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日本国 異世界にて最恐で最強の国家となる  作者: altimate
自衛隊 初任務!
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犯罪者の末路

犯罪者の末路





「あれから先輩たちの様子はどうでしたか?」


「ああ。治療はうまくいっているぞ。本当ならもうちょっと時間が掛かると思っていたんだが、君の治療が的確だったからな」


「総括。それは前々から言っていたじゃないですか」


「それでもだ。長距離から観察していたGDが自分の役割を忘れるほど熱中して見ていたんだ。それは映像を介して俺達も感心していたんだ。それと同時に何人かこう思ったそうだ『どこでそんな知識を身に付けていたんだ?』とな。それほどのことを君はしたんだ」


「そうですか。それでしたら素直に受け止めます。それとあの事は?」


「勿論伝えた」






「おう。入るぞ?」


「『統括!?お疲れ様です!』」


「ああいい。君らは病人なんだ。崩した態勢で良いから」


「そうですか・・・。では失礼して」


「お茶も良いからな。それはそうとして、今は調子はどうだ?」


「あれから皆さん快方に向かっていますよ。特に自分達の中で一番重傷だった2人もようやく集中治療から通常病室に移れましたから。今もこうして」


「はい。まだまともには歩けませんが、補助ありでしたら何とかなるくらいには。これも治療院の方々もそうですが、一番はあの私達を救ってくれた下級生のお陰ですよ」


「そうか。それは何よりだ」


「はい。あそこで助けてくれなかったら私達はどうなっていたか・・・。皆さん想像するだけで背筋が凍ると皆口揃えて言ってますよ。勿論私も。だって考えてもみてくださいよ。もし助けてくれなかった未来を。

女子はあの賊に連れられてあの後凌辱か性奴隷として売られる、もしくは両方なんてことも、更に言えば私と妹なんて体のどこかを欠損していたでしょう。それも二度と生えてこないと覚悟して。総括も分かるでしょうけど、私と妹は猫の派生でライオンみたいな種族の出身です。女性の中で力が強いのもそうですが、聴覚の優れた耳も私達にとっても大事なのです。それが欠損となると・・・。先祖にも顔向けできません。最悪は心が壊れるか自決か。それもあり得たのでしょう。

男子は労働力が稼げるので鉱山か地下か、どちらにしろまともではないところに送られる可能性があったでしょうし、女子より早く殺される可能性もあるのです。

なので私達は彼には一生かけてお礼を返さなければなりません。ね?」


「『はい』」


「彼には感謝します。あの出来事があって、もっと強くならなければと心から誓いましたし、何より女性陣をこんな目に合わせたこと、自分に腹が立つのです」


「そう自分を責めるな。俺達もそうだったが、油断したのが不味かったんだ。あの時もっとうまく立ち回れば・・・。あの時もう少し粘って彼みたいな強い戦士が来ることを待って交代でも良かったのでは?ともな。それに最後の賊長なんて俺達が束になっても勝てないだろう。そういう時に彼を・・・。とな。まあ今は悔やんでも仕方ないけどな」


「そうですね。今回のことで私達も体制を変えるきっかけを作ってくれたのですから」


「そうか。・・・」


「?さっきから思いましたが、何をそんなに険しい顔をしているんですか?皆さんこうして無事なんですから」


「いや。それに関してはもう心配はしていない。していないんだが・・・」


「どうしたんですか・・・」


「・・・」


「総括?」


「・・・いや、話そう。実は君らが搬送された後俺の元にそこ彼が来たんだ」


「?俺達の心配ですか?それなら心配はいらないと伝えてください」


「いや。心配もそうなんだが、実は彼から、その、頼まれてな・・・」


「頼まれた?何をですか?」


「“今回の事は全て内密に。総括のみならず、あの光景を目撃した全員が対象です”と頼まれた」


「『!?』」


「え!?内密にですか!?功績も貰えるのにですか!?」


「ああ。あいつはそれを全て蹴った」


「『蹴った!?』」


「な、何故!?」


「そこは分からん。けど秘密にしたいそうなんだ。既に衛兵にも伝達済みだそうだ」


「な、何で・・・」


「それとこれは君達が搬送されて暫く経った時なんだが、もし漏れた場合は退学してこの都市から去る事も考えると・・・」


「『・・・』」


「・・・総括・・・。何故彼はそこまでして、秘密にしたいのですか?」


「そこは分からん。現にお前らも含めてだけど、彼の名前は知らないだろ?」


「『・・・』」


「あ、そう言えば聞いてない・・・」


「誰も知らないだろ?俺も知らん。なので総括の名に懸けて名前を聞いてやると思って奔走したが、誰も口を開かないんだ。当の本人も口を閉ざすの一点張りでな。だが俺は思ったんだ。そこまでしてあの件は極秘にしたいと。その意思が伝わって来たんだ。だから俺は決めた。もうこれ以上は聞かないとな」


「『・・・』」


「けどそれでも隠し通すのは無理がある筈では・・・」


「ああ。あの事件後の日のうちに関係者の貴族とか権力者が早速動いたんだ。取り込みたいのもあるのだろうだが、それ以前に息子娘を守ってくれてありがとうと何かしら贈りたかったのだろう。実際にこの中にもいるだろ?親が貴族とかが」


「あ、はい。私のところもそうですし」

「俺もだ」

「僕は貴族ではないが権力者ではあるな」

「俺なんて当主だしな・・・」

「私も・・・」


「けどそれすら蹴る・・・。どうしたんですか?その対応は?」


「当然の如く質問攻めさ。俺は一貫して『当の本人が顔合わせNGと』言っていたんだが、殆ど『それはないだろ!』とな」


「『当然ですね・・・』」


「お陰で過激派が自分の隠密を使用する程までに発展してしまって・・・それで暫く彼らの周りをウロチョロするそうだから、業煮やして、いや嫌気がさして・・・」


「バレたら自主退学と・・・」


「そうだ」


「『・・・』」


「今はどうですか?」


「かなり落ち着いてきたけど、まだなところはあるな。けど彼がどこにも連れていかれた、または取り囲まれていないとなるとまだ大丈夫そうだ」


「そうなんですね・・・。因みに残りは?」


「過激派一部と、姉妹の親くらいだな」


「あ~・・・」

「お姉ちゃん・・・」


「ちょっと過保護なあの親だ。ちょっとどうにか出来んか?このままでは本当に去れかねない・・・」


「・・・分かりました。今日も来るはずなので説得してみます・・・。しかし本当に良いんですね?」


「ああ。彼は一切の報酬褒美の拒否、それと情報開示の拒否だ」


「分かりました。ですがこれだけは伝えれますか?」


「・・・伝言を受け付けてくれるかどうかは保証できないが、聞こう」


「“君のお陰で全員快方に向かっています。君の耳に入るころには何人か退院していると思います。君の意思を尊重してこれ以上は問い詰めません。ですがこれだけは言わせてください。あの時は助けていただきありがとうございます”」







「彼女からの伝言は以上だ」


「そうですか。それを聞いて安心しました。これ以上の厄介者は御免なのでね」


「そうかい。それは置いといて、君はこの後はどうするんだい?」


「今日は早退してあの容疑者の見届け人の一人になりたいと思いまして」


「あの容疑者のか・・・。けど既に刑が決まって奴隷の主も君ではないんだろ?もう不要では?」


「俺にはその義務があるのです。きっちりと罪を償う行く末を。いいえ、捕らえた時に軽く心は壊れていたのでその末路と言うべきでしょうか?」


「・・・中々の精神だな・・・。俺なら発狂しそうだが?」


「それは先輩は遠目からしか見ていないからですね。当事者としてはここまでしないと気が済まないのですよ」


「そうか。なら気を付けて行って来い」


「はい(先輩。本当は俺は冷静ですよ。本来はこのような見届け人は不要ですが、俺達は義務があるので)」






「どうも。見届け人として参りました」


「おう。あの時の坊やか。今ガラス越しに柵付き台車が見えているだろ?これからあの中に容疑者を入れて目的地に向かって刑を執行する。今回の刑は君も知っての通り永久鉱山奴隷だ。しかも場所はさっき決まったが、火山近くだから暑さで倒れる可能性もあるし掘る場所を間違えると溶岩が流れ出る可能性だってある。そして魔法とか身体能力が高い奴は脱走する可能性があるから、君が装着した首輪の更に上に二重の意味で魔法の干渉を不可能にした能力と力の制御を入れたから、相当しんどい筈だ」


「今回はそんなキツイところなんですね。因みにそこで働いている人は全員奴隷なんですか?」


「いや。本業でやっているのもいるぞ。本業には魔法の付与と栄養補給、それと採掘場所の地図を持たせてある。これで安全を確保している」


「そうなんですね。魔法は何を?」


「魔法は現地環境がクソ程暑いから涼しくなる魔法だな。これを始業前に術者によって付与される。時間は決まっているからそれが切れたら術者のところに戻るか別の環境で作業するか帰るかの選択になる。無論選択は自由だ」


「そうですか。栄養って何ですか?」


「火山に近づくにつれて詰所というか、休憩所が遠くなるんだ。だから途中で力尽きないように持たせてあるんだ」


「採掘の地図ってあれですか?ここを掘ると溶岩とかに当たるとか?」


「そうだ。彼らは仕事で来ているからそこを掘られるとマズいからな」


「成程。分かりました。一応分かってて聞きますけど、奴隷が健常者を襲うなんてことは?」


「奴隷は健常者に対して襲う事は出来ない。魔法、栄養系の強奪も全てだ。それにさっき地図って言ったろ?奴隷はその地図は見れないんだ。見ても真っ白にしか見えないからな。それと本業はあれも持たせている。警報ブザーを」


「警報ブザーってあれですか?溶岩対策ですか?」


「そうだ。仮に奴隷が当てても本業だけでも逃がすという意味でな」


「そうですか。永久奴隷の平均寿命は?」


「長命がいるから参考にはならないかもしれんが、人族基準では入所後長くて10年だな」


「結構短いんですね」


「そうだな。ただの奴隷ならまだしも永久奴隷は人権みたいなものはないからな。だから皆も容赦ないんだ」


「ま、永久奴隷とはそういうものですからね。っと来たみたいですね」


「どうする?ここから見届ける?それとも近くから見る?」


「近くから見ます」


「ならこっちだ。案内しよう」






「おう。見届け人だ」


「承知しました。犯罪者に何か一言はあるかい?」


「いえ。ないです」


「そうか。したらここでお待ちを」


「・・・」


「・・・犯罪者とは言えない程憔悴しきっていますね」


「まあ場所が場所だろう。あの場所はこの星の中で屈指の過酷な場所だからな」


「あらら。ご愁傷様なこった。犯罪を起こさなければこんなことにはならなかったろうに・・・可哀そうに・・・」


「結構慈悲ないんだな。幾度となく見届け人は見てきたが君程冷徹な心を持ったのは初めてだな。普通は大体犯罪者に対して物を投げたり暴言を吐いたりするのが多かったりするんだが・・・」


「まあ、犯罪者に一切の権利なんてないんですから。これくらいでもぬるいかとも思いますけどね」


「・・・まあ良いでしょう。乗せて良いぞ」


「乗せる?載せるの間違いでは?」


「物扱いですかい」


「物でしょう?」


「違いないですね~。では鍵を閉めたら出門だ」


「(合掌)」

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