その後4
その後4
「結局従兄さんの派遣先を抗議または援助しようと働きかけたのに、今日まで進展なし・・・」
「それほど日本国も余裕がないのでしょうか?そうは思えませんが・・・」
「結局な?あいつらも人手不足何だと思うぞ?俺達の国からも援助しているからも芳しい情報は入っていないしな」
「その代わりやはりウチ達の国から戦死者も出る始末・・・か」
「ええ。当初より更に王族や権力者が集ってアレクサス君、ひいてはあの国をどうにかしようとしてるのに、無いも音沙汰無しなのよね」
「まあ、全く音沙汰無しではないが、じゃあ何か良い情報は?と言われても返答に困るからね・・・」
「うん。でも結局最終的に私達を含めて、50ヵ国が集まったのにそれでも改善しないって。どれだけあの国の治安は悪いのよ?過去最悪じゃないの?」
「それは以前からそう思われていたが、皆口を揃えて『詳細は不明』だからな。あの時はここまで治安が悪いとは誰も思わなかっただろうな」
「そこまで悪いと改善の余地はあるのでしょうか?私は無いと思いますが」
「そこはどうなんだろう?国民があの土地にこだわる理由があればどうにか出来ただろうに、あそこまで行くと祖国愛なんて無いに等しいんじゃないかな?」
「多分だけど、既に無いんじゃないかな?だって紛争地域の区域があそこまで大規模だと、どこにいても一緒じゃないかな?」
「多分な。だから戦火になっていないのは、本当によっぽど人里離れた場所だけなんじゃないか?そこ以外は正直思い浮かばん」
「それか流浪の民」
「流浪がその国にいると思う?」
「・・・無いわね・・・。本当に居たら『バカか!』と罵ってるかもね」
「そう考えると人手不足なのも無理もないかもしれん」
「というと?」
「まず国土だけで異世界3位の国土を持っている。それと同時に紛争地域の数と規模も異世界最大ときた。となるとそこに人員を割く数もかなりの数だろう。となると?」
「どれだけ送り込んでも手が足らない。各地で人手を要求する」
「それで入ってくる情報も芳しくない?」
「かもしれん。まああくまでも可能性の話だがな」
「ですが信憑性は大いにありますわね。となるともう私達に出来る策は?」
「正直ないかもしれん。何しろ俺達の国の兵士を送り込んでからかれこれ2年が経つ。それに俺達ももうじき中等部を卒業する。出来ることも限られてくる。今は現状維持しかないだろうな」
「『・・・』」
「結局、何も出来なかったな~・・・」
「そうでもないんじゃないかな?少なくとも手助けにはなったじゃない?」
「そうなっていることを祈りたいですわね・・・」
・・・・・
「ようこそ。文字通り戦場へ」
「確かに文字通りの戦場に降り立ってしまったな。しかしここまで遠いな」
「仕方ないだろ。ライゼンがいる星からここまで片道でも6時間だ。無理もない」
「しかし何でここまで時間が掛かるんだ?」
「始めこそここの海上基地にワープを設置しようと思ったが、侵入者が故意にワープに突入した時、勿論対処はするが後援を呼ばれる可能性がある為、それで港基地の方にしたんだ。まず港基地に着くまでに2時間弱、そこから三重セキュリティーチェックを超えてヘリに乗ってここまで4時間弱。無理もない。しかもこの時に限って快速ヘリはメンテナンス中。尚更だろう。本来なら遅くても4時間で到着できるところが6時間だもんな」
「全くだ。しかし何故ここにワープを設置しない?ここまでくる輩なんていないだろ?」
「それがそうでもないんだ。この海上基地の建設途中に現れたんだよ。どこから嗅ぎつけたのか知らんが、海賊しかもかなりの規模を保有している海賊がな」
「は?ここに?マジで?」
「ああ。ご丁寧に向こうは竜も出したやがって。明らかに敵対意思を示していたから撃退と捕縛したがな」
「んでそいつらは?」
「今頃昇天という名の地獄に落ちている頃だろう。海賊でしかも軍相当を相手取ったのだからな」
「・・・まあいいや。それで?俺はここで何すればいい?俺に出来ることは限られるぞ?」
「知ってる。まずは現在の要救出者を算出してくれ。大分難民も減って来たからな」
「は?たかが数年で減少する者なのか?殺害されてない?」
「上もその可能性も示唆していたが、一部殺されていたところを除いて、救出に手が足りてきた模様なんだ」
「それ何処か横取りとかしてないか?例えば救出した代わりに自国民にとか野望を持ったところとか?」
「いや。それはない。何しろ始め俺達が来る前はそんな感じだったんだが、予想の遥かに超える戦死者に他国は恐れをなして撤退していったからな。今更それはあり得ない」
「ならなんだ?神でも降臨したのか?」
「それはこの世界の神に謝れよ?」
「何でさ?こういうのも神の定めだというアホな思考をしている者もいるだろ?」
「それもそうなんだが、実際に神の定めだ!聖戦だ!と叫んで死んだ奴もいるし、それが本望だ!と頭が逝った奴もいる。第一に念のため可能性の話と仮定して、神族に聞いてみた」
「返答は?」
「“そんなの指示した覚えはない。記録もない”とさ」
「虚偽の可能性は?」
「読心術を持った者に聞いたら、どうやら虚偽ではない。本当に指示して無いようだから、その可能性は排除した。結構前にな。それに」
「それに?」
「実はその神族も紛争に巻き込まれて今はこの海上基地にて療養している」
「療養?どこかやられたのか?」
「神族は不老不死であるのは知ってるよな?」
「ああ。世代交代はあれど、死なないと聞いている」
「その根底が覆される事案が発生したんだ。具体的な内容は俺も詳しくは知らんが、とにかくかなりやられたみたいで、魂の灯も消える寸前で俺達が救出し、現在は療養最中だ」
「神の力でどうにかならなかったのか?」
「それが今療養している神族は、この世界の神ではなく、別の世界の神族であるのが分かったんだ」
「それって・・・」
「お察しの通り、神力で効力が発揮されるのはあくまでも自分の管轄する星または世界のみ。管轄外での効力は神族除外の重い罰が下る可能性がある。その事から何も出来ず、やられっぱなしで衰弱してしまったのだろうな」
「けど神族って力も相当なものではなかったのか?」
「多勢に無勢って言えば分かるか?しかも効力が制限されている状況下で」
「察した。そう言う事か」
「そう言う事だ。無理に神力を使用すれば先程の様に処罰される恐れがある。だからと言ってこの状況を打開するには神力の力無しではなしえない。実は神族の力って一部神力が使われているんだ。だから下手に出来ない。なので出来る限り己の力でどうにかしなければならないのだが、如何せん相手が多過ぎた。結果追い返すどころか、自分が衰弱する羽目になってしまったんだ」
「しかし完全にとばっちりだな。別にどこかに所属していたとかではないんだろ?」
「軍とかにか?それはしていない。あくまでも種族で神族に所属しているだけで、中身はただの少女なだけだ」
「あ?今聞き捨てならない単語が聞こえたぞ?被害は女の子か?」
「しかも4人」
「うわぁ・・・。最悪だな。現在の進捗は?」
「4人中2人が軽傷。軽傷と言っても途中で気絶したから正直重症寄りかもしれん。んで残りの2人の内片方は重症、だけど数日前に目を覚ました。言っとくが意識不明の重体ではないぞ。だが最後の一人はその意識不明の重体だ。正直こいつが怪しい。下手すれば植物状態または死かもな」
「神族って死なないんだろ?どうやって死亡判定になるんだ?」
「それは俺達には分からん。文字通り神のぞ知る世界というやつだ」
「この事は?」
「勿論管轄の神族に伝達済みだ。だがそう簡単にそこから離れることが出来ないらしく、今はその部下が看病しているみたいだ」
「治癒能力は?」
「軽傷の2人には既に治癒魔法を使用し、完治した。今は筋力を取り戻すべく、筋トレに励んでいる。重症の一人は今少しずつ付与している。もうじきだろう。だが問題の最後の一人は先進医療で治癒しないと完治出来ないそうだから、今その治療方法でやっている」
「治癒魔法では出来ないのか?」
「どうやら治癒魔法も万能ではないそうで、それは神族も一緒らしい。今回はその意識不明の重体の神族は治癒魔法では治らない程の重傷だったらしく、今は何とか先進技術で治療している最中だ」
「治療開始してからどれくらい経つ?」
「えっと?俺も詳しくは・・・。ああ、ちょっと待てよ?確か端末に・・・。ああこれだ。見えるか?」
「ああ。8ヵ月?8ヵ月も意識不明の重体なのか?」
「ああ。だから危ういんだ。本当に不老不死の神族が死ぬのか?という事が」
「そうか・・・。まあなんにせよ回復を祈るばかりだな。?救出者お前のチームになっているが?」
「ああ。救出したのは俺達のチームだ。だがその時はあいつらが神族とは知らなくてな。暫く経ったときに身元照会をしていたら港基地から連絡貰ってな。それで身元が判明した」
「そう言う事か。そりゃ詳しく分からないのも無理もないな。・・・」
「どうした?気になるのか?」
「?あ?ああ・・・」
「・・・来るか?ICUに」
「行けるのか?」
「治療室には入れないが、その前なら」
「・・・行こう・・・」
・・・・・
「お疲れ様です」
「おうお疲れ。そちらの少年は?」
「どうもお疲れ様です。こちらの海上基地に派遣されました、外務省所属のライゼンと言います」
「外務官か。どういった用で?」
「神族の様子を見に行きたいと申したもので」
「治療室には入れないぞ?」
「構いません。あくまでも見るだけです」
「ならこの入室許可証を。出る時に必ずここで返却を」
「お借りします」
「今誰か入ってますか?」
「治療室内に警護の隊員と、その前の通路に神族の仲間が居るだけだ」
「いつものですか?」
「そうだ」
「分かりました。お借りします」
「おう」
「どうも」
「これはこれは。お疲れ様です」
「様子はどうですか?」
「はい。昨日とお変わりなく眠っております」
「そうですか。ああ、こちらのお飲み物を」
「これはこれは。ご厚意ありがとうございます。頂きます」
「『・・・』」
「ご不安でしょう?お気力は大丈夫ですか?」
「ご心配ありがとうございます。私ともう一人が一組で合計3組でローテーションしているので、気力などに問題はありません。ですが、ここまで眠ったままですと正直・・・」
「ああ!それ以上はお考えにならずに。今は嫌なことをお忘れになられた方が・・・」
「・・・はい。取り乱しました。申し訳ございません」
「いいえ。大丈夫です」
「して?こちらのお方は?」
「はい。申し遅れました。自分外務省から参られた者です」
「どうもお疲れ様です。どのようにこちらへ?」
「初めは防衛省からの事務系の応援としてこちらに先程参られました。そこで横にいます私の友人でもある彼から神族がこの状態になっているとお聞きしまして。何故このような事態になってしまったのか、誠に不謹慎ではありますが、興味が湧きまして、自分に出来ることは何かあるのか?と思い、こちらに参られた次第です」
「そうですか。決して不謹慎ではございませんよ。こうやって私の上司のお子様を見に来て、何が出来るのかを思考しているのですから」
「お心遣いありがとうございます。・・・率直に申し上げます。このような仕打ちをした者に対して、怒りや憤りは?」
「『・・・』」
ゴォォォォォ!!!!
「それだけあれば十分です」
「申し訳ございません。ですが憤りとかで私達もどうにかなってしまいそうになる程、憤りに満ち溢れております」
「分かりました。自分も出来ることを最大限発揮することをお約束いたします」
「!ありがとうございます!」
「んで?こちらの方たちをこのように悲しませた輩は?クズは?」
「まだどこかで生きている。だが俺達に出来るのはあくまでも難民救出のみだ。内戦干渉は法を犯してしまう」
「そうか。そうだったな」
「だがその怒りも俺には分かる。だから上官に打診をして上官の公認のもと秘密裏に捜査している」
「結果は?」
「判明しているが人員を割くことが出来ず、今野放し状態だ」
「ならその資料や情報収集等は俺がやろう。その代わりこの仕打ちをした輩に鉄槌を」
「ああ」
「んで?俺はどこで作業すればいい?」
「サイバー室に案内する。そこで作業してくれ」
「分かった」
「すいませんがこちらの外務官を所定の場所までご案内をお願いします」
「分かりました。アレクサスさんはどちらへ?」
「非公式の任務に行くと言えば分かりますか?」
「・・・お気をつけて」
「はい」
「ライゼン。今到着したぞ」
『分かった。GPSを作動させてくれ』
「今作動させた」
『えっと・・・。ああ出た。今そこだな~?・・・ほいほいほいほい・・・。一応次の出現ポイントの候補は絞られているんだが、まだ数が多い。何かヒントみたいなやつはないか?』
「そんなこと言われてもな・・・。何を探せばいい?」
『何でも良い。足取り落とし物臭い地面とかに書いた絵等何でもいい』
「ただ今砂漠のど真ん中だからな・・・。正直期待薄だが」
『ならそこから西に3キロ先にオアシスがある。そこで何か手掛かりを探してみては?』
「西に3キロだな?分かった」
「着いたぞ」
『何か分かるか?』
「水があって、木が2本生えていて、草も多少あるくらい?そんなもんだぞ?」
『地面とかは?』
「・・・特に変化は・・・?」
『どうした?』
「今思ったが、ここの砂漠、最後に降雨したのいつくらいだ?」
『ちょっと待ってろ・・・。3日前だな?』
「ならこれは手掛かりだな。降雨量に対して水の量があまりにも少なすぎる。枯渇とまでは言わないけど、ほぼそれに近いな」
『ほう?確かにそれは不審だな?それは手掛かりにはなるが、それは軍が水をかっさらったというのは?』
「低くはないが、どうだそのあたりは?」
『形跡とか足取りだろ~・・・?これか。そのあたりは2日に1回誰かしら通る。ヘリ搭載カメラで今確認している。ちょっと待ってろ・・・』
「因みにこのほかにオアシスや遺跡みたいなものは?」
『その前にこっちだ・・・。ビンゴ。明らかに人を襲いそうな輩が通っていくのが見えた』
「なら何で対処しなかったんだ?」
『その時ヘリはかなり高度を上げていた。その直後に砂嵐が来たんだ。それで視界が遮られたのだろう』
「それでか。んで?方角は?」
『ちょっと待ってろ?今現在地を照らし合わせている・・・。そこから更に西に行ってるな。映像に映った日付は昨日の昼頃となってるからそこまで離れていないぞ』
「それは朗報だな。んで?距離は?」
『昨日の昼に映像に映っていて今は次の日の夕方、ほぼ夜に近いな。となると歩きでどんなに早くても良いとこ100キロ圏内ってところか』
「おい!それかなりの規模だぞ!?」
『分かっとるわい。それに向こうは団体だ。更に移動速度は遅い筈だ。この夜の間を利用して接近するのも手だぞ』
「それもそうか」
『それに更なる朗報だ。さっきのカメラ、音声認識装置も搭載している。なのでこれで分かったぞ。昨日映りこんだ団体はあの神族を襲った連中だ』
「ならその証拠で確実だな。因みにどこの連中なんだ?」
『そこまで詳しくは分からんが、少なくともまともなところではないだろう。大方どっちかの裏組織だろうな。ただ確立としてはテロ組織の方だろうな。何しろ国が神族に喧嘩売るとは思えん』
「だがそれはまともな思考をしている奴だけだ。生物はいつ変異するのか分からんからな」
『それもそうだ。さてと?ちょっと移動が大変だからヘリを寄こすか?』
「いや。それには及ばない。今近くにヘリを待機させている」
『分かった。そこから西に半径100キロ圏内だ』
「分かった。すまんが頼む」
『分かった。そこで待機しろ1分で行く』
ブロロロロロロロ!!!!
「待たせた」
「ありがとう」
「西に100キロか?」
「そこまで移動できているとは思えないが、取り敢えず半径100キロだ」
「分かった」
「しかし神族に喧嘩吹っ掛けるとは良い度胸しているな?」
「ああ。俺もアホか?と思うわ。よっぽど死にたい奴しかいなさそうだな」
「はは!神罰ならぬ死罰ってか?」
「かもな」
「さぞかし神もお怒りだろう?」
「ああ。昨日その被害者の親御さんの部下が看病していたが、神罰してやりたいか?と問いただしたら静かなる炎が見えたよ」
「うわ~知らんぞ~あいつら。多分地獄では終わらんだろうな」
「かもしれんな」
「お~いお前ら。見えてきたぞ?」
「分かった。取り敢えずここで俺だけ降ろしてくれ。あいつらがどう出るか見てみたい」
「分かった。合図をくれ。直ぐに追う」
「分かった。行ってくる」
「どうもこんにちは」
「?こんな場所に何の用だ?」
「何用?あんたらに用がある」
「何だ?俺達は今忙しいんだが?」
「なら単刀直入に。お前らは数ヵ月前、金髪少女4人組を襲わなかったか?」
「4人組?金髪で?4人組金髪なんてそこら辺にいる」
「ならその4人組はお前らにやられまいと抵抗または反撃されたか?」
「反撃となるとそこそこの強さだな?だがそんな奴がいたら逆に記憶に残っている。何なら誰かが負傷してもおかしくない筈だ」
「いや?既に負傷している筈だ。例えば・・・。お前。そこのお前。
身長はそこそこあって赤髪で腕に包帯を巻いているお前。
それとその横の黒髪で身長は小さめのお前、いやこの場合はお嬢様か?
それと君から正反対に居るこれまたお嬢さんでしかもパワーのある種族、君は鬼人か?角が額から1本生えているお嬢さん。
それまたその横の口をマスクで隠している黒髪の長髪のお嬢さん。君は暗殺者か?まあいいや。
その右に3つ目の、かなり体格の大きいスキンヘッドのお前。
最後に、副リーダーである異常者のお前。
この6人で4人組金髪少女を襲撃、いやこの場合は集団暴行か?しただろ」
「ふ。なにを。し」
「証拠?証拠ならあるぞ。実はお前らが襲ったあいつらは神族だからな。当然この光景は他の神族にも見られている。何なら今呼び出そうか?」
「ああ。呼んでみてくれ」
「分かった。後悔しても知らんぞ?」
「はいはい。証拠なんてないんだろ?」
「ならみてろ?ポチッ」
グォォォォォ・・・
「『?』」
「な、なんだ・・・?」
「何って?今来るんだよ。神族の親族が。ダジャレじゃないぞ?」
おぉぉぉぉまぁぁぁぁえぇぇぇぇらぁぁぁぁかぁぁぁぁぁ
「『!?』」
「ほら?お参りだ。これでも証拠が無いとでも?」
「ま、まて!まだ実際に現れて」
「ならあってみるか?」
おぉぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇにぃぃぃぃぃ
「あ~あ~。ほら現れたぞ?もう命乞いしても無駄だぞ?」
「『・・・』」
「お前のせいだぞ!」
「何言ってる!?お前が金髪少女を盗ろうとしたのが原因だろうが!?それにお前!」
「何言ってるのよ!?私は副リーダーの指示で私達はとっ捕まえただけよ!」
「そうよ!!私にはお門違いよ!!」
「はいはい。醜い喧嘩はこの辺にして、お前らを逮捕する」
「は!逮捕?君にどんな権利が?君はまだ若い。そんな権限、誰も君に与えてないんじゃないの?」
「残念だな~。俺はとある所の所属なんだ。権限ならあるぞ?」
「どこに?」
「俺は日本国自衛隊所属だ。この通りIDもあるぞ?」
「『!?』」
「ヤバい!!」
「逃げろ!?」
「残念だがそうはいかないんだな~これが。行け」
『『了解~』』
「あれ?二機ならまだしも、3機いたか?」
『偶々通りがかったそうだ。安心しろ。空車だ』
「タクシーではないんだが、まあいいや。頼みます」
『了解した』
「ご苦労様です。まさか加わって頂けるなんて・・・」
「おっと。それ以上は何も言うな。これは非公式なんだろ?」
「・・・では、三佐はここには?」
「いない想定で頼む」
「分かりました。ではすいません。偶々通りがかったのに申し訳ございませんが、こいつらの輸送を頼めますか?」
「承知した」
「クソ・・・」
「お前がしくじらなければ」
「は?お前だろ!」
「お前だ!!」
「はいはい。その辺で。それとお前らに言う事があるぞ?」
「『?』」
「実は証拠はないんだ。お前らの口から割らせるのが目的だったからな」
「『!』」
「な、なんだと!?」
「ひ、卑怯だぞ!!」
「それはあの神族のお仲間さんに言え。現地にてお待ちだぞ~?」
「『・・・』」
「おい!どこまでが本当なんだ!?」
「そうだな~。それだけ教えてやろう。お前らが襲撃した4人組事態は本当だし、あの子たちが神族であることも本当だ。だが神を呼び出したのと神から君達への呼びかけはガセだ」
「なら証拠はないんだな?」
「いや?お前らの口から割れたからそれだけで十分さ。お願いします」
「はいよ」
「おい待て!俺は黙秘する!!解放」
「まずは乗れやバカタレが!!」
「お疲れアレクサス。乗るか?」
「ああ。こいつらにうってつけの相手を紹介してやるぜ」
『それなら俺に任せてくれ。呼んでくる』
「頼んだ」
・・・・・
「すいません。もう一度入室許可証を」
「はいよ。部下の神族もいるぞ」
「ありがとうございます」
「どうもおはようございます」
「?おはようございます」
「初対面ですね。私はアレクサスと申します。日本国自衛隊所属です」
「!?これはご丁寧に。私とこちらは」
「お伺いしています。今こちらにいらっしゃいます神族の親御さんの部下、ですね?」
「はい。因みに誰からそのようなことを?」
「2~3日前に夕方担当?の神族とお話ししていまして」
「ああなるほど。彼からお聞きになられたのですね。して?今回はどのようなご用件で?」
「はい。要点は一つです。こちらのお嬢様達をこのような仕打ちをした者を捕えています」
「「!?」」
「ほ、本当ですか!?」
「はい。現在移送中です。間もなくここの海上基地に到着します」
「で、でしたらここでお待ちいただけますか?今他の方をお呼びいたします!」
「ああそんな慌てずに。それにお休み中でしたらまた出直しますので」
「いいえ。大丈夫です。それにそのご報告を皆さんお待ちになられたので、直接お伝えください」
「分かりました」
「すいません。大慌てな彼女で」
「構いませんよ。ああ。私は日本国自衛隊所属の者です。実は貴方達にお伝えしたいことがございます」
「『はい』」
「実はこちらのお嬢様をこのような仕打ちをした者を捕えました」
「『!?』」
「ほ、本当ですか!?」
「はい。現在移送中です。間もなく」
ブルルルルル!!!
「ああ。前言撤回して、今到着なされました。今取り敢えず拘留しておきます」
「『・・・』」
「今はこちらのお嬢様と出来る限り一緒にお過ごしください。私はこれで」
「あ、あの!アレクサス君!」
「はい?」
「・・・ありがとうございます。お陰て犯人たちを殺せます」
「その鬱憤を存分に発散してください」
「『はい!』」
「お疲れアレクサス」
「ああ。お前もな。しかし久々にパートナー組んだけど、案外どうにかなるもんなんだな」
「案外そんなもんさ。まあ、お前とは小等部からの付き合いなんだ。そう思えば俺達も長年組んできたことになるからな」
「まだ15歳なのに、そういった体験はしたくなかったな~」
「案外いつかは経験するもんさ。それより難民の数なんだが、確かに減少傾向にあるな。まあ徐々にではあるがな。理由は分かるか?」
「詳しくは知らんが、大まかに予想は付く。多分俺がここにいることを誰か耳にして、俺をどうにかしたい。けど出来ない。なら援助する。そういった動きがあって今年から協力国が急増したからな。流石に何となく想像はつく」
「やはりお前でも分かるか。実はこれの発案者がお前の従妹のサラ王女なんだ。最も俺はそんなの知る由もなかったがな」
「まあお前は支部に戻り、俺は紛争地域に派遣だからな。知る由もなかったのも分かる、というか逆にこれを知ってたら怖いわい」
「だろうな。んで?この調子を維持すれば何とか難民救出作戦も終える時が来るのか?」
「残念だがそれはないな。何しろ様々な事情で国から離れることが出来ない家庭ばかりだからな」
「そう言う事か。という事は極端な話が、この紛争が終わらない限り俺達にも終わりはない」
「極端な話そうだな。俺達が介入できればいいんだが・・・」
「流石にそう簡単に都合よくは出来ないさ」
「だな。それよりあの4人組神族の最後の一人が目を覚ましたそうだ。ライゼン、行くか?」
「起きたのか?容体は?」
「お前の目で確かめてみ?」
「分かった」
「どうも?目を覚ましたそうで?」
「はい。この通りです」
「そうですか。医者は何と?」
「まだ予断は許さないですが、目を覚ましたので危機は脱したそうです」
「そうですか。それは何より。今室内にいるのは?」
「はい。今は行っているのは残りの3人と、その親御さん、私の上司でもある方です」
「数が多いな?」
「実は4人は昔からの幼馴染でして、二人が双子、残りは血縁で言えば他人ですが、お互い仲のいい姉妹の様に今まで過ごしていたのです」
「それが何故あの紛争地域に?」
「実はそこが私達も不思議に思っていたのですが、どうやら偶発で起きてしまった出来事のようです」
「偶発ですか。それは?」
「実は4人の内一人は人族とのハーフでして、たまに人族の期待に応えるべく神界から地表に降り立つのがあるのです。今回もいつもと同様で『助けてくる!』と言って私達も見送りしたのですが、降り立った場所がまさかの異世界でしかも紛争地域に降り立ってしまったのです。勿論即座に上に上がろうとしたそうなのですが、異世界でありますし管轄外のでもある為、使えなかったのです。なので神界に戻るべく、砂漠を彷徨っていたら、このようなことに・・・」
「「・・・」」
「それは、言葉になりません・・・」
「ですがこうやって生存も確認できて、犯人も捕縛したのでもう大丈夫です」
「・・・ありがとうございます。貴方達にどう感謝したら・・・」
「いいえ。あの時立ち寄ったのは私達も偶々通りがかって、その時に発見できただけです。あの子たちの運に感謝いたしましょう」
「・・・はい・・・」
「話がしたいので入っても?」
「はい勿論です」
コンコン
「はい。どちら様で?」
「私はアレクサス、お隣がライゼン。日本国自衛隊所属と外務省所属の者です」
「これは。どうぞ」
「失礼します・・・。どうもこんにちは」
「「「「!!」」」」
「「「「お兄さん!!」」」」
ドス!!!
「うえ”!!??」
「ちょ、ちょっと貴方達!?そんなにキツく抱きしめてはダメですよ!苦しんでいますよ!?」
「「「「ごめんなさい・・・」」」」
「いや。あ”あ”。大丈夫だ・・・ふぅ・・・」
「すいません私の娘たちが」
「申し訳ない。あまりにもこの娘たちが興奮してたようで」
「大丈夫です」
「それより、君がアレクサス君ね?」
「はい。私がアレクサスです」
「私が代表で言います。私達の娘を助けていただいて、ありがとうございます」
「『ありがとうございます』」
「いいえ。これが私達の仕事です」
「それでもです。初め聞いたときは私達は耳を疑いました。ですが現実であることを思い知ったのです。正直この娘が目を覚ますまで私達全員、生きた心地がしなかったのです」
「心中お察しします」
「ありがとう。けどこうして無事に娘も全員目を覚ましました。この恩は決して忘れません」
「お気持ちだけで十分ですよ。それに今は安静が大事です。会えたことに感謝は有難いですが、その拍子にまたベッドの上なんて嫌ですよね?」
「・・・うん。いや・・・」
「でしたらまずはお休みください。看病でしたらこちらの方々がしますし、何かあれば医師もいますので安心してください」
「・・・ありがとう・・・」
「君達も。目を覚ましたからって大騒ぎしないように」
「「「は~い」」」
「『ふっふっ』」
「?いかがなさいました?」
「いいえ?女の子の扱いに長けてるな~、と思っただけです」
「そうでしょうか?私は大人なら“こう言うのだろうな~”と思っただけです」
「『?』」
「大人って・・・。アレクサスさんは大人ではありませんか?」
「いいえ。私と隣のライゼン、両方共15歳ですよ?」
「はい。15歳です」
「『?』」
「「「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」
「ほ、本当に言ってるのですか!?」
「ええ。本当です。学生であれば、今頃中等部を卒業するかしないかくらいでしょう」
「う、嘘でしょ・・・」
「はいですので人族年齢で言えば、あまり彼女達とお変わりないかと・・・」
「確かにあまり変わらないが・・・。しかし15・・・」
「信じられん・・・」
「別に珍しくないのでは?」
「『?』」
「どういうことなのお兄さん?」
「貴方達のいう地表には、12歳から軍に所属することは別に珍しくないですよ。何なら未就学児が軍に所属することも、こちらはあまり多くはございませんがね」
「では、お二人とも未就学児から?」
「相方は分かりませんが、私は3歳から所属していますよ?」
「『!!』」
「自分は6歳からです」
「『!!』」
「ですがこれは異世界が故、認められています。本土に行けば勿論処罰対象なので例外があることをあしからず」
「は、はぁ・・・。しかし3歳に6歳から・・・」
「けど例外が故、咎めもない・・・」
「ですがそれを否定という事は、貴方達の管轄する世界でも否定することになるのです。そこは忘れないように」
「・・・分かった。ならこれ以上は聞かない。それで?こちらにはどういったご用で?」
「ああ。親御さんに聞きます。犯人には顔合わせしましたか?」
「顔合わせ?ああ。さっきしたわよ。ここの牢屋でね」
「そうですか。貴方達はこの犯人をどうにかしたい気持ちはありますか?」
「というと?」
「身柄を貴方達神に引き渡すことです」
「『!!』」
「そ、そのような事が可能なのですか!?」
「もし可能なら、是非とも引渡して欲しい!」
「それで娘たちの仇を討つのだ!!」
「如何にして?」
「勿論私刑には出来ないので、神罰を下そうかと。いやこの場合は地獄にいる閻魔に依頼して来てもらおうか?」
「それも良いですね。手配しようか?」
「おいおい待て待て。まずは引き渡しが出来るのかどうかではないか?」
「『・・・』」
「そういえばそうだった。すいません話の骨を折ってしまって」
「構いませんよ。では話を戻しまして、結論から申しますと引き渡しは可能です」
「『!?』」
「出来るのか!?本当に!?」
「はい。可能です」
「けど何で!?」
「簡単な話です。今回の身柄確保、非公式なので」
「『非公式!?』」
「でも何で?上の方は知ってるのよね!?」
「そういった単語が出るという事は、神族でもそういった事があるのですね?」
「意外かもしれないけど、私達神族でも公式非公式はあるのよ。それで閻魔とも融通を利かせることもあるの」
「なるほど。そうなのですね。では話が速いですね。実は私達はあくまでも難民救出としてあの国にいるまたは派遣で行ってるのです。その場所での戦闘行為または紛争の介入には手出しできません」
「何で出来ないの?」
「私達は確かに他国や他星、異世界に介入することがありますが、私達も万能ではございません。何事にも順序が大事です。そこは分かりますよね?」
「『(コク)』」
「それで何でこの国に介入出来ないか。実はですね。私達は自国または現地での被害を受けたまたは諜報などにより他国に介入が可能なのです。ですが今回は介入出来ません。その理由はその国での日本国民が被害を受けた報告がない。これが理由です」
「「「「?」」」」
「ああそう言う事ね?」
「お母様?どういう事?」
「つまりね?紛争になっている地域に日本国民が紛争が原因で被害を受けたというのが無いのよ」
「「「「ああ」」」」
「だから日本国は何もしなかったと?」
「そう言う事ね。ようやく意味が分かったわ」
「ああ。俺も分かった。神界から見てて何で日本国が動かなかったのかが分からなかったけど、そう言う事ね」
「じゃあなんで今はあの国にいたの?」
「大方、あの国から軍事介入は出来ないが、難民救出なら許可を出したんじゃないか?」
「流石ですね。そう言う事です。そこで先程の話に戻るのですが、そういった事もあり、今回の身柄拘束は非公式なのです。正直拘束したところで私達に出来るのは私刑だけですからね。だったら公式の場で裁いてもらった方が良いだろうと思って」
「今こうして私達に話しているのね」
「そう言う事です」
「なら話は早いわよね?誰に話を通した方が?」
「今私達の後ろにいます。私達の上官です」
「どうもこんにちは。えっと?」
「私は海上自衛隊の海将補。将補とお呼びください」
「『将補?』」
「アレクサス?」
「はい。将補という階級は、少将に分類します。つまり?」
「『海軍少将!?』」
「そう言う事です。あとはこちらの方と」
「わ、分かりました・・・。でしたら申し訳ないのですが、娘たちを頼めますか?」
「構いませんよ。将補?」
「うむ。頼んだ」
「お任せください」
「いや~。まさか2人とも自衛官に外務官とはね」
「ね!驚きだよ!!」
「けどなかなか出来ることじゃないよね?」
「相当難しかったんじゃないかな~?」
「まあ、そうですね」
「自分も難儀しました」
「ねえ?何で他人行儀なの?」
「そうよ!ここは砕いてさ」
「「・・・」」
「まあ良いわ。しかし15歳ね・・・」
「まさかの年下・・・」
「けど1個下だよ?」
「でも15歳に負けるとか・・・」
「そう思わないほうが良いですよ。神族であろうが人族であろうが、どちらも変わりはないのですから」
「考えるだけバカバカしいですよ。その証拠に横にいるバカはいつまでもどこかしらの首に突っ込むのですから」
「お前はアホか?お前だって不愛想じゃないか?だから避けられてたんじゃないの?」
「とまあ、私達もそこら辺にいるガキと変わりないですよ」
「「「「・・・・」」」」
「「・・・」」
「(おい!何で無言になった!?)」
「(俺が知りてぇ・・・)」
「(まあ取り敢えず部屋を出るか?)」
「(だな)」
「では、私達は部屋を出て通路にいますので」
「では」
「「「「待って!!ここにいて!!!」」」」
「「(マジか・・・)」」




