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宿泊施設

宿泊施設





会場の下見を終えた一同は、バスに戻り宿泊施設へ向かっていた。その道中も一同は先ほどの会場について思いを馳せていた。



「どうだ?会場の下見を終えた感想は?プロデューサーの意見としてはあそこまで大きな会場だとは思わなかったな。もうちょっと小さいかと思ってた」

「俺たちもだ。正直言って男性グループ全員でこの箱を満員に出来る自信が無い」

「かと言って私達女子グループで満員にするのはこっちも出来ない気がするよ〜・・・」

「まあ、これは運営側も想定外だっただろうな。さっき伝書鳩で文通したが、あっちも驚愕だそうだ『そんなに大きいのか!?』とな」

「・・・どうやら行き違いがあったそうだな・・・。因みにこの国でこの規模は比較的大きな箱なのか?」

「さっき主催側に問い合わせた。そしたらこの国では小さいそうだ。せいぜい下の上か中の下くらいだそうだ」

「『これで中の下か・・・』」

「今から変更は、出来ないわよね・・・」

「無理だな。100%こちら側の変更だから払い戻しも違約金も発生する。ここでどうにかするしかない」

「何だが私達、場違い感が凄いあるんだけど、気のせい?」

「いえ。それは私達も同じよ。あんなに綺麗な会場。観客席は高くそして広々としていて清掃も行き届いている。裏方も同じで仮に双方とも物を所持しても簡単にすれ違いが可能。控え室に待機場も空調が効いていて広々。おまけにライブカメラでステージ状況も見れるからブッキングも回避できる。挙句に演出もテストしたけど派手だけど凄く協調性のある演出。お金が掛かってる証拠ね」

「これ、一体どれくらいの利益が必要なんだ?私らで到達できるのか?」

「『・・・・』」



女性出演者の発言で一同が静粛した。それを破ったのは信号待ちで停車中に連絡を受けた同乗中警備隊の一人だ。



「はい。はい。?そうですか?はい。分かりました。そのように。プロデューサー様」

「はい?何でしょうか?」

「先ほど警備関連で主催と打ち合わせしたのですが、その主催側からの伝言です」

「何でしょうか?」

「これは出演者一同にも伝言を頼まれています。静聴を『今回のイベントに費用は請求しません。こちら側で全額負担します。ですのでこちらの事は気にせずに、楽しんで下さい。貴方方が心から楽しまないと観客も楽しめません。我々の要求は一つ。楽しむこと。これだけです』」

「『・・・』」

「楽しむ事、か」

「そうですね。楽しく」

「そしてそれをお客様にも伝えれるように!」

「『おおおおおお!!!!!』」

「どうやら大丈夫そうですね?」

「すいません。警備隊の方々にも感謝を」

「構いませんよ。我々は我々の仕事を全うするだけです。そして国民にもそうですが、来訪者の気遣いも我々の仕事です」

「ありがとうございます。これはあくまでも形式的ですが、警備は?」

「そこは我々の仕事です。貴方方は通常の業務を」

「はい」

「(どうも、警備隊の方々とは壁を感じるな・・・。まあそれは他の演者も一緒だがな・・・。お互い仕事だから仕方ないかもしれんが・・・)」



1本の連絡により、出演者一同の緊張は和らいだ。数日後に開催されるイベントに向けながら。だがそれと同時にもう一つの葛藤が生まれた。何とか警備隊の方々とお近づきになりたいことを。別に特別な感情はない。あくまでも接しやすい仕事仲間として。





・・・・・



暫く走行していると、目的の宿泊施設に到着する。ホテルである。しかも少々意識高めなホテル。



「お待たせしました。こちらが貴方方が泊まる宿泊施設、ホテルになります」

「『・・・』」

「?どうかしましたか?」

「えっと?憲兵さん?」

「兵士ではありませんが、何でしょうか?」

「本当にここなの?私たちが泊まる場所」

「はい。そうですが?」

「ここなの?」

「はい。それがどうかしましたか?」

「どうかしましたか?じゃないでしょ!?これ、どう考えても格安ホテルじゃないよね!?」

「なんか私もそんな感じするよ・・・。どう見ても安いホテルじゃない」

「ちょっとお高めなホテルな感じするぜ。手配が間違えてないか?」

「いや?ここですよ?これも運営側からの手配です。提示金額で泊まれる宿泊施設を頼む、と。その結果がこちらです。私ら警備隊も宿泊所はこちらだと伺ってます」

「そ、そうですか・・・。ちょっと聞いてみるか。宿泊所の中に通信機器は?」

「ありますよ。入ってフロント(受付)を通り過ぎて左奥に」

「ありがとうございます。ちょっと聞いてみるから、中に入ったらその場で待機で」

「『はい』」



一同を1階の待合所兼フロントに置き、プロデューサーは通信機器へ。



「失礼。繋がりますか?」

『おう。どうした?何かトラブルか?」

「部長、お疲れ様です。トラブルというか何というか・・・」

『歯切れ悪いな。どうした?』

「こちらの宿泊施設は誰が手配を?」

『金額や場所は日本の観光案内を通じてそこに。コネ等繋がりが無かったから仕方なく。それがどうかしたのか?』

「実は何ですが、宿泊施設を見た限り、どう見ても少々お高い宿泊所に見えるのですが」

『はぁ?そうなのか?日本の技術でスクショ、ああ写真って言っても分からないか。とにかくそういったので送られた物に確かにその宿泊施設が同封されてたけど、そこまで高いものには見えなかったぞ?』

「そうなのですか?ですがこれを見てしまうと」

『因みにどのような宿泊施設なんだ?只の宿泊所じゃないのか?』

「よく街中にある宿泊所レベルではないですね。どう見ても中級貴族や少々有名な商人とかが泊まれる宿泊所に見えます」

『本当かよ・・・。日本の観光案内は何故そこを選んだんだ?』

「恐らくですが、日本ではこういった宿泊所が普通なのかもしれません。何しろ少々価値観がズレてますから」

『そうなのか。まあ間違いでないのなら数日間そこで泊まるしかないな。恐らく日本滞在中はそれが基本になってくるだろう。耐えるしかないな』

「耐えるも何もないと思いますが・・・。分かりました。では」



「どうでしたか?プロデューサー」

「どうやらここで間違いないらしい」

「本当かよ・・・。ここに泊まるとか、どう考えても恐縮してしまう!」

「そう言うなって、とりあえず俺が受付するから、部屋の鍵を受け取ったら各自部屋へ。憲兵さんは?」

「はい。何でしょうか?」

「部屋の割り当ては?」

「私らは把握していませんので、フロントにて部屋割りをお聞きします。尚、私らはホテル内では監視から外れます。何かありましたら同じホテルに泊まっています。後ほど各隊員の部屋割りをお教えしますので、そちらへお問い合わせください」

「分かりました」



こうして宿泊の受付をすることに。その際フロントから一通りの説明を受けたが、その都度



「は?大浴場?」

「え?食事は食べ放題?」

「一人一部屋?しかもそこそこ広い?」

「自由スペースに」

「ゲーム場まで?」

「挙句にはマッサージ?」

「『ここ本当に宿泊施設?』」



と、このように毎度毎度驚愕していた。



「まあ、外国からの訪問者は毎度このように驚かれるので我々司法や行政は慣れてますが、まあ無理もないですね」

「あれ?これってよくあるのですか?」

「我々は普通ですし、この国で生まれた方なら。ですが移住者や訪問者は先ほどの反応がほとんどですね」

「え?でも日本が異世界に来てからそこまで年数は・・・」

「いえ。結構経ってますよ。進行したのはもうかれこれ5千年以上前。戦争が終結したのは3千年前位。そこから色々あって異世界に国家構築を議会、こっちで言うところの最高意思決定機関に申請。申請が通り樹立出来たのが2千年前。そこから漸くここまで来た。幅は広いですが、長命種が大人〜老人になろうって時が今なのです。そう考えると短いようで長いのです」

「意外と経つのですね」

「そう言うものですよ。さ、部屋割りを報告してください。我々も報告します」





こうして初日は移動のみで消化した。この後例のグループはホテル内のサービスに驚愕しながらも満喫して我を忘れるのだが、それは別の話。

途中で切り上げたり急遽再開したりと無責任な事をしたと思ってます。申し訳ない。

それとこの章が終了次第、次章にて日本国が異世界に進出し、どのような経緯で今に至ったのかを描こうと思います(今まで書いてなかった事を最近知ったので)。


では、今年もありがとうございました。また来年でお会いしましょう。

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