焼き尽くし
焼き尽くし
「取り敢えずここで野営だ。ここでテントを張ってくれ」
「分かったわ。因みにあの都市までどれくらい?」
「距離はそこまで無い。1キュウちょいというところだ。ただ傾斜になっているから実際の道のりとしてはもうちょっとあるかもしれない」
「そこまでの所要時間は?」
「俺達の足なら1時間もあれば到達は可能だ。ただうまくいけばの話だがな」
「どういう事?」
「道中山岳エリアに入って暫くしたら森とか木々が薄くなっていくのが分かっただろ」
「ああ~分かった。つまり上に行けば行くほど障害物が無くなっていくから速く着ける分、向こうも私達の事を見つけやすくなるんだな?」
「そう言う事だ。そしてこの地形は俺達にとっては最悪な地形だからな」
「ああ。それは分かってる。都市手前は広い平野が広がっているんだろ?」
「そうだ。つまり確実にそこで見つかる。そこからが本番という事だ。本当なら背後から付きたいんだが」
「盆地であいつらの背後はかなりキツイ山で崖だからな。実質正面から切るしかないだろ」
「なかなか難儀な任務になると思うぞ。空軍も何とか都市上空を通れば楽だったんだがな・・・」
「しょうがないだろ。投下物を積んだ時の弊害も考えたらどうしようもないだろ?」
「まあな。まさか背後の山がかなりの標高の高さがあるとは思わなかったな」
「そうね。あれだと仮に投下に成功しても竜が上昇できずに山に激突してしまうのよね。だから空軍は後方支援しか出来ないのよね」
「まあ、都市上空で待機してそこから援護射撃も可能だろうが、そうすると敵から見れば格好の的だからな。そうなるのは不味い」
「しかも今回は掃討戦だから人数も多いのよね・・・」
「ああ。人数が多い上に向こうは退役軍人とかもあってかなりの腕だし子供も侮ってはいけないしな」
「しかも市街地戦は不意打ちが多いし建物の上から狙い撃ちも可能だしな。かなりの被害が予想されるけど、しょうがないな」
「ああ。俺達は軍人として生きていくことを決めた以上はその責務を果たさなければならない」
「まあ、取り敢えずそろそろ就寝しよう。明日は夜明け前に突入するぞ。ここで体力を消耗しては意味が無いからな」
「そうね。もう寝ましょう?」
「『ああ』」
「ライゼン」
『どうした?』
「明日夜明け前に突入が決まった。上官に報告してくれ」
『了解した。戦闘内容は?』
「改めて内容を伝える。今回は都市内の在住者全員の討伐が今回の内容である。対象者は老若男女問わず子供も含め全員殺害とする。なので掃討戦になる。そして戦闘エリアが市街地戦と言うのもあり、相当の被害が予想される。俺はそれに注意しながら戦闘することになる」
『分かった。相手の実力は?』
「あの都市自体が軍事都市であり、更に大抵の在住者が退役軍人や傭兵のためかなりの手練れであることが分かる」
『現在の状況は?』
「現在は休息も兼ねて約2キロ手前にて野営。早朝夜明け前に突入の予定」
『動員人数は?』
「現時点で判明している限り100万以上。分かってるのは弓兵が30万人程。それ以外の内訳は不明。ただ空軍も参加している」
『了解した。この事を上に報告し、貴官の武運を祈る』
「了解した。通信終了。それで?何かないのか?」
『ある訳ないだろ。俺に何求めている?』
「いや?何でもない」
『まあ頑張って行け。帰ってきた後はたっぷりとあいつらにお礼を入れとくから』
「頼んだ」
「皆の者。準備は良いか?」
「いつでも来い!!」
「こっちもよ!!」
「武器の手入れは完了しているぞ」
「あ・・・、俺の武器が血を求めているぜ・・・」
「何かお前狂気に満ち溢れているけど、良いぞ」
「空軍も完了だ」
「分かった。お前は?」
「いつでも可能だ。平野に着いたら各方面に複数の大型盾を召喚する」
「すまんが頼む。平野は良いとして市街地内は?」
「流石に無理だ。俺もそこまで万能ではない(本当は出来るがそこまでやる義理はない)」
「分かった。では各自、市街地に入ったら用心しつつ敵を殲滅しろ」
「『了解!』」
「では、行くぞ!!」
「『おお!!!』」
・・・・・
「・・・」
「おう。そろそろ交代の時間だぞ」
「ああ。頼んだ。状況は変わりなしだ」
「分かってる。ここに来る奴なんて碌な奴しかいないしな」
「そういうな。そのろくでもないのに俺達も含まれているからよ」
「それもそうだな。んじゃ、変わるぜ」
「はいよ。俺は武器の手入れを行った後に寝とく」
「隙が無いな、とは言えないか」
「有事の際、武器が使え物にならなかったら意味ないしな。お前こそ怠ってないだろうな?」
「それはないさ。大砲や機械兵の手入れも俺、いや俺達がやっているんだ。こっちもいつでも使えるようにしないとな」
「違いないぜ。では」
「ああ・・・?」
「?どうした?」
「・・・」
「おい?」
「お前、望遠鏡、持ってるか?」
「望遠鏡?あるけど?まさか!」
「まだ分からん。とにかくあれば貸してくれ」
「ああ。ほれ」
「借りる。・・・」
「どうだ?」
「・・・間違えない・・・」
「敵か!?」
「ああ!!今すぐに警報を鳴らせ!!」
「分かった!!」
ゴーーン!!!ゴーーン!!!
「鳴らした!!俺も装備を着るからちょっと頼む!!」
「急いで来い!!」
「ああ!!」
「敵襲か!?」
「ああ!!」
「数は!?」
「知らんが多数ある!!お前らも備えろ!!」
「分かった!!お前ら急げ!!!戦だ!!!」
「『おおおお!!!!』」
・・・・・
「流石に日の出でバレるか。まあ良い〈シールド展開〉」
「すまん。使わせてもらうぞ」
「はい。ですが万能ではないことをご承知ください」
「分かってる。お前ら、行くぞ!!!」
「『うぉぉぉ!!!!』」
「敵、矢を放って来たよ!!」
「矢は跳ね返すか避けるか魔法盾を形成しろ!!」
「来ます!!数1万以上!!」
「防げ!!」
シュシュシュシュ!!!
グサグサグサグサ!!!
キンキンキンキン!!!
「次は!?」
「前進して!!」
「お前ら!!前に進め!!」
「『押せ押せ!!!』」
「左翼から魔法陣の形成を確認!!」
「内容は!?」
「・・・」
「どうだ!?」
「判明しました!!攻撃魔法で爆裂系統が来ます!!」
「お前ら!!爆裂系統だ!!盾に隠れろ!!」
「急げ!!!」
「盾の裏に隠れたら伏せろ!!絶対に顔を出すな!!」
「聞いたな!?絶対に顔を出すな!!」
「来るよ!!」
ジュドーーーン!!!
「うぁ!熱!!」
「あちあち!!!」
「絶対に頭を上げるなよ!!!焼けるぞ!!!」
「『おう!!!』」
「もう直ぐで終わるよ!!」
「終わったら出来るだけ前進しろ!!!」
「『了解!!!』」
シュ~~~
「まだ地面が熱いが、それを避けて行け!!」
「進め!!!」
「『ウォォォォ!!!』」
「門まであとどれくらいだ!?」
「分からないけど、着実に進んでいるわ!!このまま進むのよ!!!」
「!!!おい!!あれ!!」
「!?なんてことだ・・・」
「あいつら空軍出して来たぞ!!!」
「空軍なら空軍同士だ!!頼んだ!!!」
「任せんさい!!!おめえら!!!」
「行くぞ!!!隊長についていけ!!!」
「『うぉぉぉぉ!!!』」
「『出動だ!!!!』」
「空軍は空軍に任せて、俺達は俺達に事をするぞ!!」
「はい!!次来るよ!!!」
「今度は何!?」
「砦と門から大砲が出たよ!!!」
「大砲!?あいつら本気を出して来たな!?」
「それだけではないわ!!あいつら魔導士も展開してきたわ!!」
「魔導士!?と言うことは・・・」
「まあ、少なくともあいつらは本気を出してきたという事だな」
「君は何故冷静なんだ!?」
「それくらいどうにかなるさ。それより大砲に備えて。大砲も同じように裏に隠れれば良いから、盾の大きさも拡大しておく。ただ魔導士はこっちの魔導士で対抗してくれ」
「分かった!!!魔導士!!敵が放った魔法を対抗しろ!!」
「『了解!!!』」
「来るぞ」
ドーーーン!!!ドーーーン!!!
「大砲を打って来たぞ!!!」
ズドーー-ン!!!ズドー--ーン!!!
「次いでに魔法を立て続けに打って来たぞ!!!」
「立て続け?なら・・・」
「着弾するぞ!!」
「良いか!?一度しか言わない!!着弾したら魔導士は引き続き防御して弓兵は弓矢を放て!!!30万人の矢を受けきれるほどの戦力はあいつらはない!!」
「なるほどな!!!ここで攻守交替ってか!?」
「そう言う事だ!!!それに大砲は装填に時間が掛かる、魔導士も交代なら別だが、そこまでの人材もない筈、なら」
「ここで叩き込めってな!!!分かった!!!まずは着弾に備えろ!!!」
ドーーーン!!!!ドーーーン!!!
「着弾しました!!!」
「次は魔導士の攻撃が来るぞ!!!」
「よし!!!ここで弓を放て!!!」
「打て!!!!」
ピュピュピュピュ!!!!
「放ったぞ!!」
「立て続けに打ち続けろ!!!魔導士は!?」
「防御に徹した結果損害はあまりありません!!!ただ魔力切れが少数います!!!」
「魔力切れならポーションを飲ませろ。まだ行けるようなら引き続きこの攻撃を防ぎ続けろ!!」
「『了解!!!』」
「敵、勢力を落としました!!!」
「よし!!!そのまま前進・・・」
「いや待て」
「何だよ!?」
「恐らくその理由が分かるぞ。あの門に注目しろ」
「門だと!?・・・・あ、あれは!?」
「あれは!!!機械兵よ!!!それもかなり大きい!!!」
「恐らく迎撃できる最後の兵器だろ。あれを凌げれば」
「突入が出来るわけだな!!!」
「そう言う事だ。そして幾ら自分でもあの機械兵に勝てる手段は持っていない。なら?」
「目には目を。機械兵には?」
「そう言う事だ」
「お前ら!!次は機械兵の出番だぞ!!!」
「『了解!!!』」
「それと空軍だが、ちょっと消耗が激しいみたいだ。背後や死角に回り込まれて墜落した竜があちこちに散らばっているぞ。そして運悪くその下敷きになった兵士もいるぞ」
「そうか。まあ空軍の事は空軍に任せて、行くぞ機械兵!!!」
「『おおおおお!!!』」
ズシーーン!!!ズシーーン!!!
「機械兵、展開完了!!!」
「よっしゃ!!!それ・・・」
「敵機械兵が砲撃準備を開始しました!!!」
「ならこっちも砲撃だ!!!」
「一旦下がれ!!!あいつらの衝撃波に人体は耐えられないぞ!!!」
「分かった!!!お前ら!!!」
「分かってるわい!!!下がれ!!次の全身に備えろ!!!!」
「砲撃、来ます!!!」
「砲撃が来たぞー---!!!」
『迎撃する!!お前らも砲撃開始!!!あわよくばそのまま砲撃主のあの機械兵にも行ったれ!!!』
『『了解!!!』』
ドーーーン!!!
「衝撃波が来るぞ!!!」
ス~~~・・・ドーーーン!!!
「く!!!」
「なんて衝撃波なんだ!!!」
「だが時期に衝撃波も収まる。その時が勝負だ」
「分かった!!!合図をくれ」
「間もなく衝撃波が収まるよ!!!」
ゴーーン!!!!・・・・
「衝撃波が・・・」
「収まったな?」
「という事は?」
「ああ。行くぞ!!!」
「都市内に」
「『突撃!!!!』」
・・・・・
「戦況はどうだ?」
「押され気味ですが、何とか凌いでいます」
「被害は?」
「空軍の6割を消失。大砲の装填、点検員が敵の矢部隊によって戦死しました。現在は予備の兵士によって変わりを務めていますが、今までの能力は発揮できないかと」
「そうか。かなり苦戦しているな」
「はい。ですがこちらには高出力の魔導士と機械兵、それと崖の中に切り札を用意してます。直ぐにこの状況を打開できましょう」
「そうか。だが場合によっては子供も戦火に投入せざる負えないかもしれんな」
「そうならないことを期待します・・・」
バン!!!!
「失礼します!!!」
「ノックも無しに入室とは。何かあったな?」
「はい!悪い知らせです」
「悪い知らせ?何があった?」
「まず砦を突破されて敵軍は都市内に侵入してきました!」
「『何!?』」
「機械兵は!?」
「敵軍も機械兵を動員し、数で押し負けまして、アーティファクト機械兵並びに有人機械兵諸共破壊されました!」
「生き残りは!!??」
「アーティファクトは心臓部の魔石を破壊されて鹵獲、有人もコックピット部分をやられて制御停止しました!これにより有人の搭乗者は・・・」
「戦死か・・・」
「他は!?」
「砦で守備していた魔導士は敵軍の後方支援によって全滅、大砲兵も全滅、大砲は鹵獲されました!!」
「『嘘だろ・・・』」
「おい!!敵軍はどこの所属だ!?」
「判明しているだけでも私達の祖国の軍です!恐らく連合軍としてこの都市に!」
「連合軍だと~!?今更何しに来た!?」
「分かりません・・・」
「いやもう良い!!予定より大幅に早めてしまったが、子供兵も動員しろ!!」
「しかし・・・」
「良いから!!」
「了解しました!!」
ガチャン・・・
「連合軍だと~!?」
「まさか連合軍が来るとはな・・・」
「空軍指揮官」
「はい」
「崖に行って秘密兵器を使え。あれで薙ぎ払え」
「しかし、それだと味方にも被害が」
「やれ」
「ですが・・・」
「やれ!!」
「分かりました」
「・・・」
・・・・・
「助かる!!」
「俺は良い。盾の役割だしな。それに陸軍の4割は今は都市内だ。盾の役割はお終いかもな」
「そんなことないと思うがな」
「確かに市街地でも出来れば好都合だろう。だがな、盾は時には足枷になってしまう事もある。機動力に掛けるからな」
「そこまで分かってて、敢えて市街地内での盾展開はしなかったのか?」
「そう言う事だ。大体そう言うのはお得意のタンクがいるだろ。そいつらに任せれば良いさ。まあ、まだ俺の役割はあるだろうよ」
「まだあるってか?」
「ああ。確証はないが、どうもあの崖になんかありそうなんだよな」
「崖?」
「ああ。俺達にとってはただの邪魔な崖でも、敵からしたら最大の切り札になるかもな。まあ、そうならないように祈るだけだが」
「・・・つくづく君が少年には見えなくなってくるな・・・」
「俺の年齢は分かってるだろ?人族年齢12歳のただの学生さ」
「学生が戦果状況を把握したり大型盾を展開できるとはとても思えないけどな」
「ま、そういうのもあるさ。さてと、俺はちょっと野暮用があるから行ってくる」
「何処に行くんだ?」
「どうやらあの崖にからくりがあると言ったが、予感的中みたいだ。ほれ、望遠鏡貸すからあの崖を見ろ。出来るだけ細かく」
「?・・・特に何も・・・」
「多分頂上を見てるだろ。そこではなく横にずらしてみろ。特に左を」
「左・・・!?」
「気づいたか?」
「ああ。人工物が見えるぞ・・・。小さいながら、櫓も」
「つまりそう言う事だ。そこからもう少し奥へ行くと?」
「建物数軒拝見できる」
「ああ。流石に崖内入り口は発見できなかったが、恐らくはあるだろうな。更に言えば一瞬だが人影も確認できたとなれば」
「あそこに兵器を隠しているのは確実!!」
「そう言う事だ。恐らく何かしらの動作で崖から門が出現するだろう。そこで一気に叩き込めば楽なんだが」
「そう言う事なら俺にもやらせてくれ!」
「「?」」
「俺だ俺」
「空軍か。もう平気なのか?」
「被害は決して小さくないが、戦時中に比べたらまだ大丈夫さ。それより、その叩き込みは俺達空軍に任せてくれないか?その代わり施設内の残党を頼みたい」
「そう言う事なら頼んでもらおうか。なら合図を出すから、その合図で特定の場所で待機してくれ」
「場所は?」
「あそこ見えるか?地肌が乾いているところを」
「ああ。見える」
「そこに空軍を配備してくれ。出来るだけ多めに」
「今ではダメなのか?」
「不意打ちを狙いたい。それにこれは俺の予想だが、今向かってしまうと残敵を狩り損ねてしまう恐れがある。あいつらも元軍人だから、そこら辺にいるバカとは違うからな」
「分かった。合図は?」
「狼煙を上げる。その合図で頼む」
「了解した。それまでは待機しておく」
「頼む。お前、一緒に来るか?」
「勿論だ。あと何人か連れて行こう」
「そうだな。隠し経路も見つかるかもな。そしたら出来るだけ多く頼む」
「分かった。ちょっと待ってろ」
「お待たせ。取り敢えず1万連れてきた」
「それだけあれば平気だろ。では行くぞ」
「『おう』」
「敵が増えてきました!!魔法も感知!!!」
「タンク!!」
「『おおおおお!!!』」
ドン!!!ガーン!!!
「行け!!!」
「『おおおお!!!』」
「隊長!!!敵子供も動員してきました!!!」
「構わん!!!任務は子供含め殲滅だ!!!とにかく殺しまくれ!!!」
「うわぁぁぁ!!??」
「何で~~!!??」
「ぐわわわぁぁぁ!!!」
「ぐえ!?」
「屋上から矢が・・・」
グサグサグサグサ!!!
「盾を上に向けろ!!!矢が途切れたら建物内に侵入しろ!!!」
「『了解!!!』」
「俺達は先にべつの建物から上に行く!!!」
「頼んだ!!!」
「お前ら!!付いて来い!!!」
「『おおおお!!!』」
「魔導士!!不意打ちを突け!!!」
「何処を狙う!!!」
「敵の頭を狙え!!!」
「分かったわ!!!君達も一緒に!!!」
「『イエスマム!!!』」
「矢が途切れたよ!!!」
「よし。屋上にいる人影に向かって撃て!!!」
「分かった!!!」
「打てー---!!!」
ズドーー--ン!!!ドーーーーン!!!
「命中!!!屋上にいる兵士の姿が消えたぞ!!」
「よし!!屋上の敵兵は屋上に上がっている奴らに任せて、俺達は先へ急ぐぞ!!!」
「『うぉぉぉぉぉぉ!!!!!』」
「あと、随時建物内に進入!!残敵掃討だ!!!良いか!?全員殺せ!!!」
「『おおおおお!!!』」
「敵アジトまでどれくらいだ!?」
「直線距離では直線では残り40ノウほどだが、建物の数だけでもまだ1000は超えるぞ!!!」
「なら片っ端から片付けろ!!!」
「こっちも頼む!!!」
「おい!!こっちは誰も入ってないぞ!!誰か来い!!」
「こっちは制圧完了!!!」
「次だ次!!!」
「念のため探索スキルも発動しろ!!生命反応を探知するんだ!!!」
・・・・・
「状況は?」
「かなり最悪です・・・。敵軍は少年兵やただの子供も含めて全員殺しています・・・」
「・・・最悪だ・・・」
「現時点での被害は?」
「全人口の7割を殺害され、残りは空軍の一部と崖に向かった兵士、それと私達アジト内にいる方、残り3割内にいる兵士だけです・・・」
「・・・」
「クソ!!!!」
「何か策はないか!?」
「ここまでやられると逃亡しか・・・。既にほぼ戦意喪失状態です・・・」
「・・・まだだ・・・。まだ策はある筈だ。あの崖の奴らがどうにかしてくれるはずだ」
「もし、それがダメだった場合は?」
「その時は、この都市を見捨てて逃亡だ」
「・・・はい・・・」
「・・・」
「クソったれ!!!」
「おい!急いで準備しろ!!時間ないぞ!!」
「分かってますよ~。それにしても向こうは知らないでしょうね~。ここに秘密兵器があるなんてことは」
「だろうな。まさかこんなところに超巨大魔法砲撃砲があるなんてことは誰も知るまい」
「まあ、こいつの起動はなかなか難儀ですが、それを乗り越えた暁には?」
「未来栄光が待っている。とね」
「さ~て。間もなく起動が出来るぞ~?」
「正直こんな機械じみている砲撃砲は初めてだが、その分正確だからな。あいつら何て丸焼きだぜ!」
「『はっはっは!!!』」
「よ~し。準備完了だ~」
「発射装置は?」
「もっちろん?起動完了だぜ~」
「なら、門を開けろ」
「「へ~い。あっけま~す」」
ゴーーー-ン!!!!
「これで奴らも粉々に・・・」
『それはどうかな!!!!』
「な、何!?」
『すまんな!!!竜の風圧で声が聞こえないと思って拡声器を使ってるんだ!!!了承してくれ!!!』
「だが今更遅い!!起動完了している!!後はこのボタンを押せば・・・」
『構わないぞ!!!打ってくれても構わん!!!』
「なら」
「『後悔しろ!!!』」
ギュイーーーーン!!!
ズガーーーーン!!!
ビガーーーーー!!!
「これで奴らも焼け焦げに・・・」
『なってないぞ!!!』
「『!?』」
『証拠はと言いたいはずだ!!!今視界は晴れるから自分の目で確かめろ!!!』
「・・・」
「そろそろ視界が晴れる・・・」
「・・・!?」
「な・・・」
「な、何故・・・」
『そこで飛んでるかってか!!??秘密だ!!!だがそれはお前らが一番わかってるはずだ!!!』
「さ、再始動は!?」
「どれくらい要する!?」
「わ、分かりません!!ですが、少なくとも1時間とかで再始動は出来ません!!」
「クソ!!」
『諦めろ!!!』
「だれが諦めるか・・・」
「おうおう?それ以上は発言しないほうが良いぜ」
「な・・・お前らどこから・・・」
「何処からと言われてもな・・・」
「お前らの後ろの扉からとしか?」
「ふざけるな!!こうなったらお前ら殺してやる!!」
「それは止した方が良い。攻撃した暁にはお前らは骨ごと焼き消えるだけだ」
「は!!どうやってだ?」
「簡単な話だ。空軍。良いぞ」
『了解した!!!お前ら!!!竜にありったけの魔法を放つぞ!!!出力最大だ!!!』
『『了解!!!』』
「お、おい!!」
「何する気だ!!!」
「簡単な話だ。お前らをここで焼く。それだけだ」
「味方も巻き添えってか!?」
「そうなるな」
「命惜しくないのか!?」
「惜しいさ?」
「なら何で友軍はお前ら諸共消そうとしてるんだ!?」
「それが任務だからさ。任務遂行の為なら手段を選ばない。それが軍だ」
「ふ、ふざけるな!!」
「どけ!!」
「誰がどくかアホが。魔導士」
「了解〈拘束魔法〉」
「『!?』」
「う、動け・・・」
「動けれないだろうな。だがな?お前らは誰にも助けを求めることを出来ないまま死ぬんだからな?では」
「ま、待て」
「と、取引を・・・」
「俺達はしないさ。空軍?」
『了解!!!お前ら!!!俺の合図で同時発射しろ!!!』
『『了解!!!』』
「お、おい!!」
「ま・・・」
『発射3秒前!!!』
「おい!!」
「これを・・・」
『2』
「待てって!!!」
「こんなことして・・・」
『1』
「外せ!!!」
『0』
・・・・・
ちょっと前
「あ~・・・。かなり登ったな・・・」
「まあな。だがここまで登ることに意味があるんだからな」
「だな。さて、地形的にはこの辺の筈なんだが・・・」
「まだ見えないですね。まだ奥とかですか?」
「いや。多分ちょっと座標がずれていると思う」
「座標?」
「座標って何ですか?」
「いや。何でもない。とにかくずれているに違いない。ここからちょっと戻って、そこから左手に向かおう。そしたら見えるはずだ」
ザ・・・・ザ・・・・
「結構草の量が多いですね」
「恐らくここはメンテナンスか有事にしか使用しないのだろう。それで逆に発見しにくくしてると思う。そしてもう直ぐで・・・」
「『あ』」
「見えたぞ。まずは一旦掃討だ。恐らく俺達がここを見つけられていないと思って入り口にしかいない筈だ。行くぞ」
「『おう』」
「お、お前ら!?何で・・・」
「それ以上は言わせない。お前らは敵だからな」
ジャギ!!!
「ナイフで一撃必殺かい。怖いね~」
「俺より子供の君の方が怖いさ。さて、突入」
「いやちょっと待て」
「何だ?どうした?」
「ちょっと作戦があるんだが、それを言って良いか?」
「何だ?」
「この任務は文字通り全員殺戮だ。なので余計な手間は省きたい」
「だな?それで?」
「こう言っては何だが、俺達がいる状態で空軍にはここを焼き払ってもらいたい」
「『!?』」
「おい!それだと死にぞこない」
「まあ、待ってください。恐らく何かしらの案はある筈です。そうですよね?」
「その通りだ。だから最後まで聞け」
「何だ。策があるのならそれを先に言え」
「言おうとした矢先に口答えされるとね?」
「うぐ・・・良いから言え」
「これから突入するんだが、この時点で狼煙を上げようと思う」
「狼煙を?」
「ああ。本来狼煙って分かっての通り、緊急事態や合図などにも使われている。今回の場合だと空軍に指定場所に集合してくれと言う意味で指示を出した。それは分かるな?」
「ああ。そして門が開いたと同時に一斉攻撃しろと言う指示もしていたな?」
「ああ。その一斉攻撃なんだが、本来味方を巻き添えにはしたくないしそんなことで仲間を失うとメンタルにも影響してしまう。そのことから本来は退避してから一斉攻撃か常なはずだ」
「それはそうだ」
「だがそれだと退避に時間が掛かってしまう。それこそ例えば油断した隙に逃げられるとか」
「・・・可能性は」
「退避時だから無きにしも非ずですね?」
「そうだ。なので俺は狼煙上げた次いでにお前らに空軍が一斉攻撃しても耐えられるシールドを展開したいと思う。それで時間短縮もそうだし、残党を逃がすこともない。俺はそれで行きたいと思うんだが、どうだろうか?」
「この時点でやってくれるのか?」
「勿論だ」
「全員にですか?」
「ああ」
「ありがたいですが、魔力の消耗は・・・」
「大丈夫だ。1万人使ったくらいで尽きはしないさ」
「いや・・・。サラっと凄いこと言ってるけど・・・。まあいいや。それなら頼みたい」
「他の方もそれで良いか?」
「『ああ』」
「よし来た。では掛け終わった方から直ぐに突入してくれ。付与は一人1秒だから直ぐに合流出来るぞ」
「ならお前ら付与終わったら即座に付いて来い!!俺が先頭切る!!」
「頼んだ。では〈シールド展開 対魔法及び物理ダメージ無効化 シールド付与 範囲全方向〉これで行けるぞ」
「改めてお前は凄いな・・・。では先行くぞ!!」
「『おう!!』」
「お前らは左を任せた!!」
「最深部到達したら?」
「その場で待機だ。擬態している可能性があるからな。恐らく移動可能は一斉攻撃が終わった後になると思うから気を引き締めたほうが良いぞ」
「分かった。幸運を。こっちに来る奴は付いて来い!!」
「お前もな。引き続き降りるぞ!!」
「ここは?武器保管庫か。ここに突入する奴は?」
「俺らが行く。何人か付いて来い。恐らく残党もいるはずだ」
「頼む。あと各部屋の掃討も頼む」
「私達が各部屋に行くよ」
「この先にも分岐だな」
「自分が行きますよ」
「頼む。恐らく迷路になっている筈だから、それも踏まえて行ってくれ」
「分かりました。では後程」
「・・・」
「隊長・・・。恐らくここが・・・」
「ああ・・・メインの発射台の部屋だろう。声も聞こえる・・・」
「だがまだ先もあるな・・・」
「ああ。恐らく制御盤とか魔力貯蔵室が他にもあるだろう。俺はここを見張るから他は他方面を制圧しろ。完了したら合図してくれ」
「『了解』」
「ああ。分かった。隊長。各方面の制圧が完了したそうだ」
「ああ。分かった。各自突入準備だ」
「『おう』」
「カウントダウン行くぞ」
「3」
「2」
「1」
「ゴー!!!」
「おうおう?それ以上は発言しないほうが良いぜ」
・・・・・
今に戻る
ドーーーーン!!!!
「な、なんだ!?」
「おい!!誰か窓を見ろ!!!」
「は、はい!!」
「あ、あれは・・・」
「う、嘘だろ・・・」
「何だ!?何があった!?」
「・・・」
「答えろ!!」
「それが・・・」
「崖にある発射台が・・・」
「破壊されました・・・」
「な・・・」
「何だとー---!?」
「こんなことが・・・」
「もうこの戦は負けです!!逃げましょう!?」
「そうです!!また新たに設立すれば良いじゃないですか!!!」
「・・・そうだ・・・。まだ他にもある。チャンスがあるじゃないか!?よしお前ら逃げるぞ!!」
「『はい』」
「まだ脱出経路は・・・」
「脱出経路がなんだって?」
「『!?』」
「だ、だれだ!?」
「どうも。お久しぶりです。元大佐」
「お、お前は・・・」
「ええ。あの時の部下ですよ。奇しくも今は貴方と同じ階級になってしまいましたがね。なのでここは対等な立場として話そうじゃないか!?ああ!?」
「『ひいいい!?』」
「おっと?これは失礼。だが貴方達のやったことは到底許されることではないのは確かだぞ?」
「う、煩い!!お前に何が分かる!?」
「分からないさ?こんな軍事都市を作って、犯罪者を隠して、軍事能力を上げたいから他国の研究施設に入って、挙句には死傷者を出してしまう貴方方の気持ちなんて分からんさ。ああすまない。一部訂正しよう。死者はいなかったな」
「それで調べた結果がこれか!?連合軍で襲撃してここに来たってか?」
「ああ。勿論貴方方がやったことは許されないことなので、判決は死罪ですよ?分かってるよな?」
「そんなのとうの昔から分かってるわい!!だがな、俺らは」
「逃げれるとは思わないでくださいな?」
「へ!!誰が従うかっての!ここにはな!!隠し通路」
「地下の洞窟に繋がる隠し通路や、山の反対側に突き抜けた通路、一番近い都市まで繋げていく先が一般的な一軒家、地下にあるカタパルト出現タイプのものまで全て潰したけど何か?」
「『!?』」
「クソ!!!」
「ここまでか・・・」
「なら一層、お前らごと巻き添えしてやるわ!!!」
「その必要は無いぞ。だってなにしろ」
ズドーー--ン!!!!
「この都市ごと焼き尽くすのだからな。ではさいなら~」
「いや~大佐。この防御が無ければ俺達は今頃竜の炎の餌食ですよ~」
「ああ。あの子には色々と感謝しなければな。さて。生存確認しろ」
「『はい』」
「どうだ?」
「この周辺に生存者は無しです」
「分かった。なら撤収しよう。他のところも合流しないとだしな」
「はい」
「では撤収!!」
「『おおおお!!!』」
「お疲れ様」
「おうお疲れ様だ」
「しかし流石に被害が大きいな。それはそうとして、各方面は?」
「ああ。取り敢えずアジト周辺の生存者は無しだ」
「市街地も殲滅完了だ」
「念のため外壁周辺も回ってみたけど、大丈夫そうだよ」
「崖も焼き尽くし完了だ」
「分かった。今度被害状況は?」
「空軍は2割再起不能または死亡だな・・・。1割は再起可能だが、治療に時間が掛かるな」
「崖に行った部隊は重症者が数人だけだからそこまで問題はないぞ」
「市街地はかなりの死傷者を出してしまったな・・・。多分全体の5割はダメだろうな・・・。勿論砦突入前もちょっとばかし死傷者は出てるから一緒に組み込んでしまったがな」
「アジト周辺は1割が死亡または再起不能だ」
「弓兵や魔導士、機械兵は比較的被害は少なかったけど、それでも2割はダメね」
「そうか。なら全体で被害は?」
「まだ累計途中だけど、正直5~6割だろうな」
「まあ相手はかなりの手練れかつ元軍人だしな。無理もないだろうな・・・」
「だがこれで済んだのは奇跡だな」
「ああ。あの子には感謝しないとな」
「んでその子はどうした?」
「ああ。今竜の上で寝てるぞ。彼曰く『終わったから寝る』そうだ」
「寝る?」
「寝る」
「『・・・』」
「『プッ』」
「呑気だな~・・・」
「なら俺達も帰る前に寝るか?」
「それで行くか。ではその前に」
「ああ」
「各自お疲れ様!!決して被害は少なくなかったが、それでもこの戦を勝利として納めることが出来た!!感謝しよう!!だが俺達は今満身創痍な状況だ!そんな中下山しては、更なる被害拡大が予想される!!そのため今晩はここで野宿とする!!異論は!?」
「『異議なし!!』」
「よし。ではお疲れ様!!」
「『お疲れ様!!!』」




