破壊
破壊
「おう坊主。久しぶりだな」
「一等陸佐。俺は坊主ではないですよ。アレクサス一等海士ですよ」
「分かってる分かってる。それで?学園は順調か?まあ順調だろうな。じゃなきゃ6学年までいる意味はないからな」
「はい。お陰様で」
「しかし何故この任務、NOOSEにお前がいるんだ?知っての通り俺達は精鋭部隊だぞ?」
「分かっています。ですので激励を言葉を送ろうと思いまして」
「励ますのか?別に負け戦ではないのにか?」
「はい。本当でしたら俺または同伴で敵を駆逐したかったのですが、それはなしになってしまいましたので、せめて激励の言葉を送って、命運を託そうと思いまして」
「命運の程ではないが、まあ、ありがたく受け取ろう」
「ありがとうございます。直ぐに出発しますか?」
「いや。まだ当該地区の避難が終わってない。それが終わってからだな」
「そうですか。確かに貴方達が戦った場所は必ずと言っていいほど土地が荒れますからね。下手すれば焼け野原になることも珍しくないほど」
「言ってくれるじゃないか!だが事実だから何も言い返せないがな!!はっはっは!」
「何か言い返してくださいよ・・・。市民の皆さん大丈夫かな・・・」
「俺達より市民の心配かい!」
「「はっはっは!!」」
・・・・・
「おい!まだ退避は完了してないのか!?」
「はい!まだ全体の5割ほどしか!」
「急げ!あいつらが来たらまず間違えなく俺達も被害が及ぶ!そうなる前に避難を完了させろ!」
「はい!」
「?」
「騎士団長?」
「どうしたのですか?そんなに急いで退避させて?」
「ああお前ら!今派兵から帰って来たのか!なら帰ってきて早々済まないが、領民の退避を頼む!」
「ど、どうしたのですか!?」
「日本国の法執行機関がこの道を通るそうだ!」
「『?』」
「通るくらい問題ないのでは?」
「そうですね。別にそこまで過度に反応する必要は無いのでは?」
「今回はスケールが違う!今回の日本国は本気を出して来たぞ!」
「それは?」
「NOOSEという部隊が出動するそうだ!」
「『NOOSE?』」
「聞いたことある?」
「ないね~・・・」
「どういう部隊なのですか?」
「緊急即応部隊なのだが、被疑者の殺害を主としている。その目的が故に一人一人の能力がもの凄く高い戦力を保有している!」
「戦力ですか?」
「そうだ!その能力があまりにも高すぎて、周りにも被害を及ぶ程だそうだ!」
「『!』」
「周りにも被害が及ぶ!?」
「それほど凄い部隊が出動する・・・」
「その部隊の戦力はいかほどに?」
「部隊一人に自衛隊10人以上の戦力を持っているそうだ!」
「『!!』」
「そ、それは相当凄い戦力ですね・・・」
「・・・被害が出てしまうのは分かりました。恐らく飛び火が市民に来るのでしょう。それでしたらその部隊に戦力の縮小を要請すれば良いのでは?」
「残念だがそれは出来ない・・・。その部隊は周りの被害や仲間の治療より、任務遂行を最優先にしている。縮小は出来ない。だからこのままにしてしまうと被害が及ぶんだ」
「だから避難させているのですね。因みにその部隊の到達予測は?」
「まだ待ってもらっている!避難が完了次第派遣するそうだ!」
「ならそこまで急がなくても」
「・・・今回は国王命令で即座に退避させろとの命令だ・・・」
「『・・・』」
「疑問点は山ほどありますし、説明不足が生じていますが、取り敢えず命令なら仕方ありませんね・・・」
・・・・・
「ああ。分かった」
「出動か?」
「ああ。目的地は100ヵ所以上ある研究所と施設、それとアジトなどだ」
「勿論関係者は?」
「問答無用で全員殺害だ」
「よし!行くぞ!」
「おう!」
・・・・・
「俺達はここの制圧だな」
「ここは研究施設か?」
「かな?まあそんなことはどうでもいい。5班は外で逃亡者の殺害。1班は下の階へ。2班は上の階へ。3班は研究室や制御室へ向かえ。4班は一旦上空でホバリングし、突入開始後降下開始しクリアリングに移行。ヘリに残った者は上空から逃走者を殺しまくれ」
「『了解』」
「ここは研究施設1にしておこうか。研究施設1の突入準備完了」
『了解。他がまだだ。もうちょい待て。その間に装備の最終確認でもしてろ』
「了解。お前ら。銃の安全ピンを外しておけ。即座に戦闘になる。それと手榴弾などの確認及びAPCや戦車の動作確認もしておけ。当然ながらミサイルの動作確認もな」
「『おう』」
「魔法使える奴は魔力の残量に注意しろ。スキルが使える奴はそのスキルを最大限に発揮しろ。どんな手でも構わん。とにかく殺しまくれ」
「『おう』」
「航空支援の隊員も機関銃、榴弾、ミサイル、防御魔法の確認も念入りにしておけ。降下途中でロープが切れるとかあってはならない事態だからな。飛行魔法が使える奴ならまだしも、使えないのが降下した時に切れるとか絶対に避けたい」
『『おう』』
『待たせた。全隊の配備が完了した。各々の最終確認が終了後カウント開始する』
『『了解』』
「よしお前ら!間もなく突入だ!気を引き締めろ!」
「『おう!』」
『カウント行くぞ!』
『5』
『4』
『3』
『2』
『1』
『『・・・』』
『行け!!!』
・・・・・
「へっへっへ・・・。この生物兵器で腐った世の中を浄化してやろう・・・」
「どうですか先生?進捗具合は?」
「ああ。もうちょいで完成するよ・・・」
「そうですか。ようやく出来るのですね。この世の中を洗浄する物が」
「ああ。あとはじっくりと煮えるのを待つだけだ」
「けど先生?それでしたら沸騰させたらどうなのですか?その方が速いような気がするのですが・・・」
「馬鹿者!!!この兵器は熱に弱い!!じっくりと煮え切らないと成分が分離してただの液体になってしまうんだ!!しかも無毒のな!!それではダメなんだ!!」
「!!すいません!!失言でした!!!」
「次そのような発言したらこの液体を君の体内に流し込むからな・・・」
「はい・・・」
「なら手伝え!」
「はい・・・」
「さ~て~。僕はちょっと」
ドーーーーーン!!!
ユラユラ!!!
「な、なんだ!?」
「何が起きた!!」
「侵入者か!?だが入った場所が悪かったな!!ここは警備も万全さ!!直ぐに追い返してやる!!」
「先生!この液体は!?」
「まだ煮え切っていない!この状態で取り出すと一からやり直しになる!絶対に死守しろ!」
「『はい!』」
「けどここまで来れますかね~?」
「いや~?無理だろう。ここには色々装置があるからな。ここに来るまでに死んでいるだろうよ」
「『はっはっは!!』」
・・・・・
「装置の破壊完了。通常通り俺達は下階へ」
「おう。俺達は上階へ」
「お~い。こっち見な~?」
「『?』」
「発射」
ドドドドドドド!!!!
「ひ、ひぃぃぃぃ!!!」
「あ、窓から外に出ると・・・」
シューーーー!!!!
ドガーーーン!!!
「そのように身体が物理的に無くなるぞ?」
「おい。あっち進め。こっちは任せろ」
「了解。こっち来い」
「『了解』」
「こ、殺さないで・・・」
「バカか?この施設にいるだけで犯罪者に決まってるだろ」
ドーーーン!!!
「当然加担しているのだから、殺すのは必須だろ」
「次へ行こう」
「クソ~!!侵入者は何故殺せれない!?」
「分かりません!!強力な敵としか・・・」
ガチャ!!
コロコロコロ・・・
ドーーーーン!!!
「『ぎゃああああ!!??』」
「『煩い。黙って死んでろ』」
ドドドドドドド!!!!
「『・・・』」
「次はお前らだ。若い男女の研究者諸君~?」
「ま、待て!!取引しよう!!」
「取引~?」
「そうだ!取引だ!!俺達と手を組もう!!」
「お断りだ。俺達の服に書いてある文字がお前らには見えていないのか?」
「は?文字・・・え」
「『え!?』」
「な、何故ここに・・・日本国が・・・」
「そりゃ当然お前らを逮捕するためにな」
「は!た、逮捕?出来るならやってみろ!!このバリアを破けれるのならな!!」
ビーーー-!!ビーー--!!!
「?」
「それと今警報を鳴らした!今からここは毒が舞う!!苦しんで死ね!!」
「成程な。それで俺達が気絶している間に逃げようという算段だな?」
「その通りだ!!そしてこの研究を他国でも続けて、お前らに」
「それ以上は口にするな。破壊しろ」
「『うす』」
ドドドドドドドド!!!!
「『な、な・・・』」
「はい。破壊したぞ~?」
「く、クソ!!ならもう一度!!」
「妨害魔法発動」
「バリアを形成すればいい話だ!!!」
「『・・・』」
「ね、ねえ?発動されてないわよ?」
「あ、あれ?何で形成しない!?」
「そらそうだろ。今俺達が妨害魔法〈アンチマジック〉を発動したからな」
「『あ、アンチマジック!?』」
「その効果はお前らも知ってるだろ?」
「ふ、ふざけるな!!良いのか!?ここで共倒れだぞ!?」
「俺達としては一向に構わん」
「ふ、ふざける!!そこを退け!!研究者を舐めたら」
ドスン!!!
「研究者を舐めたら?何?何だ?」
「な、何でこんなに強いんだ・・・ご、ゴーレムは!?ゴーレムはどうした!?」
「それなら俺の部下が持ってる。一式な。ほれ」
ゴトン!!!ゴロゴロ・・・
「嘘だろ・・・」
「わ、私達が丹精込めて作ったゴーレムが・・・」
「これがゴーレム?弱すぎないか」
「弱くは・・・」
「弱くはないわ!!ならこの場で証明してやる!!行って!!」
ドスン・・・ドスン・・・
「プロトタイプだけど。貴方達には負けない程強いわよ!!」
「ほう~?正直強者を感じないな。何か放ってみろ?または武器を構えてみろ」
「言われなくても!!やって!!!」
ビュンビュン!!!
「・・・」
「ほらほら!!さっきの勢いはどこに行ったの!?魔法も発動できるわよ!!やって!!」
ズズズズ!!!!
ドーーーーン!!!
「ほ~ら~どうよ~!?」
「流石!!これであいつも」
「俺が何?」
「『!?』」
「嘘・・・」
「このゴーレムはこの程度か?拍子抜けだな・・・」
「なら攻撃して見なさいよ!!」
「勿論だ。はい。持ち上げてバキ!と折る」
バキバキバキ!!!
「そして解体する」
バキバキバキ!!!
「『!!!』」
「や、止めて!!」
「誰が止めるかバカタレ。俺を殺そうとしたんだ。その報いだろ」
「お願い・・・止めて・・・」
「知るかバカが」
「こいつらどうする?」
「どうせ毒ガスで死ぬんだ。このままこいつらが死ぬのを見届けようぜ」
「『おう』」
「!!そうだ!毒!!退いて!!このままだと私達が!!」
「知るか。それより縛りあげろ」
「『ほい』」
グルグルグルグル・・・
「さ~て。そろそろ毒が出てくる頃合いだろう。最後の言葉は何だ?」
「お前ら全員道連れにしてやる!!」
「殺してやるわ!!」
「お~怖い怖い。全員ガスマスク装着だ」
「な、なんだそれは!?」
「これ?有毒なものを吸わないようにする装備」
「そ、そんなものがあってたまるか!お前らは俺達と一緒に死ぬんだ!!」
「それはお好きに。ここは全員で見張るからよ。ゆっくりと地獄に落ちて行け」
「クソ!!まだ・・・おれ・・・」
「う・・・そ・・・」
ドスン・・・
「このまま頭と心臓を貫け」
「『了解』」
ドドド!!!
「生存確認」
「・・・脈無し。血抜きする?」
「やろう。ここで生き返られても困るからな。俺はその間この毒ガスを浄化してくる。その間天窓を割ろう。そこから降下もしてもらおう」
「分かった。浄化は俺がやる。どうせただの魔法で浄化できる」
「なら天窓はあいつらに破壊してもらおう。天窓の破壊を頼む。最上階から突入が可能だ」
『了解。そしたら天窓に向かって弾を撃ち込む。避難してくれ』
「了解した。血抜き途中だが、まあ銃で風穴だらけだな。全員一旦退避しろ。天窓を割るそうだ」
「『了解』」
ドドドドド!!!!
バリーーーーン!!!
「降下完了」
「おうお疲れ」
「残りは地下か?」
「ああ。まあどうせ壁に穴を開けて逃走経路も確保しているつもりだろう。今ドリルとボーリングで探しているが、もうそろそろ・・・」
ゴゴゴゴゴゴオ!!!
「うん。今到達したみたいだ」
「みたいだな。お前らはどうする?」
「このまま地下に向かうが、一部は君達の手伝いをしよう」
「ならこのマップを持っていけ。1階までならあった方が楽だろ?」
「助かる」
ゴゴゴゴゴゴオ!!!
「な、なんだ!?」
「お?今到着したか」
「な、何がだ!?」
「簡単な話だ。お前らの事だから壁に穴開けてそこを逃亡口にしているだろ?」
「『・・・』」
「・・・何故分かった・・・」
「お前らのしそうなことだろう?お前らみたいな犯罪集団が逃亡手段がない訳がないからな。だがどこが逃亡通路なのかが分からなかったから片っ端から潰した。ただそれだけの話さ」
「・・・クソ!」
「どうやって・・・」
「ドリルやボーリングで地中に穴を開けただけだ。この説明で分からなければそれまでの話さ」
「分かるかよ!!」
「なら知らなくても良いな。だがどちらにしろ逃げ道は無いぞ」
「逃げ道ね・・・。残念だがまだあるんだな~これが~」
「流石先生!!それは一体!」
「それはこれだ!!!」
「機械兵だろ?」
「!?」
「え?そうなの先生」
「な、何故分かった!!」
「そんなの当然だろ。何でもありの世界だぞ~?片っ端から潰すのは当然だろ~。分かってないな~」
「と、という事は・・・」
「ああ。破壊済みだ」
「・・・クソ・・・」
「先生?まさか・・・」
「・・・」
「先生!!」
「その機械兵が最後の逃亡手段だったんだよ・・・」
「そ、そんな・・・」
「まあ、もう直ぐで俺達のお仲間さんが君達の逃げ道で作った穴から出てくるはずだ。多分あと数秒で」
ボロボロボロボロ・・・
「土砂と一緒にご登場ってな」
「やあ。お待たせ。取り敢えず破壊しておいた。いや~。まさか隣の山までつながっているとは思わなかったぞ」
「そんなに長かったのか。地盤は平気なのか?」
「ここ以外は頑丈にしておいた。多少生態系に影響は及ぶがまあ良い。ここは直ぐにでも崩壊して良いように地盤はわざと緩くした」
「それでいい。どうせ押収したらこの建物を破壊する予定だったんだ。その方が楽だ」
「『!!』」
「何だよ?」
「お、お前ら!!ここを破壊するのか!?」
「当たり前だバカタレ。こんな施設二度と作らせるかよ。さて。要は済んだし」
「ま、待て!!」
「何だよ?俺達は今忙しいんだが?」
「と、取引を・・・」
「応じるわけないだろ」
「どうせ生き延びたいだけだろ。俺達はお前らを逮捕しに来たんだ」
「た、逮捕なら生存している状態での捕縛だろ!?」
「いや。残念ながら違う。殺しだ」
「『!?』」
「こ、殺すのか!?」
「当たり前だ。この犯罪に加担しているんだ。生存では生ぬるいだろ」
「そ、そんなことは」
バーーーン!!!!
ゴト!!!
「ひ、ヒィィィィィ!!!!」
「ほ、本当に殺しやがった・・・」
「俺達の逮捕するという意味は、殺しでの逮捕だ。例えば生首を掲げるとか、身体全体を溶かすとか。今の様に首より上が無くなったりとかな」
「『・・・』」
「お前ら・・・。本当に人族か?」
「人族だぞ?今更何言ってる?」
「そんな冷酷な人族は初めてみたぞ!!」
「やってることが非道よ!!」
「だろうな」
「それにその様子だと・・・、警備狼に使っているウルフも・・・」
「当たり前だ。使役も対象内だ」
「そ、そんな・・・」
「こんなことが許されてたまるか!!」
「生物兵器を作っているお前らには言われたくない。殺れ」
「『おう』」
「ま、まt・・・」
ドドドドドドド!!!!
「生存確認。クリアリングをしろ。俺も手伝う。航空支援は再度建物の周辺を旋回。生き残りを探せ」
「『了解』」
『航空支援だ。逃亡、生存者無し』
『最上階までクリアリング完了。生存者無し』
『研究室及び制御関連、生存者無し』
「了解。こっちも生存者無しだ。あとは押収できるものは押収しろ。何でも良い」
「『了解』」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
「・・・そんなに時間は残されていないみたいだ。急げ」
「『了解』」
「押収完了した」
「分かった。全員撤収しろ。そろそろこいつ崩れるぞ」
「『了解!』」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
「全員脱出したな?」
「『おう』」
「ヘリよ。この建物にトドメ刺せ」
『『了解。退避願う』』
シュシュシュシュ!!!!
ズドドドドドドーーーーーン!!!!
グワーーーーン!!!!
ガラガラガラガラ・・・
「崩れたな」
「ああ。しかも綺麗に地下に消えたな。あとは事前に建物内に撒いたガソリンに火が点けば・・・」
ズドーーーーーン!!!!
ドガーーーン!!!
「お?丁度爆発したみたいだな」
「後はこのまま放置だな」
「こちら研究所1の制圧完了」
『容疑者は?』
「全員殺害した」
『押収品は?』
「ある。出来るだけ大量に押収した』
『研究所は?』
「破壊した」
『了解。間もなく他の場所も終わる為、帰投を命ずる』
「帰投了解」
「戦利品は?」
「ここにある。薬品と調合品など多数だ」
「分かった。施設周辺はどうなった?」
「俺が突入した研究所周辺は特に問題はなかった。だが研究所の地盤は緩くしたから、今頃大炎上中だろう」
「炎で多少生態系が変わるかもな・・・。施設は?」
「俺も一緒だ。ただ施設規模はかなり大きかったから、こっちは周辺も飛び火を食らっている。恐らく延焼中だろう」
「分かった。取り敢えずご苦労であった。これを国王たちに見せよう」
・・・・・
「お待たせした諸君」
「おう。あれから数日しか経っていないが、どうしたんだ?」
「何か問題が発生したのですか?」
「いや?普通に大まかな問題は解決したぞ?」
「解決?もう終わったのか?」
「ああ」
「『・・・』」
「流石早いな。だがそれと今言った単語は聞き逃さなかったぞ」
「ちっ。そこは聞き逃してくれた方が助かるのだが。部隊の被害はない。ただ施設周辺の民家に飛び火して炎上したくらいだ。複数ある研究所が山奥にあって助かったな」
「いや待て待て!火が上がっているのか!?」
「ああ。現在消火活動している」
「・・・」
「成程・・・。退避した理由がこれか・・・」
「ああ。こうなるから混乱を招く前に退避させた」
「そう言う事だったのか・・・。因みに研究所は?」
「焼け野原になったのが複数ある。残りは建物だけ破壊した」
「『ふぅ・・・。!?』」
「ちょ、ちょっと待て!焼け野原って・・・」
「ああ。軽く生態系に影響が出るだろうな」
「いや!かなりの重大なことをサラっと・・・」
「しかもさも当然の様に報告するのが、また恐ろしさを感じますね・・・」
「そうか?別に珍しくないだろ?アジトを破壊とかというのは?」
「ま、まあ、確かにそうしているところもあるが・・・」
「それと違うというのか?教えて欲しい。どう違うのかを」
「『・・・』」
「いや。いい。施設は完全破壊?」
「研究所、施設、アジト。全て例外なく破壊した」
「『やりすぎ・・・』」
「分かった。それ以上は聞かないでおく。それで?戦利品は?」
「戦利品はここにはない。付いて来い。案内したる」
「この扉の先に戦利品が山の様に積まれている。その目に焼き付けな」
ガチャン・・・
ギィィィィ・・・
「『!?』」
「こ、これは・・・」
「見覚えあるものばかりだろ?恐らくは警備の少なくなる深夜帯を狙って侵入し、窃盗していたのであろう。でなければ内通者がいたとか。まあ前者だろうな」
「ああ。内通者なんてメリットが無いし、しかも犯罪を加担するような事だし、見返りも少ないと考えたら盗みに入ったのが妥当だろう」
「そう言う事だ。この押収物をどうするのかはお前らに任せる」
「俺らにって・・・」
「こんなの俺達が持っていてもしょうがないからな」
「・・・分かった。まずは何を盗まれたかを精査したい」
「お好きにどうぞ」
・・・・・
「アレクサス」
「一佐。お疲れ様です」
「解決したぞ。これでクラスメイトに報告出来るぞ」
「ありがとうございます。良い報告が出来そうです」
「フッ。良いのか?」
「何がですか?」
「お前は日本国に所属しているが、同時に学生でもある。寂しくないのか?」
「こういう職業に就いた以上はそれも運命でしょう。寂しさとかはありませんよ。ただ、俺も学園生活を存分に楽しんでいますよ。そう思うと、間もなく来る卒業式が少々寂寥を感じますよ。矛盾しているかもしれませんが、俺の今の気持ちはこんな感じです」
「そうか。ま、残りは限りなく少ないが、その時間を有効に使いな」
「ありがとうございます。では、学園に戻ります。また今月末または来月頭に」
「ああ」
「ライゼン。俺だ」
『どうした?電話なんて珍しいな』
「例の件。先程解決したそうだ」
『聞いた。まさかNOOSEが出るとは思わなかったがな』
「それほどの相手だったのが垣間見えるな」
『いや?この場合は同時に何十もの施設を制圧するため、余剰戦力かもしれんが派遣したほうが近いんじゃないか?』
「かもな。俺はあとは報告書を書いて提出するだけだが、お前は?」
『俺も同じだ』
「ならまた明日か明後日に学園で会おう」
『ああ』
相変わらずの文章で申し訳ございません。
現在の章ですが、間もなく終了を迎えます。
最後までお付き合いください。




