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後日談(裏側)

後日談(裏側)





アーティストグループが成功を収めたその裏側では、結果報告及び警護依頼をされた側が警察だったというのもあり、断りなどの連絡の対応に追われていた。それがひと段落ついた後にもう一つの任務が残されていた。それが



「それで?何か分かったか?」

「はい。あの後足取りと動き諸々を確認追跡した結果が、やはり複数の警察署の上部階級に入る署員の不正が判明しました」

「やはりか。監察室に連絡は?」

「はい。こちらは別署員が連絡し、現在指示を仰いでいます。ただ当事者の階級が上な事もあって、そう簡単に移行できないのがあるそうです。ですがそこまで時間は掛けさせないそうなので、暫くしたら指示が来ると思います」

「そうかい。それで?どこの署員なんだ?」

「今回は同隣県の中小規模警察署職員が関与しているそうです。今隣のモニターで出しますが、赤丸が関与しています。とりあえずはこの署に関係者は居ないみたいです。そこは幸いな点ですね」

「ということはあくまでも隣県や隣市からの引継ぎで来ただけか」

「はい。ここから一番近く、関与している署は西の隣市で規模は小の大規模ですね」

「関与している人数と階級は?」

「関与している人数のみで良いですか?でしたら20人位で下は巡査部長、上は警視正ですね」

「け、警視正だと?何故警視正が…。警視正ということは何処かの警察署長か?」

「はい。エリアはあのアーティストグループが初めにこの国に入国した場所を管轄する大規模警察署の署長です」



そう。あのアーティストグループの警護に何故が警察に依頼が入り受注したことで不審を抱き、調査していたのだ。

最も調査しているのは現在会話しているこの署だけではないのだが。



「大規模警察署署長も関与してるとか、何考えてるんだよ全く…。関与内容は?」

「内容は最悪なことにその依頼を受注した張本人かつ我々を欺く為の書類などを偽造、挙句には金銭も援助したという汚職のオンパレードですよ」

「あらら。それはそれは最悪なこって。勿論それは監察部に報告を?」

「済ませてあります。当然証拠などをかき集めて提出済みです。実は警部が来る前に監察部から返答があって『何故あの大規模警察署は何も報告が挙がってこないんだ!?』と大激怒してました。その激怒に調査した我々と他署は困惑してました」

「はっはっ。だろうな。因みに他署はどのような調査をしたんだ?」

「意見交換した時は我々と同じような調査をしたのですが、関与している職員のいる署はその署員を呼び出して強制聴取してました。一応途中結果にはなりますが、一部を除き全員それを認めています」

「一部?誰だ?」

「主に警視正と警視、それと巡査部長ですね。内容は『それを我々がした証拠は?』『我々は無関与だ』というのが上の階級。下の階級は『確かにしたがあくまでも事務的処理をしただけで私は当てはまらない』といった事です」

「図々しいな。あくまでもシラ切るつもりか」

「はい。それとその返答にとある警察署と別機関が激怒しています」

「は?何処?」

「まずその大規模警察署をエリアに収める県警本部とその公安委員会。そして別機関が2つありまして、1つ目が防衛省、つまり自衛隊の警備隊と海上保安庁が」

「はぁ!?何で!?いや、自衛隊の方は何となく分かる。恐らくその管轄する都道府県が不正を調査したのだろう」

「はい。この件に警備隊は絡んでいません。あくまでも調査のみです」

「だがそこで何故海保が?関係ないだろ?」

「それが何ですが、最後あのアーティストが開催した都市が海県でしかもその都市を海路で出国したのです。そこで最後の最後で海保が警護にあたったそうなんです」

「マジかよ…」

「それとあまり知られてないのですが、日本本土では入出国管理って法務省管轄なのですが、異世界にはその機関はないので各分野で分けているのはご存知ですよね?」

「ああ。陸路は自衛隊の警備隊。海路は海上保安庁が。あまりないが空路は警察が管理してたな………。まさか?」

「はい。そのまさかです。警察からの引継ぎもあったのですが、海上にて今回の犯罪集団とは関係ない領域に海賊が侵入しまして、その襲撃をあのアーティストグループは運悪く当たってしまったのと対処を海保がしたので、そこからどういう経緯だ?と海保から鬼電ならぬ鬼通信がありまして。そこからです」

「………」



警部補からの口からまさかの単語に警部は口をあんぐりした。その光景を他署員は思わず吹き出しそうになった。無論見逃しはしなかったが。



「ということは当事者は3つの機関から敵に回したということか?」

「そうなりますね。お陰でその出国した都市を管轄する県警本部は海保からのクレームを受け、それをその当事者がいる県警本部にクレームの嵐が入ったそうです。これは先ほどの通信で監察官がいったセリフです」

「うわぁ〜…。監察官の皆さん。ご愁傷様だな………。それで?今後の流れは?」

「まだ決定してませんが、ぶっつけ本番みたいな感じにはなりますが、一斉に集合して当事者を袋叩きにしようか。というのが県警本部からの達しです」

「まあ、3つの法執行機関が絡んでいる以上は仕方ないな。一応俺からはもう少し情報を集めてくれ。俺も課長と相談してみる。流石に全員は連れて行けないが、お前は来るか?」

「検討しますが、日程によっては行けないことをご承知できればと思います」

「それくらいは分かってる」



こうして袋叩き前の前座を少しずつ進める各方面。この先どう叩くのかは神のぞ知る世界。





・・・・・・





1ヶ月後



来たる日が迫ってきた。情報をとにかく集めまくった結果が少々伸びてしまったが、遂に袋叩きする日が決まったのだ。そう。とある日に今回指揮を取る事になったあの大規模警察署のエリアに収める県警本部の監察部が報告したのだ。



「どうだ?かなり集まったか?」

「はい。かなり集まりました。それで?警部が来たという事はそろそろ時間ですか?」

「ああ。会場は知っているよな?」

「はい。あの県警本部ですね」

「ああ。車用意してある。行こうか」

「はい」



県警本部駐車場入り口



「どうも、お疲れ様です」

「はいお疲れ様です。一応念の為警察手帳かIDを」

「はいこちらです。小規模警察署から来ました。私は警部補ですが後ろは警部です。私の横も警部です」

「これだ」

「俺も」

「はい。ありがとうございます。要件は伺っていますのでこのままお通りください。それと他県からのご来訪なのでこの道を奥へ進んだところに駐車をお願いします。できる限り奥からお願いします」

「ありがとうございます」

「しかし流石県警本部だけあって駐車場も建物も大きいですね」

「まあな。それにここの県警本部は国境付近の都市も管轄するだけあって署員の数も多い。流石に俺たちの県警本部程ではないが、それでも重要都市を管轄するだけあって警備は重要視してるし専門分野でもある。そこは見習うべきだろう」

「そうですね。それで?ここが空いてますのでここに止めましょうか」

「そうだな。一応既に自衛隊警備隊車両と海上保安庁の車両もあるな。意外と俺らって後ろの方か?」

「どうでしょうか?取り敢えず中に入りましょうか」

「そうだなって思ったらお迎えが来たぞ」

「あ、本当だ。お疲れ様です」

「はいお疲れ様。話は聞いている。そちらも例の不正に関する情報の会議参加だろ?」

「はい。その通りです」

「ではこちらです。ああ失礼。今回は俺が皆の案内役になる者だ。階級は警部補。本来は目上の方には敬語で話すのは分かっているが、どうも喋りづらくってな。申し訳ない」

「いや、大丈夫ですよ。誰だって向き不向きがありますが故、気にしませんので」

「ありがとう。何か質問はあるかい?」

「自分たちって結構後ろの方ですか?」

「後ろではあるがまだ時間ではないから大丈夫だ」

「そうですか。因みに今回の参加人数はいくら位ですか?」

「参加人数自体は100人ちょっとくらいだ。そこにプラスで当事者も参加予定なんだが、実は既に当事者であるアホどもは身柄拘束してある」

「「「え?」」」



なんと県警本部所属の警部補から爆弾発言が投下。目が点になる3人。



「え?既に拘束してるのですか?逮捕ではありませんよね?」

「ああ。あくまでも拘束なだけだ。これから証拠を会議で報告するだろうが、その会議には当事者の代表者と上位階級の2人のみを参加させ、残りは取調室か留置所に留置してある。そしてそれをテレビ通話で介して会議する感じだ」

「留置所に拘留ってことは逃走か証拠隠滅の恐れがあるって事ですか?」

「まあな。下位階級はまだしも上位階級は変な話本土では隠蔽の十八番だろ?けどここは異世界。阻止するのも容易いって事だ」

「けど拘留って事は、まさか?」

「未遂だがな。だがその結果がここの本部長がお怒りでな。今鬼の形相で会議室でお待ちだ」

「うわぁ〜…。因みにここの本部長の階級って警視長です?」

「ああ。まあ本土でもそうだが、異世界では更に階級が警視監なのは珍しい分類だからな。俺が知る限りこの星で警視監は5人しか知らない。まあこの星に警察庁が無いというのもあるのだろうが」

「そう言えば方面本部のある星に警察庁支部があるのでしたね」

「そういうこった。だからこの星では最高階級になるな。んでその最高階級がお怒りって事はよっぽどのことがあるのだろうな」

「他人事みたいに言わないでください。因みに他には?」

「警視長筆頭に警視正も何人も参加だし、多方面の警視クラスも何人も参加予定だ」

「警察はそんな感じなのですね。他機関は?」

「自衛隊は二佐や三佐が自衛隊警備隊が参加する最高階級。これが4人程。海保は一等海上保安監・乙と二等海上保安監が筆頭に3人が参加だ」



錚々たるメンバーにちょっと口を閉ざす3人



「マジですか?その階級って凄い上の階級ですよね?」

「ああ。自衛隊の二佐は警察の警視、三佐は警部くらいだからこっちはまだしも、海上保安庁から一等海上保安監の乙が来るとは思わなかったな。これ警察で言うところの警視長でその下の二等海上保安監も警視正クラスだからな。こればっかりは本部長はまだしも、それ以下の階級は全員驚いたな」

「ですが何でその階級が参加なんです?」

「恐らく日本法執行機関の不祥事だから参加なんじゃないか?」

「そう言うものですかね?まあそれはそれとしてそろそろ上に行きましょうか」

「だな。案内する。因みに俺も参加予定だ」

「それは安心ですね」



3人は会議室へ向かう。そして重厚感のあるドアを開けた後、割り振られた席へ。そして暫く経った後会議が始まった。ただし雰囲気は何故か ”暑い”。 どういう意味かは直ぐに分かる。ヒントは感情が昂るとどうなるか。



「皆さん。おはようございます。暑苦しい雰囲気ですが一旦冷静に。お気持ちは分かります。何でしたら俺も同じ気持ちです。この部屋に入る前の説明でも聞いた通り、当事者は3人は手錠のままこの部屋に。残りは留置所の中でテレビ通話になります。では早速ではありますが、まずはこの会場の長である本部長のご挨拶の後始めます。ではお願いします」

「はい。ありがとう。この度はお集まり頂き感謝する。そして警察の不祥事により多大な迷惑を掛けた事をこの場を借りて謝罪する。申し訳ない。では各自、報告をお願いする。順番は私の席の左からお願いしよう。報告前に軽く所属名と名前を頼む」



そこから順番に報告を重ねた。不正の経緯や内容、罪状などを報告しあった。その証拠の数々に始め余裕を見せた当事者らは段々表情を青くさせていた。これだけの証拠の数々を覆すほどの根拠と証拠がなかったのである。

特に怒りを見せたのは各機関の上位階級達だ。一切手加減しない雰囲気を醸し出し、寧ろ殺気立っている。その殺気に画面越しの当事者は慄き、2〜3人は涙を流していた。だがその涙を見せても緩めなかった。それ程お怒りなのである。まあ当然と言えば当然である。


そしてこれ以上言い逃れが出来ないと察したのか、当事者達は全員その罪を認めた。勿論違法捜査や圧に屈した訳ではない。逃れるほどの力が無かっただけである。その後当事者は会議室にいた連中も含め全員留置所送りとなった。

そしてそれと同時に公安委員会の代理として警視長が命令を下す。



「この時点を以って当事者全員は公務員及び権力権を剥奪。それと警察官としての職務も永久抹消。近くにいる者は当事者の警察手帳とIDを剥奪、ステータスも書き換えろ。今後の処罰は追って連絡する。本来なら異世界にある裁判所にて裁きを下すが、異世界では裁判所はない。その代わりが我々法執行機関が代理を務める。一旦本土に書式を送り裁判を行うが、異世界が故我々に一任される可能性が極めて高い事を念頭に入れろ。当事者からの質問は一切受け付けない。連れて行け」

「『了解』」



当事者が連行された後、室内はお怒りモードから冷静モードに変わっていた。



「今日は皆の協力によって解決出来た事を感謝する。この後は時間がある方のみ下階にて食事を用意した。そこで食事後に各自解散とする。親睦を深めても構わない。無い方はそのまま他職員が地上までご案内しよう。何か質問はあるか?」

「あいつらはどうなる?極刑とまでは言わないがそれ相応の処罰を下さないと反省しないぞ?」

「ここまでの事をやらかしたのだ。大小はあれど社会復帰は茨の道だろう。そこまで関与しなかった者は社会奉仕活動の後懲戒処分。恐らく一番軽いので停職だろう。だが対象者はたった2人だがな。それ以外は最低でも懲戒免職。そして首謀者とそれに準ずる奴は放逐の後本土に戻ることは許さず、この異世界にて犯罪奴隷の烙印を押すことになる。その期間は終身とする事を考えてる」

「何とも異世界らしい処罰だな。だがそれが良い。良い見せつけにもなるしな」





その後本土にある高等裁判所は控訴を退ける判決を出し、同じく本土の地方裁判所はその判決を異世界の法執行機関に伝達後処罰内容の決定権を一任。その報告を受けた異世界の日本警察は即座に処罰を実行。首謀者とその取り巻きまたは上位階級の合計7人は全員前科を抱え放逐。その後異世界の国家機関に犯罪奴隷の烙印を押された。当然期間は永久である。尚、本土への帰還は許されなかった。更に警察は個々の遺伝子存続を許可しなかった為、男は去勢、女性は避妊手術が実行された。

残りの面々の内2人以外は全員刑務所にて服役。当然前科を抱え在野に降った。生涯公務員になる事は出来ない。但し日本国に帰還は許された。尚去勢も対象外となった。

最後の2人は停職1年科し警察官としての復帰も許可された。但し前科ではなく前歴を生涯抱え尚且つ昇進と昇給が一切許さない処罰が下された。


余談だが、この時点では異世界人が異世界限定の日本の法執行機関に就職を既に果たしており、今回の事案も既に耳に入っていた。その処罰内容に異世界人はより一層気を引き締める光景を目にしていた。純日本人は「当然の結果だろう」と逆に直ぐに気持ちを切り替えていた。

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