繰り返す出来事
繰り返す出来事
「あ~あ。結局残り数日間を筋肉痛で寝込むとはな・・・」
「一生の不覚・・・」
「まあ。そう言うなって。お陰で脂肪燃焼できたじゃないか。それに行きより帰りの方がちょっとスリムになっている気がするぞ?」
「そう言えばそうだな。確かに何人かちょっと瘦せたよな」
「え?へへ~そうかな~。私達って痩せたのかな~?」
「実際痩せているだろ?何人かはベルトしてるし」
「あはは~。バレた~?実際にそうなのよ~。スカート履いて歩き始めたらスカートがずり落ちちゃって、幾ら部屋が男女共用とはいえ、着替えとかが別で助かったよ~」
「けどその代わりここまで痩せるとは思わなかったから、誰かにベルトを借りる羽目にはなってしまったけどね」
「そう言えばアレクサスとライゼンが居ないけど、今度あいつらは何処に行ったんだ?」
「あの二人ならちょっと女子が借りてるわ」
「何で?」
「さっきベルトが~って言ったでしょ?」
「ああ」
「それでベルトを貸してくれたのがアレクサスとライゼンなんだけど、当然ながらベルトが全員分ある訳ないでしょ?」
「逆にそこまで持ってたら怖いけどな。何に使うんだ?ってな」
「そうね。それであの二人を借りて今採寸してもらってるの」
「採寸?何で?ベルト用?」
「それもあるけど、魔法でベルト代わりに出来ないかって頼み込んだのよ」
「ほう。それで?」
「出来ると言ってくれたから今やってもらってるわ」
「そうか。けどその割に長くないか?」
「あ~・・・実わね?何人か制服が破けてしまったのよ・・・」
「え!?何で!?」
「昨日の夜中何だけど・・・ちょっと騒がしくなかった?」
「そう言えばちょっと騒がしかったな。けど声を聴いた限り女子ばかりだったから無視してたんだけど、それがどうかしたのか?」
「実わね?何人か間違えて自分じゃない制服を着てたのよ。ほら、あの筋トレの後ってみんな制服を放り投げてたでしょ?」
「そう言えばそうだったな。何故か男子より女子がズボラになっていたあの現象を」
「現象って言うな!とまあ、とにかく女子の制服が床に散らばっていたのよ。それで体格の合わない制服を着てしまって・・・」
「破けたと。それはどうしたんだ?お前ら替えの制服なんて持ってきてたっけ?」
「そこなのよ・・・。誰も持ってきてなかったのよ。それで一応先生に相談したんだけど・・・」
「無いってか?」
「そうなのよ・・・このままだと下着を見せびらかしながら帰る羽目になってしまうから途方に暮れていたのよ。その時偶々アレクサスとライゼンが部屋に入ってきてしまってね・・・」
「あら~・・・下着が見えた状態で部屋に招き入れたと?」
「・・・うん・・・」
「それは恥ずかしかっただろうな・・・。けどあの二人がやらかすとは思えないけどな・・・」
「いや。私達全員諦めて二人を招き入れたの『どうにかならない?』ってね」
「そう言う事か。それで二人の反応は?」
「反応も何も、二人はこういったのよ『制服が破けたか?なら今すぐに直そう』ってね」
「なんかそれだけ聞くとただ単に女子の下着を見たい変態なんだけどな・・・」
「ただ単に聞くとね。けどこういってくれたのよ『どうせ今すぐに直さないと外にも出れないだろ?なら仕方ないよな?』と私達には目もくれずに直し始めちゃったのよ」
「あ~・・・。あの二人だからな・・・。どうせお前らに興味なんてないわな。例え下着が見えてしまってもな」
「そうなのよ・・・。12歳にもなれば多少女子に興味を持ってもおかしくないんだけどね・・・」
「けどあの二人は?」
「そうなのよ・・・。まだ子供とはいえ、ちょっと自信無くす・・・」
「まあ、あの二人は諦めな。ところで誰の制服が破けた?」
「ファウラ、フェーナ、アリメイ、マリアナ、アルリン、ミレン、アデラインの7人よ」
「結構破けてるな・・・。まあでも直ぐに直すだろ。あの二人なら」
「まあね。女子達も信頼してるからね」
「ところで筋肉痛で動けなかった数日間は何してたんだ?歩くのもままならないだろ?まさか俺達が帰ってくるまで何もしなかったとか?」
「まさか。そんなことは無いわよ。ただずっと寝間着だったのは否めないわね」
「着替えも出来なかったのかい・・・。飯とかは?」
「先生にアレクサス、ライゼンが配膳してくれたわ。ライゼンって意外に優しいところがあるのよ?」
「そうなのか?あいつがか?ちょっと耳を疑うな」
「まあ、ただの先生のお手伝いだからね。渋々みたいだよ」
「まあそれならあいつらしいな。けど入浴とかはどうした?俺が言うのも何だが、それですらキツイって言ってただろ?」
「そうなのよ~。お風呂にも入れない何て地獄だったわ・・・。だから脱衣室までは先生、アレクサス、ライゼンが私達を担いで運んでくれたわ」
「マジか。完全にお前らおばあちゃんだな・・・」
「だ・れ・が・おばあちゃんだって!?」
「冗談だって!!けどそのあと浴槽にはどうしたよ?まさか全部!?」
「そのまさかよ。至れり尽くせりを先生、アレクサス、ライゼンがしてくれたわ」
「先生はまだしも、あの二人もかい」
「そうなの。だから感謝の反面、また自身を無くす出来事が起きたわ」
「何?」
「浴槽に入ったという事は、必然的に男女両方共裸になるのよ」
「そうだな」
「けど先生はまだしも、あの二人は余裕かましながら私達を湯船に入れたんだからね?」
「・・・女子の裸を見ながらそれかい・・・。あんまり言いたくないが、枯れてるのか?」
「違うんじゃない?そんな感じではなかったけど?」
「んじゃ?何で平然と女子の裸を見て下着も見られて完全にあられもない姿になっているのに、何故なんだろうな」
「そこは分からないわよ。けど私達はアレクサスとライゼンで良かったと思ってるわ。いえ、貴方達の事を信頼してないわけでは無いけど、これが傍若無人な奴だったら・・・」
「まあ、そう思うのも無理はないな。そう思うとあの二人で良かったな。けどお前らだってああなった原因は分かってるだろ?」
「・・・分かってるわよ・・・。カロリーの取りすぎでとにかく燃焼したかったが故の動けずでしょ!?しょうがないじゃない!!」
「まあな。けどかなり激しい運動だったからな。一部は身体を壊さないか心配だったぞ?」
「心配してくれてありがとう。けどこの通り帰りまでは何とか立ち直ったわ」
「それは何よりだ。さてそろそろあいつらも終わるだろう。もう直ぐこの修学旅行もお終いだな・・・」
「なに感傷に浸ってるのよ?みんなどうせ中等部も一緒よ?」
「そうだな。感傷に浸るのは中等部卒業時だもんな」
「そうよ?だから皆と一緒に昼食にしましょう?」
「良いけど、食べ過ぎるなよ?またアレクサスによる超ハードの筋トレが始まるぞ?」
「それは嫌よ!セーブするわ!」
「それが良い」
「おう。待たせた」
「お疲れアレクサス。どうだった?全部直したか?」
「ああ。全部直したぞ」
「凄いな。お前は何でも出来るんだな」
「いや?こういうのは生活魔法でどうにかなるからな。生活魔法が無くても裁縫でどうにかなるしな」
「それを思ってるのはお前だけだぞ」
「は?ジャリーグも出来るだろ?」
「残念ながら俺には出来ない。精々端と端をくっつけるだけだ」
「それだけでも十分だと思うだがな・・・」
「十分じゃないから言ってるんだ」
「そうかい。それより他は?」
「ああ。俺達以外は全員昼飯に向かった」
「・・・あいつら・・・。また食べ過ぎないか?」
「大丈夫だろ?流石に痛い目を見てるくせに二度も同じことはしない筈だ。それに仮にしたらまたあの動けない日々の始まりだしな。大丈夫だろう」
「流石にそうだな。それしたら単なるアホだからな。しかし完全にインストラクターになってしまったな・・・」
「なんだ?不本意か?」
「俺は別にインストラクターではないからな。ましてや今回の方法だって完全に自己流だしな」
「大丈夫だろ。そのお陰で痩せたのもあるし、俺らは俺らで筋トレが出来て逆に嬉しいしな」
「そうかい。それよりまずは飯にしようや」
「だな」
「んで?何故こうなった?」
「ごめんね~・・・」
「その・・・」
「ついつい・・」
「食べ過ぎちゃって・・・」
「ジャリーグ。これを見ても?」
「・・・悪い・・・。あれは前言撤回する・・・」
「お前らは生粋のアホか?」
「『アホではない!!』」
「なら何でまたたらふく食った!?」
「それはだって・・・」
「お、美味しかったから、です・・・」
「うまかったからってぶっ倒れるほど食うバカがどこにいる!?ここにいたわ!」
「ま、まあまあ。それより今は休ませて?ね?」
「ね?じゃねえ!!はあ・・・。今は俺もまだ飯を食い始めたところだしな・・・。取り敢えずは俺は食うからな。お前らは横になるな。横になると太りやすくなるぞ~。バイソンになりたくなければ取り敢えず座れ」
ジャ!!!
「何故それだけは機敏に動けれる・・・。だが今回は全員では無くて助かったぞ。その分負担が減るからな。えっと?生き残ってるのは?女子の風紀委員とファウラとナタリアとサラとミレンくらいか。あとは屍だな?」
「えっと?そうみたいね」
「お前らで部屋に運べれるか?」
「ちょっと大変だけど、運べれるわ」
「無理するなよ。無理だと思ったら男子に頼め。どうせ数日間こいつらは男子の世話になるんだからよ」
「そうね。自業自得とはこの事ね・・・」
「『誰が自業自得よ!!』」
「いや。今回は完全に自業自得だろ。数日前のあれは俺もその発言は差し控えたが、今回は完全に自業自得だろ」
「『・・・』」
「全く言えないから察するに自覚はあるみたいだな」
「自覚があるだけマシでしょ?」
「まあな。という事でまずは俺達は飯。その後こいつらを運ぶぞ」
「『おう!』」
「んで?今度はどういった燃焼の仕方にするの?決まったのか?」
「そうだな・・・。あんまり時間が無いし今回は糖分ではないから、今回はランニングだけで十分だろ。ランニングを取り敢えず5周くらいしたら食い過ぎた分のカロリーは消費するだろ」
「そうか。重しは?」
「初心者様に両足に20ゾラずつで良いだろ。20でも3周目に入ったらちょっとキツくなる筈だからな」
「けど食った後に走って吐かないよな?」
「誰が食った後に走るって言った?そんなの誰だって一緒だろ。大体2時間後に走ることにするから、お前らも覚悟しておけよ?」
「『・・・は~い・・・』」
「ねえ・・・。どうにかならないの~?私死んじゃうよ~?」
「諦めなさい。だから言ったでしょ?『知らないよ?』って。その忠告を無視して食べたのは君じゃん」
「そうだけどさ~・・・。美味しかったもん・・・」
「美味しかったのは私も一緒よ。でもね?世の中限度というものがあるの。その限度を超えてしまったのはどこの誰ですか?」
「やめて!!そこで敬語にしないで!!」
「なら諦めなさい?」
「ぶ~~」
「頬を膨らませても一緒よ?諦めて従兄さんのトレーニングに励んでね?」
「鬼!!」
「それは鬼に失礼よ?」
「・・・どうやら文句を言えるくらいには元気だな・・・。なら俺も今飯食うのは中断してトレーニングに行くか?」
「『(絶対に嫌だ!!)』」首を横に振る
「よし。行こう。お前ら、悪いけど手伝ってくれ」
「『おう』」
「『いや~~~!!!!』」
「ね、ねえ。サラ様・・・」
「・・・ご愁傷様・・・」
「手を合わせないで!!!」
「『助けて~~!!!』」




