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入隊後の生活(自衛隊編)

入隊後の生活





とある日々。自衛隊の1日は、駐屯地や基地周辺在住者ならよく聞く、あの音から始まる



(起床ラッパ再生)



「『!?』」

「おい起きろ!!起床時間だ!!」

「『は、はい・・・』」

「声が小さい!!朝だぞ!!」

「『はい!!』」

「この後の工程は分かるな!!??宿舎外で集合だ!!急げ!!!」

「『はい!!』」



「おはよ・・・」

「ああ・・・まだ眠いぜ・・・」

「俺もだ・・・。けど無駄口叩いていると・・・」

「知ってる・・・。何も喋らないことにする・・・」

「俺もだ・・・」



ダダダダダダ!!!!!



「おら遅い!!!駆け足で整列しろ!!!」

「『はい!!!』」

「おいお前!!お前はこっちじゃない!!向こうだ!!!」

「すいません!!!」

「お前は何処へ行く!?お前はこっちだ!!!いい加減覚えろ!!!」

「すいません!!」

「何でお前らは覚えられない!!??お前ら先輩から教わらなかったのか!!??」

「『いいえ!!教わりました!!』」

「だったら何故覚えられない!!??なぜ失念する!!??」

「『・・・』」

「答えられないか!!??」

「『・・・』」

「言え!!!」

「わ・・・」

「あ!?」

「忘れてました・・・」

「だから何故忘れる!!??先輩方は忘れんぞ!?」

「『・・・』」

「はぁ・・・もういい!!まず並べ!!」

「『はい!!!』」



「おら!!整列したら次は!!??」

「『点呼!!』」

「番号!!!1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15!!!」

「報告します!!本日欠員なし!!」

「よし!!!休め!!!」

「『はい!!!』」



「三尉。第3グループの点呼報告を終えました」

「分かった。第3が点呼最後だな」

「すいません・・・。指導不足です」

「確かに部下のミスは上司のミスだ。無論俺にも責任はある。この後対策を練ろう。取り敢えずまずは戻れ」

「はい。失礼します」



「教育隊隊長。こちらの点呼報告です」

「教育隊隊長。こちらも点呼報告になります」

「同じく。報告します」

「同様に報告になります」



ピッ!



「各区隊長。起床から整列及び点呼終了までにこれくらいの時間が掛かった。この時間を見て、お前らはどう思った?」

「はい。改善が沢山あるように思います」

「同じくです。特に起床後直ぐの動きが鈍足なように思えます」

「それと色々ではありますが、モタ付いているようにも見えました。恐らく今必要な物などを把握していないかと」

「その指導は?」

「はい。指導はしておりますが、どうも理解していないのか、失念しているのか。今後指導し直しも念頭におきます」

「よし。分かった。他の下士官とも話し合え。戻れ」

「『はい』」



「教育隊隊長!!!点呼終了しました!!!」

「・・・」

「『・・・』」

「これ、お前らの全力か?」

「『・・・』」

「どうなんだ?」

「『いえ!!』」

「なら何故もっと迅速に行動できない?モタつく理由があるのか?」

「『ないです!』」

「ならもっと早くできるだろ?それをなぜしない?」

「『・・・』」

「だんまりか・・・。悲しいな・・・。お前ら採用されてかれこれ1ヶ月が経とうとしているのに、なんだこのザマは?のお?」

「『・・・』」

「何故お前らは学習しない?先輩の指示を聞けないのか?」

「『違います!!』」

「違うなら何故実行できない?お前らが階級でも歴でも上だからか?」

「『違います!!』」

「なら実行出来ない理由は何だ?」

「『・・・』」

「いいか?お前らは候補生、つまりは学生なんだ。当然ながら階級も何もお前らは与えられていない。階級を与えられるのは候補生を無事に卒業した者だけだ。そこで初めて二士という階級を持つ。お前ら学生はその二士や一つ上の一士から起床から就寝まで、文字通り最初から最後まで教えられ、吸収しなければいけない。一日の工程、学習内容、生活、団体行動、ありとあらゆる方面から教えられる。勿論簡単なことではない、が、既にお前らは入隊してから既に1ヶ月は経っている。普通なら全部とは言わないが体に染み付いていてもおかしくない頃合いだ。にも関わらず何故この体たらくなんだ?教えが不十分だったのか?それともお前らの理解不足か?それともここにいる教官や一士二士を除いて全員異世界人だからか?」

「『・・・』」

「何故静かなんだ?まあいい。問い詰めても時間が押すだけだ。今日のペナルティーを楽しみにしておけ。以上」



「お前ら!!!よくも教育隊隊長である三佐を怒らせたな!!??この後の工程を覚えておけよ・・・」



「今回のペナルティーは、腕立て伏せ500回、腹筋500、スクワット500を2セット。その後1時間のランニングだ!!」

「『はい!!!』」

「分かったら今から開始しろ!!!」

「『はい!!!』」

「『(お、鬼か!!??)』」



「次!!」

「き、キツイ・・・」

「次!!」

「あ、足が・・・」

「次!!」

「う、腕が痛いよ〜・・・」

「次!!!」

「腹が・・・」

「まだまだ続くぞ!!!次!!!」



「ようやく2セット終わりか・・・時間が掛かりすぎているぞ!!!たかが2セットで何音をあげている!!??このままだとランニング終了時は9時を過ぎるぞ!!仕方ないからランニングは後回しにして、先に朝飯にしろ!!食事時間は15分で切り上げろ!!!過ぎたらペナルティー追加だ!!急げ!!!」

「『はい!!』」

「ほらほら走れ走れ!!!」

「早く走れよ!!!飯にありつけんぞ!!!」

「二士と一士、お前ら全員も今のうちに朝飯済ませておけ。恐らく今日も長丁場になると思う」

「分かりました」

「陸士長以上の階級の方々は?」

「俺らも後に続く。残りはランニングだけだし、お前らで見張れば大丈夫だろ。それに今日の日程を調整する必要がある。ランニングだけはお前らに一任する。容赦無くしごいてくれよ〜?」

「分かりました〜。大丈夫ですよ。俺たちも同じ道を通りましたし、何よりこの国の国防を担っている訳ですし、生半可なことは自分にも許せなくなるのです」

「は!心強いな。何故か知らんが異世界人というのは意外とルーズというかなんというか・・・」

「気持ちは分かります。ですが手は一切抜きません。ですがこのままだと約7割は脱落すると思います」

「そこはおいおい現実を突きつけてやれ。それより今は飯を食っとけ」

「はい。では失礼します。お前らも来るか!?」

「『当たり前だ!!』」

「なら競争しようぜ!!負けた奴は今日の教育終了後奢りな〜」

「あ!!ずるいぞ!!」

「抜け駆けするな!!」

「一士でもそれは許しませんよ!!」

「私らも行きましょう!!」

「『ああ!!!』」





「おら!!!遅いぞ!!!歩くな!!」

「そこの集団!!!離れろ!!!話すな!!!」

「何息切れを起こしているんだ!!??教育隊を修了したら尚更キツいぞ!!!」

「前を向け!!!上を向くな!!!」

「そこ!!フラつかない!!!横の隊員に当たるよ!!!」

「同じ女性だからって容赦しないわよ!!!ビシバシ行くわよ!!!」

「おい!!!歩くなと言ってるだろうが!!!!話聞かなかったのかよ!!!!」

「何故俺らの方が運動量も声出し量も多いのに、何故お前らは声が出ていない!!??声を出していけよ!!!」

「女に抜かされる男に興味はないよ!!!早く走りな!!!」

「お前ら!!!何他の隊員から遅れを取っている!!!走らないといつまで経っても終わらないよ!!!」

「だから声を出せよ!!!聞こえないぞ!!!」

「ねえ!!??聞こえてくるの、何でハァハァと息が切れた音しか聞こえないの!!??やる気ないの!!??」

「やる気がない奴はいらないよ!!!他人の迷惑だからね!!!」



「きょ、教官・・・」

「何だ!?」

「・・・は、吐きそうです・・・うえ・・・」

「待て待て!!今は待て!!誰か袋を持ってるか!?嘔吐症状が出た!!」

『俺が持ってる!!1分待て!!』

「分かった。おい。一旦グラウンドから出ろ。そこの木のそばで良いからそこまで保て。あと座っていいから」

「は、はい・・・」

「待たせた!!」

「吐くならこの袋の中で吐け」



「どうだ?吐いたか?」

「はい。吐きました」

「そうか・・・。一応衛生班を呼んでおいた。お前らはグラウンドに戻って他の隊員を指導してくれ」

「「はい。頼みます」」

「きょ。教官・・・」

「どうした?話せるか?」

「は、はい・・・。あ、あの・・・自衛隊の皆さんって・・・、こんなキツい訓練やトレーニングを、毎日?」

「そうだな。自衛隊人生の中で一番苦労するのは勿論今お前らがやっている教育隊だな。修了したら幾分かはマシになるが、かといって楽にはならない。寧ろ質としては修了後の方がキツいだろうな」

「そ、そうなのですか・・・?オェ・・・」

「吐きながらで良いから。君らは国家警備隊、つまり国家憲兵になるために入隊したんだろ?」

「は、はい・・・。けど、こ、こんなにキツいとは・・・」

「聞いてないってか?それはないんじゃないか?というのも国防が主な任務でその次いでが憲兵が任務という国が殆どじゃないか?どうだ?」

「・・・あ」

「だろ?最優先が国防で、治安維持がその次または憲兵というのが無く、都市警備隊またはそれに準ずる機関が治安維持している、だろ?」

「は、はい・・・。ということは・・・憲兵になれない可能性も・・・?」

「いや。そこは志願制だから基本は全員なれるが、試験に合格しなければいけないのは何処も一緒だろ?」

「そうですね・・・。あの・・・。私たちが国防をする可能性は・・・?」

「俺たちは軍隊ではないが、便宜上軍隊としよう。まあそうだな。他国から侵攻を受けたら国を守るために軍隊が動く。それは至極当然なことだろ?当然お前らもその任務に就いてもらうことはある。100%ではないが0%でもないことを言っておこう」

「そうなのですね・・・。ああ〜・・・楽になりました」

「そうか。ま、無理するな」

「はい」





「そこまで!!!ランニングを終える!!!」

「『(バタリ!!!)』」

「あ、足が・・・」

「クソ・・・疲れ過ぎて動けない・・・」

「朝からハードよ・・・」

「私も・・・」

「何へばっている!!??まだ朝9時半だぞ!!これからお前らは今日の工程を遂行してもらう!!!初めに敵がこの領土を侵攻した時の訓練をするぞ!!!その後は武器を所持、または魔法を使用しながら行進。その後昼飯に、済ませたら15時まで学習棟にて勉強、その後18時までとにかくトレーニングで終了だ!!まだまだ時間は長いぞ!!」

「『はい!!!』」





その後



「よ〜し。今日はここまで!!!」

「『あ”〜ーーー・・・』」

「つ、疲れた・・・」

「と、というかてっきり一部の自衛隊隊員は優しいかと思ったら可愛い女子含め全員鬼教官じゃないか・・・」

「それ、俺も思った。声をかけようと思ったら『ペナルティー課されたいか?』と凄い良い笑顔で言ってくるんだもん。マジで自衛隊全員人族の顔をした鬼人かオーガかと思ったぞ」

「それ分かる・・・。一部女子の中であの教官カッコいいと思っても声かけれないもん。凄いオーラ出しているし」

「一応一部の教官が教えてくれたんだが、教育隊に所属している間は教官全員鬼にならなければいけないそうだ」

「何で?」

「堕落しない、させない為にあえて鬼になっているそうだ」

「じゃあ本当は鬼じゃない人もいるのか?」

「いや。教育隊に所属しているのは全員鬼だって言っただろ?寧ろ優しい教官が珍しいくらいだそうだ。しかも志願して教育隊にいる輩もいるとか」

「マジかよ・・・。Sか?そいつら」

「分からんが、そういうことだそうだ」

「うわ〜・・・そう思うと明日からも憂鬱だね〜・・・」

「ね。大変だよ〜この先も・・・」

「そう言えば、貴方たちって元々母国の軍隊に所属していなかったけ?どうだった?違いというか・・・」

「こら!!!いい加減宿舎に戻れ!!」

「『はい!!!!』」



「それで?どうだった?」

「何が?」

「話が途切れちゃったけど、母国で鬼がいたかって事」

「ああ。俺の国は騎士道精神から、比較的荒々しいことを控えていたんだ。その代わり質は凄かったがな。けど流石にここまでハードなのは初めてだな」

「私は確かに母国では兵士としてやっていたし前線にもいたんだけど、それでもここまでキツくなかったね。だって前線といっても木や盾に隠れながら矢を放ったり槍や剣を振り回していけば大体敵に当たるし、空軍も竜騎士や機械馬やブーツを履いて上空から光線銃や魔法などで放って行けば大抵敵に当たるし、空飛んでいるから当たりもしないから楽だったんだけど、ここ(自衛隊)だとお構いなしに地上からでも当てにくるし精度も高いし。ここまで肉体的にも精神的にもキツいのは初めてだね」

「あれ?女で前線?結構珍しくないか?」

「比較的珍しいね。まあ私たち女子グループ戦績が良く、それで前線にというのはあるけどね」

「前線帰りが音を上げるくらいなんてな・・・まあ俺もその一人ではあるが」

「お前の場合は?」

「俺の場合はスタンピートと犯罪集団が共闘した時だ。現地の警備隊や冒険者たちと合同で討伐に向かった話なんだが、こっちもかなり激戦でな。双方とも甚大な被害を出したんだ。無論、俺も左腕が折れ魔素も枯渇して戦闘終了後に昏倒した。流石に死んだかと思ったが死ななかったのは幸いしたな。けどな?それでもここの訓練やトレーニングは度肝を抜いたといっても過言ではないな。何しろ毎日あれより悲惨な訓練が続くんだからな。正直あの時がマシに思えてくるほどだ」

「死に際を彷徨ってた奴までそれを言わせるとはな・・・」

「なんか、分かってきたよ。ここの国が何故こんなに最強を誇っているのかを」

「俺もだ。取り敢えず風呂入って飯にしようぜ?」

「『だな(ね)』」





「『お疲れ様です。三等陸佐、二等海佐、一等空佐』」

「「「お疲れ様」」」

「それで?各自教育状況は?」

「陸自は正直芳しくない。正直残り2ヶ月で全員修了ははっきり言って無理だな」

「海自もだな。一応陸自と空自からちょくちょく報告を聞くんだが、聞いた限りでは海自が一番酷いかもな」

「そうなのか?」

「ああ。勿論海に強い種族を採用しているが、偏りはマズイから他の種族も採用しているんだが、まさかの皆均一に酷いな・・・」

「そうなのか。因みに一番マシな種族は?」

「まさかの人族だ。器用さで補っている面もあるがな」

「そうか。空自は?」

「こっちも良くはない。まあ一番マシではあるな。何しろ上空では空気が薄くなるんだが、一応それになれている環境で育ったのかは定かではないが、そういうのも相まってまだマシだ。だが戦闘機や戦闘ヘリに乗せると途端にダメだ。速度についていけないとか見逃すとかな」

「それってこっちも同じじゃないか?」

「それが確率としてはかなりの差があるんだよこれが。40%くらいの差が出ているのも判明している」

「それは酷いな・・・。他には?」

「一応飛行可能種族には出来る限り飛行してもらっているし、魔法や元々攻撃出来る物で攻撃してもらっているんだが、命中精度が悪く連発も出来ない。補給している間に空自の戦闘機や戦闘ヘリで迎撃されて撃墜が毎日ある」

「それってあれか?飛行隊の規模で言えば?」

「単機多くても2機で撃墜だ」

「『・・・』」

「ダメっぽいな・・・」

「まあ一応ほぼ全員国家警備隊行き希望だからそこまで望んでいないが、武官である以上はな・・・」

「まあな。国防関連だと間違いなく駆り出されるだろうな」

「まあ、何とか修了試験までに仕上げれば何とかなるか・・・」

「この際ちょっと精度落とすか?」

「それはやめた方がいいな。国防に手抜きは許されん」

「なら更にペナルティを追加するのは?」

「あまりやりすぎると故障に繋がるぞ」

「「「・・・」」」






「『(上官たちは頭痛そうだな・・・。まあ俺(私)達には関係ないか)』」



意外と他人事の部下らであった

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