〇〇について
〇〇について
駐屯地内
「おはようございます」
「おはよう。これから向かうのか?」
「はい。今警察官の皆さんは待機室にて待機してもらってます。これから数日間の指導を行います」
「分かった。けどそのあたりのノウハウは彼らの方が上だから直ぐに状況を掴むんじゃないか?」
「だと思いますよ。けど犯罪発生率が明らかに異世界の方が数十倍も上ですし、何でしたら戦時中の巡回も任せられる事もあるでしょうから、始めはギャップの差で頭悩ますかもしれません」
「だな」
待機室内
「おはようございます」
「ああ、おはよう。今日の代表は?」
「私だ。二等陸佐」
「おお?あれ?お前・・・」
「思い出したか?同じ高校で成績競ってただろ」
「ああ。懐かしいな。けど警視?お前の成績ならもっと上の階級にもなれるだろ?」
「ああ。けど俺は現場主義なんだ。今の階級が一番現場に出れる最高階級なんだ。これ以上は上がる気はないな。どうしても事務作業とか署内で指示出すのは俺には向かん。階級が上がっても現場に出れるのなら上がっても構わないのなら上がっても良いが、ここが丁度良いな」
「まあ、お前がそういうのなら・・・。一応警視と二佐って同じ立場で良いんだよな?」
「ああ。そうみたいだな。人によっては二佐で警部だ〜警視正だ〜っと言っているのもあるが、二佐になれば部下3〜500人くらいだろ?」
「そうだな。基地や駐屯地よってかなり差はあるが、大体それくらいだな」
「警視にもなれば小規模署長や警視庁なら管理官にもなれるところだからな。立場は同じで良いだろ」
「だな。・・・?てことは今日連れてきた人数って・・・」
「?あっ、まずかった・・・か?」
「・・・まあ良いや。代表なだけだし、後で班分けすれば良いだろ」
「すまんな。取り敢えず移動するか?」
「ああ」
「そういえば車両は?」
「ああ、それをちょっとお前らに聞きたい。基本は車両、つまり車なんだが場合によっては馬に乗馬する時もある。車では通れない道とか悪路とかな」
「バイクは?」
「あるが白バイのような大型バイクではない。どちらかというとオフロードバイクが基本だ。異世界には車社会はないからな。そもそも車両自体使用しているのが日本だけってのもある」
「オフ車?しかも車ではなく馬?はぁ〜〜〜なんか尚更異世界に来たって感じがするな〜」
「実感湧いた?」
「ああ。因みにバイクはどんな車種?」
「今は自衛隊保有のオフ車しかないから対象にはならんが、警察が本格稼働したら日本で使われているCBとかFJRとかではなく、CRF、テネレ、ハイパーモタード、タイガー、エンデューロ、スーパーデューク。この辺りの700cc〜が基本になると思うぞ?さっきそう聞いたし」
「えっと?あ、ここインターネットか通じているのか。スマホで調べたがバリバリのオフ車じゃないか!これ高身長じゃないとキツくないか?」
「低身長向けには別のオフ車を追加導入予定ではあるが、現状この車種が対象になる」
「そうか。サイドパニアケースは付けれるのか?」
「いやここは異世界でしかも交通違反は車じゃないからそういったのはないぞ。どちらかと言うと現場にいち早く駆け付ける即応能力や追跡時や応援時に悪路を走破する走破性が重要になってくる。それなのにパニアケースなんて要らないだろ?」
「交通違反がないから付けない、か。確かにな。なら付けるのは、無線とサイレンくらいか」
「それだけだろう。速度測定も無論付けないだろうな。馬の最高速度なんてたかが知れてる」
「車とかを異世界向けに販売とかは?」
「ない。ないから安心して良い。因みに今目の前に自衛隊保有のバイクを持ってきたが、これは俺達の目からは目の前にバイクがあると認識しているが、バイク自体にとある付与をしてある。何か分かるか?」
「付与?何を付けたんだ?」
「考えてみな」
「あ」
「何か気づいたか?」
「はい。私多分いや皆も集中してみると分かると思います」
「?何だこれ?モヤが掛かっているように見えるが?」
「気づいたか。そうだ。敢えてモヤを掛けている。無論俺たちの車両にもな」
「何故だ?」
「技術面の盗撮防止さ。勿論アイツらに真似できるとは思えんが、念には念を入れている」
「そうなのか。けどこれから異世界人も来るんだろ?その時はどう説明するんだ?」
「別にどうって事はない。それに入職時に忘却などの魔法を強制付与するんだ。問題ない。仮に出し抜こうとすると前科持ちか最悪は死罪だ。そうなっても死にたい奴なんてアホ以外はいないさ」
「・・・そのアホは恐らく居るだろうがまあ良いや。そういうことか。?つまり警察車両及び捜査車両にも?」
「全車両に付与だ」
「スゲエな」
「それで?話逸れたが希望者は?」
「ああそう言えばそうだった。基本は交通機動隊がバイクだろうからそこは良いとして、問題は馬か。因みに馬ってあの馬か?よく見るタイプの?」
「その馬で違いないぞ。ただ魔物の馬も居るがな」
「どう違う?」
「見た目とかで言えば目が4つとか頭が2つとか角ありとか様々だ」
「まあそこは懐けば良いからそこまでこだわるのはいないだろ。一応聞いてみるか。馬に乗りたいのは?この場合は常に乗馬する前提で言う」
バッ!!!!
「どうやら女性が多いな」
「みたいだな。なら希望者は俺の左にいる彼女に申し出てくれ。二等陸尉頼めるか?」
「はい。お任せください」
「あと警視。今のうちに班わけを頼めるか?こっちも調整するから」
「分かった。班長の階級とか指定はあるか?あと今日の巡回場所とか」
「そうだな・・・。できる限り階級の立場上同等がいいな。巡回場所は班分け後に決めよう。普通にバラけると思うから」
「となると俺はお前か」
「ああ。そうなるな。あと階級は佐官は基本警部以上、尉官なら警部補、それ以下の下士官は巡査部長でいいだろ」
「三佐、二佐=警部以上、三尉、二尉、一尉=警部補、それ以下が巡査部長。了解した。配置を考えよう」
「こんな配置になったぞ」
「いい感じに分かれたな。最大で一班10人か。一応一班2〜3人は付けよう。さて、これからどうしようか?」
「どうしようかって言われても、もう出動じゃないのか?」
「いや実はな?その状態では行けないのよ」
「何でだ?」
「装備がな・・・」
「装備?銃に手錠に無線、警察名入り防刃チョッキに警察手帳。あとは何がいるんだ?」
「まず銃が拳銃では足りん。最低自動小銃が必要なんだ」
「『!!??』」
「は!?自動小銃!?南米とかアメリカとかではないぞ!?」
「ああ。だが残念ながら拳銃、しかも警察支給の銃じゃあとても火力不足だ。しかも弾もかなり消耗する」
「弾?そんなに消耗するのか?」
「運次第ではあるが、俺は最大500発は使った」
「!?いつ!?」
「去年の秋くらいだ。闇組織相手に使用した」
「闇組織相手に500発・・・。魔法は?」
「俺たちの場合は魔法発動より銃使用の方が対応が早い場合がある。特に犯人確保か制圧、殲滅に即応性が求められる関係性上、尚更魔法詠唱より銃使用の方が、な」
「『・・・』」
「人命軽視・・・、とはならんか・・・」
「ああ。闇組織の方がよっぽど人命軽視だ。何しろ人体実験や人間解体をしていたからな」
「・・・」
「その映像が残ってるがどうする?見るか?」
「・・・やめておこう・・・」
マジかよ・・・。自動小銃なんて持った事ないぞ!?てっきり拳銃のみでどうにかなると思ったが・・・、部下もきっとそうだろうな。けど魔法の方が嵩張らないと思ったが、話聞いてると確かに俺たちの場合は魔法というのは使った事ないし何よりそういう文化が全くない。それなら使い慣れていないのを使うのより使い慣れた方が早い。合理的だな。だがやはり人命軽視は少々抵抗があるから俺たちも魔法を使う回数を増やして身につけないとな。
「仕方ないな。これでは自動小銃が必要になるのも分かる。だがしかしSATは?」
「あの時は自衛隊の治安維持専門部隊を派遣して民間人の救出もした。おかげで人員不足の結果何人か、いや数十人の容疑者を射殺した。SATも無論召集できるが、本土の人員をこっちに割くリソースがあると思うか?」
「・・・ないか・・・。ならしょうがないな。俺たちも自動小銃を持つとしよう。あの時の動員人数と容疑者は?」
「動員人数は他国の警備兵と衛兵合同で俺たち含め200人。大して容疑者は2万だ」
「100倍じゃないか!?射殺人数は!?」
「記録では200人だ。但し俺たちが把握しているだけでだ。衛兵とかは槍とか矢、剣、魔法とかで斬ったり風穴を開けたりしていたからな。恐らく500人は超えているだろう。あの時にいた兵士にも言ったが、俺たちは防衛、つまり国防専門だからな。火力は任せろだが人質が居たんだ。そこは専門ではないからな。どうしても火力だけでは押しきれん」
「・・・分かった。他には?何が足りない?」
「それとそのチョッキだな。日本語じゃ通じないから翻訳する必要がある」
「英語じゃダメなのか?」
「ここは異世界語に合わせる必要がある。それに異世界では警察と言っても通じない。警備隊で通じるんだ。それ用に作り直す必要がある」
「警備隊で通じるんだ。ならお前らは?」
「無論、憲兵だ」
「だから防弾チョッキの前後に日本語の下に現地語が書いてあるのか」
「そう言うことだ。なのでお前らのチョッキも同じようになる」
「確かに英語では通じんならそうするしかないな・・・。あ、だからか」
「?」
「異世界行きのチケットを受け取った全員に語学を学び直せと強制されたんだが、どこの国なんだと思ったら異世界のだったのか」
「そう言う事だ。あとな?」
「まだあるのか」
「一応これで最後の予定だ。俺たちもそうだが、捜査の関係性上、私服警官がいるだろ?」
「ああ。機動捜査隊が特にそうだな」
「制服警官なら必要はないが、私服警官とかなら必要なのがある」
「なんだ?警察手帳ならあるが?」
「いや。異世界限定ではあるが、それ以外にもう一つある。アメリカドラマは観るか?」
「奥さんと一緒に観るくらいは」
「なら分かるな。バッジは知ってるだろ?」
「よくアメリカ私服警官が首とかベルトから下げていたな?それが・・・、まさか?」
「ああ。あれが必要だ。異世界では着用衣装から警備隊や憲兵、騎士を見分けている」
「そうなのか?だがそれでは偽装が」
「だから異世界の人はステータスというのがある。よくゲームで横にスライドすると表示する」
「ああ。あれで判断してるのか」
「あれに表示してるんだ。本物かどうか」
「そこは妙に先進してるな・・・。だが異世界だから通じること、では俺達ではどう判断するか。魔法もそういうのを使った、いやそういうのもない俺たちをどう判断するか」
「そこで2つ必要になる。首から下げるバッジと手帳を。無論俺たちも両方持っている」
「けど盗まれる恐れは?」
「そこさ。そこは全員このあと覚えてもらう魔法がある。それを使用すれば大丈夫だ。ちょっと来な」
「これは俺のID及びバッジだ。2人、持ってみろ」
「はい」
「持ちました」
「それを持ったまま離れてみろ。大体10メートル位で良いや。多分途中で消えるから」
「「消える?」」
「まあやってみれば分かる」
トコトコトコトコ・・・・
ブン!!!
「「!?」」
「き」
「消えた!?」
「どこだ?お前持っていたのでは!?」
「いや!?私も今手元にないよ!?」
「ど、何処へ・・・」
「答えは簡単」
「『?』」
「俺の手に持っているのを見ろ」
「手を?」
「『・・・』」
「『!!??」」
「え!?どういうことだ!?」
「まさか、魔法!?」
「そうだ。特定の物とかに一定距離が離れると持ち主に戻る魔法。これを全員に覚えてもらう。これで紛失を防ぐんだ。無論、妨害も受けない」
「た、確かにこれがあれば紛失や悪用などを防げますね!」
「なんでこういったのが地球にはないんだろうな・・・」
「そこは知らん、が、このあと全員に教えるんだ。それと次いでに魔法に関して色々覚えてもらおう」
「・・・俺たちの脳のキャパはそこまで大きくないぞ・・・」
「大丈夫さ。無理くり覚えさせる方法があるからよ。楽しみにしておけよ?」
「『・・・』」
「はぁ〜・・・お手柔らかに頼む」
「そこは保証しよう」
「使い方が・・・、もういいや」




