まさかの 自衛隊編
まさかの
結論から言おう。
2年第6クラスはある意味で異常だ。
今回のクラスは70人の在籍だが、そのうち55人が政界や国との関わりを持ったり王族や橋渡し役の息子だったりしたのだ。しかも55人中20人が他星の住人だったりと、色々問題が起きそうなクラスに俺が入ってしまった(そう言ったらアレクサス自身もある意味では問題が起きそうな予感がするが?そこはどうな「作者は黙ってろ!存在自体を消すぞ!!」サーセン)。
しかも絶賛
「おいお前、俺の配下になれ!そしたら融通を効かせるぞ?」
「いや、俺のところに来い。こいつより効くぞ?」
「いいえ、是非私のところへ!お金なら私か出しましょう」
「大商人の小娘は黙ってて!私のところへ来ない?良いお話が聞かせられるわよ?」
「いいや、是非僕のところへ。男女や能力差別はしないので他よりかは楽では?」
とこのように派閥?が進級してたった数日で争いや引き抜きが激化している。
俺は元々どこかの派閥に入るのはないと考えているので
「お誘いは有り難いが、俺はやめておく。派閥争いとかがあるのは嫌いなのでな」
「むむっ、確かに其方の言う通り派閥争いがあるのは事実だが、けど派閥に入ることのメリットもあるぞ?
例えば他の生徒から省かれることが無くなる。要は後ろ盾ができるからさ。それに助け合いも出来るぞ?」
「「(ウンウンと頷く)」」
「いや、それでもやめておく。やはり俺には合わない」
「そうか。無理強いは良くないよな。分かった。今は手を引くがいずれはまた誘おう。
けど忘れないでな。このクラスで派閥に入ってないのはアレクサスともう一人だけというのをな」
「・・・分かった」
意外だったな。てっきり強引に入れ!や断ったから決闘等を申し込まれると思ったが案外いい奴だな。
後ろ盾や助け合いを大事にするところがな。けどそう言う奴ほど裏では裏切りを狙っている事もあるからな。
なので俺はフリーで行くか。どうやら俺に愛の告白したリアリンも何処かの派閥に入ったみたいだな。
そういえばさっき派閥のリーダーが言ってたな。『入ってないのは俺ともう一人』と。
いったい誰だ?あたりを見回すとクラスの角隅の席に周りが誰もいないのにポツンと一人だけ座っている。
こいつっぽいな。さて、どんな奴か。そいつに近付いてみると周囲が異様な雰囲気に包まれる。
まるで近づくな!と言っているみたいだ。多分だが他の人もこの雰囲気に負けたのであろう。
周りはあいつに近付くのを止めるような視線を俺に向けるが、
俺はアイコンタクトで平気の意思を示して再度歩みを進める。そして容姿を確認する。
身長は190cm(約126カウ)もあり、顔は目はオッドアイ(右目が赤で左目がグレー)で吊り目に、
眉も常に眉間にシワが寄っていて、腕組みをしておる。端から見れば常に機嫌が悪い雰囲気を醸し出している。
更にガタイも良いので尚更である。
「おはよう。隣いいか?」
「・・・好きにしろ・・・」
俺は黙ってそいつの隣に座る。見た限り、雑談を余りして欲しくない感じが漂うが、構わず
「俺はアレクサス。出身地はカサジマ県という日本国が支配しているところから来た。あんたは?」
「・・・俺はライゼン。ワーズナーという星から来た・・・」
「ライゼンか。ここには何しに?やはり魔法の勉強か?」
「バーカ、何言ってるんだテメエは。俺は親父からの強制指示で入っただけだ。それ以外は何もねえ」
「そうか奇遇だな。実は俺もなんだ。俺も親父からの強制指示で来ただけだ。正直今すぐにここから去りたいと思っている。ライゼンはどうなんだ?」
「まさか同じ境遇者が現れるとはな。実は俺もだ。本当なら治安系の学校に行きたかったが親父に反対されてな、仕方なく来るしかなかった。アレクサスは?」
「俺は本当なら軍に行きたかった。それを言うならこの魔法学園もある意味ではそうかも知れんが、
俺はちまちま魔法でするのではなく、男なら物理でぶつかり合うのが好きなんだ」
「はは、確かに言われてみればそれも良いな」
それからも俺とライゼンとの会話を続ける。周りもだんだん俺達の会話を静かに聞いていた!
「初めてだな。ここまで話が盛り上がる会話をしたのは」
「そうか。俺なら空いている時ならいつでもな」
「分かった。またな」
「おう」
意外だったな。ある意味では俺も任務で在籍してるだけだからな。
それに周りはここまで会話が成り立ったのが意外なのか、全員顔をポカーンとしていた。
周りはライゼンと会話したことに驚愕したのか、俺にコツ?を聞いてきた
「アレクサス。どうしたらライゼン君と会話出来る?会話だけでもしたいのだが」
とクラスで一番の人気者の某国王の子息
「アレクサス君。彼は何であんなに不機嫌なの?」
と女子の間でリーダー的存在の別星の公爵家の子女
「私はあの人と会話するの少し苦手かも・・・」
とクラスで癒し系キャラの別星の宰相の子女
「何をどうすればあんなに機嫌を損ねるのか」
とクラス成績で上位に食い込む別星の医療機関研究の教授の息子
「やめておけ。アレクサスが特別なだけだ」
と俺を侮辱するのは某国の軍の最高責任者の跡取り
「うーん。彼と話してもいい話が出ない気がする」
と別国の総合ギルドのサブギルドマスターの三女
「まあ確かに会話は容易では無いぞ。話題が合わないと会話しない主義に俺は見えるからな」
「そうか」
そんな感じで一日が過ぎていくと、気がつけば放課後になっていた。するとライゼンが俺の席に来た
「ライゼン?どうかしたか?」
「・・・すまんが少し込み入った会話がしたい。屋上に来てくれるか?」
「?分かった」
すると周りは騒然した。声には闇討ちやカツアゲが聞こえるが無視する。あの様子だと本当に会話だけだしな。
「良いかアレクサス。無理はするなよ?何かあれば直ぐに行くから」
と世界を股に掛ける仲介業者社長の次男
「頑張って!私は応援してます」
と言うのはリアリン
「別に心配はしなくても良いと思うけどな。あと、ついてこなくていいから。
来たら余計関係が拗れる」
という忠告をする。皆は渋々肯く。という事で屋上に向かうと、先にライゼンは着いていた。
すると開口一番
「お前、何処の軍隊だ?」
と聞かれた。何故バレた!?と思った。ただ何故か知らんが闇雲に疑っている訳でもなさそうだ。
正直、しらばっくれるのも良いと思ったが今回は素直に正体をバラす。
理由は2つ。1つ目は俺の忠告を無視してきた他の生徒が俺をつけてきたので、穏便に済ます為
そして2つ目は
「良いがお前も正体を明かせ。それが条件だ」
「!?」
突然の発言にライゼンも驚愕を隠しきれていないみたいだ。
そう。実は先程の会話した内容は虚偽が一部あるのだ。それを暴くためこの条件を提示する
「・・・どうやらお互いに正体を明かさなければいかんな。分かった。但し内密に、そして同時に明かせ」
「分かった」
俺とライゼンは少しずつ近寄り、あと2m(約0.46ノウ)でお互い歩みを止める。
これはあれだな。親父曰く西部劇で先に打った方が勝者というやつだな
「せーので出せ」
「分かった」
「せーの」
俺は航空自衛隊の身分を出す。対してライゼンは?・・・マジか・・・
「アレクサスが潜入捜査している自衛官とはな」
「そういうライゼンも潜入捜査している外交官とはな」
そう。まさかの所属は日本国外務省のワーズナーからの派遣職員の捜査員とはな。全く驚いたぜ
「アレクサスの階級と所属と任務を言ってくれ」
「日本国海上自衛隊異世界方面サラハタ支部笠島県笠島基地内青少年科青少年係所属だ。
階級は一等海士。任務は賄賂や情報操作の摘発、護衛などだ。そういうライゼンは?」
「俺か。日本国外務省異世界方面ワーズナー支部青少年課捜査係所属だ。階級はただの係員だ。
任務も大して変わらない。強いて言えば重罪の容疑者を別国が逮捕した場合は、強制送還の指令を出すくらいだな」
「てことはさっき会話したのは全て虚偽か?」
「いいや、治安系に行きたいというのを除いて全て事実だ。アレクサスは?」
「俺は全て事実だ」
「そうか」
再三言うがまさかの出来事に動揺したが、気持ちを切り替え次の問題に移行する
「正体は分かった。んでだ。次にこの問題はどうする?」
「・・・多分俺が原因と思うから、仲良く会話すれば平気だろう」
「それで誤魔化すしかないか。あ、ライゼンが原因で思い出したがその顔と態度はデフォルトか?」
「態度は違うが、顔は元々だ」
「そうか。分かった。そういえば捜査はどうなる?例えば容疑者が被った場合とか?」
「うーん分からん。その場合は相談になるか・・・なんか以前の記憶だが、上が管轄争いする夢が急にフラッシュバックしてきたが・・・」
「これまた奇遇だな。同じだ。あとで相談するか。取り敢えずは」
「「ここから逃げ出す!」」
☆
「アレクサス君。大丈夫だよね?喧嘩になったりしないよね?」
「・・・分からないわ。今は見た感じは会話自体は普通だけど、これが実は脅しとかあり得る話だし」
「不安だわ。ねえ男子、どうにかならない」
「その気持ちは山々だけどよ。仮に喧嘩勃発してもあいつを止めれる気がしない」
「貧弱な僕なら拳一つで骨まで粉砕してしまいます。無理ですよ・・・」
「その意見には賛成だ。仮に強い女子がいても同じだろうよ」
「それもそうだけど・・・」
「けど、あのままというのも・・・ダメな気がする」
「おい、誰かライゼンの情報を持っている奴はいないのかよ!」
「無理ですね。彼はワーズナーから来て、お父さんが現役の軍人さん以外は何も」
「おい、マジでどうするんだよ!」
「アレクサス君」
「?」
「どうした?」
「何かあったんですか?」
「いや、会話が終わったみたいで、こっちに来ます」
「「え!?」」
「お、おい!急いで駆け下りろ!」
「せっかくアレクサス君が教えてくれたのにバレたら元も子もないよ!?急いで!?」
わーーー!?
☆
「・・・なんか急いで降りて行った様に見えたのは気のせい?」
「・・・いや、気のせいでは無いぞ。それより早く降りようか」
「・・・だな」
そう言って俺とライゼンはそそくさだがその場を後にし、帰るために一旦教室へ戻る。すると
「アレクサス一等海士。このあと時間は空いているか?出来れば今後の事で上官も含めて会議をしたい。無論そちらの上官も招集していただいても構わない」
「良いだろう。丁度同じ事を俺も考えていたところだ。ただ場所はどうする?」
「それならサラハタ支部で良いだろう。現役の外務官も目の前にいるしな」
「分かった。ただ少し時間を頂いても良いか?どうしても上官の招集には時間が掛かるものでな」
「勿論だ。時間は本日の19時からで良いか?場所は事前にこちらで用意する。
時間になったら受付の人に俺の名前を言えば対応するだろう」
「承知した。では一旦解散・・・したいが・・・」
「ああ・・・言いたいことは分かるぞ。同志よ」
何故帰れないというと、先程のライゼンからの呼び出しが、一部生徒からにはカツアゲと捉えられて、事情を知ろうとする人混みが正門の前に大勢いるのだ。
つまり、誤解を解かなければ今後もあるということだ。憂鬱だ。
誤解を解くのに時間をかなり食ったが何とか解決した・・・かなり強引な方法だがな。
単純な話、ずっと「喧嘩ではありませんし、カツアゲも何もされていません」とそれを繰り返しながら、正門を抜けた。更に俺のファン?がずっと「私達『薔薇の女子護衛団が貴方の事を守ります』」ときて、しかも厄介なことに妖艶で有名な変異種の吸血鬼族や夢魔などもその護衛団の中に在籍しているから、内心正直勘弁してくれ!と思った程、精神的にきていたがなんとか抜け出せたのでホッとしている。
「なんか、かなり疲れたな・・・」
「その意見に100%同意する・・・何故こうなる・・・」
「多分、その常に不機嫌な顔をしているからだろ」
「・・・改善の余地があるな・・・分かった。努力をしよう。では後ほど」
ライゼンはそう言って分かれた。という事でいつもなら学校の寮へ戻るのだが、
今回は外務省との会議があり、尚且つ独断では決められない為一旦駐屯地へ戻り、
親であり上官でもある親父を呼ぶことにした。その前に後を付けられている為屋根をつたる事にした。
そして久しぶりにラローツ駐屯地に辿り着く。あれ?意外に並んでいるな
「次の方って何だアレクサス一等海士ではないか。どうした?退学にでもなったか?」
「あら本当ね。久しぶりねー学園は楽しかった?お姉さんの胸に飛び込んで泣いても良いのよ?」
「冗談言わんといてください二等海曹に陸曹長。まだ普通に学園生活を送ってますよ」
「そう言っといてタカを括って結局諦めた人を何人も見てるからねー心配なのよー」
「余り無理せんせんといたほうが良いで。イキリ取ったって無駄やからな」
「ご心配痛み入ります。ですが無理はしてませんよ。空士長と空准尉」
「まあまあ、そんな幼い子供に情けない大人が囲ってはいけませんよ。離れなさいな」
「すまんがそれには俺も同意見だ。幾ら自衛官でもまだ8歳の子供だからな」
「それにそんな取り囲ってトラウマでもなったらどうするのよ」
「あんたらが責任取れよな」
「ということだからさっさと離れろ」
「「「「へーい(はーい)」」」」
「すいません。いつもありがとうございます二等陸尉。
それとお騒がせしました。ありがとうございます。一等海尉に一等陸曹、三等陸曹と三等空佐」
「良いよいいよ。ところで今日はどうしたの?まだ大型連休には早いと思うけど」
「実は今日あった出来事なのですが・・・」
俺は今日の出来事を初めから話始める。実は以前から外交官が潜入捜査している情報は耳にしていたが、まさか今日判明するとは思わなかった。なので今後の事も含めて、この場にいる者に報告する
「・・・なるほどねー・・・まさか本当だったとは。因みに所属は何処か聞いた?」
「はい。『日本国外務省異世界方面ワーズナー支部青少年課捜査係所属』と申していました」
「マジかー・・・しかも青少年課とはいえある意味では外務省内の捜査局じゃないか」
「そうなのね・・・さっき上官を招集すると言ってたけど、それは誰が行くのかしら?
この場だったら三等空佐よね?」
「普通ならな。けどどうやらアレクサスの考えは違うみたいだ。お主は誰を招集する?」
「ここは親父に頼み込みます」
「『!?』」
「確かアレクサスのお父様って・・・」
「そう。確か在籍は航空自衛隊だけど、部署は自衛隊総合司令部所属で階級は確か・・・」
「俺より一つ上の二等空佐になるな」
「それがこっちに来るの?」
「まだ試してないので何とも・・・と言いたいところですが、二等陸尉。
もう既に送信のみにしているのは見え見えですよ」
「あちゃーバレちゃった『まあ良いだろう。その分時間が省けたからな』」
「『マサル二佐!お疲れ様です!』」
『おうお疲れ。休め!一応アレクサス。まだ関係は上官と部下だからな。このままで行くぞ』
「はい」
『先程の話は良いだろう。俺が上官として行こう』
「!?ありがとうございます!」
『喜ぶのは早いぞ。これから割合は半々だが、管轄争いが起きる可能性があるからな。
それが終えてからだ。良いな?』
「はい」
『よし。では指示出しをする。指示を受けた者は即座に対応。無かった者は通常運行に戻れ。
三等空佐はラローツ駐屯地トップに俺が今から30分後に到着すると連絡。
空士長と空准尉は俺は空路で来るため、ランディングゾーンの誘導。
陸曹長と一等陸曹と三等陸曹は移動時の護衛だ。移動には馬車を使うので騎馬術の優れたものが良い。
二等海曹と一等海尉はサイバー班と共に裏付け調査だ。
二等陸尉は俺とアレクサスの補佐だ。
では行け!』
「『はっ!!』」
ということで初めの数十分は慌ただしくなりそうです
次は外務省視点でお送りします。
それにそろそろ外務省が主点の章も良いなと思う自分がいる・・・




