まさかの 外務省編 1
お待たせして申しわけございません
まさかの 外務省編 1
俺はこの星に出向になる前は、日本国外務省管轄のワーズナー星内の舞永県というところで働いていた。
任務は公務は勿論、指名手配犯の取締りや出入国管理などもする。
そんな普通の公務員として日々、変わらない生活を送っていたある日、主査に呼び出されて主査席へ向かう。
すれ違いの際、同僚と軽く雑談をする
「ライゼンどうした?なんかしくじった?」
「いや〜、そんなした覚えはないんだけどな。それか知らない間にか?」
「可能性は無くは無いが、それなら真っ先に報告が来るだろ?なら」
「他の事情がある訳か」
「多分な」
「取り敢えず行ってくる」
「おう。報告を待ってるぞ」
という感じで悪い予感がよぎるが、くよくよしてられないので足取りは重いが主査席へ向かう。
☆
社内会話
「ライゼンが呼び出しくらうなんて、珍しくない?」
「ああ。確かに珍しいな。あいつの仕事ぶりは評価出来るから尚更な」
「けどどうしたんだろう?普通、上司の呼び出しなんて極端な話2択しかないのに」
「まあな。しかも呼び出しなんて何一つ良いことなんてないのにな」
「そうだけどな・・・」
☆
「主査、ライゼンです。お待たせしました」
「うむご苦労。早速で悪いが要件を伝える。といっても私の判断ではなく、室長命令になるがな。
『辞令、ライゼン係員殿。上記の者は5日後のxx月xx日を以ってサラハタ星のラローツ魔法学園への潜入調査を命ずる。詳細は主査から伺うこと。以上室長から』だそうだ。
詳細は簡単な話、汚職捜査をして欲しいのだ。ここ最近のサラハタ星は賄賂などの金銭や取引報告が後を絶たない。そこで各星から一人ずつ派遣する事にしたのだ。
何故サラハタの者を集中的に配置しないかというと、顔見知りがいると怠けたり万が一捕らえられた時に『何でここにいるの?』といった口を滑らすことがあっては困るからだ。今回はライゼンを含め、4名の武官や文官をサラハタへ派遣することが決まった。仮に関係者と分かっても喧嘩や周りに悟られないようにな。
更に言えばこれは外務省のサラハタ支部からの応援要請でもある。
理由は察せるだろうが、裏づけで予想よりも遥かに超える数にパンク気味になってしまったそうだ。
すまんが頼むな。期限は外務省サラハタ支部が良いと言うまでだ。以上だ。
今日は引き続き仕事せよ」
「承知しました」
はあーー、そういう事ですか。しょうがないな。取り敢えず仕事するか。
俺は更に足取りを重くしながら自分のデスクへ戻る。その最中にまた同僚に会い、説明する。
「「「「・・・・」」」」
「あー・・・一言で言えば出向か」
「ああ、一言で言えばな」
「しかもその言い方だと他の星からもそのサラハタという星に向けて出向命令が出てると。そして目的は罪状の洗い出しとはな。俺的に言えば余剰戦力だと思うがな。けど」
「予想よりも遥かに超えるほどの容疑者と罪状が裏づけで判明して手が追いつかないとなり、
サラハタ星の外務省から応援要請が出て、何故かライゼンに白羽の矢がたったと」
「更に期限は外務省サラハタ支部がもう大丈夫と言うまで。実質無期限になりそうですね」
「それまではサラハタに生活を移す。ということね。大丈夫?生活が変わるから色々大変だとは思うけど、私達は頑張って!としか言えないのは辛いわね」
「先輩、私達も同行は出来ないのでしょうか?流石に向こうにも関係者がいるとは言え、
知り合いが一人もいないのは辛いでしょうし」
「一応掛け合って見るけど、多分意見は通らないと思うわね。何しろ文官とはいえ単独捜査になりそうだし、応援は出来ないと言われそうだし」
「けどサラハタの者も捜査に加わるのよね?その人達だけは後ろ盾があるのに、
私達や他の星達はバックアップが無いって・・・。流石に不公平よ?」
「ライゼン。あんたはどうするんだ?流石に不安だろ?俺達が一回交渉するか?
『同行させてください。余計な事はしませんから』と」
「多分だけど優柔不断の主査でもそこな同情してくれるとは思うが、
何しろ俺達は文官だぜ?武官ならしょうがないが、文官だからそこはどうにかしないと」
「だなー。分かったちょっと掛け合ってみる」
ということで俺はまた主査席へ向かい、同行出来るか交渉してみることにした。結果は
「うーん、確かに俺達は文官であって武官では無いからな。それに他の星の文官も同行者はいるという報告は受けているしな。分かった。同行を許可しよう。人数は任せるが常識の範囲内で頼む。
同行する者はライゼンに任せる。但し基本はライゼンだけになることを忘れずにな。
因みに種族や年齢などは問わないからな。あと、同行者も同様に期限は外務省サラハタの判断でな」
「ありがとうございます」
ということで何とか希望の光が見え、掴み取ったので嬉しい報告として同僚に報告する
「おまたへしやした」
「お?その言葉が出たということは?」
「勿論、許可が下りました。条件は俺が基本の種族、年齢問わずで人数は常識範囲内の同行人数で
期間は俺と一緒だと。あと許可した理由は他の星の文官も同じように掛け合ったから、だそうだ」
「「「「よし!!!」」」」
「ということで同行者は?」
「「「「はい!!」」」」
「よし頼むぞ!!!」
「それ、私達も同行しても?」
「あ、主任に係長。同行って、まさか」
「そう。ご想像の通り私達も一緒に行くわ。右にいる頑固親父風な係長もね」
「頑固親父は余計だタコ」
「あー、タコって言いましたねタコって。タコって言った人がタコなんですよ?知ってます?」
「知らん。で何故俺達も一緒かというと、俺の後輩がそのサラハタ支部にいるんだ。そいつらの後ろ盾があればなと思って俺も一緒に行くことにした。
因みにこのバカはただの付き添いだ」
「むー。別にいいじゃないですかただの付き添いでも。私は興味本位で行くだけですよ?
それのどこがダメなんですか?」
「別にダメとは言ってない。ただ単に頼りないなと思っただけさ」
「ちょっと!さっきから辛辣ではありませんか!?私、泣いちゃいますよ!?」
「知らん」
「ではそのガキのあやしは俺らがやろうか・・・」
「「「「「え!?」」」」」
「どうした?泣かないのか?まあ泣き止んだなら良いか・・・」
「い、いいえ。まさか渋み真っ盛りの壮年課長とスーパーウーマンの室長が現れるとは露知らず・・・」
「まあいい。君らはサラハタへ出向、または同行だろ?次いでだから俺らもついて行く。
理由は俺実はワーズナーの他に4星の出張課長もしてるんだ。今回も視察でサラハタへ1週間後へ行くからな。で室長は」
「私は一時的な異動を先程次長に命ぜられたので、私も1週間後に異動する予定。
なんならその任務期間中の上司になってもいい」
「え!?良いのですか!?」
「構わない」
「流石!優柔不断の主査とは違って、信頼できます!」
「あの主査の下につくのも大変。いい加減降格処分にしたい気分」
「室長。流石ウマがあいますね」
「取り敢えず話はここまでにして、同行予定者はこれで全員か?」
「いえ、まだですね。2日だけ時間を頂ければ」
「分かった。事前に俺らも同行する旨を主査に伝えとく。君らは同行確認と出発準備だけでいいから準備しな。仕事は課長権限で中止にする。その方が楽だろ・・・」
「あ、ありがとうございます!」
なんと同行者に主任に係長に室長に課長までついてくることに。これはある意味では現地調査課として課を立てられるのでは?というくらいには凄い構成になってしまった。
あの優柔不断の主査も今回ばかりは更に頭悩ませるのでは?ま、知ったこっちゃないがな。
2日後にはこのメンバーに決定したため、主査に報告する
「主査、お待たせしました。こちらが同行者リストになります」
「・・・何ですか?この人数は」
「構いませんよね?一応常識範囲内ですが?」
「それでも65人は普通考えたら多過ぎな気がしますが?」
「いえ?多少でしょう」
「これは上の方は人選を間違えたみたいですね。この話は無かったことにします異論は認めません」
ふーんそんなことを言うんだ。知らんぞ?ということで切り札のご登場でございます
※今は主査席の前にいますが、別室ではありません。部下2000人も同室しています
「ふーん、我々の人選ミスな・・・」
「か、課長!何故ここに・・・」
「私もいる」
「室長もですか!今回はどうなされたのですか?」
「今更どの口が言うんだ?しかも堂々と人選ミスと言ってくれたな。我々からしてみれば何故こんなに仕事できない奴が主査をしてるんだ?と不思議に思ってしまうが?」
「悪いが色々貴様について調べた。次いでだから他の目の前で暴露する。皆も聞く。
自分に責任がいくのを恐れ、責任転嫁や部下に仕事をなすりつけて自分は知らん顔。
法律にも触れている。賄賂、虚偽申請、架空請求など書類や金関係なら洗いざらい出るほど。
そんな奴が今も甘い蜜を吸っている。どう思う?君たち」
その言葉に主査に対して罵倒や物を投げつける始末。
だが主査は
「なっ何を言っている!!俺は潔白だ!」
と言う始末。だがすかさず室長が追撃をおっぱじめる
「貴様は黙ってろ。皆の気持ちは分かる。だから私より上の者に打診した。今さっきその結果がでて今課長が持っている」
「よし内容を読みあげるぞ。
『外務省ワーズナー支部の主査、貴殿を今日付けで解雇、そして身柄を東京地裁に送検する。
尚、空きポストに関しては暫き空きポストとする。外務省本庁外務大臣イイズカ・タダノリ』。
いいか?当支部長ではないぞ。日本国本庁、それも外務大臣命令だぞ。覆らないから覚悟するように」
その言葉に主査の顔はサーっと青ざめ周囲は驚愕を表す。
まさかの外務大臣命令に場はざわつくが、とどめの一発としてあの者達が入り、直ぐに収まる。そのあの者は言わずもがな
「失礼、東京地検特捜部です。主査はいますか?」
「ここにいますよ。さあさっさとお願いします」
「承知しました。ありがとうございます」
主査は連行されそうになると抵抗するが、がたいあの良い男が現れ、主査の顔面を掴みアイアンクローをする
「おら!じっとしろ!じゃなきゃこの場で顔と頭をカチ割っても良いんだぞ?別に捕える為なら処刑しても良いと裁判所から出てるしな。
安心しろ。とことん弄ってやるよ。俺の心ゆくまでな。
ほら、どうした抵抗しないのか?って今テメエ刃物出して俺を刺そうとしたな?良しその度胸にあっぱれだ。今すぐに弄ろう。良いよな?」
「ダメに決まってるだろ狂気者。取り敢えず連行だ」
「分かったがそう簡単に俺の気は晴れないからこう連行する」
とそのガタイの良い男は主査の片足の足首を持ってそのまま引きずりながら退室した。あれは痛いぞ〜
東京地検と主査が、親父曰くログアウトした後は
「では邪魔者は去った。心ゆくまで仕事すればいい」
その言葉で歓喜の声が出て、平和が訪れた。
4日後、俺達は次長室へ来ていた
「よし全員揃ったな、君達はこれから外務省サラハタ支部からの応援でそちらへ本日から向かって頂く。任務と期間は先日に元主査から聞いたな?なら説明を省くぞ。
では辞令を申す。外務省ワーズナー支部係員ライゼンほか65名は本日よりサラハタ星へ出向を命じる!そのほかの言葉は不要だな。貴殿達の武運を祈る!」
「『は!!』」
いつもの建前での辞令を終え、サラハタへ向かう為俺達は(自衛隊所有の)バスに向かう。
バスに着くと自衛隊の人が待機していた
「どうもご苦労様です。ライゼンほか65名の外務官ですね?確認は既に出来ていますがセキュリティ上、確認させてください。
あっ申し遅れました。自分は陸上自衛隊異世界方面ワーズナー支部舞永県舞永基地第4輸送隊第8輸送部第3増強応援課のエンデル陸曹長と言います。これから貴方達を舞永基地まで送ります。
尚、本日が他星へ行く人が初めてな方がいますのである程度説明させてください。
あと、今回の出向メンバーに自衛隊でも外務官でも無い方がいますのでそちらの方にも詳しく説明させて頂きます。
他星や異世界の往来の管理は全て日本国の法執行機関の上司が担当しています。
権限が持てるのは自衛隊の場合基本二尉以上になるので自分には権限はございません。
更に言えば、往来は簡単に移動は出来ません。
よくある基本的な国の往来とは違い、星ないし異世界の往来となるため見ず知らずの身分はかざせません。通じるのは外務官と自衛隊のみとなります。
一部の方はそれが無い分、その分危険度も増します。下手な話、スラム街に頭の中がお花畑で蝶よ花よと育てられた女の子が護衛無しに突っ込みに行くような者です。
なので最低でも『この方はこの星在住では無いが日本国の許可は取っている』という名目が必要になってきます。それだけでも効果があるのです。
例えば街に入る時、サラハタ在住では無いと怪しまれたり色々面倒なことになりますが、
許可があれば怪しまれない、寧ろ態度が変わるくらいには変わります。
更に、その許可があるだけで事件に巻き込まれ難くなります。
簡単な話が、自分は日本国の庇護下にあると主張ができます。
まあ、たまにそれでも馬鹿な奴はいますが。
多少説明が足りず飛んでしまった部分はありますが、おおよそは分かったはずです。どうですか?」
軽く自衛隊の説明を聞いて、納得したので自分は縦に首を振る。どうやら他の人も大丈夫みたいだ
「ありがとうございます。次に身分証ですが、これが無いと向こう側へ渡れません。無い方はこの場で申し出てください。渡る前に身分証をお渡しします。
身分証ですが、渡る前のセキュリティチェックを終え合格した方のみ、身分証に日本国承認の紋章を押します。それで向こう側へ渡れるトンネルを潜れる寸法です。逆に不合格の方が潜っても最後に出国した国の牢獄に閉じ込められますのでご注意ください。ここまでで何か質問はありますか?」
「『(首を横に振る)』」
「分かりました。ではこれから乗り込み前のセキュリティチェックを行います。尚身分証が無い方はこの場で申してください」
何人か身分証を持っていないのでその場で申請後、一旦そいつらとはお別れみたいだ。
俺や他の人は身分証を持っているため、身分証をその自衛官に預け、セキュリティチェックを受ける。
内容は目的や虚偽が無いか、ボディと荷物検査みたいだ。その後先ほどの自衛官が来て
「お待たせしました。全員クリアしたので乗り込み可能です。尚身分証がない方は後ろのバスに乗っていますのでご安心ください」
そうして暫くしたらバスは基地へ向けて出発した。
終始車内は無言であった。暫く走ると基地が見えて来た。その光景に一同は
「これから本当に自衛隊基地に我々は入るのだな」
「相変わらずこれを維持できる日本国は凄いね」
「普段絶対入れないところに入れるのだね。ワクワクするわ」
「結構長生きしてるけど、私もまだまだだね」
「失礼のないようにしないと」
「殺されるかもな」
など感動や緊張がそこにあった。暫く走り、門の前で止まると
「陸曹長、お疲れ様です」
「おお〜、元気にしてたか?二曹」
「勿論ですよ。して今回はあれですか?外務官の送迎ですか?」
「あたりだ。どうだそっちは?準備は終えたのか?」
「いや〜、それがサラハタからの連絡で付き添い65人は多いだろっと言われたそうですが、
なら派遣当初はどうなんだ?65人なら行けるだろ、で反対派と容認派が対立したのですが、
今さっき決着つき、65人を輸送に決定したそうなので、上官の準備に時間は掛かってますが、
何とかなりそうです」
「分かった。ではトンネルにお客を案内してくる」
「分かりました。お気をつけて」
とまあどうやらトラブルがあったそうだけど、何とかなったそうで良かったな。
少しずつトンネルが見えて来て、暫くしたら全容を表した。デカいな
「さて、最後にもう一度セキュリティチェックをします。いわゆるダブルチェックになりますので、
ご協力ください」
とまた検査された。これなかなか精神面に来るんだよな・・・
すると今度は早く終わり
「はい、おまたせしました。今度のチェックは諜報員がいないかなどのチェックになります。
やはりどうしても初めだと警戒して尻尾を出さないのですが、ダブルはないだろうと油断し、
尻尾を掴ませるのが2回目の役割となります。場所によっては3回もやるところもあるみたいです。
さて結果ですが全員合格の通知を頂いたので、これから渡航準備に取り掛かります。
と言っても一瞬で終わります。少々お待ちください」
直ぐに終わると言われたので待っていると、物凄い大きい方がこちらへ来た。まさか
「どうも。このトンネルを管理しているヤマシタ二等海佐だ。これからトンネルの扉を開く。
その間に身分証に承認の紋章を押そう」
すると身分証が返され、無い人は新たに日本国発行の身分証が渡された。その後目の前が暗いトンネルが姿を現した
「よし君達、待たせた。扉は開いたからいつでもいけるぞ。これを抜けた先がサラハタだ」
そう言われた途端に俺達は気を引き締めた。そして
「よし、行きますか」
「『はい!』」
課長の言葉で我々は一歩前へ踏み出す。
暫く暗い道を歩くと視界が開けた。どうやらサラハタへ着いたみたいだ。暫く惚けていると一人の自衛官がこちらへ来た
「お疲れ様です。ライゼンほか65名の付き添いの方ですね?お待ちしてました。自分は航空自衛隊異世界方面サラハタ支部ハウソロキー基地所属ベガンデ空士長と言います。
早速で申し訳ございませんが、入星手続きしますのでこちらへ」
と自衛官の指示を仰ぎながら手続きをする、といっても簡単な質問だけみたいだな。
その後、基地内の施設を借りてこれから現地の外交官と会議する予定だ。てかまた歩くのか・・・
暫く歩き、施設内の会議室にようやく着く
「ここで暫くお待ち下さい」
椅子に座り、リラックスしてるとノックが掛かる。ドアが開くと自衛官のほかに二人の外交官が入室して来る
「それでは自分はここで」
「はい、ありがとうございます。では先ずは軽くご挨拶から。
俺は日本国外務省異世界方面サラハタ支部の室長をしていますレンデです。詳しい役職名はかなり面倒なので省きます。続いて隣にいる女性が」
「私は右隣と同様の支部で主査のフレイガルドです。暫くの間宜しくお願いします。
それとお久しぶりです。課長」
「うん・・・元気そうで何よりだ。と思い出話は別の機会な?てことで続けろ」
「は。それでは任務の詳細をご説明させて頂きます」
その後長い話を聞かせられたが、簡単な話がこれから潜入捜査するそのラローツ魔法学園に向かい、
任務の内容は賄賂や汚職などが無いかの確認と摘発である事。
そして我々ワーズナーのほかにサラハタを含めた4つの星が協力してくれるが、簡単に正体を明かすわけには行かないので本人同士が会う迄は互いの素性は明かさない方針で頼むとのこと。
まあ、当然と言えば当然か
「承知しました。因みに我々の隠れ家はどちらになりますか?」
「今回はこれだけの人数が来ましたので、生半可な一軒家では狭すぎて居づらいでしょう。なので申し訳ないのですが貴方達の隠れ家は一等地区画である195番地に設定しました。
簡単な話がこの一等地区画は有名貴族や資産家、王家までが別荘や分家が在住しているため、端から見れば貴方方は貴族家と使用人として見られなければなりません。人数も潜入担当のライゼン係員を含め65人はいるため、建前だとしても十分なのです。なので・・・」
「分かりました。質問ですが、ご近隣にはどういった説明を?」
「それは簡単です『私達はワーズナー星の日本国領地である舞永県から来ました』と言っていただければ大丈夫です」
「良いのですか?それで」
「案外平気なのです。まず日本国という単語がついている時点で他の方は闇雲に干渉しようとはしません。理由はとてつもなく簡単で日本国だから、そしてこの方達に何かあれば真っ先に潰されるのは私達だ、とこういった心理になるからです。
勿論それでも馬鹿者はいますのでその場合は、煮るなり焼くなり埋めるなり吊り下げるなり燃やすなり毒に盛るなり轢くなり凍結にするなりハイにするなり灰にするなり海に放るなり刺すなり魔物に喰わせるなり身体を切断するなり内臓を取り出すなり敵が男なら男の象徴斬るなり女なら顔を潰すか子宮を潰すなり何でもして構いません」
「成る程。日本国というワードが抑止力になる、か。分かりました。次に学力はどうですか?それが前提なので」
「はっきり言って私達日本国基準だと保育園レベルです。なのでこの問題は平気です」
「分かりました。あと、何かしらの縁で隠れ家に招くのはどうですか?これは周囲からのお誘いも含めます」
「止む終えない場合は構いませんが基本はお勧めしません」
「分かりました。あとはないので自分は大丈夫です。他の人は・・・無いみたいですね」
「分かりました。ではこれが鍵となります」
「ありがとうございます。では何かあれば連絡します」
「お願いします」
「あ、一つすいません、あの」
「車なら用意してますよ」
「流石。ありがとうございます?あれ?車で良いのですか?って良いのか」
「はい。他の星や異世界は一切の日本国の物や経済、政治などの干渉は出来ません。した場合は周囲の人や関係者問わず、問答無用で処刑の罰に処せられます。それに私達は本当に日本国から来たことの証明になるからです」
「分かりました
ということでハウソロキー基地の表に止まっていた車両(一般車か)に乗り込みラローツに向かう。
道中、役割建前の役割分担をしていた
「ライゼンが貴族家の役割は決定だとして、他はどうしょっか」
「単純に男は執事、女はメイドで良いんじゃね?男は執事、警護、門番、大工など。女はメイド、警護、料理人、花屋などだな」
「あとこれは表の人から見たらの事だから、家の中は別に何もしなくても良いよね?」
「は?飯や掃除はどうするんだよ」
「いやいや、それはするよ?そうじゃなくって他の貴族みたいに貴族を敬うことはしなくてもいいよね?ってこと」
「確かに。あくまでも建前だからね。それはいらないわね」
「あとは言葉使いね。これは外にいるだけにしない?中までだと疲れるわ」
「それもいらんな。何しろこの中で上なのは課長だしな」
とそんな感じで会話が続く。2時間後にはラローツの門の前に着いた。そして例の如く順番待ちになっていた。てか車は目立つなこれはこれで。暫く注目を浴びていると、門番らしき男が向かってきた
「失礼します。貴方方は日本国から来たとお見受けしますがどうですか?」
ここは俺が応対しよう。((コク))
「確かに日本国から来ました。今は見ての通り順番待ちをしていますが?」
「大変申し訳ございません。貴方方は最優先で通して良いとお達しが来ていますので、このままこの検問を素通りしていただいて構いません」
「良いのか?検品とかしないで?」
「はい。それが国からの命令ですので」
「分かった。ならこのまま通るぞ」
「はい」
まさかのスルーに驚いたが、とりあえず通り抜けると魔法街っぽい雰囲気が漂ってきた。
もう少し観光気分を味わいたいがそれは後にして一等地へ向かう。そしてやはり道中は良く見られる。
さて、一等地区画に近づくとまた検問が現れる。またか。警備は凄いけど今回はすぐに終わりそうだな。
近づき声をかけようとしたら、検問員の人が駆け寄ってきた
「こんにちは。お疲れ様です。今日から一頭地の195番地に在住になった、ライゼンです。
日本国から参りました」
「日本国からですか!?しょ、少々お待ち下さい!」
なんだろう?予約制だったか?他の人に目線を向けるが、一同首を横に振る。だよな?目線を戻すとさっきの検問員が戻ってきた
「も、申し訳ございません。お待たせしました。今から195番地へご案内します!」
「あ、ああ。よろしく?案内?どういうことだ?」
車内にいる同僚に話しかけるが
「さあ、分からん」
「右に同じ」
「左に同じ」
「後ろに同じ」
「前に同じ」
「右斜め後ろに同じ」
「左斜め後ろに同じ」
「右斜め前に同じ」
「左斜め前に同じ」
「『無線2だが無線1に同じ』」
「『無線3です。無線1に同じ』」
「『無線4。無線1に同じ』」
「わ、分かった。とりあえず付いて行くか」
暫く付いていくとどデカイ家が現れ、なんか人が集まっていた
「お待たせしました。ここが195番地です」
「ああ、ありがとう。因みに何でこんなに人が集まっているんだ?」
「実は、隣人が越してくると噂が飛んでいて、それで」
「集まっているわけか」
「はい・・・」
しょうがないなー。暫くボーッとしていると一人話しかけてきた。取り巻きと護衛をつけて
「どうもこんにちは。私は3番地に在住の者です。ここはのどかのように見えて実は派閥がいろんな意味で酷いのです。如何ですか?私の派閥に入っては?」
でたよ勧誘。ご近所さんも「あの誘いがまた始まった」とか聞こえるため、どうやら評判は良くないみたいだ
「ならん!私の7番地の派閥に入れ!」
「ふざけるな!俺の10番地に入らないとどうなっても知らんぞ!」
などとダメな連中に頭きたため、先に検問員に注意を呼びかけるが
「申し訳ございません」
とそれだけなので早速効力を出すことにした
「申し訳ないが自分らはどこの派閥にもどこの組織も属さない。あと自己紹介を。
私達は日本国から来ました。宜しくお願いします」
その言葉に周囲はシーンと静まり返り「申し訳ございません!退散します!」と先程の豪語した者は帰っていった。逆に「日本国が現れたぞ!これで安心だ」といった歓喜の声が聞こえてきた。
どうやら先程の豪語した連中は相当酷いみたいだ。すると今度は男女4人組がこちらにきた
「先ほどの光景にはスカっとしました。今日からよろしくお願いします。私は185番地に住んでいます。丁度お向かいさんになります。そして隣の方は」
「ワシは184番地に住んでいる者じゃ。宜しく。んで次が」
「僕ですね。196番地に住んでいる者です。お隣さんになります。最後にこちらの小さい方が」
「小さい言うな!194番地に住んでいる。バカ共々宜しく!」
「はい。宜しくお願いします」
何とかお隣さんがいい人そうで助かった
次回も引き続き外務省編となります。
今週末の投稿予定です。
流石に経緯を一から書くのはかなり疲れる・・・




