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応援要請

応援要請





国家警備隊が稼働してから数日、初めての週末を迎えようとしていた。本日も通常通りパトロールを開始しようとしていたが、今日は各隊員何故か妙な胸騒ぎというか、落ち着かない雰囲気になっていた。



「お疲れ様。今日はこのメンバーか。15人規模だな」

「はい。なので今回はこの中で一番階級が高い三等陸尉に班長をお願いしたいと思います」

「と言っても防衛大学を卒業してまだ間もないぞ?経験ならそこの陸曹長が詳しいだろ?」

「確かに経験でしたら一番上でしょうが、上官がいる場合はそちらに優先度が高いのは言わなくても分かるのでは」

「まあそうなんだが・・・。しかし珍しい組み合わせだな?空陸混合班とはな」

「はい。15人の内6人が空自隊員ですね。もしかしてこちらへ出向ですか?」

「はい。陸海空合同で色々経験を積めという上からの命令で、今回は陸自主体の部隊へ1週間程出向することになりました」

「それって逆に俺たち陸自が空自に出向もあり得るという事か?」

「あっても国家警備隊でヘリに乗り込むとかくらいだろう。それで上空からヘリでロープを降って犯人制圧とかだろう」

「へえ〜。そんな感じなのか。じゃあ今回空自の最高階級は?」

「私よ。階級は貴方とと同じ三等空尉」

「そうか。やりづらくないか?」

「今回は陸自主体よ。なので貴方が班長で良いわ。これが空自なら私なんだけどね」

「そう?分かった。けど同じ階級だから副班長兼空自班長は君で良いか?」

「それなら良いわよ。それで?今日はどこ行く?」

「土地的に国境に近い街や町、村などを見回る。外国からの応援も駆けつけれるように都度外も確認だ」

「あれ?隣国の応援ってどう判断するの?」

「信号弾、発煙や開けた場所なら旗や光の点滅だ。モールス信号だっけ?」

「多分それね。他には?」

「国境を越えた隣国側に通報用の隊員を配置している。隣国との交渉して、法執行官のみの越境を許可が降りている。最悪はそこに駆け込めば応援が来ることもあっち側の国の人たちは周知している」

「結構徹底してるのね。流石長年異世界で展開しているだけあるわね」

「だけとは何だ?それに長年といっても俺たちは最近来ただけだ。そういうのは引退した隊員に言ってくれ」

「それもそうね。それで?今回の使用車両は?」

「ハイラックスを2台。キャビンに乗れない奴は荷台に乗ることになる」

「荷台に?屋根なしのか?」

「雨が降れば帆が設置できるが、それ以外は剥き出しだな。大丈夫だ。しっかり掴まってれば落ちはしないし、座ることも出来るぞ」

「それをこんなか弱い女性らにそんな苦行をさせよってか?」

「流石にそこは考慮するさ。まあ乗り方は任せる」

「仕方ないわね・・・。さ、貴方たちも乗り込むわよ」

「『はい』」

「CP、こちらデルタ21、22。これより開局開始。エリアは国境付近全体とする」

『CP了解。隣国からの応援要請は受けるか?』

「受ける」

『了解』





・・・・・



国家警備隊の一部が警らを開始したその頃、隣国の国境付近の街ではまもなく大規模犯罪が開始されようとしていた。まずはその犯罪組織の会話から。場所は一番近い都市から東に30キロ程離れた洞窟内。因みにその都市から西に20キロ程進むと日本との国境である。



「親分・・・。いよいよ今晩結構ですぜ?」

「そうだな。いや〜ここまで長かったな・・・。仲間を集め武器も集め、犯罪者に成り下がった浮浪者を片っ端から掻き集め訓練を施し、周辺国で賞金首や盗賊と共謀、時には殺し合いもした、兵士や警備隊にも追われたが、買収、脅迫、根回しもし、ここまで大きくなった。全てはこの国、そして周辺国全てを全てを征服や復讐を果たす為、そしてあの忌々しい王族や皇族、国の上層部に俺らの力を思い知らせる為に。ただその一心で成長を重ねてきた。今日はそれの記念すべき初動だ。そう思うとここまで長かったな・・・」

「はい〜親分。今では周辺国で最大の犯罪組織。その総頭として君臨。今では貴方の部下は種族男女問わず全て合わせて100万人。これの始動を心待ちにしていましたぜ」

「ああ・・・。そろそろ時間だな・・・。皆を集めろ。簡単な集会をする。な〜に、軽く鼓舞するだけだ」

「はい〜。お待ちを」



この犯罪集団は初めはただの数人しかいない集団、それも元軍人や騎士といった国に忠を尽くしていた者達だったが、そいつらは素行が悪く、平気で無関係の方を縛り上げたり物品を要求してきたり、冤罪をふっかけたりと正直本当に思考が壊れている連中だった。

勿論それが上層部の耳に入らない訳もなく、当然の如く除隊や剥奪。それは当然の事なんだが、思考がイカれてる奴らにそんな思考をしている筈もなく、当然の如く奴らは逆恨みと捉えたようだ。その結果が同じ追われた者同士共同し、そのままの勢いで周りにも波長し、奈落者の集団の出来上がり、ということだ。

勿論成長の仕方に理性がある訳も無く、盗賊と同じように旅人や商人から強奪や追い剥ぎ、街道を封鎖し通行料の接収、密告人を送り込み、自治体会長や貴族当主を脅し、応じない場合はその都市内で犯罪が横行。応じた者や白旗あげた者は犯罪集団の言いなりになっていた。税金を上げたり武器を没収したり。当然ながら悪徳当主もその流れで成長。金関連の不正や改竄はお手のもの。嗅ぎつけた奴には買収か殺害もして闇に葬っていた。挙句に違法な人身売買も手を出し、法外な金額で取引をしていった。

そして少しずつ人数も集まり、対立もしながら成長し切ったのがこの犯罪集団である。

当然既に周辺国はこの犯罪集団の構成員全員を指名手配にしている、が、こいつらはそんな事「何だそれ?」と、言わんばかりな感じである。



「よ〜しお前ら!!遂にこの時が来たぞ!!さっきこいつにも先に言ったが、遂にあの平和ボケした奴らを粛清する時が来た!!」

「『うぉぉぉぉ!!!!』」

「良いか!?思い出せ!!俺たちが祖国で何した!?ただ単に生活してただけなのに、あいつらは俺たちを追いやったんだ!!!許せるか!?」

「『許せねぇ!!!!!!』」

「そうだ!!許せれる訳ないよな!!!そこで聞く!!お前らはそいつらをどうしてやりたい!?お前は!?」

「俺はそいつらの首をこの綺麗なナイフで斬ってやりたい!!」

「それ良いな!!!その光景を俺も目に焼き付けたい!!他には!?お前は!!??」

「俺は、俺をこうした奴らを八つ裂きにしてやる!!命乞いも許さん!!!」

「素晴らしい!!!その闘争心を燃やせ!!!お前は!!??」

「私は!!!今まで夫がいた!!!いたというのはもういない!!!!何故なら!!??あいつらは夫を殺しやがった!!!この武器は、その仇を討つために日々磨いてきた!!!今ここで、それを振るってやる!!!」

「その復讐心も良い!!!最後にお前!!!」

「私たち双子は!!穢したあの時の男どもを許せない!!!その男の象徴であるアレを斬ってやる!!!」

「良いね!!!象徴を失くすのも良い!!!その心を忘れるな!!!良いか!?俺たちはその良い加減な奴らに鉄槌を加える為に集まったんだ!!!それを今晴らせ!!!」

「『うぉぉぉぉぉぉ!!!!』」

「一つだけ警告だ。これだけは忘れるな。この国の西には日本という、あの最強で最恐で最狂で最凶な軍事力や攻撃力を持っている。ただの一般警備隊ですらヤバい奴らの国だ。その国に飛び火してみろ?俺たちは一瞬で消し炭だ。そうなっては俺たちの野望も炭となって消える。それだけは避けろ。分かったな?」

「『おおおおおおお!!!!!』」

「宜しい。では参るぞ。お前ら・・・」

「『・・・』」

「殺戮の開始だ!!!!」

「『うぉぉぉぉぉ!!!!!』」





・・・・・



日本国の真北にある国。王国である。王都から程近い街道からその悲劇は始まる。冒険者がとある有力者を護衛している。



「こちらの道で良いですかね?」

「ああ。この道をひたすら北に行けば王都だ。そこまで行けば依頼は終了だ。いや〜長かった」

「気持ちは分かります。馬で1週間ですものね。でも残り1日で着きますが既に夜。移動は危険を伴うため、ここで野営しましょう」

「それもそうだな。移動最後の晩飯にしましょう。ささ、皆荷車に乗って。飯にしよう」

「『ありがとうございます』」



どうやら商人の護衛任務のようだ。既に日も落ちている為、ここで野営する模様。食事の準備をしている時、動きが。



「待った」

「どうした?何か察知したか?」

「うん・・・。この数・・・動物や魔物ではない・・・」

「盗賊か?」

「その割には人数が多すぎる・・・。けど盗賊ね。30人来るよ!!」

「『30人!?』」

「お、おい!!対処出来るよな!!」

「30人となると難しい・・・。最悪は街に駆け込みましょう!!」

「でも急いだ方が良い。統率能力が並な盗賊ではないよ!!ここは逃げましょう!!」

「分かった。すいません急いで駆け込みましょう!!」

「分かった!!」



急いで逃亡の準備を終え、逃亡を図ったが、時既に遅し、既に退路を塞いだ。



「遅かったか・・・」

「みたいですね・・・」

「こんなに統率能力がある盗賊団も珍しいですね」

「逃げれるか?」

「正直厳しいですね・・・。私たちA+冒険者とはいえ、30人は結構骨が折れますね」

「ということは何とかなるということだな?」

「うん。でも無傷ではいかないかも」

「分かってる。やるぞ!」

「『おう!!』」



夜間、更に光の無い状態での対決はかなりリスクだ。当然ながらそう簡単に対処出来る相手ではない。何しろ相手の盗賊に軍人上がりの者もいる為、護衛任務についている冒険者はその対処に追われてた。結果から言えば無傷とは言えず、重症者も負いながら盗賊団と戦い、何とか冒険者の勝利に収めたが、翌朝になり報告を受けた衛兵や冒険者、ギルド職員はその凄惨な光景に呆然としていた。



「な、何ですかこれ・・・」

「対盗賊にしては数が多すぎだな・・・」

「話を聞くまではなんとも言えなかったが、実際見ると中々凄い光景だな」

「ギルドマスター。冒険者の容体が分かりました。一人を除いて全員生き返りましたが、復帰は不可能です。腕が動かなかったり足が言うことが聞かない、幻影も見るのもいるとか」

「はぁ・・・依頼失敗か・・・。だがこの光景を見てしまうと正直失敗扱いには出来ないな」

「はい・・・。恐らく死闘を繰り広げたのを目に見えて分かりますね・・・」

「それで?盗賊団は?規模が30人と聞いたが?」

「あ、はい。軽傷で済んだ方に聞いたのですが、どうも盗賊団連中、かの複数国で指名手配されているあの犯罪集団の一味みたいです。死体の大体にその構成員が混じっていました。それで人数ですが、15人を葬ったそうですが、残りは逃したそうです。まあ、仲間も深傷を負っているので仕方ないのかもしれませんが」

「まあ、治癒院に乗り込んだ時の初見の症状はな・・・。治癒院の助手とシスターがその傷を見て吐いたそうだ」

「あ〜・・・ゾンビになったとか重い火傷を負ったとかではありませんものね」

「ああ。人の手によって出来た傷だからな」

「それで、この先はどうしますか?」

「一応緊急事態ということで領主に報告をした。恐らく他でもあるだろうな・・・」

「・・・」



実はギルドマスターのその最悪な形で的中していた。その説明は省くが、一番最悪な被害が出たのは北方全土を管轄に収める辺境伯で、貴族軍と地方警備隊合わせて3万人と盗賊団10万人が死闘を繰り広げていた。こちらの結果は双方甚大で、辺境伯側の被害は死者5千、重症1万。盗賊団側の被害は死者3万、重症5万を叩き出した。当然この事態は緊急通達として王都含む全土で放送された。王城内もその対応に追われていた。



「国王陛下!!盗賊団の正体が分かりました。あの周辺国も指名手配されている、あの最大規模を誇る犯罪集団の一味です」

「そうか。何故今になって活動を再開した?国防省、何か聞いてるか?」

「正直言いまして全く分かりません。ですがそもそも盗賊と言っても規模が違いすぎます。我々が知っている盗賊団と言いましたら最大でも10人くらいの規模。それがその1万倍。どう考えても規模が違いすぎます。恐らく何かしらの企みを開始したとしか・・・」

「どのような企みだ!?」

「読めませんが、これだけの規模です。後ろ盾なしでは無し得ないと思うと、貴族や有力者の資金援助もあり得るかと」

「急いで資金関係も含め全て洗い出せ!!」

「『は!!』」





・・・・・



日本の南にある国。こちらは合衆国。こちらでは更に深刻な事態に陥っていた。実は既にあの犯罪集団の対応に追われていた。時間的に合衆国が最初みたいだ。



「おい!!どうなってる!?既に10組以上の冒険者が盗賊絡みで壊滅!!一番高ランクでA++だ!!これは国を挙げて原因を突き止めなければ!!」

「大統領!!」

「おう!!捜査長官!!原因は!?」

「あの最大規模の犯罪集団の一味です。また活動を再開したみたいです」

「何?!何故今更!?」

「動機は不明ですが、厄介な点が」

「何だ?」

「他の方にもこの場で報告します。先ず犯罪集団の構成員ですが、この数枚に見覚えがありませんか?」

「『・・・』」

「あ」

「どうした研究所所長?見覚えが?」

「あ、俺もあるぞ?」

「海軍元帥もか!?」

「これは・・・こいつか?」

「商業ギルド長もか・・・」

「これもこれも、私見たことある!」

「私も」

「うわぁ・・・。まさかの娘たちもか・・・。それで?こいつら誰だ?」

「えっと、私軍事関連の研究だけど、彼が来たことがあるのよ。同じ研究者だったけど、異常な思考をしていて周りにも危害が及んだがら辞めさせたのよ」

「研究者」

「俺は海軍だったが、奴を陸軍で見たな。除隊になったと同期から聞いたが、まさか犯罪者になっていたとはな」

「軍人」

「あたし、こいつに言い寄られていたの。気持ち悪かったから接近禁止命令を出してもらってたの。確か元傭兵の記録があったよ」

「傭兵」

「こいつだよこいつ。ほら、パパのお誕生日会で色々無礼を働いていたケダモノ。確かどこかの男爵の息子だったよ。ただ嫡男ではなかったはず、3男か4男な筈」

「お姉ちゃんと同じやつ!!」

「男爵息子か・・・これは結構マズイな。まさかの元公務員が犯罪者に・・・目星は!?」

「残念ながら付いていません。今南西部の港湾都市の街道で盗賊団と都市警備隊が交戦中、冒険者にも応援要請しています」

「他には?」

「現在空軍にも協力要請をしていますが、手が足りません。上空で出た魔物や隣国との交戦でこちらに人員を割けれないそうです」

「クソ・・・。首都から港湾までは結構距離があるし、何なら他でも交戦中だし・・・。どうしたら・・・」

「まだ手はあります。考えましょう?」

「妻よ・・・。研究所に聞く。遠距離攻撃の出来る武器は?」

「一応ありますが、数発が限界です。それと発射角度をミスると・・・」

「ミスると?」

「最悪は都市が消滅する可能性もありますし、北には日本国が・・・」

「『・・・』」

「盗賊団に潰されるよりかはマシだ。発射準備だ。座標は正確に!」

「『はい!!』」



合衆国は長距離魔法砲撃を放つようだ、だが精度はイマイチ。大統領の判断が委ねられる。





・・・・・



日本の南西方面、合衆国と西にある連合王国を挟んだ更に南西部、つまり国境として面していない国がある。帝国である。この国も周辺国同様に盗賊団の被害が確認されている。



「隣国との連絡はどうなってる!?」

「専用回線にて取り合っていますが、何処も我々と同じように被害が出ている様です!!」

「合衆国も被害が酷いみたいです!!」

「合衆国でもか・・・。他に応援は!?」

「空軍が現地に向かって飛んでいます!!ブレスできる飛竜を展開しています」



その頃、その空軍所有の飛竜に乗って移動している軍人は、盗賊団の情報に戦慄している。



「まもなく上空に到着するが、何だあれ!?」

「ワイバーンが魔法でドンドン堕とされていくぞ!?ただの盗賊団ではなかったのか!?」

「分かりませんが、今回の飛竜はブレスが出来る飛竜です。これで薙ぎ払いましょう!!」

「だが目測を誤るなよ!!味方に当たったら大惨事だ!」

「分かってます!!行くぞ!!目標盗賊団!!放て!!!」



「命中していますが、盗賊団も避けてます!!」

「どうやら相手も有能だな!!多分元軍人もいるのだろう!!」

「はい!!木々に隠れている奴もいて照準が定まりません!!」

「何とか撃て!!隙間にいる奴も撃て!!」

「はい!!!」



「どうだ!?」

「分かりません・・・」

「隊長!!魔法陣を確認!!!こちらに撃ってきます!!」

「各員全力回避だ!!!」

「隊長!!ただの魔法陣ではありません!!追従付き魔法陣を確認!!回避の際振り落とされないように!!」

「何!?どう見ても並の軍人か冒険者じゃないな!!聞こえたな!!振り落とされるなよ!!」

「『はい!!!』」



「生きてるか!?」

「はい!!ですがまだ来ます!!恐らく交代交代で放って来るかも!!」

「クソしつこいな〜〜!!!ならこっちも高度を上げて出力を上げろ!!!」

「『はい!!!』」

「あと魔力切れにも注意しろ!!魔力切れを起こしたら俺たちで撃たなければならなくなる。そうなれば出力も上がらないから高度も下がる、ということは!?」

「私たちに命中する可能性も・・・」

「そういうことだ!!!避けながら撃て!!!」



上空で空軍VS盗賊団で対決している最中、また別の国でも煙の狼煙が上がっていた。





・・・・・



「周辺国は!?」

「日本国も含め連絡とってますが、日本以外の国全てが被害が出ています!!」



そう。日本から北東部にある国。宗教国だ。こちらの国は宗教を重んじているため、周辺国と比べると軍事力は低い。故に宗教警備隊が対処しているが



「ダメです!!警備隊が押されています!!!」

「既に東端部の都市は盗賊団によって壊滅!!!」

「それによる街道も封鎖!!救援物資が送れません!!!」

「報告します!!!恐らく現段階で盗賊団と交戦中の国の数5国、更に一番被害の大きい国は当国になります!!」

「クソ!!やはり宗教国だけあって軍事力では敵わないか!!」

「教皇!!」

「何だ!!」

「あの、まあ緊急事態だから、教皇は女性なのに男勝りの口調は良いとして、5都市が盗賊団によって乗っ取り!!宗教警備隊も甚大な被害が出ています!!」

「軍事力があれば・・・」

「ですがそれは・・・」

「ああ。この宗教の意義に反する・・・。どうしましょう・・・」

「教皇。もう限界です!!周辺国から派兵を!!」

「けど何処が出兵出来るんだ!?犯罪集団によって被害が出ている国は自国で精一杯だしこの国の東の国との物理的支援は途絶えた!!」

「教皇!!まだあります!!」

「は!?何処にあるんだ!?国境繋がりは全滅だ!!」

「誰が国境繋がりと言いました?日本国がありますよ!!」

「日本国・・・。けど1国跨ぐことになるぞ?来てくれるのか!?」

「アイツらの治安維持、捜査などに特化した憲兵、国家警備隊ならいける筈です!!」

「ああ、最近稼働した憲兵組織か・・・。協力を取り付けれるか!?」

「聞いてみます!!」



宗教国が自国の危機に立ち向かう為、日本国からの治安維持要請を決定した頃、他国も選択に迫られていた。

先ず北方にある王国は



「ダメだ!!対処に追いつかん!!これ以上の派兵は無理か!?」

「はい!!ダメです!!追いつきません!!こうなったら日本国の憲兵に頼みませんか!?」

「クソ!!背に腹は変えられん!!あの国に協力を取り付けろ!!恐らく金額が高いが仕方ない!!」



西にある連合王国は



「犯罪集団の本拠地が分かりました!!ですが構成員が30万人もいます!!」

「今更判明したところでどうしようもないぞ!?しかも場所が日本との国境付近じゃないか!?攻撃座標を間違えると日本との交戦を意味する!!・・・いや待てよ?」

「陛下??こんな時に何をお考えを!?」

「・・・これだ!!今更その本拠地に向けて派遣出来ない。けど座標を間違えて日本に攻撃を当てるとそれはそれでマズイ。ならこうだ!!日本から派兵してもらおう!!」

「『!!』」

「その手がありましたね!!」

「早速私が協力を取り付けます!!」

「頼んだ!!」



南西にある帝国は



「ダメです!!ワイバーン撃墜数が予想以上!!消耗も激しいです!!」

「マジかよ・・・。盗賊団がこれほどとはな・・・。やむをえん!!!消耗の激しい空軍に帰還命令!!残りは消耗を抑えながら対処だ!!」

「し、しかしそれですと地上も上空にも被害が」

「誰がそのままと言った!!!外交員!!日本国に救援要請だ!!!」

「『日本国にですか!?』」

「悠長な事言ってられない!!奴らのバカみたいな攻撃力が必要だ!!急いで連絡繋げ!!!」

「『はい!!!』」



あの長距離魔法砲撃を行おうとしていた合衆国は



「ダメです!!命中せず!!!」

「クソ、11発中命中0発!!??相変わらず精度に問題がある!!再装填は!?」

「24時間はダメです!!」

「それじゃこっちが負けるな・・・。仕方ない・・・、ホットラインで日本に繋げ。アイツらの軍事力に頼るしかない」

「は、はい!!!」

「忌々しい盗賊団め・・・。覚えてやがれ!!!



と、満場一致で日本国の協力を決定した。





・・・・・



そうとは知らず、のんびりとパトロールしていた隊員は、現在休憩していた。ティータイムである。



「良いね〜・・・。ここのコーヒーは最高だ・・・」

「確かに良い香りですね・・・。ただし飲み過ぎるとトイレが近いのが難点ではありますが」

「それもそうだな。どうだ?空自諸君。のんびり出来ているか?」

「ええ。こんなのんびりとした休憩は空自基地内では出来ないものね。貴重ね」

「はい。どうしても空自内ですとイメトレや予習に余念がないですからね」

「あれは根を詰める結果になってしまうもんな・・・」

「あれ?三尉は意外とのんびり好き?」

「嫌いではないわ。けど毎日だと流石に気が滅入るの。だから程々に息抜きしてるわ〜」

「なるほどな」



15人一同が休憩している間に、遂に周辺国からの通報が一斉発信された。



『総合HQから各位。総合HQから各位。国家警備隊総合本部に周辺国からの通報。内容、応援要請』

「『!?』」

「「お前ら(君たち)。ティータイムは終いだ(よ)」」

「お前はタバコを消しな!」

『応援要請内容。周辺5国にて犯罪集団の一味である盗賊団が都市及び街道を封鎖。各警備隊や兵士と交戦。既に甚大な被害が出ている事を報告として受けている。

規模、計100万人の犯罪、盗賊団。尚、本拠地は西部にある連合王国内判明。国境付近に近い基地または駐屯地及び部隊は直ちに直近の国へ派遣、犯罪集団を蹂躙せよ。手段は問わない。

特に被害の大きい南方の合衆国と北東部の宗教国に重点的に派遣に向かえ。

注意事項、盗賊団は統率能力がかなり高い。上空にも平気で攻撃してくる。周辺の被害を最小限に抑えろ。以上』

『『了解』』

『CP1〜10所属の隊員は南方。CP11〜19及びHQ1は南東部。CP20〜40及びHQ2〜5は北東及び西部、CP41〜50は北方へ向かえ。例外は許す。以上総合本部』

『『了解』』

「お前ら仕事だ!!無線は聞いたな!?」

「『はい!!』」

「なら説明は不要だな!!行くぞ!!俺らは南東部だ!!!」

「『はい!!』」

「空自にも声掛けましょう」

「頼めるか?」

「お任せを。CP12。こちらデルタ21。航空支援も頼みたい。恐らく南東部に一番近いのが当局と思われる」

『CP12了解、補足した。確かに貴局が一番近い。了解。航空支援としてヘリの出動を図る』

「デルタ21了解。HQ1こちらデルタ21。国境まで2分。南東部国境まで最短ルートで約20分」

『HQ1了解。国境は開放済み。そのまま通れ。以上HQ1』

「デルタ21了解」



その後も無線の嵐は続く。



『CP3及びデルタ69、こちらHQ1。デルタ69が南方国境まで2分、国境を開放済み。そして地上および上空からの応援を済ませてある』

『CP3了解』

『デルタ69了解。国境から一番遠い南東部港湾都市まで200キロ走行で1時間』

『HQ1了解』

『CP3了解』


『CP30及びHQ2。こちらフォックス43。国境検問所近くの為これより越境。西部へ向かい敵本拠地へ向かう。尚同伴としてフォックス55、66、68、70が同伴である。本拠地まで15分』

『CP30了解』

『HQ2了解。尚本拠地蹂躙の為、戦闘機の出動させた。カウントダウン時は退避せよ』

『フォックス43了解』


『HQ4こちらホテル11。北東部へは当局が向かう。既に越境済み、北東部国境まで5分』

『HQ4了解』


『CP48。こちらブラボー86。北方へは当局が直近車両であるが、国境までは15分掛かる為、初動は空自に委ねたい』

『CP48了解。空自20機を動員。貴局は越境後最短の所要時間を通達せよ』

『ブラボー86了解』



こうして応援要請を受けて各員出動した国家警備隊。敵がどうなるか楽しみであると同時に、味方が間に合うかどうかが勝利の鍵となるだろう。

次回へ続きます。

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