コンサート
コンサート
コンサート前トレーニングを終え、一同はいよいよ会場に向かい到着した。その道中一同は徐々に増加しつつある観客数に戦慄を覚えていた。
控え室にて
「ね、ねえ…。この動員数、結構多くない?」
「多いね…。正直想定外というか何というか…」
「けど何でこんなに人が多いんだ?俺が言うのも何だが、俺達のグループってそこまで知名度があるとは思えないんだが?」
「そうだよね?私もそう思ったのよ。プロデューサー。どういう事?」
「まあ、これは日本の技術が凄いとしか言いようがないわね…」
「というと?」
「ほら。大人気アーティストとかならともかく、私たちって地道に営業したり広報活動したりとかしてるでしょ?」
「確かにそこから徐々に口コミとかファン仲間に広がったりとかで人を集めたりしてるね」
「それが日本では違うのよ。確かに路上営業や街頭とかで活動してたりするけど、ここではそうではなくどちらかと言えばインターネットで広報や営業活動をしてるのよ」
「インターネットって、あのインターネット?任意に繋げると無数に繋がるあの?」
「それよ。それが日本では凄く普及してるの。街頭活動なんて非効率ってくらいにはね」
「因みにどれくらい普及してるのよ?」
「…正直日本のほぼ全域で普及してるの。それこそ街中に歩いている方ですらインターネットに繋いでいるくらいには」
「『………』」
「本当かよ…」
「その証拠に、例えば私が代理としてこれからコンサートをここの会場で行うとする。勿論事前に把握している人は『知ってるよ〜』程度で済むけど、知らない人からすれば興味を示して来てくれる可能性がある。試しにここでやってみるわね」
プロデューサーはここで端末を開き、ネットに繋ぎ拡散した。それを他の面々は観察している。
「先ずここでこのように拡散します、しました。その後はここでページを変えてここで私が投稿拡散した情報の閲覧数を確認する。すると?」
「『………』」
「『え』」
「ね、ねえ…。な、なんか凄い勢いで閲覧数伸びてない?」
「ちょ、ちょっと待って!?まだ開始して1分だよね!?けどもう既に100万!?」
「え?これって1分で文字通り100万人が見てるって事?」
「必ずしも100万人が見てるとは限らないわ。例えば端末を複数所持してたらその分増えるから本当に閲覧してるか分からないけど、ほぼほぼ100万人が見ていても差し支えないわ」
「ということは、もしここから全員が来たらプラス100万?」
「そういう事になるわ。これが日本では普通に普及してるの。けど難点もあって、インターネット通称ネットを皆が使うからネットの波に埋もれてしまう事もあるの。だからここから見つけてくれるのも至難の業なのよ」
「まあでもこれは理に適ってるな。これなら人員ももっと別の所に移動して活躍する事も出来るし時間も割けれる。これが何故異世界では普及してないんだ?」
「…」
「どうした?」
「色々と事情はあるけれど、一番は私達の先祖が色々とやらかしてくれたのが原因よ」
「どういう事ですか?」
「簡単に言えば、『地球という異世界から来た確かに凄いが、その技術は我々に遠く及ばない。だから不要だ。その不干渉も結んでやるし今後も必要としない。越せるものなら越してみろ』というある意味喧嘩があったの。日本は何とか譲渡しようと思ったそうだけど先祖が聞く耳を持たなかったらしく…。勿論日本国側もそう簡単に技術提供したく無いのもあるけれどね」
「『………』」
「何してくれたのよ全く…」
「お陰で今更取り付くことが出来ず、かと言って強引に締結しようとするとその不干渉を結んでいるから破棄されたら文句言えない。その結果が今各先祖は大バッシングを食らってるし、長命種もその飛び火を食らってるの『戦争を大勝利した国の技術を受け付けないとか、どういう神経してるんだ?』とか『お陰で更に日本との技術の差ができてしまった』とかね」
「『………』」
「まあ、その話はともかく。まもなく君たちの出番よ。私達日本国での初開催される初コンサートは恐らくこの箱ほぼ満席を予定してるよ。頑張って!」
「プレッシャーかけないでよ〜…」
「やるっきゃないぞ?リーダー?」
「スゥ〜〜……ハァ〜〜……。ここまできたら割り切ろう。やり遂げるよ!私達!!行くよ!!!」
「『おおおおお!!!!』」
・・・・・・
その頃。あのファングループ過激団はいよいよ会場に入場しようとしていた。ただしあれから更に人数は半数になってしまっていたが。というのも
「まさか宿屋で地方警備隊の奴らが待ち構えていたとはな…」
「想定外すぎましたね…。お陰であれから人数が半減してしまいましたよ…。分散したのが功を奏しましたがこのままでは実行すら危うい可能性があるのでは」
「いや、ここまで来たら実行に移る。それに我々には切り札があるからな」
「確かにありますね。彼女達到着してますかね?」
「さっき到着して既に入場を完了したそうだ。それに裏ルートを使って入手した関係者限定パスカードを入手したそうだ」
「おお〜。流石に仕事が早い。これなら不審がられる事はないな」
「ですね。今から向かいますか?」
「いや今から行っても人が多いし、今は一旦会場外にある屋台とかで軽く食ってから行こうか。開催前30分前位なら搬入業者として入れるだろうからな」
「そうですね。とりあえず今だけ楽しみましょうか」
「そういやお前。あの彼女らに何を依頼したんだ?」
「あ、副リーダー」
「おう。それで?」
「ああ。元々彼女らはその美貌や容姿で男連中をイチコロにしてきて、更にそこにオチたところに拘束や媚薬などで更に落とし込み、情報や今回のようなパスカードを奪ったり賄賂を贈ったりして依頼主、この場合は俺たちに情報をくれたり経路などの手助けなどもしてる連中。今回も例の如くそのような依頼を出したわけだ。隠密ならもってこいの集団だろ?」
「確かにな。因みに成功率は?」
「90%以上を誇っている。10%は依頼側に不手際があったりやむを得ない状況で撤退などだ。まあ最も撤退はほぼないそうだから安心して良い」
「まあ俺も会ったことがあるが、あの妖艶な美貌や雰囲気はそそられるな」
「え!?会った事あるのですか副リーダー!?」
「ある。あれは下心丸出しでも無理ないな」
「羨ましい!!!」
「まあ良いじゃないか。後々会うのだからな。待とうじゃないか」
「はい!楽しみだな〜〜」
「鼻の下伸ばすな」
その隠密特化型の女子集団は現在とある組織に囚われの身となっている。その組織とは
「警部、入り込んだネズミを捕らえました。今目の前に手錠掛けてます」
『10人高身長から低身長全員か?当然性別は全員女だよな?』
「はい。現在俺一人で見張ってます」
『本来1人だと心許ないし犯罪者相手に単独だと些かマズイが、ここは異世界だからな。お前一人でもいけるだろ』
「はい。隠密特化型と聞いてたので逃走や隠れは得意かと思い警戒してたのですが、正直言って拍子抜けですね」
『あ?そんなに酷かったのか?』
「恐らく相手が異世界人だと苦労するのでしょうし取り逃しもあるでしょうが、俺たちだから簡単に捕らえたのかもしれません」
『そうか。まあいい。応援を送るから到着前に出来るだけ聞き出せ。方法は問わん』
「了解。聞き出しましょう」
「ね、ねえ…」
その声にその人は振り返る。
「なんだ?」
「貴方一体何者?私達が手も足も出ないとか初めてなんだけど?」
「そうなのか?」
「そうよ!何で私達がこんな奴に手玉を取られなければいけないのよ!!」
「ちょっと、興奮しすぎよ…」
「五月蝿い!黙ってて!」
「けど黙らないと私達のポリシーに反するよ?」
「そうよ…。落ち着いて…」
「…」
「代わりに私が話すから」
「はぁ?あんたでどうにかなるの?こいつ結構厄介そうだけど?」
「大丈夫。策あるから」
「強気だな?それで?策って?」
「さっき言った通り、ここまで私達が追い詰められたのは初めてよ。かなり強そうね。いえ強い。何しろ私達10人が束になっても叶わなかったのだから」
「だから何?」
「そこで何だけど、これから私達と一緒に夜過ごさない?特別に私達全員相手するよ?」
「………」
「どう?ちょっとその気になった?沈黙がどう取るか、だよ?」
「『(でた!!副リーダーの妖艶攻撃!!これで落ちた男はいない!!)』」
「(悔しいけど、二番目に身長が高い私と比べて彼女は一番身長が高い。私の今いるリーダーポジの次の候補ね。しかも彼女は男の特徴を特に捉えている。あれだけは才能だね)」
「………」
「どうかしら?」
「………」
「………」
30分後
「『(あ、あれ?)』」
「(き、効いてない)」
「(?私の妖艶攻撃が効かない?そんなバカな?)」
「………」
「『(ど、どうなってるの!?)』」
「………」
「(ち、沈黙がキツイ…副リーダーの顔は……ちょっと動揺してるわね。感じ取れるわ)」
「(う、嘘でしょ…ここまで沈黙が長く感じるのは初めてだわ!本当に何者なのよこの人!!)」
「そろそろだな」
「…え?」
「何が?」
「俺の仲間が来る」
「貴方のお仲間さん?」
「え?誰です?」
「お、来た。こっちだ」
「そこか。待たせた。おいお前ら。あそこだ」
「これがお仲間さん……え」
「『え!?』」
「え、ええええええ!!??」
彼女らは目を仰天させていた。それもその筈。目の前に現れたのは制服警備隊。それも
「『日本の警備隊、国家警察(地方警備隊)!!??』」
「てことはつまり、貴方って」
「俺か?俺もこのバッジとIDの通り、私服隊員(警官)、日本警察ってことだ」
「『う、嘘でしょ!!??』」
「ど、通りで通用しない訳ね…」
「分かって貰えたかい?」
「え、ええ。この上ない程に…」
「しょげるのはまだ早いぜ?お前らにはお楽しみの尋問があるからな。耐えれば良いな?」
「『お、終わった……』」
「さ、最後に一つ!!」
「何?」
「いつから私達の事を?」
「いつからも何も。お前らが依頼主から依頼された段階で。そこから先ずは足取りを追い、そこからこれからの行動を推測。最後にここにお前らより先に会場入りして、関係者専用入り口にてバッジとIDを掲げ、警備室に移動。監視カメラと判別装置を使い偽造されたパスカードを判別。顔を称号しお前らを待ち構え、実行と同時に俺が現れ、逃亡しようとしたお前らを俺単独で確保。隠れようとしたやつを電気ショックで気絶の後さっきに至る、という訳だ」
「『………』」
「つまり最初から貴方達の掌に踊らされた訳ね」
「まあそういう事だな。連れて行け」
「負けました。完敗だよ。私達全員ね」
こうして違法隠密集団は摘発された。そして最後の仕事が始まろうとしていた。いや、既に始まっている。
・・・・・・
「さて、そろそろ入場するぞ」
「えっと?どこから入るのですか?」
「ここからだな」
「因みに協力者のあの妖艶集団は?」
「あいつらは隠密専門だからな。さっきは会うと言ったがもしかしたら会えないかもしれない。だがあいつらのことだ。何処かに用意してるだろう。例えば、入り口近くのゴミ箱の中とか、恐らく浅く入ってるはずだ。見てみろ」
「うへぇ…ゴミ箱漁りをさせられるのにもしかしたら会えないとか、拷問ですよ!?」
「文句言わないで探せ」
「はいはい…って本当にありましたね。パスカード。これあれば入れるのですか?」
「ああ。本来なら顔写真付きなんだが、既に張り替えが完了している。このまま入れるという事だ」
「なるほど。では入りましょうか」
「ああ。お前らも準備いいか?」
「『はい!!』」
「すいません。ここは関係者以外立ち入り禁止なのですが…」
「ああ。申し訳ない。通行パスです」
「確認します。はいOKですよ。後ろの皆さんも同じですかね?」
「はい同じですね」
「分かりました。一同そのままお通りください」
「ありがとうございます。因みに各控え室ってどちらか分かりますか?清掃なのですが」
「そしましたらこの地図を頼りに進みください。今ペンで円を書きますが、ここが控えエリアになります。2階ですね」
「ご親切にありがとうございます」
「すいません。恐らく例の不審集団。関係者入り口からご入場しました。ダミーへ誘導済みです」
『了解』
「えっと地図によればこの角を曲がった全てがそのエリアらしい」
「おっと。ということはここからが我々の仕事ですね?」
「ああ。しかも今日は都合の良いことに、他の出演者はいないから必然的に誰もいないことになる。つまり絶好のチャンスということだ」
「良いっすね〜それ。ここで俺たちの力を見せつけましょう!!」
「よっしゃ来た。各自各部屋へ。お土産を献上だ!!突入!!」
こうして過激集団がダミー部屋に入ったその直後、静かに遠隔操作でドアがロックされた。当然静かにドアが閉じたので侵入者は一切気づかずに作業に没頭。その間に介入部隊が廊下で待ち構えていた。
「とりあえず一旦指揮は我々警察が。だがその先は自衛隊と警察の合同で行こうか」
「そうだな。どっちの部屋に突入する?」
「正面向かって左が警察。右を自衛隊で頼む」
「了解した。各部屋に付け」
「『了解』」
「俺たちもだ」
「『はい』」
「因みにどう突入する?」
「いや、こっちからはしない。合図はあいつらがドアを開けた瞬間にだ。一部屋でも開けた瞬間に、GOだ」
「了解」
「よしお前ら。土産を置いたことだし、帰るぞ。この会場を出た瞬間からが歴史の始まりだ」
「へっへっへ。そうですね。ここからが始まりだ。とりあえず出ますか」
「ああ。あれ?ロックしたかな?まあいいや」
そこで火蓋が落とされた。どうなったかは、各自の想像にお任せしよう。まあ当然の結果である事だけは伝えておこう。因みにコンサートは無事に成功。初公演は大成功で幕を閉じた
・・・・・
数週間後。とある組織集団がとあるアジトに突入しようとしていた。
「ここです。記者も集まっていますね」
「まああんなことがあれば仕方ないでしょう」
「一旦道開けます。その後ろに付いて来てください」
「ありがとうございます。衛兵の皆さんも一緒にどうです?」
「ありがとうございます。でしたらできる限りサポートに回ります」
「お願いします。それと出来ればなんですが…」
その室内
「か、会長…。あの話って本当ですか?」
「らしい。まさかあいつらがそんなことをするとはな………」
「どうしたものか………」
「因みにこのファンクラブってどうなるの?私達解散?」
「そうしたくはないが、ファンクラブ内の不祥事なんだ。強制解散になっても受け入れるしかないだろうな…」
「因みにこの国の警備隊やら衛兵がかなり騒いでいるという噂があるらしいのだが、それって何か関連があるのだろうか?」
「分からんな…」
コンコン
「『!?』」
「私が出るよ。は〜い」
「すいません。私です」
「あ、貴方はこの都市の衛兵ですね。どうかなさいましたか?しかも他の衛兵さんも一緒に」
「実は貴女、いえ、このファンクラブにご用の方がいらっしゃいます」
「え?どなたです?」
「こちらです」
「えっとこちら…え!?」
「会長にお通し願いますか?」
「はい…」
「会長。お客様です」
「誰です?」
「………」
「?」
「それが、とある機関が来ています」
「『………』」
「覚悟は決まってる。話してくれ」
「はい。…日本国憲兵隊が来ています」
「通してくれ」
「どうもこんにちは」
「いらっしゃいませ。ようこそ我がファンクラブへ。今の雰囲気を察して頂けると有難いです」
「構いません。それと我々が来た理由を恐らくは?」
「はい。我々ファンクラブ内の会員が起こしたあの事件ですね?」
「はい。あの事件に関して事情聴取及び家宅捜索ですね」
「お話は出来ますが分からないことがある事を承知ください」
「分かっています。今回の対象者はファンクラブに所属している全員です。それと活動に関しての書類や金の動きがあれば押収します」
「分かりました」
「何か質問は?」
「…ファンクラブを続けられるでしょうか?」
「その返答に私達は持ち合わせていません。ですが言えるとしたら、我々としては貴方方次第という事です」
「『………』」
その返答にファンクラブ会員一同は深々と頭を下げた。だが復帰までの道のりはかなりの茨の道であろう。だが何とか乗り越えれるだろうと、何故かその雰囲気になっていた。




