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救援と殲滅

救援と殲滅





5ヶ国で現在、国際犯罪集団による同時襲撃を受けていた。それのよる事案の対処を各国の警備隊や兵士などが行なっていたが、民間人巻き込みや攻撃による都市の破壊の恐れや、人員不足や兵力不足などが原因により、思うように作戦が上手くいかず、劣勢が続いていた。これ以上の被害拡大や民間人の巻き込みを食い止めたく思った各国は日本国にSOSを発信。要求を受けた日本は海外の作戦となる為、海外でも活動できる国家警備隊へ対処に当たるよう命令を下す。直近の部隊や拠点が発信元へ向かうべく、移動を開始していた。



合衆国



「おい!日本国へ救援要請はしたのか!?」

「はい!3分前に受信、受諾したそうです!1時間以内に各襲撃拠点に到着する様です」

「1時間か。まああの国から移動を開始し、ここまでの道のりを考えればとても信じられない到着予想だが、それを可能とするアイツらの国なんだ。1時間耐えようや。しかし1時間か・・・。どうしてだろうな。今までなら1時間と聞けば長いのか直ぐなのかという思考になるのだが、ここまで1時間という単位が長く感じたのは初めてだな」

「はい・・・。ですがそれを乗り越えれば彼らがやってきます。寿命が縮まるのは嫌ですが、彼らの到着を待ちましょう」

「寿命か・・・。嫌な単語を持ってくるんじゃねぇ、と言いたいところだが、今回ばかりは正しくその通りだな」

「はい。しかもこれはこの場にいる方達だけではありません。前線にいる彼らも同じですし、同じような襲撃を受けている他国も同じなのです」

「ったく・・・。これほど長命族を羨望したのは初めてだぞ・・・」

「大統領。お言葉ですが長命族である私らも命をすり減らしているのです。私らに羨望されましても・・・」

「そうだったな。ただでさえ犯罪集団というのは、狩りで右に出る者はいないと言われているエルフですら時にはそれを凌駕する時があるもんな。早計な発言だったな」

「いいえ。大丈夫です。気持ちは同じですから。それに大統領の発言は私らも同じなのです」

「?何か言ったか?」

「”ここまで1時間という単位が長いのは初めて”という言葉です」

「ああ、言ったな・・・。まさか、お前らも?」

「はい。人族の一生は長命族の瞬きと言われる私らもこればっかりは1時間という単位がとても果てしなく長く感じるのです」

「そうか。つくづくあの日本国が異常なのかが身に染みるな」

「『はい』」





帝国



「あの国からの到着はどれくらいだ!?」

「1時間と少しオーバーするそうです!!」

「1時間・・・。とても長いな・・・。だが1時間ならどうにかなる!!更に応援を行かせろ!!但しあくまでも彼等の到着までの時間稼ぎだ!!」

「動員数は!?」

「そこまで多くなくて良い!!最悪必要最低限で良い!!」

「では空軍は!?あちらでは撃墜されて堕ちるワイバーンや軍人が多数です!!」

「あっちは攻撃が当たらなくても良いから、最低でも敵からの攻撃に対処する程度で良い。それだけで凌いでくれとな!!」

「危険な賭けですが、仕方ありませんね!!急報でお送りします!!」

「頼んだ・・・。日本国よ・・・頼んだぞ!!」





連合王国



「隣国である日本からの応援は!?」

「先程受諾、超高速で向かっているそうだ!!」

「今さっき受諾だと!?何故そんなに掛かった!?」

「救援発信する装置が故障、再使用までに整備しテストも行ったから時間が掛かったそうだ!!」

「そんなことやっている暇があればテストせずにぶっつけ本番でやれば直ぐに救援要請を送れただろうが!?」

「けど故障してもそれはそれで時間が掛かるぞ!?それするよりかはマシだろう!!」

「だがな・・・。今はここで喧嘩しても仕方ない。それで?今さっき受諾したのは分かった。そこからここまで来るのにどれくらい時間が掛かる!?」

「30分以内に現着するそうだ!!」

「30時間か・・・やはり出遅れたばっかりに・・・、って30分!?単位間違えてないか!?」

「アホか!!俺だって信じられなかったんだ!!だが3回も復唱した!!そしたら全て同じ返答を頂いたんだ!!間違いじゃねぇ!!」

「30分か・・・。やるか!!」

「ああ!!!それで?どんな指示を出す!?」

「30分じゃあ出来る事は少ない!!だからできる事をする!!」

「何をする!?いつでも伝達する準備は出来ているぞ!?」

「最低限残して残りは撤退させろ!!」

「分かった・・・、って、て、撤退!?何考えてるんだお前!?」

「馬鹿野郎!!ここは撤退だ!!」

「撤退だぞ!?お前市民を見捨てるのか!?」

「だからバカ言え!!誰が考えなしと言った!!」

「いや誰も言ってないが・・・だが何故撤退なんだ!?」

「考えてもみろ?アイツらの事だ。救援と聞けば部隊を大量を引き連れてやってくるだろう。そうなれば敵味方の区別が出来なくなる。そうなると共倒れ、いやアイツらの戦力が上だから共倒れはしないが、最低でも俺たちの戦力が減る可能性がある。それに既にこちらにも被害が出ている。これ以上減らしたくない。それなら動員数は必要最低限にして残りはアイツらに任せるんだ。そすれば流れ弾が味方に当たる確率も減る。だから撤退なんだ」

「・・・分かったが、30分味方は耐えれるのか?その間に侵入されたら・・・」

「分かってる・・・。だがやるしかないぞ。これは俺の首も賭けてやってやる」

「そこまでか・・・なら俺も賭けてやる!!おい!!そう伝達しろ!!必要最低限残して撤退だとな!!だが理由は申すな!!乱れる可能性がある!!」

「『は!!!』」



こちらは戦場。上からの命令が現地に伝達された。



「は!?最低限残して後は撤退!?何考えてるんだ!?」

「分かりませんが、各方面に最優先で伝達しろという命令で・・・」

「だからって言って何故撤退なんだ!?これじゃ市民を見捨てろと言ってる様じゃないか!!」

「な、何か考えでもあるのでしょうか・・・」

「考えがあるなら既に実行している筈だ!!それでこれということは・・・、まさか!?」

「何ですか?」

「戦火拡大を恐れ、これ以上の拡大を、そして人員の動員数を減らすべく見捨てる判断をされたのか!?」

「はぁ!?」

「そうとしか考えれん!!何が命令だ!!??謀反をしてやる!!」

「で、ですがそれでは上官が!!」

「構わん!!責任は全て俺が取る!!ここにいる各員に告げろ!!!この先は俺こと陸軍大佐が指揮を取る!!責任は全て俺が取るとな!!こいつらを抑えるべく引くわけには行かないとな!!」

「大佐・・・。はい!!そう指示を伝えします!!ですが大佐一人に責任を負わせる訳にはいきません。ですのでここは私たち中佐らもそれに加わらせて頂きます!!」

「お前らにそれは許容できない!!」

「いいえ。ここは上官である大佐でも許しません!!同じ運命を辿りますよ大佐!!!なあお前ら!!!」

「『おう!!!!』」

「馬鹿野郎共が・・・。だが嫌いじゃねぇ!!!!行くぞ!!!!」

「『はい!!!』」



王都に一部が謀反を翻したと通達される



「報告します!!!一部がこちらの意図を汲まずに謀反を起こした模様!!どうされますか!?」

「・・・」

「どうするんだ?」

「こう伝えろ・・・」

「『!?』」

「分かりました・・・」



連合王国内でのいざこざが起きているその頃





宗教国



「どうでしたか!?」

「はい!!日本国へ救援要請を発信!!受諾したそうです!!ですが到着までに1時間と30分は掛かると申しています!!」

「日本から見れば周辺国では一番遠方国であるが故、ですか・・・。仕方ありませんね。現在こちらの被害は!?」

「既に十数の都市が盗賊団によって宗教警備隊は壊滅、奪取されました。一応盗賊団は民間人には手を出していませんが、人質として交渉を名乗り出ています!!2時間後に10人を殺害するそうです!!しかも1都市ではなく奪取された十数都市同時に行うそうです」

「つまり1度に200人以上が殺害される計算ですか・・・」

「はい。教皇、どういたしましょうか」

「・・・2時間で彼らの到着が1時間半・・・。一度聞きたいのは、この国の末端のである都市までの所要時間を聞きたいのですが、行けますか?」

「やってみましょう。意図は分かります。もしこれで間に合う様なら交渉せずに彼らに任せる事ですね?」

「はい。幸い・・・、いえ、現在でも最悪ですが、奪取された都市は全て東の末端の都市。最悪は彼らに一任して宗教警備隊の生き残りは別都市への救援を向かわせます」

「ですが、間に合わなければ、交渉に応じると」

「不本意ですが、国民を守るためには仕方ありません」

「分かりました。聞いてみましょう。行けますか?日本国に問い合わせをお願いしても?」

「はい!直ぐに」

「頼みますよ・・・」



十分後。非常に重苦しい空気に満ちている部屋に報告が入る。



「教皇!!それにこの場にいる皆さん!!お待たせしました!!」

「それで?返答はどうでした!?」

「返答というか、逆に質問されました」

「『?』」

「どういう事です?」

「さあ・・・。とりあえず報告は?」

「はい!申し上げます。『宗教国の現状は分かった。なら一つ質問したい。その都市を奪還すべくこちらも動くが、恐らく現状の部隊では東端までに2時間というタイムリミットにはギリギリ間に合わない。ならばこちらの空自基地、空軍基地から戦闘機、超強力な竜を派遣する。それなら今から30分程度で現着可能だが、ちょっと弊害がある。強力過ぎるが故、多少民間の建物に流れ弾が当たる可能性がある。なのでこちらからの条件としては2つ。一つは流れ弾は出来る限り当てない様にするが、当たってもこちらは認識しないことと、救援部隊の費用と共に追加の派遣にはそれ相応の費用が掛かる。その条件を受諾とした段階で30分で派遣しよう。因みに救援部隊自体の費用は他国でも請求するので不釣り合いでは無い事を認識してもらいたい』これが内容です」

「『・・・』」

「つまり、現状の部隊では東端に2時間では間に合わない。けど追加の部隊なら2時間どころか30分で現着して盗賊団の壊滅に尽力する。けど弊害として流れ弾の被害が多少発生する。それの被害があっても日本国は認知しない。それと救援部隊は他国も受諾しているので金銭は一緒だけど、追加の部隊の派遣に追加の費用が必要、という事ですか?」

「掻い摘むとその通りです」

「どうしようか・・・」

「教皇。今回は仕方ないかと。これは盗賊団を抑えることの出来なかった私たちのミスです。もし宗教警備隊に予算を少しでも増額していれば最悪の事態、つまり都市を奪取される事態を避けれた筈です」

「はい。今回は考える余地はないと思います。金額と多少の被害と引き換えに彼らからの追加の部隊を派遣できるのです。しかも30分で。これは飲むしかないかと」

「勿論一部の宗教国民の反感は買うでしょうが、仕方ありませんかと思います。来年の予算案を練り直す必要がありますが、今は悩んでいる暇はありません」

「決断の時です。無論私たちも他人事には出来ません。私たちも責任を一緒に持ちます」

「教皇」

「『教皇!』」

「・・・皆、ありがとう。私はダメダメな教皇ですね・・・。つくづく思い知りましたよ・・・。分かりました!!日本国にお伝えしてください。その条件を引き受けますと!!」

「分かりました!!そうお伝えします!!」

「・・・これで、私たちの国は、救われます・・・」

「教皇、今は私達と共に休憩しましょう?」

「・・・」

「教皇?」

「・・・国民や警備隊が休憩せずに対処や盗賊団の圧に屈しないように尽力しているのに、私だけ休むことは許さない。だから私は休まずに、最後まで戦い続ける!!」

「『教皇!!!』」

「こんな私ですが、皆さん。付いてきてくれますか?」

「『勿論です。教皇!!』」





王国



「日本国へ依頼は済んだか!?」

「はい!!45分で北方含め全ての襲撃地に到着するそうです!!」

「1時間ではなく45分で各方面の到着か。流石だな。けど今こちらの戦力も正直十分とは言えない。45分という、いつもなら直ぐに過ぎる時間が今はとてつもない時間が待っている。が、それを越えればアイツらの救援が待っている。いよいよこれからが本番だな」

「はい。初めからこうすれば良かったのでは?何故今になって?」

「あ、それ私らも気になっていたのです。何故です?」

「なあお前ら。自国ならまだしも他国の救援に無償で引き受けるお人よし国家があるか?」

「『それってまさか・・・』」

「ああ。当然この救援に費用が掛かっている。当然費用は全額こちら持ちだ。だが当然だろ?何でもかんでも費用や対価なしに動くところはない。それは国家のみならずただの一般人でもあるのだ。当然なことだろう」

「だから今になって救援を?」

「ああ。これ以上は当国の戦力を減らす恐れがあるし警備隊減少は治安悪化を意味する。だから流石にどうしようもなかったんだ」

「そうなのですね。それで、費用はいかほどに?」

「それは聞いてみないと分からんが、少なくとも救援なんだ。法外な金額は吹っかけてこないだろう」

「え?そんなに高額なのですか?」

「『・・・』」



一同、一人の発言に呆れの眼差しを送る



「え?何ですか皆して?」

「お前はまだ新しかったな。そうだな・・・。そこにいる国家経理を担当している女性の仙人に聞け。恐らく俺より詳しいだろ。長生きもしているし」

「陛下。長生きだと私が老人に聞こえます。ですが既に1000年は生きているので仕方ないのかもしれません」

「仙人で1000年。せんでせん。仙、千」

「陛下。こいつを殴っても?」

「待て待て。幾ら同性同士でもそれは許さん。話を説明してやれ。簡単にな」

「はぁ(溜息)。まあいいでしょう。それでは簡単に。日本国は全体的に高額です。それは軍事のみならず国家予算や研究、果てには国民の生活金ですら高額なのです。具体的には私たちの一般的年収の金額があちらではたった2〜3ヶ月分の金額くらいなのです。寧ろ少々少ないかも」

「え!?そんなに高額なのですか!?」

「はい。何でしたら場合によっては高給の方達ですらあの国では生活が1年は満たないみたいです。私の友人が嘆いていました。『何でもかんでも高額すぎて買えない』と」

「高給取りですら1年持たない・・・。ということは私たちも?」

「陛下は分かりませんが、例えば王宮勤めで中級程の地位で年収もそれ相応の金額を貰っているのに、あちらでは1年と少しの日数で生活が成り立たなくなるそうです。実際に行ってみて分かった結果なので、信憑性ありです」

「ほぇ〜、そんなに高いとはね・・・。あれ?ということはこの救援も金が掛かっている。ということは?」

「いえ、先ほど陛下が救援だから高くないと言ったばかりですよ?覚えていませんか?」

「そう言えばそうだった。じゃあ、逆に高いというのは?」

「例えばあの国に対して宣戦布告をしたのに敗北した時ですね」

「ああ〜〜。以前この国も含め全ての国が日本国に戦争した時ですね?当然こちら全てが負けましたが。それが?」

「負けたからには戦争賠償金を払うのは当然ですよね?」

「ああ、それは分かりますよ」

「実はそれが高額すぎて、支払いに追い付かずに破産した国が続出したのです」

「え!?そんなに高いの!?」

「ええ。確か場所によってはその国家の予算の9割を要求して、飲まなかった場合は再戦するとなった国も」

「うわぁ・・・。当然再戦国は?」

「当然全て敗北しました。確か結果は予算支払いが出来なくて日本国に吸収されたか、他国に売られたとか。まあそれでも支払いは続けなければいけませんので、王族や貴族は身売りや売買を限界までしたとか。それ以上は・・・」

「凄惨だったのが分かりますよ・・・。確かにそう聞くと高くないと分かりますね」

「ああ。今更ながら学んでくれて助かったぜ」





・・・・・



日本空自基地

こちらでは宗教国の追加救援を受け、空自に命令を下そうとしていた。



HHQ(総合本部)から北西統轄、HHQから北西統轄』

『こちら北西統轄』

『北西方面の宗教国からの追加救援である。犯罪集団が宗教国東端部の都市を制圧、都市機能が停止した。犯罪集団はこれを機に他の東端部都市を複数制圧、人質を取り交渉を申し出てきた。内容は現段階では不明だが、現時刻から1時間と45分後に1都市10人程度を殺害を宣言。現在制圧されている都市は十数都市に昇るため、一度に200人程度が殺害される計算となる。これを危機と捉え我々に救援の追加要請。内容は制圧されている東端部都市全てを奪還、制圧せよとの要求である。費用と多少の被害は目を瞑ると言質も頂いている。その為空自は直ちに戦闘機を用いて出動、追加で空自ヘリも出動を命ずる。陸自用戦闘ヘリと空自用戦闘ヘリと共に宗教国東端部の複数都市の制圧を実施せよ』

『了解。犯罪集団の規模は?』

『報告では10万人規模とされているが、推定の為正確な数字は分かりかねる』

『北西統轄了解。直ちに出動する。以上』



この無線指示で各隊員、出動命令が下った。



「空将補に敬礼!!」

「聞いたな!!」

「『はい!!』」

「この指示を聞いて領空内上空を飛んでいた偵察機は方向転換し単体機で宗教国へ。空自戦闘機は先程離陸した。偵察機合わせ合計5機だそうだ。5機を用いて先行、偵察、爆撃をするそうだ。我々の任務はヘリに乗り込み、先行した偵察機からの情報を受け、上空から特に犯罪集団の塊を殲滅。上空から目視出来ない敵は地上の陸自に任せ、引き続き敵を殲滅。その後陸自に引き継ぎだ。敵の規模は推定10万以上。現段階ではこれの殲滅。但し捕縛も構わない。これはHHQからの要請。命令ではない為これは別に無視で構わない。だが捕縛すれば周辺国のメンツも保たれる。なので君らには出来る限りで構わない。これは各々の判断に任せる。質問は?」

「『・・・』」

「ないみたいだな。ではヘリに乗り込め。一人10人だ。それと空自リーダーは規模的に二等陸佐を頼みたい」

「は!」

「宜しい。諸君の健闘を祈る!!」

「『は!!』」





・・・・・



宗教国の犯罪集団



「あと1時間と15分だな。さて、奴らが交渉に応じないとこいつらが死ぬぜ?」

「頭。アイツら応じますかね?」

「意外とバカだから応じるかもよ?そして奴らの地位は地に落ちるぜ!はっはっは!!」

「だと良いですかね・・・。どうも俺、上手くいかないような気がしますぜ」

「ほう?何処がだ?」

「いや。説明は難しいですが、どうも胸騒ぎが・・・」

「んなもん平気だろ。それよりそいつらの面倒は任せたぜ?」

「了解であります。頭は?」

「俺はもうちょいここでのんびりとするぜ。な〜に。どうせこいつらの殺しに使う道具なんだからよ〜」

「はっは!それもそうだな・・・」



ヒュ〜・・・ドーーーーーン!!!!



「「な、なんだ!!!」」

「おい!!どうなってる!!」

「頭!!」

「頭!!外、外を!!!」

「外?」



犯罪集団の頭とその取り巻きは外へ。すると所々で煙が上がっていた



「な、何だこれ!?」

「ま、まだきます!!!」

「おい!!頭を建物内へ!!」



ヒュ〜〜・・・ドーーーーン!!!



「まただ・・・」

「頭・・・」

「人質だ・・・人質を殺せ!!!」

「で、ですがまだ時間が!!!」

「そんなの構ってやる必要はない!!向こうが交渉の席を蹴ったんだ!!殺せ!!」

「分かりましたぜ!!おい!!行く・・・」



ドドドドド!!!!



「今度は何だ!!??」

「か、頭・・・」

「『・・・』」

「お、おい?どうした?」

「何でそんな体が穴だらけなんだ!?」

「・・・」

「おい!!」

「・・・」

「ダメです・・・死んでます・・・」

「何が起きてるんだ・・・」





・・・・・



宗教国上空



『こちらファントム01。各方面に伝達。赤が爆撃命中。赤点滅が偵察機による人質が隔離されているエリアとなる。これより方向転換しもう一度爆撃。その後そのまま帰投する』

『こちらファントム03。各方面に伝達。2回目爆撃終了。引き続き赤が爆撃命中。先の爆撃を持って帰投。以上』

『了解。あとはこちらで引き受ける』

「ということで空自が爆撃を終えた。残りは俺たちの仕事だ。先も申した通り、殺しか捕縛かは任せる。それはお前らの判断だ。まもなく都市内に入る。仕事を始めるぞ!!」

「『おう!!』」





これより国家警備隊は各方面の作戦を実行した。その光景を目の当たりにしている各国は神妙な趣きを抱いていた。

引き続き宗教国



「彼らが到着しましたね」

「はい。あの砲撃の音を聞きますと、敵対は愚策であると改めて思いますね」

「はい。それにあの数です。幾ら上空からの支援があるとは言え、10万に対して百分の1の1000人であれだけの人数に対して優勢として立っているのです。しかも念の為という意味も持って」

「つくづく凄いですね。あの国は・・・」

「ええ・・・」



30分後



「あれ?」

「攻撃の音が止んだ?」

「終わったのでしょうか?」

「さあ・・・」



ドドドドド!!!



「誰かが駆け上がってきます。皆、対処を・・・」

「『はい!!』」



駆け上がる音に警戒をしていたが、上がってきたのは



「し、失礼します!!あれ?」

「ああ、宗教警備隊の。すいません・・・。どうしても駆け上がる音に敏感になっていました」

「はあ・・・。それよりご報告です」

「何ですか?」

「日本国の国家警備隊がご訪問です」

「どうぞ。ご案内してください」

「はい」



「お待たせしました」

「ありがとうございます。ではこれで」

「はい。では改めまして。本日は救援要請の受諾、誠にありがとうございます」

「いいえ。私たちはあくまでも上からの命令に従っただけです。それ以上のことはしていません」

「そんなことはありませんが・・・」

「横からすいません。あの、国家警備隊とは何ですか?」

「こら・・・」

「構いませんよ。国家警備隊とは日本の警務隊、つまり日本の憲兵と同意義の国家機関となるところです」

「『日本の憲兵隊』」

「あれ?そういえば日本には都市警備隊もいますよね?」

「ああはい。あれも警備隊です。ですが我々とはとは違う機関になります」

「どう違うのですか?」

「警備隊と言いますが、本来の意味で用いる警備隊とはその彼らのことなのです。なので警備隊は警備隊でも。2つの機関を持っている警備隊なのです。国家警備隊は日本の憲兵。都市または地方警備隊は我々では警察と申します」

「警察と憲兵」

「他にはどう違うのですか?」

「管轄の問題は多少ありますが、ほぼ一緒ですね。違うとしたら警察は国境を越えることは出来ません。つまり海外での活動は出来ませんが、我々だと出来る。こういった違いもありますね」

「そうなのですね。ああ、話が脱線して申し訳ないです。それで、結果はどうなりました?」

「一応捕縛しました。それは宗教警備隊に引き継ぎましたので後ほどご確認ください。それで結果ですが、犯罪集団は合計15万」

「『15万!?』」

「はい。こちらは1000人で対応しました。捕縛が10万、残りは殲滅です」

「10万も捕縛して頂けるなんて・・・。なんて申し上げたら良いか・・・」

「そこは気にせず。それと人質ですが。こちらも全員救出、大きな怪我や致命傷はないものの、心に傷を負った者もいますしその中には実際に凌辱された女性もいらっしゃいます。こちらのケアを優先してください」

「はい。それは勿論国を挙げて」

「それとこちらは朗報です。大半の宗教警備隊は助かりませんでしたが、生き残りも多数確認しこちらで応急処置を施しました。それも含めて引き渡します」

「!!何から何まで・・・。ありがとうございます!!」

「『ありがとうございます!!』」





王国



「陛下・・・」

「ああ・・・」

「彼ら、やってくれたのでしょうか?」

「さあな。急に戦闘している音が聞こえなくなったな。あの者たちが勝利を掲げていると嬉しいんだが・・・」



コンコン



「どうした?」

「日本の憲兵隊がこちらへ」

「憲兵隊・・・。ということはあの戦闘に勝利したのか?」

「あの顔は、その通りだと思います」

「なら通せ」

「はい」



「お待たせしました。こちらが日本の憲兵隊です。憲兵様。こちらが国王様です」

「ありがとう。お初目にかかる。国王」

「お願いする。早速で悪いが、成果を教えてくれ」

「ああ。先ず犯罪集団の数は合計15万前後。13万を捕縛。残りは殺した」

「『!?』」

「だ、大戦果じゃないか!?」

「そうでもない。そんなに褒められたものではないしな」

「な、何言ってるんだ!?しかも日本憲兵隊皆さん頷いているし・・・」

「そ、そうですよ!!我々としては大助かりなんですから!!」

「じ、自信を持って!?」

「そういう問題ではありません。それは置いといて、戦果としては以上になります」

「わ、分かった。因みに負傷者とかは?」

「貴国の負傷者は合計5万。一応全員応急処置で治療したが死者が1万にも上った。これはどうしようもなかった」

「いい。そればっかりはどうしようもない。確認出来ただけでもありがたいものだ。家族とかに報告が出来る」

「お悔やみを・・・」

「ああ。ありがとう・・・。それで?」

「?」

「いや。君たちの怪我の具合は?無傷とはいかないだろ?」

「『?』」

「ああいや。これは失礼。我々の怪我は一切なしだ」

「『え!?』」

「は、はあ!!??一切無いだと!?虚偽はよせ!!」

「誰が虚偽や虚勢を張るか」

「ってことは本当に?」

「ああ。誰もいない」

「『嘘・・・』」





連合王国



「国王・・・」

「止んだみたいだな・・・」

「これは微笑みを浮かばせた準備をした方が良いかもな?」

「そう簡単にはいかない。何しろ死者も必ず出ている。そいつらを考えるとな・・・」

「まあな・・・」

「国王様。日本の方が参られました」

「よし。通せ。それと何か飲み物を」

「はい。では私からメイドや給仕に」

「頼んだ」



「失礼します」

「これはどうも。日本の皆さん。お待ちしていました」

「そうですか?お会いできて光栄です」

「私もだ。どうだい?ちょっと長話になるだろうから飲み物でも何か。おう」

「『はい』」

「ああいい。遠慮します」

「え?そうなのか?彼女たちの出す飲み物は美味いのに」

「やめておきます。それに我々はまだ仕事中です。それも相まってお断りします」

「残念。まあいい。それで?戦果を聞こう」

「先ず犯罪集団の本拠地を爆撃。表に出てきた連中を片っ端から片し続けた。その結果が他の街道に出てきた連中も合わせて合計50万。一応事前に聞いてたんだが、恐らく本拠地も相まってこの国が最多数だな・・・。まあ貴国も周辺国から情報は得ていたのでしょうが」

「ああ。周辺国も同様な被害が出たのは俺たちも知っている。勿論当国に犯罪集団の本拠地があることもな」

「まあそれでも50万という規模だと流石に警備隊や兵士集めても厳しい者もあるでしょう。流石に本拠地と襲撃地は凄惨でしたよ」

「分かってる・・・。想像するに容易い」

「ところで国王との関係は?敬語外せれるとか単なる関係ではないだろ?」

「まあな。幼馴染でバカ仲間だ。俺の権限で許可している」

「そうですか。それでですが、先ず敵側の被害は本拠地及び各拠点の消滅。被害数は50万の内40万。これは全て本拠地にいた数でこれは全滅。残り10万の内5万は捕縛。残りは殲滅した」

「『50万のうち45万を蹂躙し5万捕縛!?』」

「待て待て!!君たちの動員数は!?」

「500程です。なので連合王国へ向かう部隊の隊長は私三佐、少佐が担当しました」

「たかが500人で45万を殺す。しかも5万人を捕縛するなんて・・・。君たちにも被害が出ただろ?」

「いや。俺たちの被害はゼロだ」

「『ゼロ!?』」

「いやいや!!それは無いだろ!?」

「まあ強いて言えば」

「『強いて言えば!?』」

「武器の携行していた弾数が無くなった、腹減りで動けなかったくらいだな」

「『・・・』」

「もう良いや・・・。それで?我々の国の被害は?」

「こちらは数は中々でありますよ?聞きますか?」

「覚悟は決まってる」

「俺もだ」

「では改めて。死傷者合計13万だ」

「『・・・』」

「陸軍や警備隊の2割が消えたか・・・」

「もはやこれは戦争と同意義だな・・・」

「これより先は君たちの仕事です。一応請求はしますが、俺から上に打診して出来る限る請求をその犯罪集団に大部分を加担させるように口添えをしたいと思います」

「「・・・すまん。頼んだ・・・」」

「『お願いします・・・』」

「お任せを」





帝国



「皇帝!!あれを!?窓の外を!!」

「あれは・・・空軍が帰ってきた。ということは?」

「ええ。どうやらそのようです!!・・・って皇帝!?」

「こうしてはおれん。俺も外に出てこいつらを出迎える!!」

「皇帝!?」



「こ、皇帝・・・。わざわざこちらの庭まで・・・ありがとうございます」

「いや構わない・・・。被害は出てしまったものの、大部分が生き残って俺も嬉しいぞ!!」

「皇帝・・・。ありがとうございます。ですが皇帝。今この場で祝杯をあげたいのは分かりますが、今皇帝に会わせたい人物が」

「横にいる日本の方達だな?」

「はい。こちらの方々は日本の国家警備隊。日本の憲兵隊です」

「憲兵隊、ようこそいらっしゃいました。私がここの皇帝を勤めています。横にいるのは私の家族と使用人達です」

「よろしくお願いします」

「女性なのですね?珍しい」

「そうでも無いですよ。日本に女性が務まるのは何も珍しくもございません」

「そうなのですか。ですが今回は救援に来て頂いて感謝します」

「頭を下げる程でもございません。私達はこうして皇帝にご報告に来ただけであります」

「それはそれは。わざわざありがとうございます。それで、成果はいかほどに?」

「先ず敵集団は全滅。総数5万。これを全て蹂躙しました」

「5万を全滅ですか。もしかして余裕が無かったのですか?」

「・・・少々嘲笑が気になりますが違います。捕縛する必要がなくなったからです」

「捕縛をする必要が無い?どういう事ですか?」

「犯罪集団の本拠地が隣国の連合王国にあるのはご存知ですよね?」

「ああ」

「あそこで街道や都市など、総数50万規模の敵が判明しました」

「『50万!?』」

「こちらを別部隊が40万が殲滅、10万を捕縛しました。それだけでなく更に上の国、宗教国でも15万規模の敵を確認。10万を捕縛。残り殲滅。そこから北東の王国でも確認。こちらも15万規模。13万を捕縛。残りは殲滅。こう聞いて私たちが捕縛する必要がありますか?」

「『・・・』」

「で、ですが私達の面子も」

「女性指揮官を見て嘲笑した貴方達に私達が考慮する必要はありますか?」

「『・・・』」

「ん?」

「『も、申し訳ありません・・・』」

「一等空尉。その辺で」

「それもそうね。では私達はこれで失礼します。それ戦果品の手土産です。貴方方も見覚えのある顔では?では」

「『・・・』」

「『元帥と研究会会長!?』」





合衆国



「あれ?報告は?」

「ああ、大統領。先程戦闘が終了したそうです」

「そ、そうか・・・。そ、それで?結果は?」

「日本国の介入により、犯罪集団は壊滅したそうです。この後報告に来るそうです」

「そ、そうか。なら日本国の方々が来るまでに最高級のもてなしを用意しないとな・・・」

「そうですね。それに報告によれば、我々が苦労していた港湾都市も到着後15分で敵を壊滅したそうですので」

「『15分で壊滅!?』」

「早すぎだろ!!!」

「そ、それより君たち、急いでもてなしの準備を・・・」

「『は、はい!!』」



「大統領、まもなく到着予定時刻です」

「ああ。君たちも心の準備だ」

「『はい!』」



「あ、あれ?皆顔ぶれが揃ってる?」

「た、確かに見かけない顔はいないですね?」

「まあ確かに見ない顔はいるけど、それはあくまでもまだ新人警備隊や軍人の皆さんですね。けど何処を見渡しても日本国の方々が見えないような・・・」

「これ、後で来るとか?」

「う〜ん・・・けどそれなら案内も兼ねて後ろにいるのでは?」

「まあ、とりあえず待ちましょうか」

「そうですね」



「大統領。お待たせしました」

「皆、ご苦労だった。大変な仕事を押し付けて申し訳ない。人によっては隣で寝ていた同僚や信頼していた上司や部下を喪っただろう・・・。そこはお悔やみ申すし、我々国の政府としても力不足が露呈した事に謝罪したい。申し訳なかった」

「『大統領・・・』」

「頭を上げてください大統領。確かに決して小さく無い被害です。私も仲間として、そしてライバルとしてお互い切磋琢磨し合った仲間を喪ったのです。ですが、決して後悔はありません。寧ろ彼らが戦ってくれたからこそ我々がいるのです。これを忘れないようにしていけば、彼らも我々の心の中で生き続けるのですから」

「君たち・・・。そうだな。その通りだ。塩臭いのはこの辺にして、日本国の方々は?」

「『・・・』」

「どうした?何で警備隊と軍隊一同が困惑の表情をしてるんだ?」

「そ、それがですね?大統領」

「ああ」

「彼らですね?」

「うん」

「この紙を残して」

「ふむ」

「自国へ帰られました」

「『・・・』」

「『えーーーーーー!!??』」

「ど、どういうことだ!?」

「何でも『我々日本国はそのような報告をする程暇ではない。現に帰投しても仕事が残っている。なので自国を優先すべく祈祷させてもらう。詳細は紙に書いたのでこれを読み上げるが宜かろう』とのことです」

「『えええええ!!??』」

「そ、それで?その紙は!?」

「こちらです」

「えっと?『報告は全てこの紙に書いたのでこれを以って戦果とする。

1:敵総数は25万人 その内20万捕縛、残り蹂躙

2:貴国の被害総数は15万。死者7万、重症者5万、残り軽症

3:日本国側の被害ゼロ

4:民間人の被害合計100万。死者5万、重症者50万。心的外傷25万人

5:敵拠点から密告者や物品などを押収。これを全て貴国の兵士または警備隊へ受け渡し

6:我々に構ってる暇があるなら優先順位を考えろ

以上を以って報告とする』」

「『・・・』」

「ざっくり過ぎるだろ・・・」





・・・・・



帰投中の各部隊



『HHQ。こちら北方方面。報告はPDFにより送信。こちらの被害無し』

『HHQ。こちら北西部。こちらも報告はPDFにより送信。ファントム共々被害無し』

『HHQ。こちら西部。こちらも報告はPDFにて。但し本拠地が西部の連合王国で被害も激しい為、金額部分の大半を犯罪集団に加担させたい。被害無し。強いて言えば弾切れや空腹による倒れ』

『HHQ。こちら南西部。こちらも報告はPDFにて。ですが私の姿を見て女卑の印象あり。こちらも印象が悪くなったので交渉の余地あり。被害無し』

『HHQ。こちら南方。報告はPDF。被害無し。大統領への報告は軍隊の部隊長経由で紙での報告。被害無し』

『HHQ。了解。相変わらず癖が強いな。とにかくご苦労。帰投後休息を取ってくれ。特別休暇とする』

『『了解。直ちに帰投する』』

『お〜い。そこだけやる気を起こすな〜』



最後の彼らはやはり普通の人であった。この光景は我々にしか知らない。

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