文化の違い
文化の違い
「しかし只の修学旅行で馬車何台借りたんだよ・・・」
「分からないけど、一台10乗りの馬車や輸送屋の伝手で1000以上の馬車を借りたらしいわ」
「ナタリア。これも君の力か?」
「失礼ですね。私は船でしたら頼んで出していただきましたが、馬車は存じ上げないのです」
「なら馬車は学園が費用を出したのか?どんだけ金持ってるんだよ・・・」
「しかも1000以上って言ってたからまだ増えるよな?」
「止めろ。数えたくない」
「俺もだ。しかしこの馬車だけで行程どれくらいだよ?」
「2~3日食うみたいだ」
「2~3日かよ・・・。という事はどっかで野宿という事だよな?」
「そうなるわね」
「貴族様とかはそれで平気かよ?」
「流石にそれは不味いから専用の寝台馬車を手配したそうよ?しかも個別で」
「それも学園が出したのか?」
「いや。それは個人で出したみたいだ」
「となるとこれを所有している輸送屋は大儲けだな。そりゃ毎年恵んでくれるとなると褒美だわな」
「・・・」
「さっきからアレクサスとライゼンは否定的だけど、何が気に食わないの?」
「いや、気に食わないのではない。ただ凄いな~と圧巻されただけだ」
「圧巻ね・・・。ならアレクサス達の移動手段はなに?馬とか馬車なら許さないよ?」
「ルイーズは何か対抗意識を持っていないか?」
「対抗意識って程ではないけど・・・、なんか気に食わないのよ。いやね?バカにしているとかではないのよ・・・。ちょっと言葉にしずらいけど、私の中での印象だけど、時間を無駄にしている言い方をしている様なのよ」
「『あ~』」
「え?私なんか変なこと言ったかしら?」
「いや。それが正解だ。答えが目の前にあったのに忘れていたぞ」
「何がよ?」
「アレクサスとライゼンの感覚ですよ」
「だからそれが何?」
「では説明しましょう。アレクサスとライゼンはどこから参りました?ざっくりで構いませんよ」
「ざっくりで良いなら・・・。日本国領土から来た。それが何?」
「日本国から来た。それは良いでしょう。では次の質問です。ルイーズ・・・。いや全員に聞きます。誰か日本国に入ったことある人はいますか?」
「『・・・』」
「いないみたいですね。では改めて。日本国とは私達からしたら超最先端技術の国。当然ながらそれが一般国民にも還元されています。更に言えば超軍事国家。異世界での勝敗は全戦全勝。これは未だに破られていません。それだけ進んだ国ですが弊害もあるのです」
「弊害?なに?」
「アレクサスとライゼン。単刀直入に聞きます。陸上での移動手段に馬車は使いますか?」
「「いいや」」
「『え』」
「じ、じゃあ何使うのよ!?」
「「基本自動車や電車」」
「『?』」
「な、何よそれ・・・」
「何って?移動手段だけど?」
「そんな移動手段が・・・」
「それがあるのです。それに先程誰も手を上げなかったのですが、実はもう一人日本国に関して知っている人がいます」
「誰?」
「それはアレクサスの従妹、サラ王女です」
「う、うん。私ちょっと日本国に行ったことがあるの。確かに移動はみんな、車、タクシー?、バス?、電車だったわ」
「サラ様。一つ聞きます。それってお忍びですか?それとも何かしらの公務ですか?」
「公務です。私の護衛もお父様の護衛も、側近も居ての公務です」
「だそうですので話を続けます。先程車と言っていましたが正しくは自動車です。そして電車です。彼らの移動手段はそういった乗り物で移動しているのです」
「自動車、電車・・・。けどどこが時間と関わるのよ?」
「簡単なのです。ライゼンに聞きましょう。この距離でしたら、そうですね・・・。50人乗りのバスとしましょう。人数は取り敢えず省いて、バスを使った移動でしたらこの行程はどれくらいで終わりそうですか?」
「『50人乗り!?』」
「おおよそで良いなら。2~3日行程と言っていたから大体距離換算は100~150キュウと考えると平均で4時間ちょいで着く」
「『4時間ちょい!?』」
「う、嘘よ!?あり得ないわ!!」
「普通に考えたらなに支離滅裂な発言をしているのか?と思われますが、彼らはそれが普通なのです。ではサラ王女に聞きます。サラ王女の移動手段は何でしたか?」
「私は飛行機という、鉄でできた翼のつけた竜みたいな乗り物で途中まで移動したわ」
「飛行機、つまり空ですね?」
「そうね」
「記憶にある限りで良いので、どれくらいの距離と移動時間を教えてきただけますか?」
「大体だけど、900キュウを2~3時間だったわ」
「『はぁ!?』」
「ああ飛行機な。耳痛くならなかったか?」
「痛くなったよ~。まるで耳が遠くなった感じだわ~。その時私はおばあちゃんになったのかな?と勘違いしたもん。護衛もみんな怖がるし」
「怖がる?怖いの?」
「初めて乗る人は怖いかも。けど乗り慣れている人は何でも無いような感じだったわ」
「乗り慣れている?お客さんが?」
「そうね?只の一般人が乗っていたもん」
「感想は?」
「・・・正直に言って良い?」
「良いわよ!何でも良いよ!」
「勿論正直申していただいて構いません」
「・・・高かったわ・・・」
「『?』」
「あの、王女?高かったとは?」
「「ああ~」」
「なに?分かるの?」
「まあな。高さが高かったんじゃないか?」
「それか料金」
「あ、両方だったわ」
「「やはりな」」
「何がよ!?」
「飛行機って飛ぶ高度がとにかく高いんだ。平均5000ノウだな」
「『!?』」
「それは初めて聞きました・・・」
「確かにそれくらい高かったわ。小さい窓から海とか大地が一望できたもん」
「でしたら料金は?」
「幾らだったかな・・・。公務だったから私は出費が無いんだけど、お父様が『料金が高すぎないか!?』と言ってたのを覚えているわ。その後見せてもらったけど、私も驚いたもん。けどそれが普通料金だったから皆して乗りたくない乗り物になったのも覚えているわ」
「因みに幾らでした?」
「本当に高かったわ。聞き入れる覚悟は?」
「いつでもどうぞ」
「他の人たちも?」
「『うん』」
「一人250フィートだったわ」
「『!?』」
「い、幾ら何でもぼったくりでは・・・」
「それは私も思ってお父様も抗議したんだけど、十数人の同じ乗客を捕まえて支払い料金を見せてもらったわ。そしたら席の違いはあれど殆ど一緒の料金だったわ。だからお父様と経理担当の財務が頭抱えていたわ。こっそりと『貸し切り竜を頼まなくてよかった』とまで言っていたわ」
「それくらいはするわな」
「なら聞くけど、それを乗る人ってお金持ちなの?」
「いや、只の旅行の人もいれば仕事で行く人もいる」
「『・・・』」
「色々と思い知らされたわ・・・」
「そんなに信じられない?」
「勿論よ・・・機会があったら行ってみたいわ・・・」
「なら来ればいいじゃんか?」
「そうしたいのは山々だけどね・・・。そんな時間ないし、それだけ高いと・・・」
「まあ料金の高さは日本国が一番だな」
「じゃあ、これ以上は疑う余地なしだからここからは個人的な質問だけど、飛行機だったかしら?あれの料金計算ってどうなの?」
「距離と燃料、それと時間だな」
「距離と燃料は良いとして、何故時間なの?」
「飛行機だって万能じゃない。燃料を入れるために一旦降りなければならない場合があるんだ」
「飛べる距離が決まっているのね。という事は時間が掛かるほど値段は安くなるの?」
「流石だな。そういう事だ。直行便、直接目的地に行けるのと乗り継いで目的地に行くのがある。当然直行の方が時間が早い。だが距離と燃料が嵩むんだ。それで燃料が高くなる。乗り継ぎの場合は目的地に行く前に1~複数回降りるんだ。その場合は時間は掛かるけど1回で行ける燃料と距離が短くなるから安く済むんだ」
「けどその場合って逆に伸びない?それに一度降りているという事は上がらなきゃいけないよね?そのほうが嵩むと思うけど・・・」
「それは色々あるんだ。俺達は普通だからなんも不思議に思わないけど、飛行機の会社が複数あるとそういうのが発生する場合があるんだ」
「そうなんですね。それと今聞き逃さなかったですよ。会社という事は、事業参入が・・・」
「残念ながらそれは無理ですね。会社は幾つかあると言いましたが全て国営企業ですよ。つまり?」
「私達が会社を売らないといけない。そういう事ですね」
「そうだ。それに審査も厳しいから止めた方が良い」
「分かりました。悔しい。それはさておき、そういったのがあって彼らはこの移動が不思議でしょうがないのです」
「それなら仕方ないわね・・・。けどね?ここはここよ。ここのルールに従ってもらうわよ」
「分かってる。俺達はそこまで図々しくない」
「なら良かった。さあ。準備が終わったみたい。乗り込むわよ」
単位換算は“一応 説明”をご覧いただければ記載されています。
バスの移動距離は東京~名古屋間の距離を参考に出しています。
飛行機は羽田~沖縄の距離を参考に出しています。
尚、移動時間に待ち時間や渋滞時などのロスタイムは入れていません。




