破滅の宣言
破滅の宣言
さて。先程は外で実技をして一時限前は座学のテストをしたとなれば、今度行われる工程は、そう
「今から座学のテスト返却をします」
そう。人によっては悪夢の答案返却である
「今から返却をしますが幾つか注意事項があります。
一つ目はテストの点数です。今回はテストの点数で成績の加減点はしません。大事なのは自分自身の魔法に対する認識などが出来ているかのテストなので極端な話、不正解ばっかりなのに点数が高い人がいればその逆の正答が多いのに点数が低い人もいます。先ほども言いましたがこのテストは自身の魔法の認識や理解などが出来ているかという意味でのテストになります。なので知識の差が当然出てきます。良い例としましては「ここの問題が分からなかったので回答しなかった、または自分なりに答えを探そうとした」といった自分の知識の限界を知っている人。これは非常に良いことです。重要なのはここからどうするかってことです。分からないから見過ごして今後も引きずるのか今後のためにも理解をしようとするのか。極端な話私はこの二択しかないと考えます。
逆に悪い例は、公式またはショートカットなどをせずに自分の意見を突き通したり、間違った知識をそのまま改善せずにそのままにする、といった正答とはかけ離れた回答などをした人、または努力をしない人。これは不味いです。教育方針が急激に変わてしまってそのような知識になってしまったのであれば先生は丁寧に教えますが、自分で身に着けた危険な知識をそのまま使用、または流用するのは不味いですし危険と隣り合わせになってしまいます。別に新たな魔法や知識などを形成するのを阻害するのではありません。私も新しい魔法は興味がありますが、誰にもその知識を公表しようとしなかったり相談しないのが不味いと私は判断します。つまり『この魔法はどうでしょう?』と一度誰かに相談して良ければそれで良いのですが、誰にも相談もせずに自分で満足してとある時に急に魔力を制御出来ずに暴走し、そのまま自我を失い誰かに討伐されることになったり、暴走した時には既に身体の悲鳴は限界を達してそのままあの世行きということも少なからずあります。特にこういうのは自分主義の人が非常に多いのです。なので私はこう言います。「誰かに必ず相談してみてはどうでしょうか?必ず誰かが真摯に相談に乗ってくれますよ。長くなりましたがこれが一つ目の注意事項です。
二つ目の注意事項はこのテストの点数が悪かった人は今後は本来行う授業を遅らせて、別室で一旦別授業を受けていただきます。恐らくですが先生たちの予想では、間違った知識そのままにして威張り散らす生徒やここで諦める生徒が出ると思いますのでここで野放しにするわけにはいかないのでこの授業を受けていただきます。ここでの注意事項としましては、本来受ける授業からは一旦逸脱しますので、当然ながら遅れた分、その分の成績に勿論響きます。それが伸びれば伸びる程、その分の成績に響き、最終的には留年または退学処分になるまで響く場合があります。なので早急に本来の授業に戻りたいのであればそれ相応の努力や正当な知識を学んでください。
因みに正常授業に戻れる基準ですが、授業中の態度、課題、理解、向上などが基準になります。例を上げたら真似して教育にならないと思われますのでここでは発表しません。ですが相談でしたらいつでも乗ります。いつでも来てください。
以上になります。何か質問はありますか?・・・無いみたいですね。ではこれから返却します。呼ばれた方は教壇に来てください。別授業に行かれる方の発表は後程報告いたします。では順番に来てください」
と、先生はテスト返却の際に注意事項や留意点を話して次々とテストを返却していく。・・・これ人によってはドキドキだろうな。何しろいつ呼ばれるか分からないからな。しかも俺かも・・・私かも・・・という顔が結構目立つ。俺は心の中でこう言う。『自分かもという人は大概呼ばれない。自分に危機感を持っているからな』と。逆に俺は呼ばれないぜ!私は平気よ~というやつが逆に呼ばれやすい。何故ならそいつらはここで満足しているのだからな。んでそろそろ俺の番になろうとしていた時、こんな声がかかる
「アレクサス!おいアレクサス!!」
「何だ?そんなに怒鳴り散らしても聞こえているぞ?あとご近所迷惑だから抑えときな?」
と、軽くジャブを打つと周りは
「くく・・・確かに迷惑だな・・・くく・・・」
「ふふっ・・・確かに言い得ているわね・・・」
「ははっ・・・確かにこれウチの近所でやったら迷惑もので通報するわよ・・・ぷぷっ・・・」
「すまん・・・笑いが抑えられない・・・」
「おい、耐えろ・・・俺も吹き出しかねん・・・」
といった笑いを抑える声がそこら中に広がる。んで?この大音量スピーカーは何が言いたいんだ?
「うるせえ!!アレクサス!!お前はいつも偉そうだな!?そんなに学年トップが偉いか?!!??」
「・・・えっと言ってる意味が分からんのだが・・・」
「黙れ!!どうせ先のテストも不正したのだろう!?俺を出し抜こうと思っているかもしれんがそうはいかんぞ!!」
「わお~~まさか初対面早々そう言われるとは思わなかったな。んで?仮に俺が不正したとしてどこを不正したよ?」
「まだ10歳なのに、最低7つの魔法を使い来なすことがまずあり得ない!!まずは周りの温度を下げて判断感覚を鈍らせ、次に吹雪を形成して視界を悪くし、挙句には俺達に空魔法で幻惑を見せるとは良い度胸だな!!いや~~あっぱれものだわ!!」
「・・・何言ってるんだこいつは?」
と軽く変な意味でショックを受けるが周りの一部はどうも俺の実技のテストに疑問を持っているようだ
「確かに10歳で7つって聞いたことないな」
「まだ大人なら分かるけどね。けど確かに10歳でこれは・・・不正を疑うわ」
「7つの魔法はさておき、判断感覚を鈍らせて点数を上げるという方法は聞いたことはあるが、けどその場合は正確な判断が出来ないと思うから再テストもあり得ると思うけどな・・・分からん」
「幻惑って、そんな簡単にできたかしら?」
と疑問を持つ奴が出てきた。まあ普通はあり得ないと俺も思うからな。それを追い打ちを掛けるかのように、あれは傲慢令嬢か?が近づいてきた
「お~ほほ、ご機嫌ようミスターアレクサス?貴方も傲慢ですわね~~。デンタ君にそんなこと言いながら自分は責任を逃れようとするその心意気は正直に言って呆れてしまいますわ。このような人がいて私は今非常に不愉快です。さて貴殿はこの状況をどう説明するのですか?もしこの場で謝罪するのでしたら最悪は私の配下になってもよろしくてよ?」
ふむ。こうなってくるか。それにこの状況は前にもあったな。しかし、今回のあの視線と態度は恐らくはただ単に俺に対する嫉妬や態度が気に入らないのだろう。となるとこっちも裏がありそうだな。さっきのデンタ君は誰かに任せたからいいとして、ここは初めに泳がせておくか。勿論事前に超スモールカメラとボイスレコーダーを作動させておいたので先程の会話からバッチシ記録されていることは向こうはしらない
「そうか。そう見えたのなら申し訳ない。えっとその前に申し訳ないのですが俺は貴殿らのことは存じません。申し訳ありませんが名を教えていただけますか?」
「なんと!!まさか俺らのことを知らないとは。まあいい。俺はアラロウロートという異世界のグレーチング貴族国から来た、バンゲーガーという!!父上はその貴族国の公爵家当主だ!!勿論ここに来た目的は魔法の向上と仲間を募集して自分の独立国家を作るためだ!!魔法学園はその通過地点に過ぎない。覚えておけ!!」
「では私も、初めましてアレクサス様。私はアラロウロートという異世界のグレーチング貴族国公爵家の長女、アリアラと申します。バンゲーガーとは幼馴染で家族ぐるみでお世話になっています。無論父上通しも同じ国政に携わる関係ですので信頼関係も非常に良好ですわ。以後お見知りおきを」
・・・マジで?また別の国に派遣することになるの?しかもまた国政関係者が出てしまった。はあ・・・これはまた先が思いやられるな・・・っと俺も自己紹介しとくか
「これはご丁寧にどうも。自己紹介はしたと思いますがここで今一度自己紹介をさせてください。
俺はこの星サラハタ星のここから東にあります、日本国の領土カサジマ県から参りました、アレクサスです。よろしくお願いします。浅学ですが日々精進していますので大目に見ていただければ幸いです」
うん。無難に自己紹介を終えたのは良いが、これはこれでまた一波乱ありそうだな。しかもバンゲーガーに至っては自分の野望が丸見えだしな。アリアラは・・・今のところ傲慢なところしか見当たらないから様子見だな。
そして俺の自己紹介を終えると二人は少し態度を変えた。多分日本国の領土出身というところに軽く驚愕しているのだろう
「そっそうか・・・アレクサスは日本国出身か・・・まあどちらにしろ不正はしたのだろう!?いい加減白状しろ!!」
「俺は本当に不正はしてないのにな・・・ならどうすれば不正はしていないと信じてくれるんだ?まさか俺が気に入らないから適当なことを言えばいいとかではないよな?」
「そっそんなことは・・・ありませんことよ?私達は貴族なのですから、そんな野蛮なことは・・・しませんことよ」
何回か言葉が詰まった時点である意味自白したのも同じと思うのだがな・・・まあいい。今はこの状況の打破だ
「それで?どうすれば認めてくれるんだ?」
「簡単な話ですわ。今から私に仕える公爵家最強のメイドをお呼びしますわ。そのメイドと私VSアレクサスで勝負をして欲しいですの。それでアレクサスが勝てば認めますわよ。負けたら不正した証拠が出るまでは学園への登校を自粛してほしいのですの。それでどうでしょう?」
「ちょっと!?教師の目の前で何を!?」
「分かった受けるよ。勝負のルールは?」
「どちらかが戦闘不能になるまで勝負は続行、使用魔法は私やメイドは自由でアレクサスは基本的に初級魔法のみでお願いしますわ。魔法属性の制限は設けませんのでこれで正確な判断が出来るでしょう。制限時間は10分で決着をつけましょう。いかかですか?」
「それで構わない。時間ももったいないしさっさとグラウンドに出て始めるぞ」
「分かりましたわ。うふふ、あなたの負ける姿が目に見えますわ」
とまあ不正は一切していないのでそそくさと勝負をつけることにした・・・いや、初めは出し惜しみをして相手を焦らせるか?そんなことを考えてるとシスティー先生が心配そうな顔をしてこちらに来た
「アレクサス君、良いのですか?こんな試合を受けても?」
「ええ。相手の心を折る気で行きます。どうしてもこういうのは力を見せつけないと不味いですからね」
「けど・・・使用魔法制限ありで向こうは無しって・・・理不尽すぎますよ・・・」
「はい。でも俺は勝ちますよ。ご心配ならずに。初級魔法でも彼女らの心を折るだけでも十分です」
「そうなのですね・・・分かりました。その試合、私も見届けましょう」
「まあ、証人がいてくれるだけでありがたいですよ」
☆ ☆ ☆
「いよいよあの忌々しいアレクサスに泡を吹かせる時がやってきたな」
「ええ。彼に近づくだけでも苦労しましたのでこのチャンスをモノにしませんと。このアレクサス抹殺作戦は私達の今後の未来も掛かっていますわ。ここは成功しませんと」
「だな。そして成功した暁には俺と君は婚姻することになっているからな。このまま勝利の美酒を飾り、一緒に同衾しようや」
「ええ。それは私も一緒ですわ」
「お嬢様、お待たせしました」
「あら。ジャストタイムですわね。準備はよろしくて?」
「はい。いつでも彼を殺す準備も封じ込める準備も整ています」
「では行きましょうか?」
「「はい(おう)」」
・・・・・
「っとこんなことを企んでいるようです」
「・・・アレクサス君・・・本当に平気なの?今からでも遅くはないからこの事を衛兵や学園長に相談しましょう?」
「先生、そんなことをしても無駄ですよ?システィー先生もご存じの通り、この学園には日本国が潜入捜査で捜査の手が入っています。無論どこで見ているか分からない。下手なことをして彼らの琴線に触れてはダメです。逆にシスティー先生が容疑者になりかねません。なのでここは我慢しましょう。彼らの処罰はそれからでも遅くはありません。なのでここは耐えて」
「・・・分かりました。アレクサス君がそういうのであれば先生は耐えましょう。それより今は勝負に勝たないとですね」
「そうですね。ということで行ってまいります」
「気を付けてね~~!!」
☆ ☆ ☆
「逃げずに来ましたね。その根性はあっぱれ致しますわ」
「それはどうも、それで?メイドはどこですか?」
「彼女は急に都合が悪くなってしまいましたの。ですので一対一ということになりましたわ」
「分かった」
ふ~ん。なるほどね。メイドさんは木の陰や物陰から暗殺道具を使い、俺を殺害するつもりでいるな?ならその行動もお手並み拝見と洒落込もうではないか
「では始めますわ・・・開始!!!」
そう宣言してきてアリアラは雷の上級魔法をいきなり使ってきた。・・・先手必勝か?いや違うな。多分初めに上級魔法を放って戦意喪失しているところを突くつもりだな。なら俺はあえてその攻撃を当たる
「!!!???貴方!!!死にたいのですか!!!???」
「別に死にたいわけではないからな??」
「その度胸は更にあっぱれですわ。ではこれならどうでしょうか!!??」
そういって今度は闇魔法で重力増加して動きが鈍くなったところに今度はメイドさんの暗殺道具が見えて発射準備をしていた。なら今回はそれを避けよう。ということでタイミングを見計らい、メイドさんが発射した矢を平然と避けていく。するとメイドさんは外したか・・・という顔をしていた。
その後も俺はアリアラの攻撃をわざと被弾または回避してメイドさんの攻撃は回避か魔法で事前破壊してやった結果、残り時間が2分になっていた。流石にアリアラとメイドさんは疲弊していて、バンゲーガーも唖然していた
「なっ何だこれは!!??何故アレクサスはあれ程の攻撃を受けて平然と立っていられる!?」
「そっそんなの・・・私に聞かないでくださいな!!」
「(どうゆうことですかお嬢様!?彼に攻撃が一切当たりません!!それどころか読まれているとしか・・・)」
「(何言ってるのよ!!アレクサスが気づくわけないじゃない!!アレクサスから見れば貴女の姿は見えないはずですわよ!!)」
「(ですから!?姿ではなく読まれているとしか私にはそう思えてならないのです!現に他の暗殺道具は消耗し過ぎて再使用不能か、使用前に壊されて使用不可能なものがほとんどです!)」
「(そんな・・・どうなってるのよ!!??)」
「(・・・無駄口を叩いている暇が君らにはあるみたいだな)」
「「(誰!?)」」
「(いやだな~この声を聴いて分からない?)」
「(・・・え?アレクサス!?何故!?)」
「(いつまで経っても攻撃してこないから諦めたのかと思ったらここで駄弁っているじゃないか?と思って堪らず声をかけてしまったんだ。それにその会話だと校舎角に隠れてさっき言っていたメイドさんが俺のことを暗殺する気でいるのにもうお手上げの会話を聞いて思わず拍子抜けしまったな・・・)」
「(!?嘘!?でしたらこの会話は・・・)」
「(おう。初めから筒抜けだし、試合前に君がメイドさんを呼び出して暗殺用意していたところまでバッチリ聞こえていたしな。これは荒れるぞ~)」
「(!?アレクサス!!貴方は何者ですか!?)」
「(アレクサス様、今頃になってこの懇願するのは甚だしいですし貴方から見れば私達はさぞ滑稽に見えるのでしょうが、それでも聞いてください。これは私の責任です。ですのでお嬢様に危害を加えるのはよしていただけませんか?)」
「(ちょっと!?何勝手なことを言ってるのよ!!見過ごすわけにはいかないでしょ!!??)」
「(お嬢様、では彼に何とかお情けを頂ける方法をお持ちですか?少なくても私は持ち合わせていません)」
「(そっそれは・・・)」
「(お嬢様。それしか方法が無いのはお分かりですよね?なのでここでアレクサス様に今一度申し上げます。お嬢様に危害を加え無きようお願いします。もしそれでも気が済まない場合は私がお嬢様の代わりに身売りしましょう)」
「(ねえ!?何言ってるの!?こんなことを言うのはお門違いなのは分かってる。けどアレクサスも一緒になって彼女を止めてほしいのですわ)」
「(うん。お前ら何か勘違いしているな。別に危害を加える気はない)」
「(!?そうなのですね!では許していただけるのですか?)」
「(何故そうなる?誰も許して良いなんて誰が言った?お花畑かあんたの頭は?)」
「(ではどうするおつもりなのですか?まさか衛兵に引き渡すのですか?けどそんなことをしても無駄ですわよ?何しろバンゲーガーと私のお父様がその罪をもみ消してくれますわ)」
「(衛兵に引き渡すのは当たりだが、引き渡すのはただの衛兵ではないぞ?)」
「(え?どこなのですか?)」
「(それはもう少しで来るはずだ。それよりこの小康状態から解放しないとな。てことで)」
「!?何ですかこの強力な魔法は!?まさかルール違反をしたのですか?」
「いや?よく見なかったのか?まあいい。使用した魔法はストーンだぞ?」
「ストーンって・・・超初級魔法ではないですか!?何故それでこれ程の魔法が!?」
「簡単な話だ。イメージが鮮明にしていれば詠唱すらいらない、寧ろ詠唱ありのほうが威力が低下しやすくなるのだが・・・そのことは習っていないのか?」
「いいえ・・・習っていませんわ・・・」
「そうか。因みにお仲間のメイドさんは既に戦闘不能だぞ?魔法通信をしてみ?」
「・・・・・!?・・・本当に応答がありませんわ・・・本当に勝ってしまうなんて・・・分かりましたわ・・・私の負けです・・・」
その言葉で周囲が驚きを隠せないでいた
「嘘だろ!?また理不尽な試合でアレクサスが勝ってしまったぞ!!」
「マジですか!?本当にアレクサス君って何者なのでしょうか?私は異性ながら興味があります」
「まさかあんたも狙うつもり!?まけないわよ!!」
「アレクサス!お疲れ!!俺らはお前の味方だぞ!!」
といった俺に向けて歓喜の声が上がる。そして当の本人達は
「何故だ!?何故アリアラが負けた!?どうしてだ!?」
「バンゲーガー・・・ごめんなさい・・・負けてしまいましたわ。それに彼に知られてしまいましたわ・・・」
「何をだ?」
「・・・小声で話しますわ・・・暗殺の件・・・早速バレてしまいましたわ・・・」
「何!?あの件か!?」
「ええ・・・なので本人曰く衛兵に引き渡すそうです。但しただの衛兵では無いそうですが」
「なんだと?どこの衛兵だ?そいつらを買収すればまだチャンスはあるはず・・・」
そう奴らが逃げ道を考えていると、噂の彼らが来た
「失礼」
「はい・・・??えっと貴方達は??ここは部外者の立ち入りを禁じていますが??」
「それは後で説明する。取り敢えずここにアリアラとバンゲーガーという生徒はいますか?」
「えっと?はい。ここにいますが?お呼びしますか?」
「お願い頼む」
そうシスティー先生がお二人を呼びに行っている間、俺は一人の男の人に近づく
「お疲れ様です」
「?おうお疲れ様アレクサス。証拠は?」
「ええ、一尉。このSDに全て入っています。勿論音声のみも映像付きも両方保存済みです。あと、繋がりですが今呼び出し中の二人の父親が、アラロウロートという異世界のグレーチング貴族国公爵家で衛兵などを買収して前科の削除や脅迫までしているそうです。更にその二人の父親は国政まで関わっている始末なので、もしかしたらディスデイーンの二の前になるかもしれません。注意したほうが良いかもしれません」
「そうか。分かった。今回はどうする?同行するか?」
「時期によりますが、今回は同行を希望します」
「分かった。その時が来たら一応知らせておく」
「了解しました。あっ間もなく到着します。両方ともかなりの傲慢で今回も一尉達を買収しようとしています。その証拠も残っていますので遠慮なくやってください」
「分かった」
するとようやく容疑者二人が現れる。急に巨漢な男性たちが生徒二人に迫っている光景にギャラリーも増え、皆固唾を飲んで展開を待っている。勿論今横に立ったシスティー先生も同様に緊張している
「アレクサス君。彼らは何者なのでしょうか?」
ここで「知り合いです」という訳にはいかないので誤魔化す
「いえ。俺にも分かりません。聞かれたのは二人はどうゆう性格なのか?というところだけです。無論正直に『傲慢です』とお答えしました。ただそれだけです」
「そうなのね。なら彼らは何者なのでしょうか?」
「アリアラとバンゲーガーだな?」
「はい。そうですが?」
「まあ、そうだが?あんたらは何?ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!?」
「そんなことは分かっている。では自己紹介といこうではないか。
我々は日本国自衛隊治安維持部の者だ。この通りIDもあるぞ」
一尉はそう言って彼自身のIDを二人に見せ、後ろの男性二人が上着を脱ぎ、自分達は日本国自衛隊という証拠を見せる。どうやら戦闘服と防弾チョッキは既に着込んでいたようだ。周囲は、自衛隊の防弾チョッキの背中と右胸に大きく刻まれた《日本国自衛隊》の文字入りワッペンが目に入った。いや、入ってしまった
「『!?』」
異世界最強の治安権力を振りかざされ、容疑者二人は驚愕と恐怖で雰囲気が満ちていた。勿論、周囲も例外ではない。そしてこんな声が上がる
「え?何でいるの?」
「嘘・・・誰か捕まるの?」
「まさか・・・目の前にいる同じ制服を着た生徒か!?」
「先生・・・先生を呼んでこないと!!」
などといった困惑の声が広がる。そしてそれは当の二人も同じように、その二人の顔は恐怖で青ざめていた
「どっどうしてここに日本国自衛隊が・・・!?」
「知らん・・・俺に聞くな・・・」
「あっあの・・・私の生徒が何かしましたか?」
「失礼。貴女は?」
「私はこの小等部三学年頭脳派の副担任を請け負っています、システィーと申します。それで、彼らは何をしたのでしょう?」
「副担任であったか、私は先程申した通りの所属だ。階級は一尉。君らで言えば大尉の階級だ。気楽に一尉と呼んでくれ。それで本題だが、君らには殺人未遂の容疑が懸けられている」
「『殺人未遂!?』」
「どっどういうことだ!?」
「え?あの二人は人を殺そうとしたの!?」
「は?殺人犯ってことか?いやでも未遂だよな?まあでも立派な犯罪ということには変わりないか・・・」
「でっでもだとしてよ?それで日本国自衛隊が出てくるのかな?」
「確かに・・・それは言えてるかも・・・」
「んでどうだ?心当たりはあるか?」
「「・・・・・(首を横に振る)」」
「そうか。ならこのSDカードを再生するぞ。三尉、ビデオカメラを出してくれ。んでそのまま魔法で劇場みたいに大画面スクリーンを形成してくれ」
「はっ。映像を再生します」
三尉が映像を再生すると俺がさっき記録していた映像が再生される。当の二人はその当時に状況を知ってか、顔を更に青ざめていた。そして本題の部分に入り、俺を殺すという部分と殺した後は婚姻するという展開すぎる会話に周囲は沈黙していた。そして当の本人達は
「違う!!こんなの出鱈目だ!!」
「・・・・」
「おい!!お前もなんか言え!!」
「・・・わよ・・・」
「あ?」
「認めるわよ!!確かに私達はアレクサスを殺そうとしたわ!!そしてそれを無かった事にしようとこの世界ではないけどお父様の公爵家に頼み込んだり衛兵を買収しようともしたわよ!!けどそれは日本国自衛隊が来た時点で終わってしまったけどね!!」
と自暴自棄になりながらアリアラはそう自白する。それを聞いた周りの目は
「おい・・・あいつらには近づくな・・・犯人にさせられるぞ・・・」
「最低・・・」
「あいつらは私達のアレクサス君を・・・」
「どうやら今回は日本国自衛隊を呼んできて正解だったみたいだな」
などといった軽蔑や冷徹な目などを容疑者たちに向ける
「証拠や自白もある為、ここで二人を逮捕する。アリアラとバンゲーガー両容疑者を殺人未遂で緊急逮捕する。裁判はこちらで執り行う。あと、これは先程確認できたことだが、彼らだけでなく家族ぐるみで陰謀などをしていることが判明したからな。最低でも一番軽くても犯罪奴隷、重ければ極刑だろうな。
てことだ。今から君達を護送する。そこの馬車に乗り込め。因みにアリアラ容疑者のメイドはもう既に身柄を拘束していて同じようにこの馬車に既に乗っているから安心していい」
一尉は皮肉を込めた言い方をしたが、すでに二人は酷く憔悴していた。しかし周りは同情の表情すらなかった。寧ろ更に二人の周りの温度は更に下がっていた。そしてこれで終わったかと思いきや、今度は
「アレクサス君!!大丈夫だった??」
「怖くなかった??お姉さんが優しくしてあげる」
「だめ~私が優しくするの~」
「い~や、私~」
と、今度は女子達に相変わらずもみくちゃにされていた。そしてシスティー先生は
「あの人達が来たのはただ単に偶然?それにあのエイゾウ?はアレクサス君が撮っていたものだし・・・アレクサス君。本当に君は何者なの?」
と混乱していた。
先生、それはまだ知らなくていいぞ。君が知る必要はまだない




