再編成
再編成
「んで?結局これくらいの人数になったと?アホか?」
「俺に言うな。結果論だけで言えばそうだが決定したのは管理長、いや、元管理長だ」
「その元管理長が俺らの部隊に加わったと?しかもこいつらまとめて?」
「そうだ」
「・・・」
「な?言っただろ?こいつはとにかく怒りやすいと」
「確かにな・・・。これ程邪険にするとは・・・。かなりのものだな」
「まあ気にしたら負けだ。しかも俺とこいつの正体は知っているだろ?なら尚更だぞ」
「・・・まあな。だけどな・・・」
「ガロウス。ここは我慢しましょう?どうしようもないよ?それにあの件も含めて邪険にしているんじゃないかな?」
「・・・それもそうだな・・・。すまん。身勝手なのは分かっているが頼む。俺ら元役員も含めて入れてくれ」
「何でだ?小等部の役員なら中等部だって行けるだろ?」
「今回は対象外だ。対象なのは中2からだ」
「雑用含めてか?」
「そうだ」
「あれ程初めの時から色々あったのにか?」
「それに関して言えば・・・」
「事務もどうだ?てっきり連携が出来ていると思えばそうでもないよな?結局俺とアレクサスが書類をまとめるときだってあったよな?」
「それは・・・」
「別にキレているわけでは無いぞ?そんな初歩的なことも出来ないで何が役員だ?と俺は思うが?」
「『・・・』」
「・・・いい。面倒くさい。勝手にしろ。俺に何か言いたいことがあるんだったら直接言え。そして仲間のミスを最大限フォローしろ。何が言いたいか分かるな?上にも仲間にも誰に対しても相談、協力しろ。それがお前ら全員まとめる条件だ」
「・・・ごめんね。努力するわ・・・」
「努力じゃない。尽力するんだ。意味合いは一緒でもそこをはき違えるな」
「はい・・・」
「何で俺が隊内で揉めないか知ってるか?同じ仲間として色々フォローを互いにしているんだ。直接フォローが出来なくてもアドバイスとか助言とか。そういうのが出来ているから口が悪くても認めているんだ。実際にお前ら全員に聞く。俺らが何かしらのトラブルで揉めたことあるか?隊内外含めてだ」
「・・・」
「無かったわ」
「それが出来ているから冗談でも通じるんだ。けどな?お前らはどうだ?『すまん。これは分からないから彼に』それは分かるが、なに?『話が来ていないから受け付けない』だ?話を通していても門前払いはあるわ『こちらへお願いします』『申し訳ございません。こちらへ・・・』といったたらい回しはされるわ。別に話が来ていない。それはそうだ。けど緊急時にわざわざ通すか?誰かに通すのか?ならよお前らは上の命令でも誰かに通すのか?違うよな!?担当では無いけど何とか話を付けるとか緊急なら直接担当に言うとか色々出来るよな?挙句には分からないから作って頂けますと?何だそれ?資料がないのにそんなこと出来るか!?分からないから聞いているのに分からない?アホらしい。これで努力します?冗談じゃない」
「失礼しました・・・。申し訳ございません・・・」
「『・・・』」
「何で彼女は謝ってお前らは知らんぷりなんだ?非が無いとでもいうのか?本当に非が無いのなら良いよ?そんなのお門違いだからな。けど関係あった奴含め謝罪しないって何?」
「『済まなかった(ごめんなさい)』」
「俺は謝罪して欲しいわけでは無いんだ。そんなの誰だって出来るからな。そうではなくどうしたらいいのか自分の頭で考えたら?」
「『・・・はい・・・』」
「・・・アレクサス・・・。ちょっと頭冷やしてくる・・・。熱くなり過ぎた。すまん」
「おう。これ持っていけ」
「冷た!!?これで頭に直接冷やせってか?」
「そのほうが冷めも速くなるぞ~?」
「・・・後で覚えてろ~?」
「おう来いや」
「・・・はっ!行ってくる・・・」
「どれくらいで戻る~?」
「・・・30分は見込んでくれ~」
「分かった~」
トコトコトコトコ・・・・
「あ~俺の相棒が失礼した。すまん」
「いや。あれは完全にその通りだ。上に立つものとして失格だな。案外俺の方だったかもな」
「何がです?」
「目を背けていたのは」
「管理長!そんなことは・・・」
「けどなら何故あそこまでキレる?」
「それは・・・」
「何も言えないだろ?それって心当たりがあるという事だよな?」
「・・・はい・・・」
「つまりそう言う事だ。あいつが起こるのも無理はないかもな・・・」
「・・・」
「だから頼む。初めはそこまで思わなかったがこれで目が覚めた。遅すぎるかもしれんが頼む。俺達を仲間に入れてくれ!そして指導を頼む!!」
「『!?』」
「成程な・・・。指導を俺達に託すか・・・。分かった。受け入れよう」
「ほ、本当か?」
「ああ。二言はない」
「少しでも役立つよう尽力しよう」
「ならまずは今回でどれくらい入った?」
「アレクサス筆頭に小等部が38人。これで小等部はアレクサス達を入れ50人になった。
次にエザゾブロ及び俺達元役員のある中等部が92人。中等部は俺らを入れて100人になった。
高等部は新たに150人。
大学部が今年卒業を除いて200人の総勢500人が君の隊員になる。勿論隊長は君、アレクサスだ」
「・・・多過ぎだろ・・・。これ規模はどれくらいになる?」
「1班10人だから50班となるな。500人だから丁度一個連隊だな」
「500人の一個連隊・・・。連隊長か。ここまでの規模は稀じゃないか?」
「正直稀だ。だがこれより多いのはあるからそこまで気にしなくていい。だが学園設立後の風紀委員の規模としては過去10番内に入る大きさだな」
「まだ多いのがあるのかい・・・。区分けは?」
「連隊が一番上だからそれ以下になると10班ずつの5つで5個大隊になる。次はその内5班以上が中隊、更にその内2~3班が小隊の下が班だな」
「待て待て。一個連隊、5個大隊、10個中隊、15~20個小隊の50班の風紀委員か!?」
「そういう事だな」
「・・・これは編成が大変だな・・・。一回解体して再編成か・・・。因みに得意分野とかあるのか?」
「ある。何なら小型機体や飛行魔物を飼育しているのもいる」
「それならかなりオールラウンダーの部隊になりそうだな。それなら・・・一旦集めてくれ」
「了解した」
「おう?頭は冷えたか?」
「なんとかな。それで?これだけの人数だから編成が大変だったろ?」
「まあな。けど何とかなった。人数聞くか?」
「聞いた。500人規模の一個連隊だろ?俺はそのうちのどこかの班の副連隊長大隊長中隊長小隊長班長だろ?」
「そんな呪文よく噛まずに行けるな?けどそうだ。因みに編成はさっき終わった」
「ほう?どう編成したんだ?」
「1~5班を小等部、6~15班を中等部、16~30班を高等部、31~50班を大学部にした。
その内オールラウンダー系を数を少ない側に、魔法系はその次くらいに、武術系はその次くらいに、搭乗が得意のもいたからそれを数を大きい側に、最後に事務系にした」
「中々理にかなっている編成だな。そのほうが混同しないし応援もしやすいだろ。俺は何処だ?」
「去年度と変わらないぞ。俺の副官兼主官だ」
「またか・・・分かった。けど全員の名前何て憶えていないだろ?」
「逆に覚えていたらあっぱれだな。だから区別は数にした『第一中隊』とかな」
「まあそのほうが分かりやすいか・・・」
「けど大変だな・・・これだけの数の部下なんてな・・・」
「まあしょうがないだろ。こればっかりはどうしようもない。お前も助けてくれよ?」
「分かったよ。因みに隊長とかは?」
「覚えきれる?」
「やめておこう。それなら俺が副官と言った方が早い」
「分かった。ほれ端末」
「お前ら。さっきは参加できなくて申し訳ない。俺がこの連隊の副連隊長ライゼンだ。よろしく頼む」
「『はい!よろしくお願いします!!』」
「統率は取れそうだな」
「なんとかな」
「それよりこの規模に上とかは文句はないのかよ?」
「文句はない。何故か寧ろ尊敬された」
「はっはっ!!そりゃそうだろうな!!500人規模なんて普通はないからな」
「ある方が大変だ。なんなら先生からも応援の言葉を貰ったくらいだ」
「それなら分けてくれってか?」
「分かってるじゃないか。それで?初任務は何にしたんだよ?」
「大したことはしていない。精々チームワークを整えろ。とか他部隊との交流を深めろとか、当たり前の事しか出していない。けど?」
「それすらできないとなると問題になりかねない。そういう事だろ?」
「そういう事だ」
「成果は?」
「予想より良いな。てっきり仲違いとかあると思ったんだが、無理そうなら他に助けを呼んでいるとか相談し合っているみたいだ」
「それは良い成果だな。俺達の班は?変わってないんだろ?」
「ああ。そこは変わりない。のんびりと指導している」
「そうか。のんびりと指導・・・ん?指導?何してるんだあいつら?」
「あいつらはあれしてる。各部隊の指導。連携とか確保とか」
「それ習ってるんじゃないのか?」
「それが案外甘かったみたいで、そこを叩き直している」
「酷いのか?」
「いや?ちょっと癖が強いな~くらい。まだ修正の効く方だ」
「そうか」
「お前もどっか行くか?」
「俺は指導はそこまで上手くない。どちらかというと見て盗めだからどうしようもない。俺のは参考にならないしな」
「ならどうする?ここでのんびりとお茶にするか?」
「・・・そう言えば思ったがこのメイドらはどうした?」
「あの貴族連中居たろ?」
「ああ去年依頼を出した連中か」
「あの貴族全員内に入ったから、それで」
「あの貴族全員入ったのか!?あの大公息子含めてか!?」
「ああ。その下の公爵から準男爵までの子息令嬢全員な」
「何で入ったんだよ・・・。それで今はメイドものんびりしているからお茶している訳か?」
「そういう事だ。どうだ?」
「どうだも何も・・・。まあ、どうせ俺の出番はないんだろ?」
「ああ。端末を聞いてれば分かるぞ。ほれ」
『こちら第3中隊!!逃走者を追跡中!!航空支援を!!』
『第35中隊が応援に向かう!!』
『第22中隊だ。こちらは異常なし』
『同伴の第40中隊。こちらも異常なし』
『第4大隊SSAです。照会願います』
『HQ了解』
『第2大隊だ。入場前検査を終える』
「この通りさ」
「問題なさそうだな。なら今だけは俺もお茶にするか・・・」
「かしこまりました」
「けど何で主ではないお前にこいつらが給仕を行っているんだ?」
「あの時の恩と俺の立場からという理由らしい」
「恩は分かるとして、立場は?」
「この風紀委員の立場さ。俺この部隊の連隊長だろ?だから目上としてな」
「そういう事か。けどメイドならだれに対しても平等に接しなければいけないんじゃなかったけ?」
「そこは俺もメイドとかではないから分からん」
「そうか」
「お待たせしました」
「頂こう」
「たまには良いだろ?」
「・・・ああ・・・。たまには良いな」




