休憩?
休憩?
「お前らはこの後どうするんだ?今日はもう試合は無いぞ?次は明日だぞ」
「そうだな・・・。俺は家に帰ってアレクサス対策かな・・・」
「俺対策ってなんだよ?」
「だって考えてみ?あの時は戦力の大半がアレクサスに集中していて俺達はそこまで消耗せず勝てた訳だしな?」
「いやそれでもあれだけの人数を相手に勝てたなら誇っても良いと思うけどな?」
「そう思いたいけど・・・な?」
「そうね・・・。戦力の5割がアレクサス一つに集中してそれでも余裕で勝って、俺達は4人で残りの5割を何とか、辛勝とまでは言わないけどそのような状況で勝っても・・・。正直勝った気はしないね」
「十分だろ。しかも相手は高等以上の生徒だったんだ。それに勝てただけでも誇っても罰は当たらないし、逆にお前らにどうしたら先輩方に勝てますか?と注文が来るはずだ」
「そんな都合のいいことなんて起きやしないさ」
「そうか?ならあの状況を見ても同じこと言えるかな?」
「「「「え?」」」」
ドドドドド!!!!
「な、なんだ?魔物でも出たのか?」
「それは違うさ。それにそれはそれで意思のある魔物に失礼だ」
「けどならあれは何!?私達に向けてきてない?」
「だから言っただろ?お前らに対しての注文と」
「ほ、本気で言っているの!?」
「マジだ。不安ならお前らが聞けばいい。んじゃ俺はこれで」
「あ、おい、アレクサス!!どこに行く気だ!!」
「あれに巻き込まれたくないから去る」
「逃げるな!!」
「けど待って・・・これ本当にどうしよう・・・」
「分からないわよ・・・」
「と、とにかく、逃げる?」
「「「「さ、賛成!!!」」」」
「『先輩!!待って!!!聞きたいことが!!!』」
「「「「やっぱりアレクサスの言った通りだった!!!」」」」
・・・・・
「さて。初日お疲れ様」
「おう。グループ表見てあんたは明日か?と思ったら今日の終盤に出番が回って来たから流石に驚いたぞ」
「それは俺もだ。まさか今日とは思わなかったな。だが逆に言えば今日終えれば後は決勝トーナメントまで暇だからな。なので暫くは風紀委員の仕事に戻るぞ」
「それは別に良いが、良いのか?」
「何が?」
「いや、俺は良いけど他の人たちが平気かどうかって分からんだろ?何しろお前は出場者だ。逆に試合に集中しろって言われないか?」
「別に良いんじゃね?俺が良いと言ってるんだし」
「まあいいか・・・。んで?明日からどこに配置するんだ?一応今回の闘技祭中は部隊の指導権は俺にあるからよ」
「ライゼンに任せるが?」
「なら周囲を頼めるか?」
「構わんぞ。ただ今日は帰るぞ」
「おう」
「因みに今日はどうだった?」
「会場内は活気と熱気で死にそうになったこと以外は平気だ」
「周囲は?」
『私が答えるよ。何人かナンパを見つけたのと美人局がいたからそいつらの確保と・・・』
「?ユレイナ?どうした?」
『えっと・・・木の陰で・・・その・・・カップルが仲睦まじく、カップルらしく“そういうこと”をしていたのを見なかったフリしたこと以外は、大丈夫だったわ』
「『・・・』」
「あ~・・・。不純行為ではあるが、ここは学園だからそれを咎めようにもな・・・」
『そうなのよ~!見つけた瞬間私も隠れてしまったのだけど、喘ぎ声と水音にだんだん自分の顔が熱くなっていくことを自覚してその場から離れてしまったのよ・・・。この場合は何が正解だったのかな!!』
「男に聞くか?この場合は女じゃないのか?」
『そうは言っても、同性同士でも気難しいわよ・・・。だからこうして聞いてるんじゃない・・・。あ~、思い出しただけでも顔が熱くなっていくわ・・・』
「・・・相手の顔に見覚えは?」
『・・・無いわ・・・。多分高一以上だと思うわ。確証は無いけど』
「なら一旦ここに来れるか?俺とアレクサスはまだスタジアム入り口だから」
『わ、分かったわ』
「あ~・・・。この後の雰囲気が嫌なのも分かるが質問には答えてくれよ?他の周囲は?」
『・・・実は俺とセリーヌ先輩が同じことも見かけてしまったんだ』
「ならオーユとセリーヌもこっちに来い。他は?」
『それ以外ならないな』
「なら通路は?」
『スリ、強奪、喧嘩の各確保。目的地誘導、迷子、来賓席、馬車置き場などの各案内と言ったごく一般的なことをした以外は何もないかな?』
「ほう?通路だから逆に誘拐とかあっても気づかれにくいか?と懸念していたんだが、案外そうでもなかったんだな」
『それは俺達も思ったんだ。それに仮に敷地の外に出たとしてもこの国の衛兵や他国のお偉いさんが来るんだからそれで必然的に警備強化につながったから、犯人としてもやり辛かったんじゃないか?』
「かもしれんな。因みに他部隊の応援とかは?」
『それは無かったな。まあまだ初日というのもあるから今後ないとは言えないが』
「そうか。分かった今日は終わりか?」
「それは分からんな。警備終了合図は管理長が判断するそうだから、もうちょい後なんじゃないか?」
「なら今はこいつらの聞き込みを先にするか。取り敢えず最後まで頼む」
『『了解』』
「んで?まずはユレイナ。誰か分かるか?全生徒のプロフィールは俺達風紀委員専用端末にあるから記憶を辿れば分かるんじゃないか?」
「そう思って今見てるんだけど・・・あ、いた。この生徒とその彼女よ」
「・・・明らかにチャラそうだな・・・。セリーヌは?」
「丁度ヒットしたところよ。この2人ね」
「・・・?こいつら確か学年成績常に一桁の二人じゃないか?」
「そうなのよ・・・。ま、幾ら頭が良いと言っても中身は私達と同じ生物なのよね。無理もないかな?」
「分かった。オーユは?」
「俺のはここのデータベースにはない方だ」
「?つまりここの生徒ではない?」
「ああ。私服・・・いや正装をしていたからどこかの子息令嬢カップルだろう。多分だけどお家騒動になるのが嫌だから隠れてしたんじゃないか?」
「そうなると面倒だな・・・。かと言ってこの庭を“愛の巣作り”にはしたくはないな・・・」
「あ、アレクサス君。結構直球ね・・・」
「事実だろ?」
「なら俺とアレクサスで注意すれば良いんじゃないか?」
「そうだな。それで行こう。幾らあいつらも俺達には従うしかないだろうからな」
「あ、まさか・・・」
「ならユレイナ聞くけど、他に案は?2組はどうにかなるが、1組は下手すれば貴族だ。ならこれしかないだろ?」
「・・・そうね。頼んだわ」
「んじゃすまんが行ってくる」
「どこに?場所分かるのか?」
「ああ。2組は案外分かる。バカと天才だからな。じゃ、頼む」
「大体基本この辺りにいそうだが・・・」
「・・・それでね・・・」
「・・・そうなんだ・・・」
「いた。まあ風紀委員で見回りしてると嫌でも人の行動って記憶してしまうんだから怖いよな」
「・・・そうなのよ・・・」
「・・・いやいや・・・」
「あの~お取込み中すいません」
「?君は?風紀委員?」
「すいません風紀委員です」
「風紀委員がどうした?見回りか?僕達は何もしていないけど?」
「そうね。この通り園内を散歩しているだけよ?お隣の彼氏と一緒にね」
「お幸せそうで何よりです。今回声を掛けたのは・・・誰も周囲にはいないですね?」
「?周囲を見回してどうした?」
「実は・・・。ちょっと耳を。彼女さんも一緒に」
ゴニョゴニョゴニョ・・・
ポッ・・・
「ま、まさか見られていたなんて・・・」
「ど、どうしましょう・・・」
「た、頼む・・・!!!この事は・・・」
「お願い・・・!!!これはあくまでも私達の勝手でやったことだから・・・!!」
「別に誰も言いませんよ。誰かに迷惑をしたわけでも加担した訳ではありませんからね。今回は偶々見られてしまった。それだけなんですから。ですが、出来ることなら・・・」
「わ、分かった。気を付けるよ・・・」
「ご、ごめんね・・・」
「いいえ。では自分はこれで。もしこれが先生とかでしたら不埒な行為での停学で将来に響いた可能性があることを念頭に、お願いします」
「「はい・・・」」
「さて。お次は・・・」
「さて。今日はどの子を相手にしようかな~?」
「後輩君?私はどう?」
「いいえ。私とですよ先輩」
「ここは同級生の私が・・・」
「案外OGも良いかもよ?」
「ちょっと!ここはお姉さんと相場が決まっているの!!」
「ま、とっかえひっかえしているのは想像ついていたし実際に目の前にいるからな・・・」
「え~?決めれんな・・・。なら全員俺のベットに来るか?」
「『キャ~素敵・・・』」
「・・・」
「あ?何だお前?風紀委員?何の用だ?」
「ちょっと気になることがありまして。それでここまで参上した次第です」
「気になること?何だ?俺は今忙しいんだ」
「彼女たちは良いのですか?」
「横に居るこの娘たちか?良いのさ!!この娘たちは俺の彼女だからな。それかあれか?俺の彼女を奪いに来たとか?だったらやらんぞ?」
「『(ギロッ!!)』」
「あ~・・・。そういう訳ではありませんのでご安心を。では手短に・・・」
「どうですか?心当たりはないとは言いませんよね?」
「?いや?普通にあるぞ?この娘だろ?確かに相手にしたよ?勿論あの後交代でこの娘たちも相手したけどな?それがどうした?注意か?」
「端的に言えばそうです。勿論咎める気もありませんし他の女性たちも構わないそうなので捕らえもしません。ですがここは学びの間。将来を掛けてここに通っている方たちがいます。ですのでそういうのは学園の外でしていただけませんか?」
「ならお前は学園の外なら文句ないのか?」
「勿論ありませんからね。自分達は学園の外でされるとどうにもできませんからね。ですが外は外で公衆の面前で行うと歩いているチンピラや盗賊の餌食に。果ては衛兵とかにも捕らえられてしまうのでそこはご注意ください」
「へいへい。そのご忠告耳に入れましたっと。これで十分か?なら文句ないよな?はっはっは!!」
「うふふ・・・だっさ・・・」
「『ね~』」
ピキ!!!
「何だ怒ったか?ああおこちゃまですね~」
「あら坊や?君はおうちに帰る時間よ~」
「そうよ?今は大人の時間だから邪魔しないでよね!」
グリ!!グイ!!
「・・・これは明らかの挑発行為だよな?しかも胸倉掴んでその後投げ飛ばした挙句俺の足を踏むか・・・」
「そうよ?どかない僕が悪いんだからね?」
「・・・ライゼン・・・」
「・・・おうよ。見届け人は俺だ。その後の突き出しは任せろ。ただ今回はこっちが引き取る」
「構わん。もう呼んどけ。直ぐに終わらせる」
「分かった」
「ならこれからやることに文句はないよな?」
「なに?俺とやろってか?ならまずは・・・おい!!」
ゾロゾロ・・・
「こいつら相手にしてからな。言っとくけどこいつらも強いぞ?」
「こいつらはここの生徒か?」
「いや?俺が雇った、そうだな~。俺の護衛だな~。因みにその中に女もいるからな。手出せないだろ」
「なら尚更だな」
「ガキ2人で何ができるんだ?殺れ!!」
「『うぉぉぉ!!!』」
「ガキ二人ではない。一人だ」
バキ!!!ドガ!!!グギ!!!ゴス!!!
「口ほどにもない。それで?」
「う、嘘だろ・・・」
「何この子・・・」
「この坊や・・・強い?」
「んで?」
「舐めんじゃね!!!」
グギ!!!!
「ぎゃ~~~!!???」
「叫ぶな猿。耳が痛くなる」
バキ!!!
「た、助けてくれ!!!!」
「誰も助け何て来ないさ(ギロッ!!)」
「『ヒッ!!??』」
「ほら立て」
「おぐぇ~~・・・。血吐いた・・・。お前何者だ・・・」
「この程度か・・・ライゼン」
「あいよ。お待たせ」
ゾロゾロゾロ・・・
「今度は何!?」
「わ、分からないわ・・・」
「・・・黒服??」
「ねえ・・・。あの人たちの黒色鎧?の胸と背中に大きく書かれたあの白文字・・・」
「?・・・え!?」
「お、おぇ~・・・。今度は何だ・・・」
「お?まだ起き上がるか。けど残念だったな。お前に・・・、いやお前らに相応しいお迎えが来たぞ?」
「ふ、相応しいお迎えだと・・・」
「そうだ。俺達だ。俺達の顔を見たほうが早いぞ?」
「・・・?・・・!?」
「お待たせ。俺達は日本国外務省だ。お前らを現行犯で逮捕しに来た」
「げ、現行犯!?何の!?」
「暴行だ。こいつらのな」
「!?しょ、証拠は!?証拠がなければ逮捕できないだろ!!それに暴行での逮捕ならあいつらガキだろ!!俺はこの通り怪我されたんだぞ!?おかしいだろ!!」
「そ、そうよ。暴行されたのは私達の彼氏なんだから、逮捕するならあの子たちでしょ!?」
「そうよ。彼氏は私達のヒーローよ!!」
「私達が証人よ!!」
「ほう?俺達の“同僚”が嘘を?」
「そ、そう・・・同僚?」
「そうだ。その男の子達は俺達の同僚だ」
「ど、同僚というなら証拠をだせ!!」
「ならお望み通り出してやろう。俺は日本国外務省異世界方面ワーズナー支部のライゼンだ。階級は一番低いがな。ほれID」
「『!?』」
「な、ならお前は!?お前はどうなんだ?」
「俺か?俺は日本国海上自衛隊異世界方面カサジマ基地所属のアレクサスだ。階級は下から二番目の一等海士だ。ほれ。ID」
「『!?』」
「う、嘘だろ・・・。このガキどもが、自衛隊に外務省?あり得ない・・・ありえない!!はっはっは!!!アリエナイ!!!」
「あ~あ~。お前らの彼氏は壊れてしまったな。だが君らのこれからは変わらない。では頼みます」
「ま、待って!!わ、私達は、関係ないでしょう!?」
「そ、そうよ!!!私達は彼の仲間じゃないわよ!!」
「この期に及んでまだそんな戯言を・・・」
「俺の胸倉をつかんで足をねじるように踏んだのはどこの誰だっけ?」
「『うぐ・・・』」
「君達はどっちにしろ身柄を引き渡す。それと同時に君らは学園を退学、親御さんらに連絡、検察に引き渡し裁判だ」
「ま、諦めるこった。ではお願いします。今後もこのようなことがあると思いますが自分達共々、よろしくお願いします」
「ああ。勿論俺達こそ今後とも頼む。何かあればライゼンを経由して我々に」
「ありがとうございます。では」
「行くぞお前ら。早く行け」
「こういうバカって何故ドンドンと埃如く出るんだろうな・・・」
「しょうがないだろ・・・。俺達が入るまでは不正の温床みたいなもんだったからな。勿論今後も出るだろう。だが大分マシにはなったな」
「まあな。今後も引き続きやっていくしかないか」
「ま、そういう事だ」
「しかし試合後だから休憩しようと思ったが、これに巻き込まれるとはな・・・。やはり呪いというか、こういうのは憑いて回るのか?」
「いや。流石に気持ちの問題だろ。それに俺達の“本来”の仕事は日本国内の治安維持と保護、管理だ。本当だったらこういうのは越権行為なんだが、異世界だから許可されているだけだからな。それに個々の管轄は本来はここの学園及びこの国の騎士団とかの秩序維持だ。けど機能してないから依頼としてきた。なら答えるしかないだろ。だから考えすぎだ」
「・・・だな。ま、以前みたいに急に呼ばれてどこかに行くわけじゃないからまだマシか」
「そういうこった」




