座学
座学
「おう。座学終わったみたいだな」
「今日のところはな」
「明日もやるのか?」
「多分、やるんじゃないか?内容は知らんが」
「ふ〜ん、そうなのか」
「それよりさっきの約束」
「?飲みか?」
「当たり前だろこのタコ」
「タコは酷いな・・・。まあ歩きながら、な」
「・・・逃亡するなよ?」
「しないしない」
酒場
「さてと。着いたぞ。店員さん。2人どこ座る?」
「真ん中辺りが空いているよ〜」
「そこ陣取る〜」
「は〜い」
「随分慣れてるな」
「そりゃお前。俺がここに赴任してから年月が経ってるんだ。慣れるに決まってる」
「行きつけか?」
「いや違う。気まぐれというか偶々さ」
「そうかい。それより異世界の酒は初めてなんだが、どうなんだ?味とか」
「味は悪くないが度数が高めだな。やっぱり異世界と相まってなのか、酒豪が多くてな。事前に弱めな酒をオーダーしないと酒豪と肩並べるクラスの酒を持ってくるから注意が必要」
「そうか。気をつけないとな」
「俺も最初分からず、普通に飲んでしまって色々面倒だった」
「・・・目を遠くする程か・・・」
「まあな。店員の姉ちゃん?注文いいか?」
「は〜い。何にしますか?」
「酒2つ。両方度数弱めで。それと普通くらいのつまみも2つ」
「度数弱め2つと普通もりつまみ2つ。承りました〜」
「やっぱり慣れてるだろ?」
「いやいや。これも経験さ。それより座学って何したんだ?今更法律関係か?」
「いや違う。異世界についてだ」
「異世界について?ああ、種族間とかか?」
「それで合ってる」
「は〜い。お待たせしました〜」
「ありがとう。まあ飲みながら話そうや」
「ああ。では」
「「乾杯」」
時間を少々遡り
「講師の方。お願いします」
「『お願いします』」
「はい。お願いします。と言ってもこの世界の関連なのでそこまで緊張せずにお願いします。まず種族ですが、貴方方地球人は人族のみと伺ってます。そこは合ってますか?」
「『はい』」
「分かりました。ありがとうございます。ここ異世界では様々な種族がいらっしゃいます。人族のみならず獣人や亜人、ドワーフなど様々です。現段階で判明している種族の母体は
人族(ハイヒューマン、ハーフリンクなど)
獣人(犬、猫、狼、兎、狐、狸など)
亜人(ミノタウロス、吸血鬼、人魚、竜人、ドワーフ、ハーピー、翼人、鬼、天狗など)
長命種(エルフ、仙人、妖精、精霊など)
魔物種
魔族
魔人
神(天使、使徒、御伽話、伝説、神話関連)
邪神
ハーフ
これだけの種類が判明しています。魔の付く種族が母体に多いのは完全に別種だからです。神と邪神も同様です。カッコの中は派生、枝種と思っていただいて構いません。ただし例外も腐るほどあるのでこれを鵜呑みにせず、あくまでも頭の片隅にでも置いといてください」
「先生。自分よくゲームをするのですが、エルダードワーフやハーフエルフは?」
「その場合でしたら母体が変わりまして、エルダードワーフは長命種、ハーフエルフは人族と長命種のハーフ、文字通りハーフの種族に属します。なので先ほど申しました例外が腐るほどというのはこういうのがあるからです」
「なるほど・・・。分かりました。ありがとうございます」
「では続けます。因みに貴方方の世界に争いはありますか?」
「・・・残念ながら・・・」
「そうですか。人族のみでの争いはこちらでも同様に起こります。それと種族間の違いによっても争いが発展することも珍しくありません。例えば大昔、それこそ先祖にあった有名な話では、人族と魔族はとても険悪だった、とか、魔族は魔人を認めないとか。そんなのが毎日ありました。今ではこういうのは和解などして関係は良好に保っていますが、長年掛けてもどうしても争いが絶えないところもございます。最近ですと翼を持つ種族が互いの種族と争いが」
「つまり翼人と翼人、または翼人と天狗やハーピーなどと争いが?」
「その通りです。何故発展したかは定かではありませんが、一説によると飛行限界高度の競いが争いに発展したとか?」
「『・・・』」
「まあ、人間も欲の塊だからな。他のことは言えん」
「ご推察。どうもありがとうございます。争いもあれば崇める種族も存在してまして、勿論髪などはそうなのですが、例えば人族はハイヒューマンに対して崇拝する対象となっているのです」
「?何故です?同じ人族ですよね?」
「ハイヒィーマンとは、人族の限界を超えた、所謂超越者だからです。例を挙げるなら、普通は脚力で人族が狼に勝ると思いますか?」
「魔法の使用は無しですよね?」
「勿論なし。あくまでも自力で、です」
「なら無理ですね」
「そうですね。不可能です。けどハイヒューマンならただの脚力で狼と渡り合えることが出来る。そういうことなのです」
「なんとなく理解したよ」
「大体で構いません。本来であればもっとみっちりと教育が必要なのですが、どうしても認識違いが生まれてきてしまうことから、わかりやすくするしかないのです」
「先生も大変ですね・・・。因みに先生は?」
「私はハーフリンク、なので今魔法で足を浮かせているのです。見ますか?」
「差し支えなければ」
「分かりました」
「音がない。静かですね?」
「始めこその動作音はしますが、それ以外はないですね」
「?先生の足に魔法陣が」
「今は皆さんに分かりやすく表示したままなのですが、消すことも可能です。無論作動したままなので私が落下することはありません」
「因みに何か物理的に何か支えてるのとかですか?」
「いいえ。手を入れていただいて構いません。本当に何もない空間ですから」
「そうですか。今回は止めておきます。先生スカートですし」
「お心遣い、誠に感謝します。・・・やはり地球人は聡明ですね」
「そうですか?欲の塊かと思いますが?」
「そうであれば先ほども普通に手を差し出して本当に何もないのを確かめると思います。まあ私がスカートじゃなければその動作をしたでしょうが」
「まあそれは」
「ですが、欲塗れがスカートの私にそんな自制が効くと思いますか?」
「・・・つまり、その動作に乗じて、その、先生の・・・」
「濁していただきありがとうございます。そういうことです」
「・・・どこの世界も同じなんだな・・・」
「・・・だね・・・私なら返り討ちにするかも」
「それが普通だと思うんだが・・・」
「さて。話を戻しまして、次に見分け方ですが、正直第一印象で決めてしまうのは不味い、下手すれば軽蔑対象になってしまいます。例えば、今投影しますが、みなさんは人族と獣人の違いは分かりますか?」
「『はい』」
「そうですね。明らかに違いますね。では人族と神は分かりますか?」
「『・・・いいえ』」
「そうですね。因みに違いは分かりますか?直感でも構いません」
「・・・なんか2番目の方が神々しい?感じが・・・」
「その直感は正しいです。では種族は?」
「人族と、神々しさから神?」
「正解です。ではこちらは?これとこれ」
「『・・・』」
「先生。全く分かりません」
「そうですね。全く分かりませんよね?因みにこれは私も分かりません」
「『え?』」
「なので第一印象で決めるな、そういうことです。当てずっぽうでやってしまうとあなたの種族は価値がないと判断されかねないのです」
「では見分け方は?」
「そうですね。意外とオープンの種族もあれば閉鎖的な種族もありますが、ここは貴方方の出番ですよ」
「『?』」
「お忘れですか?貴方方はどういった立場なのですか?」
「『?』」
「あ、俺たちは警察またも名を、警備隊」
「そうです」
「『?』」
「どういうことなの?」
「つまりだ。職質で相手の種族を聞き出す、ということ」
「『ああ』」
「けどそれ職務中ならともかく、通常ならどうするんだよ?」
「多分そこは時間をかけて信頼関係を築くか、相手が言うのを待つくらいじゃないか?」
「あらら。そのまま答えを言ってしまうとは。その通りなのです。結局は個人情報になってしまうので信頼関係を築くしかないのです。まあ職務中の追跡に人相が必要かと言われればその通りなのですが、貴方方は違う方法でしますよね?」
「そこはお任せあれ」
「では続けましょう。種族に関連して彼らの住処などをお教えしましょう。まあこちらはそこまで話しなくても貴方方ならお分かりでは?」
「はい。神なら天界、人魚は海、長命種は森、ドワーフなら鉱山付近の街」
「それだけ分かってるのならこの説明は省きましょう。では次に、地理関係ですが、どこまで聞いてますか?」
「聞いてないか?」
「そうね何も聞いてないね」
「分かりました。では少々お待ちください」
「お待たせしました。まず地球は換算しない方向でお願いします。現段階で判明している異世界の数は50、星は200以上、国数は恐らく二千万国を超えていると思います」
「『!?』」
「途方もない数だな・・・」
「?と思う?」
「曖昧ね?」
「曖昧な理由は数が膨大なのもあるのですが、まだ未発見の土地が毎年現れるので」
「追いつかない。そう言うことか」
「はい。それに何故どういう法則なのかは分からない、多分学者でも説明が出来ないと思いますが、何故かその未発見の土地に行くと戦争を吹っかけられるのです」
「誰から?」
「その未発見の土地から」
「誰に?」
「日本国に」
「『はぁ!?』」
「厳密に言えば脅威にならないかを確かめるために偵察に行った自衛隊ですね」
「『・・・』」
「そこで殆どの確率で偵察に行った部隊が囚われ身となり、開放を拒むと交渉し、けどこれも殆どの確率で決裂ですが、その後相手側から攻撃し武力衝突に。まあこの場合は100%で日本側の完全勝利で終わるのですが」
「通りで予算が年々加算されるわけだ・・・」
「まあ賠償金も当てがっていますが、如何せん日本国の提示額が相手国の国家予算の7割を超えるので、それを拒むとまた戦争状態に逆戻りとなり、疲弊し金が無くなり、結果相手国が敗走するのです。でも負けたからには払わなければいけませんが」
「金がない、けど再戦も出来ない。どうしようどうしよう」
「その通りです。まあこう言ったのもあり皆が皆日本国に喧嘩を吹っ掛けない、吹っ掛けたら文字通り焦土と化すというのが出てきたのですが。まあ戦争はこの辺にしておいて、現在判明している地理関係は皆さんのタブレットやPC、端末に反映しておくので、参考にしてください」
「ところで先生」
「はいなんでしょう?」
「借地などは?」
「その説明を今からするところです。皆さんは借地は分かりますね?」
「『はい』」
「でしたら話は早いですね。先ほど反映した端末を見ながらご説明しましょう。そうですね。現状一番大きな借地国家にしましょう。お?丁度いい。2000ページです」
「『2000ページ!?』」
「・・・これ端末じゃなければ無理だったな・・・」
「ええ・・・」
「こちらの国家が現在判明している中で一番大きな借地ですね。国土の大きさは、貴方方で言えばロシアを約1万倍した大きさがこの国家なのです」
「『ロシアの1万倍!?』」
「デカすぎないか!?」
「端から端までどれ位なんだ!?」
「話によれば早馬でも1年以上、それもノンストップで、だそうです」
「『・・・』」
「まあそれは今は置いときまして、まず皆さんは何処までが借地か分かりますか?」
「・・・全土地の半分とか?」
「そこまで大きくないだろ。3割位だろ」
「いいえ。それもハズレです。答えは全ての土地が借地なのです」
「『はぁ!?』」
「これ、全部か!?」
「はい。全部です」
「けど、なんで!?」
「簡単ですよ。先ほど申しました。金が無くなるまで戦い続けたからです。その結果が全土地を借地としてその国家に貸し出す。そう言うことです」
「そんなのが可能なのですか?」
「可能みたいですね。多分払いきれなかった部分を日本国が買取、それで敗戦国に貸出す。そして毎月?毎年?の何割かを借金返済に充てている。恐らくはそう言うことかと」
「因みに返済までにどれくらいの年数を?」
「詳しくは聞いていませんが、噂では1000年でも返済が終わらないという噂が」
「どれだけ吹っ掛けたんだ?日本政府・・・」
「そこは分かりませんが、それだけ長い返済期限ですと必然的に地方や農村地域が借金返済の皺寄せがくる、掴んだ情報では過剰な巻き上げによって十分な食事を得られなかったり家無しになったりしているそうです。それで定期巡回をしていた日本国が状況を把握し、食糧や住処を恵んでいるそうです。なんでも『いくらなんでも可哀想だ』とか」
「『クスクス』」
「まあ私としても国民に罪はございませんのでその行動に賛同しますが。寧ろその行動の結果こんな結果を招いた自国を自国民が恨むというのが発生しているとか」
「だろうな・・・」
「それにその供給も結局は返済に充てないといけない訳でして、例の政府内も色々と蟠りも絶えないそうです」
「『・・・』」
「この借地が・・・」
「分かってるだけでも2千万国のうち1千万、更にその中でその国家全てが借地という国は3百万だそうです」
「『・・・』」
「良くこれで国家が保てるな・・・」
「まあ、俺たちが貸し出している立場だし、別に痩せ細ってないからな」
「そういえば借地に私たちが行くというのは?」
「はい。警察官の皆さんはその借地に赴くことはありません。あくまでも自衛隊のみです。それに借地国家にも法執行機関がございます。ですのであちらの事案はあちらで対処、または自衛隊で対処という感じです。では何故教育しているか。実は日本領土で犯罪犯している約半数はその借地から来た国民なのです」
「?けど国境警備隊は・・・あ」
「そうなのです。あちらも人員不足なのです。ですのでどうしても手薄に」
「だからか・・・。これは確かに人材育成が急務だな・・・」
「けど国境警備隊には?」
「ああ。本来なら自衛隊だが、あっちも人材育成に精を出さないと不味い。けどそれまで治安が維持できると思うか?」
「・・・そこで俺たちですね?」
「ああ」
「だから借地に関しての教育を行ったわけか」
「そういうことです」
「さて。本日最後は国家機関についてお話ししましょう。といっても日本国の、ではなく異世界に関してです。こちらは何も聞いてないですかね?」
「そうですね。何も聞いてないですね」
「分かりました。ではお話ししましょう。国によって機関はそれぞれですが、代表的な機関を。異世界の行政または司法機関は
警備隊(都市部)
憲兵(全域)
騎士隊(全域)
近衞兵(国家を司る方、または貴族当主、自治体の所長および周辺の家族)
衛兵(地方部)
竜騎士(上空)
沿岸警備隊(海)
基本はこの辺りです。ただしこちらも例外がありまして、例えば衛兵と憲兵は同じなので、憲兵を地方中心にするのもあれば警備隊がない国家もあるので、そこは騎士隊になり変わるとか。あと小島列島の国家なら沿岸警備隊のみとか、色々あります」
「竜騎士?なにで逃げるんだ?」
「基本は飛行船や使役している魔物、アーティファクトや上位魔法使いなら飛行魔法、あとは囮として敢えて上空に飛ばす輩もいますね。ウィザードとかが代表ですね。あとは魔女とか」
「それを竜騎士が追いかけるか」
「そういうことです」
「因みに海は沿岸警備隊だが、移動は船や魔物で、ですよね?」
「はい」
「陸には?」
「・・・分かりましたか?」
「はい。魔物なら水陸両用が出来る。無論船でも出来なくはないがコストが掛かる。なのでそれ用に特化したのです。そこがお分かりなら?」
「言いたいことは分かります。飛行船を海で走らせることはできない。つまり飛行船は海に落ちたら、それは海に墜落と同等。そういうことですね」
「お見事です。これは教育の必要はないのでは?」
「俺が分かっても他が分からないのでは意味がない」
「教育熱心ですね。感心しました。話を続けます。なぜ飛行船が海では航行出来ないか、なのですが、飛行船には対海用の改造を施していません。重量が重くなってしまって飛べなくなってしまうからです」
「飛行機と同じ原理か」
「飛行機?」
「いえ。こちらの話です」
「そうですか?では話を続けます。ですので飛行船に海の航行はできません。逆も然りで海を航行している船は飛行船には使えません。理由は同じですが、何より違うのが構造自体が違いますし操縦方法も違うのです」
「それなら魔物使役が早いのでは?」
「そう考えるのも無理ないのですが、魔物使役には時間がかかるのです。向こうも生物ですので嫌なものはなにやっても嫌なのです。そこで時間も労力も掛かりますし、何より使役マスターという称号がないと魔物も背に乗せたりというのはしないのです」
「運転免許みたいなやつだな」
「ですのでもし犯人が海へ逃亡した場合は無条件で沿岸警備隊へ引き継ぎが必須なのです」
「ここは管轄の違いが出てしまうのですね」
「面倒ですが、その通りです」
「因みに管轄外へ行くのは?」
「基本はダメですが、一部を除いて可能です。それが貴方方警察や自衛隊、いえこの場合は今後稼働する国家警備隊ですね。それと国家で設立した機関なら越境も可能です。先ほど申した機関は自治体や貴族当主傘下、都市レベルが殆どの割合を占めているのです」
「そういうことか。では例えば合同で捜査する場合は?」
「管轄内なら共同で。超えた場合は貴方方に一任するかと思います」
「分かりました。これは結構責任重大かも」
「そこは頑張ってください。さて。そろそろ終業ですね。明日は別の方が講師を担当します。本日の座学内容を出来る限りお忘れなき様、お願いします」
「『はい。ありがとうございます』」
「全員規律、礼!」
バッ!!!!
時間を戻り、酒場
「これが今日あった座学だな」
「結構本格的だな」
「まあな。けど有意義だったな。なんとなくだがこっちでもやっていけそうだ」
「?初めは違ったのか?」
「ああ。何しろ人族以外もいるんだ。そんな中やっていけるとは思わなかったからな」
「けど何でもそうだが、慣れるもんさ」
「全く、慣れというのも怖いものだな」
「それより部下はどうだった?関心を持っていたか?」
「関心?なんでだ?」
「関心を少しでも持たせてあげないと、不意に第一印象の相違が」
「ああ。それなら大丈夫じゃないか?少なくとも異世界に派遣というだけでも普通じゃないからな」
「・・・お前も?」
「いや。お前もだろ?」
「いや俺は上からの命令だから。強制なのよ」
「本音は?」
「正直帰りたい。日本へ」
「飽きたか?」
「それは違うが、個人的なことだ」
「なんだ?」
「家族に会えない」
「・・・」
「もう既に3年は会ってない」
「そうか。こっちに来たら簡単に家族に会えなくなるのか。だから上は家族いる警察官を優先したんだな」
「どういう意図かは分からんが、恐らくそうだろ。お前は違うのか?」
「今は好奇心が勝ってるな。まあ俺も家庭はあるが、既に子供は手が掛からないから問題ないな。家内も何故か知らんがこっちに来たがっていたが」
「は?お前の奥さん曲者か?」
「曲者言うな。まあ否定はしない。何しろこういった異世界者に最近目が無いみたいだからな」
「まあ、ラノベが好きなやつは確かに宝の山だろうな」
「まあな。取り敢えず飲もうや。仕事のことは一旦忘れて、けど家族のことは忘れずに」
「ああ」
宿舎内
「さて。そろそろ就寝準備をするか」
「あの」
「?あ、先ほどの講師の方ですね」
「どうも。先ほどはご配慮を」
「配慮?なんだ?」
「分かりませんか?魔法で足を浮かせていたあの時ですよ」
「ああ、あの時ですね。いえあれは誰だってああいう対応になるかと思いますよ」
「そうでしょうか?」
「少なくとも私たち警察官は、いや日本の機関に従事している者は」
「・・・ふふっ」
「?」
「いえ、こちらの話です」
「?まあいいです。私は明日も早いですのでこれで」
「あの」
「はい?」
「その、日が空いたら、一緒に食事でも・・・」
「?良いですよ。但し私は階級が下ですので、融通が利きにくいですが、それでも宜しければ」
「!ありがとうございます。けど階級が低いのですか?」
「はい。私の階級は巡査。一番低いのです」
「けどお若いですよね?まだまだこれからですよ?」
「かもしれませんが、生憎私はすでに20です。もし階級を上げるのならもっと努力しなければ」
「大丈夫です。私は21ですが、これ以上誇りに持てる仕事は他にはありません。あなたにも訪れるかと」
「・・・かもしれませんね。では」
「はい。おやすみなさい」
「どうだった?」
「ちょっと鈍いと思うわ」
「確かに反応薄かったもんね」
「普通は女の子から話しかけるだけでも男って舞い上がるものかと思ったけど」
「意外とそうでもないようね」
「・・・私はもうちょっとアグレッシブに行こうかな?」
「その方が良いかも。だってこっちに来ている警察官って大体既婚者だし、日本の法律上重婚は犯罪みたいだから競争率も激しそうだし」
「『これはちょっと攻めるレベルを上げないと・・・』」




