お買い物♪
お買い物♪
「ここが繁華街、主に装飾品や金属系を販売しているエリアになるわ」
「結構長いのね。装飾品でこんな感じだから他はこれより大きいのかな?」
「まあね。衣類系統や雑貨となるとこれより大きくなるわね。その分ひしめき合っているから目移りや競合が激しかったりするけどね」
「それを見るとまだこっちのほうがマシだな。金属系は値下げ出来ないしな。それで?おすすめは?」
「そうね・・・。例えばここの装飾店はどうかしら?派手ではなく、落ち着いた商品が売りなんだけど」
「なるほどね。さりげないところに身に着ける装飾品ね。手首に着ける腕輪かな?けどちょっと大きくないか?」
「勿論よ。だから店の中に入って調整してもらうのよ。自分好みの大きさにね」
「そう言う事ね。これはベルトみたいなやつね。けど何で着色してるの?元がこの色?」
「元がこの色というのもあるけど、一番は服装の色にあった着色することによって目立ちにくくする効果があるのよ」
「目立ちにくく?何でまだ?」
「おい。考えたら良く分かることだろ。例えばこんなギンギラギンに輝いている装飾してたら第三者からはどう見られる?」
「?えっと、お金持ってそうに見えるね。貴族の子供とかに」
「そうだな。金持ちに見られるわな。なら泥棒からはどう見られる?」
「泥棒?金持ってるから盗み・・・あ!」
「そう言う事だ。ファウラはそう言いたいんだ。それにこれに気づかなかったのはシェスカ、お前だけだぞ」
「嘘!?ごめんねー」
「構わないわよ。とまあ、そういうのもあって服装に合った着色もするのよ」
「そう言う事ね。だからあれなの?さっき盗難がどうのこうのって言ってたから、お店に防犯装置の魔法陣が組み込まれているのって」
「そう言う事よ。魔法だけではなく、物理的にも防ぐようにしているわ」
「そうなのね。なら早速入ってみない?色々装飾品を見てみたいしね」
「そうね。ここは人通りは少ないけど、それでも買いに来る人はいるからね。邪魔しないようにね」
「『は~い』」
「ガキかお前らは・・・」
「ライゼン君よ。良いじゃないかガキで。私達はまだガキの年齢よ?」
「そういう意味ではなく・・・。いや良い。考えるだけ無駄だ」
「そう?なら行ってみる?」
「買うかどうかはその時決めるか」
「それが良いわよ」
「ライゼンはどういった買い物をするかと思って一応付いて行ってみたら、まさか初っ端から金属店に入るなんてね。何か欲しい物でもあるの?」
「いや。取り敢えず見ているだけだ。それに俺は別に金属に興味があるわけでは無い。もっと言えば装飾も興味ない」
「なら何で?興味がないのに入ったの?興味があって入った訳じゃないの?」
「強いて言えば鉄とかミスリルとかヒヒイロカネとかオリハルコンとかアダマンタイトとかチタンとかダイヤとかだな」
「随分固い金属を所望なのね。理由は聞いて良いかしら?」
「大きな理由はない。ただ防具とかに役立つかな?とか」
「防具?冒険者とか傭兵になるつもりなの?」
「そういうのではない。ただ自己流の防具を作りたいとか、そういうのを思っただけだ。多分世界各地にある鍛冶屋とかに聞いても“素材は自分で調達しろ”で終わってしまうだろうしな。なら少しでもこういった店にあれば買うか、ダンジョンとかに潜って採掘しようかと思った訳だ」
「・・・一体どういった防具を作るつもりなのよ・・・。言っとくけどその防具で日本国に挑もうとは思わないでね?日本国の攻撃力は何重にも重ねたミスリルを意図も容易く貫通するからね?」
「誰が挑むかバカタレ。そこまで常識知らずではないわい。つかその様子だと挑んだ馬鹿が居そうだな」
「実際にいたのよ。とある貴族と軍人が手を組んでね。確か貴族は侯爵で軍人は大佐だったかしら?どちらも自分の領土を保有して領主でもあったからお金は結構持っていたのよ。それで色々なコネを使ってありとあらゆる強度を持つ金属を集めて防具を作り出し武器も作った。アホだよね~。武器でどうにかしたところで結局は自分の腕の筋力や魔法に頼るしかないのにね。それでそのアホたちはそれで勝てると思ったのか、訓練に訓練を重ねて、歩兵、馬、軍用馬車、アーティファクト、空軍の竜や機械兵、とにかく色んな所に防具や武器を持たせて日本国の陸軍基地に乗り込んで制圧しようと奔走したそうだけど、結果は相手に被害を及ぶことなく開戦僅か30分で終了。敗走したそうよ。当たり前だよね?」
「俺は当事者ではないぞ。んで?甘い蜜を吸っていたデブ侯爵と頭の飛んだ大佐は?」
「あれ?その事件に心当たりがあるの?」
「知ってる。ちょうど俺達が小4の春休みに起きた出来事だからな。俺はその時偶々俺の知り合いがその周辺に住んでいるから覚えている」
「そうだったの!?大丈夫だった?」
「平気だ。周辺の住民も特に変わったところはなかったぞ」
「肝が据わってるわね・・・。とまあそれは置いといて、その後事態を知った両国の王と将軍が日本国に謝罪しに奔走してたそうよ」
「両国?」
「ああごめんね。実は侯爵と大佐って所属国が違う領主なのよ。ただ昔から波長が合うからちょくちょく訪問してたそうなのよ」
「それで両国か。その後の奴らは?」
「まず敗走した時点で侯爵と大佐はどこかの国に亡命しようと考えたけど、その前に両国の王直属騎士団等に囚われて裁判に行ったそうよ」
「けどあの二人だから罪状を否認したんじゃないか?」
「それだけではないのよ。時間も時間だったから裁判を一旦終了して牢獄に向かう途中に襲撃に合ったそうなのよ」
「おいおい・・・。護衛は?」
「車列で固めていたんだけど、被害が大きかったそうなのよ」
「まあ多分襲撃したのはその容疑者の差し金だろうな。しかも片方が軍の大佐ときたもんだ。部下とかが来たんだろうな。それか傭兵を雇ったか」
「多分前者よ。何しろ光線銃を使用してたそうだから」
「光線銃かいな。まだコストが高すぎて一部の高階級職の護衛しか使えない光線銃を襲撃に使うか」
「そうなの。だから多分二人の容疑者が多額に投資して得た光線銃を出し惜しみなく使ったに違いないわ」
「容疑者を救出するために多分高魔術者や戦闘力の高い兵士を差し金に使ったんだろう。挙句には光線銃まで使う。そりゃ被害は決して小さくないだろうな。その後は?」
「両容疑者はその集団に奪われたわ。事態を知った王などはカンカンだったそうよ」
「そりゃ奪われたらな。完全な失態だろ」
「それで大規模に軍を率いて領地に向かったそうだけど、既にもぬけの殻だったそうなの。だから今度は王たちが奔走することになってしまって、更に事態を悪化する出来事が起きてしまったのよ」
「何だ?」
「人質を取ったのよ」
「・・・最低だな・・・。要求は?」
「『我々の罪状を不問にしろ。そして全て今まで通りにしろ。さもなくば友好都市を焼き尽くす』とね」
「あ~・・・。誰か権力者を取ったのではなく、都市全員を取ったか」
「本来なら有象無象で荒唐無稽な要求で拒否するのが王などの判断だったそうなんだけど、予想外の事態に陥ったそうなのよ」
「その言い方から察するに・・・」
「本当に焼き払ったのよ。見境なく。ご丁寧に『これは我が国王や将軍が決めたことだ』と言いふらしてね」
「あらら。完全に領民の怒りを買ってしまったのな。その後は戦争か?」
「いえ、そこまでには至っていないのよこれが」
「介入したんだろ?日本国が」
「そこの情報は既に知ってるわね。まあ文屋が『大儲けだ!!』と騒いでいたしね。とまあ、そういったのがあって両容疑者は日本国によって確保。その後も襲撃したそうだけど悉く返り討ちに遭い、結局裁判で死罪にされたそう。しかも即日処刑されたそうよ。それでようやく事態が収拾したのはつい最近ね」
「領地は?」
「両領地とも名誉と現在の地位を含めて全て剥奪。別の方が新しく領主に任命されたそうよ」
「家族関連は?」
「正妻はいなかったけど、側室や愛人、その子供たちは一部除いて全員永久奴隷になったそうなのよ」
「という事は知ってて加担したんだな」
「そう言う事よ。とまあ、趣旨が大分離れてしまったけど、日本国に挑もうとは思わないでね」
「それは思ってない。ただ単に自分の防具が作れるのか?とこの店に入っただけだからな」
「それで?良いのはあったかしら?」
「・・・このチタンが良いかな」
「チタン?これ?・・・結構高いのね」
「まあ金属系だしな。店員さん。幾ら?」
「1グヌ30フィートですよ。もし高額購入でしたら配送も致します」
「なら100グヌくれ」
「お客様失礼ですがお客様に購入が出来るかどうかが・・・」
「今だそう。30フィートを100グヌだから3000フィートだろ?はいこれ」
「!?確認いたします・・・」
「・・・ライゼンって結構金持ち?さっきの女性店員さん物凄く引いていたけど?」
「別に、そこまでではない」
「なら何で持ってるのよ!?」
「偶々だ」
「偶々な訳あるかー--!!!」
「お待たせしました。3000フィート、確認いたしました。では配送先を教えてください」
「ラーズベルト王国、ラローツ魔法学園のライゼンまで」
「ありがとうございます。配送に2週間お時間をした抱きますが、宜しいでしょうか?」
「構わん。頼む」
「承知いたしました。書類を作成しますので少々お待ちください」
「本当に買っちゃった・・・。いったい何に使うのよ?」
「俺の趣味に半分、残りは土産だ」
「土産?誰に?」
「それは秘密だ」
「秘密って・・・」
「お待たせしました。こちらがお客様控えでございます。業者到着時にこの書類をお見せください。盗難防止に繋がります」
「分かった。ありがとう」
「はい。お買い上げありがとうございます」
「まさか本当に買うとは・・・」
「いつまで言ってるんだ?」
「だってそうでしょう?金属店に入って本当に買うなんて誰も思わないでしょ?」
「まあ良いじゃないか。俺だって良い買い物ができたしな」
「さいですか・・・」
「んで?他の奴らは何処に行った?まだ買い物をしているのか?」
「そろそろ集合場所にいても良いんだけど・・・。まだかしら?」
「いや。あれじゃないか?」
「ああ来た来た。ってどれくらいしたの!?」
「女子が中々長くて大変だったぞ」
「悪かったわね。けど色々目移りしてしまうのよ。それくらい我慢なさい」
「・・・」
「それで?どんな買い物をしたの?見た感じそこまで大量に買い込んだわけではなさそうだけど?」
「そうね。一人一人紹介すると大変だから、大まかに言うわね。比較的多かったのは装飾というより、アクセサリーかしら?」
「結局アクセサリーになったんだな・・・。それで?」
「一番多かったのは髪飾りやピアスね。これが多かったわ」
「ピアス?人族ならまだしも、獣人とか長寿族のエルフなどは?付けれるのか」
「兎耳は厳しいけど、私は猫系の家系だからそこまで問題はないの。実際にお母さんと弟がピアスしてるし」
「ミレンは良いとして、ダークエルフのエリフィアは?」
「長耳だけど問題ないよ。確かにあんまり開けてるのはいないけど、別にダメってわけでは無いから」
「幻族のエンジェルは?」
「天族の私も問題ないわ。寧ろ逆に着けていないと怪しまれるのよ『貴女は本当に天族なんですか?』とね」
「逆に疑われるんかい・・・。なら何故ルナは今までピアスしていなかったんだ?」
「私の場合は、天族ってある意味では神の使徒なんだけど、私とかってまだ見習いなのよ。だからまだ着けるのを許されていないのよ」
「天族って神の使徒なんか?」
「ある意味ね。完全ではないからね。そんな何人も神の使徒がいる訳ないでしょ?」
「それもそうね・・・。けど見習いとかあるんだ?何で?」
「詳しいことはまだ知らないね・・・。それは一人前になったら分かるそうだから」
「まあ、今は聞かないでおくよ。それで今はピアスはしないの?」
「私はまだ許されていないけど、他は分からないわ。何故かしら?」
「?私はもう着けたわ」
「というか店でやってもらっただろ」
「へへ~」
「私はちょっと怖いから、まだね」
「そうか。ま、そこは焦らずにだな。女子は結局アクセサリーになってしまったけど、逆に男子は?」
「俺らは買い物という買い物はしていないな。どちらかというと女子の付き人になってた」
「そうかい。さて。次はどこに行く?」
「そうね・・・。もう直ぐでお昼だし、昼食にする?」
「良いね。何がある?」
「あ、ならさっき話していた海藻が食べたいかも」
「あ、それいいかも」
「そうね。私も久しぶりに食べたいかも。なら食事処に行きましょうか」
「『賛成!!』」
「お肌ツヤツヤになれるかもね」
「『お肌ツヤツヤ・・・』」
「『・・・』」




