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初事案

初事案




本格稼働した警察と警備隊。少々ぎこちないスタートとなったのはどこでも一緒の事だろう。今回はその一部のお話である。



「さて、合同朝礼も終わった事だし、車に乗り込むか。流石に乗り方は分かるよな?」

「はい。サイドにあるドアから乗り込み、シートベルトを確実に装着する。但し緊急事態は外すことも許されている」

「その通りだ。今まで馬や荷車での移動だったから初めは慣れないかもしれないが、直ぐになれるさ。それと自動車は基本どの車も馬とは比較にならない程速い。あの大きなトラックも時間を掛ければ時速100以上にもなる。となると小さい車なら速度も出やすい事は想像が容易であろう。なのでその速さになれる為に目も鍛えてほしい。理由は君らも数年後にはこの自動車を運転する機会がでる。それなのに速さに目が追いつかなくてどこかに衝突しましたー、どこかにぶつけましたー、というのは御法度なんだ。そんな風になるのなら乗せる事はできず、署内か今はないが、交番勤務に異動になる可能性がある。その間に後輩がどんどん入って来てその後輩が運転出来るようになれば君らは肩身が狭い思いを職務中にすることになる。勿論成績次第とかにもよるが、そうならない為にも目を鍛えてほしい。分かったか?」

「「「はい」」」

「それで、今回乗る車はどれでしょうか?」

「あ、そういえばまだ鍵の受け取りをしてなかったな。巡査部長、何になったんだ?」

「はい。今日はこちらですね。ワーゲンのパサートですね」

「いきなりドイツ車か。まあ異世界での日本の国土はとにかく広大だからな。速度の出やすい車が割り当てられたか」

「みたいですね。いいかお前ら。この車は最高速度は平気で220以上出る車だ」

「「「220以上・・・」」」

「ああ。だからハンドル操作のみならず、ペダルワークをミスれば即事故だ。そうなれば始末書で済めば良いが、破壊してしまった修理費は市民からの税金、当然車も修理だ。そうなれば警察の信用も落としかねないし、怪我人が出れば当然原因を作った者に責任がのしかかる。今日から暫くの間は君らは後部座席か助手席で数をこなしてくれ」

「「「はい」」」

「質問です。私たちはいつ運転ができるのでしょうか?」

「運転できる資格を君らはまだ所持していない。その試験が最短3年後にある。ここで運転適性とその先の部署関連が決定すると言っても過言ではない。それまでは運転は出来ないと思ってくれ」

「ということは2人は持っているということですか?」

「ああ。勿論持っているし、俺らは自ら隊試験という警察内部にある試験を合格して運転している。そこで合格してからようやく運転出来るんだ」

「分かりました」

「勿論簡単な操作方法は指導中に教えることも可能だ。遠慮なく質問してくれ。だが本業も忘れずにな」

「「「はい!」」」

「では車両点検後出発だ。やり方は朝教えた通りだ。出来るよな?」

「「「やってみます」」」



警部補の指示により出発前点検を行う新米3人。今朝行ったことを実践できているか2人の目が光る。



「「「以上です。問題なしです」」」

「うむ。球切れも無いようだな。合格だ。これを毎回出発前に行う。どこかがおかしい場合は整備士に相談だ。これも忘れるなよ」

「「「はい」」」

「では乗車だ。今回の配置は運転席に巡査部長、助手席に新米、残りは後ろだ」

「「「はい」」」

「警部補。今回の巡回エリアはどこでしょうか?」

「エリアとしては13番エリアだな。あそこは酒場が多いエリアだしな」

「了解です。今から出発するが、ここで忘れてならないのは今回担当するエリアの打ち合わせだ。本当なら鍵を受け取る前にやることなんだが、指導も兼ねて今やることにした。それとセンターコンソールという、運転席と助手席の間にある仕切りにマイクみたいなものが2つあるのが分かるな?」

「「「はい」」」

「一つは他への連絡や傍受できるマイク、もう一つは拡声器というものだ。これで誰かを呼びかけたり止めることができる。恐らく使う機会があるだろう。使い方はその時に教えよう。ではまずこの車がこれからパトロールに出動します〜、という無線を入れる。初めは俺がやろう。こう話してくれ。横にあるボタンを押しながら『CP。こちらアルファ3。開局どうぞ』このように話すんだ。すると返答が返ってくる」

『CP了解』

「な。このように会話するんだ」

「「「お〜〜」」」

「そんな目をキラキラしなくても誰だって出来るぞ・・・」

「番号って決まってるのでしょうか?」

「決まってる。いかにも警察車両というのは外の屋根に書いてある数字がその割り当てだ。それを言えばいい」

「アルファというのは?」

「一種の識別番号みたいなものだ。警察はアルファとかチャーリーとか。逆に憲兵もこの無線を共有してるから、向こうはブラボーとかデルタとかだな。とりあえずこんなものにして移動しようか」

「「「はい」」」



移動開始する警察車両。彼等が所属している署は普通の警察署となる為、コマンドポストを意味するCPとなる。これが所属している署が警察本部なら司令部を意味するHQとなる。覚えておいて損はないぞ。今回の巡回エリアは酒場の多い13番街。ここは酒場が立ち並び、よく通報も絶えない。喧嘩は日常茶飯事だし、泥酔状態の客の財布からスリを行うのもしょっちゅうの場所である。



「そう言えばなのですが、なぜ日本は犯人検挙率が100%なのでしょうか?」

「監視社会って聞いたことがあるか?」

「あ、はい。街の至る所にカメラ?が大通りやお店、小道や一般住宅にも設置しているとか」

「ああ。勿論それだけではないぞ。君らが持っている端末、空中投影できる端末やスマホ、タブレットはこの国では一般人にも普通に流通している。見ない日は無いだろ?」

「はい。初めて来た時は驚きましたね・・・」

「あれも一種の監視なんだ。あの端末から犯人の現在地を割り出す事も可能だし、例え犯人が端末を持っていなかったとしても、識別出来るカメラや一般人のカメラなどをちょっと拝借して現在地を割り出す事も可能なんだ。更に言えばそれを使って予測経路も割り出すことが出来るんだ。それらは全て助手席の備え付けの端末から確認が出来る。その端末がこの車両の現在地を示しているんだが、マップを広げると幾つか動いているのが分かるだろ」

「はい。まさか!?」

「ああ。動いているのが現在俺たちと同じようにパトロールに回っている証拠。動きが遅いのは徒歩か馬での移動だな」

「そ、そんな事まで・・・」

「まだあるぞ。これらはCPやHQも把握している。だから事件などが発生した場合は直近の車両を探し現場にいち早く向かわせるために端末を見て無線で送ってくるんだ」

「ほ〜・・・」

「それだけではない。さっき言った犯人の現在地もそうだし、逃走予測経路もこの端末で把握もできる。表示の仕方は街灯などのカメラから警察署や本部が犯人を探し、発見したら端末に反映。そこから犯人がカメラなどで映ればその都度反映。そこから移動経路の絞り込みを行い更に更新。こうやって犯人確保に役立てるんだ」

「「「す、スゲ〜・・・」」」

「ま、こういうのは日本だからできる所業なのかもな。だからいつでもどこでも見られっぱなしで気持ち悪いというのもいるから理解させるのも大事なんだ」

「犯人検挙率が高いのは納得なのですが、それでも100%に辿り着くのは難しい。こういうのって地方とか周りに何もない街道とかならどうするのでしょうか?」

「都市と変わらない数を地方でも取り付けているし、周りに何もなくても木や岩場に取り付けるのも可能だから、隙間という隙間は河辺や山でも存在しない。それに森とかでもカメラがあるから、中々見つけられない場合はヘリなどの上空部隊に頼むことも出来るしな」

「だからか・・・」

「そういうことだ。さ、話している間に酒場の多いエリアに突入したぞ。ここからゆっくりと回るんだ。一人一人注目しろよ」

「「「はい」」」



警察車両は目的の酒場の多いエリアに到着した。ここを今回の重点エリアとし、指導も兼ねてパトロールをするみたいだ。到着して早々、通報が入った。店の店員であろう兎人族が直接警察車両に近づいてきたのだ。



「えっと、都市警備隊の方ですよね?」

「そうですよ。どうされました?」

「私、そこの酒場の店員なのですが、店内で熊人族同士の喧嘩が始まったのです!」

「分かりました。対処しましょう。案内をお願いします」

「はい。こちらです」

「俺は車を止めてくる。お前らは警部補と共に店内に入ってくれ」

「「「了解です」」」



同乗してた警官が先に店内に向かっている間に巡査部長は無線で連絡していた。



「CP。こちらアルファ3。13番街南西部の宿屋兼酒場にて喧嘩事案発生。店員から直接当職へ通報。対処する」

『CP了解。喧嘩仲裁を第一に、周囲に危害が加わらないように対処し、破損状況、被害情報などを報告せよ』

「アルファ3了解」



今回の喧嘩場である酒場は、比較的規模の大きい酒場で有名である。1、2階が酒場の席、3〜7階が宿屋になっている。今回は2階で喧嘩が始まった。警察官が駆け上がると、少々物が散乱していた。その当事者は



「オラ〜お前!!!」

「やんのかゴラ〜〜〜〜!!!」



と、顔を真っ赤にしながら喧嘩をしていた。どう見ても酔ってるようにしか見えない。しかも喧嘩の割に威力もない。これ以上はマズイと判断し、警部補が仲裁に入る。



「はいはい、お兄さんたち。そこまでにしな〜」

「ああ〜?なんだお前〜!?」

「これは俺とこいつの喧嘩だ!!部外者は帰りな!!」

「俺は警察、日本の都市警備隊だよ〜。今通報が入ったから仲裁に入ってるのだよ〜?」

「通報?は!馬鹿馬鹿しい!これは俺と」

「君たちの喧嘩でしょ?さっき聞いた。けど周りにも被害が来てるの。その辺にしておきな?」

「あ〜?なんだとゴラ〜?」

「そう虚勢を張らない。これ以上はマズイから、ね?外行こう?」

「まだ飲むんだよ〜!!」

「俺もだ!!まだ負けてない!!」

「はいはい。これ以上飲むと制御が効かないでしょ?そこまでにしな〜」

「まだ飲むんだよ〜!!」

「俺もだ〜!!!」

「ならあと1杯だけだよ?これ以上はこっちの権限で会計を強制して叩き出すからね?」

「あと1杯?馬鹿野郎!!まだ10杯は飲むんだよ〜!!!」

「なら俺は20杯だ!!!」

「俺は30じゃいびゃ〜〜〜〜!!!」

「酔っ払って呂律も回ってないな・・・。あと1杯!!これはこっちも譲らないからね!?」

「そう大声出すなよ〜聞こえてるって〜の〜」

「なら1杯だよ?」

「分かったよ!!あと1杯!!!」

「すいません。こいつらにあと1杯だけ飲ませてやってください。こちらで見ますので」

「・・・見るのでしたら・・・、分かりました」

「あと、次いでに会計もお願いできますか?そうするとスムーズに店外に出す事が出来ますので」

「分かりました。あと1杯オーダーが入りました〜!!」

「大丈夫なのか?」

「都市警備隊が見張ってるそうですよ〜店長」

「なら出すか。注ぐから台を持って来い」

「は〜い。あと会計も済ませるそうです〜」

「ならこれが伝票だ」

「ありがとうございます。こちらがラストの酒と伝票ですね」

「金、払えるか?お兄さんたち、払えないのなら代理で君たちの財布から会計分出すけど?」

「「俺らは飲むのが仕事!!お前が代わりに払え!!」」

「言ったからね?撤回はできないよ!?」

「「知ってる〜・・・」」

「ということでお会計はおいくらですか?」

「えっと・・・、合計で200フィートです」

「おぉ〜・・・。(32000円か)結構飲んだな・・・。熊人族ってそんなに飲むのですか?」

「あまり熊人族が来るケースが少ないので少々分かりかねますが、価格の安い酒を結構飲んでいらっしゃったので、結構飲んだと思います」

「そうなのか・・・。まあ俺は酒を飲まないから分からないが、やはり程々が一番だな」

「その通りですね。はいお預かりして、お釣りがこちらですね」

「ありがとう。じゃあ飲み終わったら叩き出すから、もう少しお待ちください」

「はい。お願いします」



そうしてる間に相方の巡査部長が上がってきた。



「お待たせしました。どうでしたか?」

「とりあえずイヤホンで聞いたが、被害状況は極一部、こいつらが手を滑らせたグラスの散乱と机が倒れてるくらいだな。店側もそれくらいは平気とさっきチラっと聞いたところだ」

「そうですか。それで、まだ飲んでるのは?」

「俺が最後の1杯で帰れと言ったら渋々了承したところだ。まだ居座るようなら強制退去だ」

「分かりました。・・・その仕事、新人にやらせてはいかがでしょうか?」

「ああ〜、そうだな〜・・・。やらせるか。まだ簡単だしな」

「はい。という事でそこで突っ立ってるお前ら。こいつらの退店を最後まで見届けろ。まだ居座るようなら叩き出せ」

「「「あ、はい」」」

「え?でもどのように?」

「やり方はお前らに任せるが、出来る限り穏便にそして優しくな。事を荒立てたら火に油だ。言葉も選べよ」

「はい・・・やるか?」

「「うん・・・」」



そして最後の1杯を飲み干す。さあ、新米の出番だ!



「まだ飲むぞ〜!!」

「俺もだ!!!」

「あ、あの・・・」

「「あ〜!?」」

「最後の1杯を飲んだ事ですし、その辺で・・・」

「「そんな事言った覚えは無い!!飲むと言ったら飲むんだ!!!」」

「これ以上は迷惑ですので、その辺で・・・」

「「ああ!?」」

「気圧されてどうする?やることは簡単だろうが」

「ほらお前らも。どうやったら退店出来るか頭で考えるだけでなく、直感で行く事も考えろ」

「「「は、はい!」」」

「で、では・・・。一旦外に行きましょ?外に行けば少しは落ち着きますよ?」

「あ?外に何かあるのか?」

「ある訳ではないのですが、ちょっとは気分も落ち着くのかなっと」

「「はあ!?バカかお前らは!?はっはっは!!!」」

「うぅ・・・」

「臆するな。さっき俺が言ったことを思い出せ。自主退店が出来ないのなら?」

「「「・・・あ」」」

「分かったようだな。それを実践しろ」

「お前らもだ。これ以上はマズイと思ったら?」

「「「強制退店」」」

「じゃあ・・・。ほらお兄さんたち、外へ出ましょう?」

「会計も済ませた事ですし、これ以上の長居は無用ですよ?」

「「お、おう・・・」」

「足元がおぼつかないみたいですね。支えますよ?」



新米はやることが漸く分かり、自主性を重んじながら、強制とも言えない退店方法で誘導を始めた。



「ここは階段ですので、注意してくださいね〜」

「出口はこっちですよ〜」

「そうそのまま・・・。おっと!?大丈夫ですか〜?」



そのまま出口に誘導。そのまま酔っ払った熊人族は流されるままに店外へ出た。



「「お見事だ。これから先は俺らに任せな」」

「「「は、はい・・・。ふぅ〜・・・」」」



デカい安堵の意味で溜息が出た。



「お兄さんたち?この先は家まで帰れますか〜?」

「家〜?・・・今何時だ・・・」

「ちょっと意識がハッキリしてきましたね。今は12時前、もう昼を迎えようとしていますよ」

「あ〜そうか・・・。そろそろ帰らないと女房に怒られるな・・・。白昼堂々飲みすぎた・・・」

「俺もだ・・・。夜勤上がりだし明日と明後日休みだからって飲みすぎると女房からドヤされるんだよな・・・」

「でしたら帰りましょ?家は近いですか〜?」

「「・・・遠くはない・・・」」

「歩けますか〜?」

「「・・・無理・・・」」

「でしたら私らで支えますよ〜頼めるか?」

「もう片方ですね。良いですよ。お前ら、車はそのまま置いて行くぞ。これからお兄さんたちの家まで送るぞ。恐らく近いはずだ」

「「「はい」」」

「それとお兄さんたちの荷物を持ってくれ」

「あ、でしたら自分が」

「頼んだ」



酔っ払った2人を支えながら20分歩いたアパートに辿り着く。



「・・・あ〜・・・我が家だ・・・」

「ここですね?玄関で開放しますので、そこまで歩いてくださいね〜」



玄関まで酔っ払いを連れて来た。その際何度もコケたのは言うまでもない。そして呼び鈴を鳴らした。



『は〜い』

「どうも〜。我々警察、都市警備隊です」

『都市警備隊?今開けます・・・』「え?」

「どうもこんにちは。奥さんですね?」

「あ、はい・・・。あの?」

「ああすいません。旦那さんが酒場で飲みすぎて少々暴れたそうで、宥めたのですが、足元がおぼつかず千鳥足となっていたので連れ添って参りました」

「あ、そうだったのですね。すいません〜。旦那ったら、隣にいる彼と同僚なのですが、家が隣同士なのでよく飲んでから帰ってくるのです。度々トラブルになっていたのですが、遂にこのようなことに・・・」

「まあ気にせず。多少のトラブルはありましたが、お店側の厚意で壊れた物は1点か2点くらいなので、飲み過ぎに注意していただければ良い、とのことです」

「そうだったのですね・・・。申し訳ございません。お隣さんの婦人にも声を掛けておきます」

「お願いします」

「ほらあんた!こっち来い」

「・・・へ〜い・・・」



無事に引渡し、車の元へ戻る。その道中に今回の評価を述べた。



「自主性を重んじる所は評価しよう」

「「「はい!」」」

「だが初めに気圧されたのはいただけない。そこは真に受けるのではなく、その雰囲気を交わしながら会話をするのだ。例えば話を当たり触らない程度に遮るとか、ちょっと話を逸らすとかな」

「「「ほぅ」」」

「巡査部長からは何かあるか?」

「はい。この対処を本土では2人だけで対処する時がある。勿論応援を呼ぶがそれまでは二人だけだ。それに比べれば今回は3人、しかも俺らも居て5人も居る。なのでそういう時は役割分担するのも手だ。例えば一人が言葉で巧みに誘導するとか、一人はこれ以上悪化しないようにはどうしたら良いか考えるとか、一人は周りの安全確保しながら外への経路確保とか、例えるとキリがない。これらを咄嗟の判断でやるんだ。初めは難しいかもしれんが、これも教訓だ」

「「「はい!」」」

「まあ途中からしか見てない俺が言うのも説得力がないかもしれんがな。だが一つの参考にもなるだろう」

「「「はい!!!」」」

「さあ、パトロールを続けるぞ。あ、お前、さっきの酔っ払いの事案の結果報告を頼む」

「え?でもどうやって」

「思ったままで良い。話せ」

「はい。CP、こちらアルファ3。さ、先ほどの喧嘩の、じ、事案。ぎょ、いえ、酔っ払い同士での喧嘩であった為・・・」

「落ち着け。ゆっくりで良い」

『アルファ3。こちらCP。落ち着いてゆっくりで良い。間違えても良い。報告せよ』

「はい。続けます。ぎょ、酔っ払い同時、同士での喧嘩は、び、被害はあっだ、あったが、店側は被害届出さず。と、当事者は帰宅した。どうぞ」

『CP了解。復唱する。喧嘩事案は酒場内での酔っ払い同士での喧嘩。店側に被害はあったが恐らく極小な為被害届は出さない方向、そして当事者たちは帰宅した。恐らく千鳥足だった筈から、支えとして自宅まで帰した。間違いないか?』

「CP。こちらアルファ3。その通りです」

『CP了解。拙い説明でも構わない。分かる単語を話せば自ずと分かる。それを精進せよ』

「アルファ3了解。ありがとうございます」

「初めはそんなものだ。慣れてくると必然と言いたい単語が出てくるさ」

「は、はい!!」

「では続けるぞ」

「「「はい!!!!」」」




こうして初めての事案対処は酔っ払い対処という、異世界でもよくある事案の対処であった。だが新米にとってはこれでも中々濃度のある事案。これを教訓に成長して行くであろう。

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