか。ならこの部分は触れないでおこう。その部分に触れようものなら取り敢えず俺はその場からは一時退散しよう。勿論君達からの許可が出たらそれはしないが・・・基本は退散するが、それで良いか?」
「・・・あんまり言いたくないけど、そうしてもらえると私達としてはありがたいかな?」
「すまんなアレクサス。この課題ってアレクサスが予想している以上に厄介だからな。気にしないでくれ」
「分かった。取り敢えずこの話は終わりにして、そろそろその言い争い?は止してくれ。俺はこれから一旦寄り道をする事になったからな」
「へえ~。アレクサス君が珍しい。分かったわ。取り敢えず『君達!アレクサス君が寄り道したいと言ってるのだから、一旦争いは止めて!!』」
「『・・・すまん(ごめんなさい)・・・』」
「分かればよろしい。それで?寄り道先って分かるかな?」
「流石はこのパーティーリーダーだな。直ぐに収まった」
「そんなことはないよ。それで?どこに行きたいの?」
「おお、すまんな。話が脱線した。寄り道先は・・・
ドエール総合工房だ」
「『・・・え!?あの有名なドエール総合工房!?』」
次回へ続きます。
まさかここまで文字数が嵩むとは思わなかったんだ・・・
それにここまで休憩を挟んで12時間も掛けて書くとは・・・
何故前回はこんなにスムーズに出来なかったのかが悔やまれます・・・




