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潜入捜査 捜査前会議

お久しぶりです。


少々構想に時間を要した事をお詫びします

潜入捜査 捜査前会議





事案発生から1週間後。あれから何日か密輸船がレーダーに引っ掛かり、拿捕や確保を続けた結果、あれから何十倍もの押収品を回収することに成功。しかもこれまた違法奴隷のおまけ付き。逮捕者も暗示魔法や自白剤、思考読み取りなどを屈指し吐き出しに成功。更に幸運な事に、違法奴隷達も治療の甲斐あり、全員元の姿に戻っていた。ただどういう訳か、元に戻った姿は全員女性は美貌や妖艶、美少女とはとても言い切れない程、思わず感嘆な姿に変貌し男性も屈強や勇敢さ、冷静と言っても差し支えない姿になっている。こちらも男子も同様である。治療が完了したところでこちらも事情聴取開始。証言や証拠を持っていたやつもいた為即座に押収、現在違法奴隷達は治療施設にて治療中である。そんな中、あれから1週間も経ったということで海保と警察の合同会議が開催された。



「これより海保と警察による合同会議を開始する。管理官」

「ああ。まず鑑識。押収した麻薬の種類は?量は?」

「はい。皆さんはモニターや映像で。まず麻薬の種類ですが、成分を分析した結果が覚醒剤やヘロインに近い成分を含んでいる事が分かりました。ただこちらは異世界バージョンになってるかどうかは分かりませんが、効力は異世界側が強力の様です。具体例を算出しようにも麻薬を人体に治験するにはいかない為推測になりますが、恐らく空中吸引でもその効果が発揮される模様です」



その結果に一同ざわつく



「かなりの効力だな…。しかし良く症状が出なかったな?体質の問題か?」

「それが何ですが、どうやら俺たち地球人には一切影響が無い様なのです。恐らくは異世界人のみ適用される効力かと」

「そんな限定的になるのか?…まあこればっかりは調査のしようが無いな…。良し分かった。量は?」

「それは我々海保の刑事課が。量はこの1週間で50デン(240トン)を超えています。この量は異世界に進出してから最大の押収量になっています。物によっては人力では持ち上がらない程の物も」

「かなりの量だな…。警察もこっちに来てから最大量だな…。しかし何故日本へ密輸を?サイバー対策課」

「はい。どうやら元々我が国は異世界のどの国よりも商品が高値で取引されています。中には非公式や改竄をして取引する輩も。それに漬け込んだのでは?高値で取引されるということは互いに利益もでる。多少被害が出ても構わない、ということでしょう」

「その辺りの取り締まりはどうなってる?」

「海では海保が。陸では我々警察が目を光らせています。実際タレコミもありますが、ほぼ100%取り締まりが出来ている現状です。その甲斐あって最近ではそういった事案はほぼ皆無に近い程です。ですが今回は」

「その目を掻い潜った奴、または集団ということか。特定は?」

「既に出来ています。こちらの怒りを買った報いを受けてもらいます」

「取引した証拠などは?」

「既にこちらにあります。書類や履歴、その際行われた内容までもこちらにある為、抜かりないです」

「ならこの会議終了後直ちに迎え。陸は我々警察が。海上関連は海保に任せる」

「お任せください」

「管理官。一つ上申を。マスコミも巻き込みませんか?」

「なぜだ?何か理由が?」

「はい。今回の件で我々法執行機関が本気を出したことを世の中に知らしめるのです。そして過激ではありますが、指示役や首謀者は即座に公開処刑するのが良いでしょう。安易なことはさせない事を公表するのです」



ここでもざわつくが、一同は肯定的だった。無論管理官も



「良いだろう。徹底的にやれ。やるのはこの会議終了後だ。良いな?」

「はい。ありがとうございます」

「では次に原因と理由は分かったが、まだ疑問点が残る。移動経路だ。今現在ではあるが、密輸ルートが100%海上からである事だ。確かに海上の方が警備が手薄になるのは分かるとして、何故なんだ?普通に考えたら出港国の沿岸警備隊や移動途中で漁船とかに発見される可能性があるのではないか?」

「どうやら深夜帯に出航している模様です。異世界では我々みたいに光力でカバーしている訳ではありませんから」

「異世界人捜査官に聞きたい。君らの国や世界では魔法やそれに準ずる機械やアーティファクトなどは無いのか?」

「はい管理官。少なくとも日本国以上に光力がが強力な国は存在しません。我々の国では日没後の入港は公的機関を除き原則禁止でございます」

「もし仮に入港が間に合わなかった場合は?」

「沿岸沖合に日の出まで待機か出港地に逆戻りのどちらかになります」

「沿岸沖合待機になった際の沿岸警備隊からの立入検査等は?」

「ありますが稀です。むしろ日本国が多すぎる印象です。勿論その方が良いと当職も考えています。ですが」

「他国ではそう簡単には行かない、か。となると巡視船数もそこまで多くないのか?」

「はい」

「お前らもか?」

「私たちもです」

「これも他の方と同意見になってしまいますが、日本国が異常な程保有しているとしか言いようがないです」

「そうなのか?」



異世界と地球のギャップに思わず頭を抱える管理官に地球職員



「はい。恐らくこの場にいる異世界職員全員が同じ発言をすると思われます」

「そうか…。という事は出港地で沿岸警備隊の目を掻い潜る事は?」

「日中でも容易なのです。夜間帯は言わずもがなですね」

「…」

「管理官?」

「これはあれだな。抗議しても無意味ということか…」

「いいえ?私ら異世界人はそう考えていません。寧ろ好機かと思います」

「その意図は?」

「今まで他国同士で口酸っぱく抗議したり場合によっては制裁とかを加えて漸く重い腰を上げた連中らが、日本国側の抗議で動かない訳がありません。何しろそれを無碍にした場合は無能のレッテルを貼られますからね」

「はぁ?」

「『はい!?』」

「『うんうん』」



地球人と異世界人で反応が割れた



「そ、そこまでなのか?」

「君らも意外と俺たち異世界人の事分かってないな〜。日本国から敵に回されるのがどれだけ屈辱か」

「?」

「はっきり言うと、経済損失だけでも年間の7割が消える程だぞ?」

「マジで!?」

「更に言えばそのうち3割が国家予算だから、それも消える訳だ。挙句にはその国に攻め入られる口実も作られる訳だ」

「は?どうしたらそうなる?確かに俺たちは基本攻撃されない限りは報復しないが…」

「確かに日本国はそうだな。けど異世界でそうなったきっかけは俺たち異世界人なんだよ」

「?…まさか!?」

「ああ。俺たちの国のみならず、異世界の国や別次元などは例外なく日本国に攻め入って全員我々が敗北を喫している。その際の和解条約に日本国からは攻め入らない条件があって、その一部に抗議を受けた場合は即座に対応する事の文言が記載されている。これを無碍にした場合は攻め入る口実とする条件が組み込まれている。だから無碍にしたら最悪はその国家が消滅する恐れすらあるんだ」

「だから好機と言ったのか…」

「そう言うこと。と言うことで管理官」

「あ、ああ…。そう言う事なら…」

「ありがとうございます」

「こ、ゴホン。気を取り直して、今現在では今回の首謀者または組織の検討はつかないのか?」

「はい。現在のところは不明。ですが気になる情報が」

「どう言った情報だ?」

「逮捕者からは出ませんでした。恐らくは末端の下っ端というのも相まって聞かされてなかったのでしょう。所謂運び屋止まりだった模様。ですが現在保護し治療してる違法奴隷の一部が情報を持っていました。持っていたと言っても檻の中で小耳に挟んだ程度だと言っていましたが。内容がこの大陸の大部分の国と別異世界、恐らく未来向けの国に関係があるという情報が。真偽はまだ判明していませんが、今のところ唯一の情報であることは間違い無いかと」

「そうか。ただ今現状でその情報を頼りに人員を割くのは時期尚早だろう。もっと情報が欲しいな。なので当分の予定はその情報も仕入れつつ新情報の収集に尽くす。これで行こう。それと次いでにちょっと強引だがあの方法も使うか」

「あの方法とは?」

「今に分かる。他に情報は?」



皆首を横に振る



「無いようだからこれにて解散。今一度情報も整理するように」

「『はい』」





・・・・・・



数日後法執行機関らはとある場所にそれぞれ配置に付いていた。マスコミも連れて(内容は秘匿なためマスコミは何も知らされずにこの場にいる)。



「すいません…。この後何が始まるのですか?」

「…」

「あ、あの…」

「…そろそろだな。マスコミの皆さんは準備は?」

「じゅ、準備?」

「生中継の準備さ」

「は、はい。一応上に許可を取っていますが?」

「ならそのまま生中継のままにしておけ。面白い映像が見れるぞ?それも各地で」

「?」

「ほら生中継開始」

「は、はい。生中継開始で」

「はい」





『では間も無く生中継の映像に切り替わる準備が整った模様です。繋いでみましょう。内容は私たちも知らされてはいませんが、何やら面白そうです。ではお願いします〜』

「はい〜。こちらは某所に来ています。目の前には警察の皆さんが鎮座しています。これから何が行われるかが楽しみで仕方ありません」

『あら?リポーターさんも知らされていませんか?』

「はい。あくまでも警察の指示に従っただけなのです。ですがもう動く模様です」

「お前らマスコミは指示があるまで待機。従わなかった場合は法律に則り逮捕する。良いな?」

「は、はい!!」

『…随分と念を押しますね〜…。では今しばらくお待ちください』






「よし。取り囲んだな?」

「ああ。無論逃げ道も塞いである。地下通路もな」

「よし。行こう。オラ!!!開けろ!!警察だ」



バタバタバタバタ!!!!



「おい!?」

「マジか!!??」

「やらかしたかあいつら!!」



「…」

「行くか?」

「突入だ!!!」

「『突入!!!』」

「なんだお前ら!!??」

「警察ですよ〜。なんで来たか分かるかな〜?」

「分かるか!!やれお前ら!!」

「『おおおお!!!!』」



血気盛んな連中に対して警察は



「『…』」

「どうする?普通に倒す?」

「好きにしろ。やり方はお前らに任せる。魔法使うなり武器を使うなり。ただ骨折させた方が黙るかもな」

「了解。やるぞ」

「『はい!』」



その後はどうなったかは想像するに容易い事である。その後は首謀者の元へ



「おや〜。お客さんか〜い?何のようだ〜い?」

「驚いたな。まさかの首謀者並びに上層部全員女とはな。これは想像もしてなかったな」

「そりゃど〜も。けど私らはそこら辺にいる女とは違って力あるし貧弱でもない。非力と侮ってると痛い目に遭うよ?それが例えお巡りさんでもね」

「そうかい?ではお手並み拝見と行こうか…」

「その余裕を壊してやるよ〜。行け!」

「ラジャ〜!!」



とは言ったものの。結局は本職の方々には勝てない訳で。暫く防戦一方に徹して敵を煽っていたが、とある段階で敵は疲弊し始めたところをつけ入り、敵はなすすべなく捕縛された。



「はあ…。もうちょっと楽に確保させてくれなかったのかね?」

「ナメるな!私らはここで終わる組織ではない!!また復帰してやる!!」

「?どうした〜?あれだけ間延びしてた口調はどこに行ったのかな〜?」

「く、クソ…」

「まあいいや。それとお前らに明日はないから」

「『?』」

「は?どういうことだ?」

「それはこれから分かる。マスコミを呼べ」

「何〜?マスコミ〜?なぜ呼んだ?」

「これからの映像を記録してもらう為だ」



その後マスコミを呼んでもらい、その場で尋問が始まる。



「ここから先を生中継してくれ」

「はい」

「これは分かるな?」

「何だそれ?」

「まあ惚けるのも無理ないな。私は認めない奴だというのは知っているしな。けど今回は認めせざるおえないだろうな。簡単な話が、お前らを捕縛している間にこの中を捜索した。結果がまあ色々出てきたぞ?取引履歴にブツ。書面や金など諸々。当然これもマスコミに公表している最中なんだが、これでも認めないだろ?」

「フッ。分かってるじゃないか。それで?私らをどうするんだ?私に魔法は効かないぞ?」

「魔法?そんな柔な物を使う訳がないだろ?それだと自白しても俺らの気が収まらない」

「?じゃあ何するんだ?」

「これを使うんだ。鑑識」

「はいこれ。丁度調合終わったよ」

「どうも」

「注射器?中に液体が入ってるな?それを刺してどうするんだ?」

「それは刺してみてからのお楽しみだ。さてと。気の強い首謀者からやってみようか。やれ」

「はいよ」



ブスっ!!



「首筋に刺して、私がどうなると思ったか?そんなの私には、わたし、わ、た、し、う、うわぁぁぁぁぁ!!??」

「『!!??』」

「流石に効果があるな?」



急に首謀者が悶え始めた。その光景に首謀者一味は顔を青くし始める。



「お、お前…。な、何しやがった…」

「流石に生命力と精神力は強いな。まあそれくらいないと自白も取れなさそうだしな。最も無くても必要ないが」

「な、無いなら、ひ、ひつ、必要、な、い、だ、ろ」

「いいや?必要があるからこの場では殺してないだろ」

「こ、ろ、す、?こ、れ、ま、さか」

「そういう事だ。自白しなければ途轍も無い苦しみで死ぬことになる。しかもそう簡単には死なせてくれない優れ物だ。これをお前らの部下にも投与する。そしたらどうなるかな〜?」



更に顔が青くなった。その顔を拝みつつ、他の誰かに投与しようと注射器を手に持ったところ、首謀者一味が自白し始めた。



「『この組織で麻薬取引しようとしてたのは本当です!!』」

「お、お、ま、え、ら…!!!」

「あらら〜。裏切りだね〜。他には?取引相手は?」

「え、えっと、詳しいことは…」

「なら分かる範囲内で良い。読み方が分からなければこの紙に書け」



紙を渡したら首謀者たちは即座に書き始める。それも一心不乱に。まるで自分はああなりたくないと言ってるかの如く



「これで全部か?」

「『(コクコク)』」

「良かったな首謀者さんよ。簡単に裏切ったぞ?」

「ゆ、る、さ…」

「言葉を発するのすら危ういか。まあ知ったこっちゃないし別に良いや。さて、お前らに最後のチャンスをやる。この組織のNo.1はこの苦しんでいる奴のは分かってるが、No.2と3はどいつだ?」

「『…』」

「このまま黙りこく場合は全員に投与…」



即座に2人に指が指される



「あ、おい…」

「お前たち…」

「どうもありがとう。それ以外は別場所に移送する。行け」

「『はいよ』」

「お前らはこれからの心配をしておけ」





・・・・・




麻薬取引組織の撲滅に徹している頃、別エリアでは会合が始まろうとしている。そう、例の密輸組織の出港地の国に抗議の通達である。その国の国王は、優雅なひと時を家族及び義家族達と共に楽しんでいた。そんな中、メイドが国王に話しかける。



「国王とある使者が面会に参られています」

「?今日面談や打ち合わせ、書類等はなかった筈だが?君たちもそうだよな?婿殿たちよ?」

「はい。特段私たちにもそのような話は…。君らは?」

「俺もだな?多分この様子だと臣下達も知らないようだな?」

「はい。こちらに参る前に宰相や大臣達にもお伝えしましたが、どなたも心当たりが無いとのことです」

「我が息子の王太子はどうだ?」

「自分にも来ていませんね…。妻達も…」



首を横に振る



「まあ、とりあえず急遽なんだな。急を要するのか?」

「はい。しかも使者達は国王及び王太子と治安関連の大臣の面会を希望でして」

「達という事は一人では無いのだな。何人なのだ?」

「2人です」

「どこの使者なのだ?」

「それが…」



メイドは口が吃ってしまう。普段吃ることがないことに違和感を覚え、視線を送ってしまう。



「あ、あの…、申し訳ございません…」

「いやいい。それで誰なんだ?一回深呼吸しな」

「は、はい。スウ…ハァ…スウ…ハァ…。ありがとうございます」

「それで?その使者って?」

「それが…。日本国の使者の方々なのです」

「『…』」

「ご、ごめん。もう一回言ってもらえるか?どなたが面会を?」

「日本国使者の方々です」



そのメイドが発した言葉に一同言葉を失ってしまう。だが固まったままではいかない。いち早く立ち直ったのは王太子である。



「はぁ…。なんで日本国の使者が来る…。父上。立ち直ってください。この場合立場的にも優先順位的にも彼ら日本国の使者が上ですよ」

「…」

「父上!!」

「は!ああ。そうだな…。この優雅なひとときは何処に?とりあえずその使者達を応接間に案内を。それとご指名の方々も呼べ」

「『はい!』」

「君たちも来るか?婿殿達よ」

「え?宜しいのでしょうか?」

「俺らはその指名に入っていないが?」

「恐らくは立ち会った方が身の為だと予想する。今後の事も含めてな」

「ということは妻、姫様達も?」

「その方が良いだろ。子供達はメイドに預けてくれ」

「分かりました」

「すまんが頼む」

「承りました。こちらへ」



国王達は急いで身支度をし応接間へ。子供達はメイド達に預け同じように応接間へ。応接間の扉を開くと使者たちが起立し待ち構えていた。



「この度は急な面会にも関わらず、ご対応頂きありがとうございます。そしてこのような無礼をお許しください」

「いや良い。本当に急だったのだろう。仕方ないさ。座ってくれ」

「失礼します」

「さて。会話の前に飲み物は如何かな?恐らくそう短くはないだろ」

「そうですね。そしたらお言葉に甘えまして、自分は緑茶を」

「俺はコーヒーを」

「私は紅茶でお願いします」

「緑茶とコーヒーと紅茶ですね。少々お待ちください」



メイドが給仕係に伝える。暫く経つと飲み物が来た。



「お待たせしました。緑茶とコーヒーと紅茶でございます。コーヒーは牛乳と砂糖を。紅茶は牛乳でお好みに調整をお願いします」

「ありがとうございます」

「さて。まずは自己紹介を。私がこの国の王である。右に居るのが」

「国王の息子の王太子です。父上の左にいる2人が現在は婿入りしている」

「「私たち双子の姫です。後ろにいるのが私たちの」」

「『家族です。国王からしたら義家族になります』」

「それとその左右にいるのが」

「右が私宰相更に右に居るのが書記担当」

「左が治安関連の担当する私の位置という事です。よろしくお願いします」

「ご丁寧にありがとうございます。次は私たちですね。私たちは日本国国家警察所属。警備隊と考えて頂いて構いません」

「警備隊ですか?ですが日本国に警備隊は…」

「国家警備隊でしょうか?あちらでしたら本質は憲兵の役割にございます」

「なるほど。だから正式名称の国家警察、通称警備隊ということですね」

「左様でございます。では本題に入りましょう。まずはこちらの資料をご覧ください。複製もございますので、他の方々はこちらを」



警察から渡された資料をめくり、軽く読み漁る。だが一同は表情を変えずにポーカーフェイスのままではいられなかった。読めば読む程日本国法執行機関の用意周到の情報、根拠、証拠集めに度肝うを抜かれていたのだ。だがそれだけではなかった。



「なあ、色々読み漁った後で申し訳ない。これはどういうことだ?この資料には、その密輸船が航海した経路が載って居るのだが、どうしてこの国の港が出港地となっている?根拠は?」

「こちらをご覧ください」



そうして空中投影に目を移す。



「これはその船の乗組員ら(被疑者ら)が語った証言です」



その映像が流れる。



「次にその証言と共に乗組員らから思考回路を魔法で読み取った際の風景映像がこちらです」



それも映像で流れる。その途中から国王達の顔色が段々と悪くなってくる



「そして最後に証人達の証言です。ただし…」

「どうした?」

「この映像を見せるのは少々憚れます。ですがどうしても見たいのであれば、ご覧になられても構いませんが、どうされますか?」



その確認をする事自体が珍しい事なのに、こうして打診するあたり怪訝になってしまう。



「何かあるのか?その映像を見る事によって何かが変わるのか?」

「いえ。そういう訳ではありません。ですが」

「何だ?」

「この国の基礎を揺らぎかねない映像というのを先にお伝えします。それでも見ますか?」

「『…』」



その言葉に一同黙りこく。だがその思考は一瞬で解放した。



「それでも良い。頼む」

「分かりました。ではこちらを」



その映像を流すや否や、一同は一気に顔色が真っ青になった。それもそうだ。この映像には違法奴隷の治療の際、治療前と治療後の映像だけでなく、事情聴取によりどうして違法奴隷になった経緯や密輸組織の話をしていたのだ。その映像が終わるや否や、女性達は崩れ落ち、メイド達に介抱されていた。だがそのメイド達も無事では無かった。そのメイド達も吐き気や体調不良を訴えていたのだ。その介抱に執事達も出動する始末。映像を見終わった後に言葉を発したのは婿の一人だった。



「まさかこのような事まで、この違法奴隷達はどこから…」

「違法奴隷に関してはこの国には恐らく関係無いかと。ですが流通ルートとしては関わりありですね。実際にこのように申しているので」

「しかもこの方達って、隣国の令嬢達じゃないですか?行方不明になったあの」

「あ、確かに。まさか捕まってたとは…。今この方達は?」

「当国で治療中です。殆ど完治してるのでもうすぐで退院出来るでしょう」

「それは何より。これは私国王自ら隣国皇帝に行かなければな…」

「父上…。ですが父上が悪い訳では…」

「知ってる。だが知らなかったとはいえこの様な犯罪を野放しにしてたのは私自身が許せないのだ。申し訳ないが警察官さん。数日だけで良いから日数を頂けないだろうか?生存確認や謝罪を含め隣国の皇帝に私同伴で来てほしい」

「良いでしょう。その方が安心なされるでしょう。こちらも上に掛け合います。恐らく何事もなく通るでしょう」

「ありがとうございます。しかしこの違法奴隷達も中々の面子だな。エンシェントやエルダー、レジェンダやディザスタ、挙句にはハイが付く種族ばかりだな…。逆にどうやったらこんな連中を捕らえられるんだ?甚だ疑問だな…」

「もしかして密輸者も強い集団なのでしょうか?」



その疑問に一同考え込むがその答えは至極簡単である。



「いや、そういう訳ではありません。どうやら騙されたとか被害にあったとからしいです」

「というと?」

「例えば服とかで良いのがあると試着してみたいのは普通の事だと思います。そこに隷属を付与してあたかも『お似合いです』とかで誘い込んで、そのまま捕える、という手段らしいです。他には手助けのフリして善意を踏み躙ったりとかも」

「ヒデェな。その連中らは何処だ?」

「ご安心を。先に私らがとある機関に応援要請して粛清して貰いましたので」

「ありがたいが、どんな機関なんだ?」

「日本国家警備隊。つまり日本の憲兵に頼み込んだ訳です」

「『オゥ…』」



まさかの異世界最強軍隊に頼み込めるとは。流石日本国を思った一同である。だがここでも疑問点が生まれる



「けどどうして貴方方警察が取り締まりをしなかったのですか?」

「簡単です。管轄の問題です」

「管轄?あれか?越えると権力が効かないというあれ?」

「ざっくり言えばその通りです。国を越えて他国や異世界にも越境出来る日本の機関は2つですが実質1つのみなのです。我々警察にそのような権限は持っていません。我々は国内のみ適用なのです」

「そうなのですね。因みにもう一つは?」

「海上保安庁、沿岸警備隊です。あちらは海の上なら護衛も逮捕も出来ますが、陸ではできないが故、実質一つのみなのです」

「そういう事ですか」



そしてある程度の時間が経った時、遂にその時が来る。



「国王。この後ご覧になる映像で最後とさせて頂きます」

「ほう?その映像とは?」

「今移し替えます」



そしてその映像に映り変わる。そう、その映像とは



「これ、この映像って?」

「はい我が国のマスコミメディアの生中継でございます」

「これが…。いつみても素晴らしいな。それで?今映ってる捜査官で良いのか?この方達が?」

「日本国家警察ですね」

「ということはその正面で無惨な姿になっているのは?」

「これに関係している被疑者達になりますね。但し女性連中とは想定外でしたが」

「そうなのか?」

「因みにここに映ってるのは1組だけでして、チャンネルを変えると別の組織が映ります。組織自体は違いますが内容は一緒です」

「そうか。けど取り敢えずはこのままでいいや。しかしこれまた君らの尋問力も凄まじいな」

「感謝します。ではこのままご覧のままでお願いします」



そのまま生中継を見てたが最後の映像が想像を絶した。その映像とは



「まさか生中継中に警察公認で公開処刑を実行するとは…。しかも映像に収めろというお墨付きで。日本の警察も過激にやりますね」

「ですがこうでもしないと抑止力としての意味合いはなされないでしょう。因みに同情とかの感情は?」

「違法奴隷にしてやりやがった奴らに同情も慈悲もない。そこは安心してくれ」

「それは安心しました。では最後に答えをお聞きしても?」

「我々の国の沿岸警備隊が仕事をなされずにこの様な結果になったことだろ?勿論申し訳なかった。いつかは増強しようしようと思って後手に回ったのが不味かった。反省している。この詫びは必ず公式の場にて謝罪する」

「その言葉を聞けて安心しました。ではこちらからも。上から指示が来まして、このまま滞在を許可するとの事です」

「分かりました。執事にメイドたち。この方達に最高級のおもてなしを」

「『はい』」



最高級の単語を聞き思わず返してしまう警察官達



「い、いいえ!そこまでの事をしなくても…」

「良いのだ。これは公式に私達の国から謝罪の意味合いを込めている。これは受け取ってほしい」

「そういう事なら…」






という事である意味警察官達は最高級のおもてなしに恐縮することになろうとは…。この時は思ってもみなかっただろう。

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