表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
255/261

後日談

後日談





とある放送



『先日、ファンクラブの一部が過激化し、海外である日本国内で行われたアーティストグループのコンサートで爆破及び毒殺未遂から丸1年が経ちました。1年経ったファンクラブ本部はあれから徐々に、復帰の兆しを見せています。当時、ファンクラブ本部は対応に追われ、日本国憲兵からの強制事情聴取や署へ連行、家宅捜索などが行われ、私達記者もその経緯など知りたい情報をかき集めるべく奔走していました。当時こそ大バッシングを受けたファンクラブですが、誠意のある対応、私達記者にもできる限りの情報提供、そしてアーティストの方々や関係各所に謝罪行脚の日々でしたが、現在ではその喧騒してた雰囲気とは打って変わって平穏な日常を取り戻しています』





ファンクラブ本部



ファンクラブ本部内は、現在そのドキュメンタリーを視聴していた。その雰囲気は重苦しいが、同時に二度とこのようなことがあってならないという覚悟の雰囲気にもなっていた。



「よしありがとう。一旦放送を止めてくれ。さて君たち。この放送の通り、先日あの騒動から1年が経った。その時は君たちもその場にいた事はまだ記憶に残っているだろう。その時いなかった新たな会員の皆に改めてこの場を借りて説明しよう。俺自身はあまり認識なかったが、当時このファンクラブは2つのグループが存在した。一つ目は今存在しているこのグループ。もう一つはファンクラブNo.3からなるグループ。これが過激グループ。今回騒動になった原因がその過激グループなんだ。俺はあまり知らなかったが、奴らの理念が、”とにかく歴史に残るファンである事。それを実現するなら手段は問わん” という訳分からん理念だったらしい。その結果が日本国に危険物を密輸するという暴挙に出て、通行パスを不正に入手し最悪の手土産を献上するという事をしたそうだ。まあ最も日本国の法執行機関は入国する段階からその尻尾を掴み、敢えて野放しにしながら背後から少しずつ確保するというこっちはこっちで何とも言えない事をしていたから何とも言えんが、とにかくそういったことがあって我々ファンクラブに操作の手が入ったのが事の経緯だ。俺たちはその対応に追われ、謝罪や聴取を受けつつも、アーティストの方々の寛大な措置により現在でも活動を続けられている。今日はその気持ちを忘れない為に気持ちを改め、改善やまたこのような事態に陥らないようにする会議をこれから行おうと思う。皆、すまんが付いて来てくれるか?」

「『はい!!!我らはファンクラブの一味。どこでも付いていきます!!』」





ファンクラブがこれからに関して会議を行おうとしている中、放送は続く。



『その後アーティストグループは日本国での開催を大成功に収め、その後海外各地にてライブを開催。ファンを獲得し現在では所属事務所内トップクラスを誇るファンの数と売り上げ、そして放送局や制作会社から声が掛かったり協力を申し出る程の引っ張りだこになりました。さて、このドキュメンタリーはここで終了です。この後放送される番組では、なぜアーティストグループは日本で開催出来たのか。何故他のグループは惨敗したのかなどを主観ながら分析したいと思います』



とある会社ではその番組の放送を待ち望んでいた。



「先輩。課長。間も無く放送が始まります」

「そうか。課長はどう見ますか?私は日本特有の難しさがあると思います」

「ほう。というと?」

「基本放送局というのはその情報を管理すべく、ほとんどが国営です。それと他国も一緒ですが、メディア媒体の数が少ないというのもあると思います」

「そうか。それは俺も同じだ。媒体数が少ないからこそその放送枠を勝ち取り、如何にその情報を濃密に発信していくのが大事だ。それがイメージを付けやすかったりするからな。だが日本はその数が多いという事らしいが、どれくらいなんだろうか?」

「どうなんでしょうか?まあだからこそ媒体数が多すぎて埋もれてしまう、その結果が中々広まらないとかですかね」

「さあな。因みに他の放送局や会社もこのドキュメンタリーを見るのか?」

「恐らくご覧になるでしょう。しかも今回は隣国のみならず周辺国もこの放送をご覧になるかと。何しろこのドキュメンタリーの協力欄にあの異世界での日本企業の会社があったのです。恐らくかなり信憑性が高いと思われます」

「だろうな。今までは根拠とかが乏しく信憑性もなかったが、今回はかなりの有益な情報を得られるだろう」





『皆さん。お待たせしました。ドキュメンタリーの時間となりました。今回の番組内容は、何故日本では私達の情報が中々放送されないのか、新規開拓が難しいのか、戦略はあるのかなどが内容となっています。早速ではありますが、初めにゲストをお呼びします。こちらが日本国で放送局とのやりとりしている企業の企画担当している方です。よろしくお願いします』

『はい。よろしくお願いします』

『さて、まず何故去年日本で行われたあのアーティストグループが日本のメディアの目に留まり、一時的ではありますが日本で放送されました。経緯はこのようになっています』



数分後



『以上が経緯になっています。ここでゲストの方にお聞きします。何故日本のメディアの目に留まったのですか?』

『実は何ですが、まず前提がそもそも自体が間違っています。実はあの時あの場所に日本のメディアはいなかったのです』

『え?』

『は?』

『うん?』

『えっと、あの、どういう事ですか?詳しく説明をお願いします』

『はい。まずあの場にいなかった理由は、言葉選ばずに言いますとそのアーティストグループに興味はない、という事なのです。せいぜいあの時あのグループが被害にあったファン集団の騒動に小規模のメディアが来たくらいです』

『………』

『え、じゃあ何故メディア媒体に上がってるのですか?説明つかなくないですか?』

『はい。ですので説明しますと、日本のメディアは放送を介したメディア単体だけではない、という事です』

『単体ではない?』

『え?ゲストさん?メディアは放送局だけではない、という事ですか?』

『そういう事です。そしてこの場合のメディア媒体は我々の国では普及しているのですが、インターネットタイプのメディア媒体になります。インターネットという単語は分かりますよね?』

『ああはい。分かります。?ということはあの放送はそのインターネットのメディア媒体になる、という事ですか?』

『はい。そうなります』



ここで番組出演者のみならず、企画したスタッフやメディア、会社や放送局、挙句には視聴者までもが絶句した。



『あの?私番組進行ではありませんが?』

『あ、ああ、申し訳ないです。ちょっと番組の趣旨から外れますが、日本のメディアって一体どれくらいあるのでしょうか?』

『放送局だけですか?それとも別媒体も含めて?』

『別媒体を含めてお願いします』

『でしたら最低でも数百はありますね』

『『す、数百!?』』

「『はぁ!!??』」

『おぅ…。その驚きぶりというか、逆に私が驚きました。というかスタッフのみならずこの番組視聴者の皆さんの声すら聞こえた気がします…』

『あ、ああ、また申し訳ないです。そんなに媒体があるのですか?』

『はい。勿論国営もありますが、正直名前だけみたいなところがありますし、正直何も面白味もないのでほとんどの方が見てないですね。それと数が数だけに特化型がありますね』

『特化型ですか?』

『はい。例えばこのようなドキュメンタリー特化型や番組初めにあった音楽特化型、面白系のバラエティー特化型もありますね。更に極端な話が個人でも媒体になれるのです』

『え!?個人でも!?』

『はい。今私が持っている端末1台だけで番組のような事が出来ますよ。流石にクオリティは数段落ちますが個人の場合はインターネット経由で番組制作が可能です』

『はぇ〜。そんなのが可能ですか?』

『はい。可能です。ですので話の脱線を元に戻すと、あの場に居たのはその個人での媒体。企業や放送局の媒体は居なかったのです。その個人の媒体で拾えてもらって他の媒体にも見てもらえて、という呼水みたいな事なのです』

『そうなのですね〜。何となく分かってきましたよ。けどそれでしたらいつかは放送局のメディアにも目が留まるのでは?』

『それがそこまでは難しいのです。確かに個人媒体では拡散は凄まじいです。個人媒体が放送局メディアにまで流れたのもありますが、基本個人媒体って一過性、つまり一時的なものなのです。その証拠に直ぐに廃れたでは語弊がありますが、直ぐに話題が無くなりましたよね?つまりはそういう事なのです。個人媒体は流行りは敏感だが移りも早い。なので定着が難しい。そういう事なのです。それと年齢層も関係してますね』

『年齢層?』

『はい。個人及びインターネット媒体は主に子供から若者、放送局メディアは全年齢、ただし子供の視聴率は低め、新聞という媒体があるのですが、それは主に高齢が多いというのも関係してますね』

『つまり全てを網羅出来るのは…』

『結論から申するに、不可能に近いと思います。何しろ我々ですら持て余すのです。子供や若者の流行や興味は何か、逆に高齢にはどうしたら目に止めてもらえるか。試行錯誤です。因みに今この端末に写っている五人グループの女性。皆さんはご存知?』

『はい。当国が誇るアーティストグループですね。作曲作詞も担当してるとか』

『あ、それは凄い。では知名度も?』

『はい。20カ国を対象に調査したのですが、知名度は9割を超えていました。知らない方が居れば非常識扱いにされるくらいには』

『そうなのですか。水を差すようで申し訳ないのですし、もし当事者がこの番組をご覧になってましたら尚更なのですが、日本国内の知名度は1%を切っています』

『『え!?』』

『対象数は!?』

『100万です』

『100万で1%すら認知されてない…』

『『嘘でしょ…』』



この仰天ぶりに絶句する一味。それはあの会社も同様である。



「か、課長…」

「言うな。気付いているだろうけど、今俺らの背後に塊がいて部長も社長も居るけど、皆声が出ないようだな」

「ですね…。ですが一旦聞いてみます。企画部長に社長。どうします?日本国向けの企画、これかなりの難題ですよ」

「あ、ああ…ちょっと私も想定外だったな…」

「俺もだ。そもそも媒体が個人にもあるとはな…」

「練り直し、出来ますかね?これ日本国に旋風を起こすのはかなりの至難の技ですよ?」

「ちょっと考え直す…」





放送はまだまだ続く。だが各方面の企画練り直し及び拡散には相当苦労するのは間違いない模様。

ネット経由の番組制作=youtubeやニコ動などの動画投稿という意味やyahooニュースなどです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ