予選
予選
開会式も終えて控室に向かう事に。
「さて。予選会場に向かうか」
「よ。お前もこっちか?」
「ああ。まさかここで会うとはな。お前もここの予選か?」
「いや。俺は別だ。仮にお互い決勝トーナメントに進んでもお前と会うのは結構先になりそうだしな」
「確証ないのに随分と断言するな?」
「例年の流れからさ。俺もちょくちょく手伝いに繰り出される時があるからよ。その時からさ」
「そうか。ならお前の予想で良いから俺達がかちあうとなるとどこになる?」
「まあ、準決勝だろうな」
「そうか。ま、お互い頑張ろうや」
「おう」
『予選を開始いたします。第一グループの出場選手は会場へお入りください』
「おっと呼ばれたから行ってくる」
「頑張れよ。俺は敵状視察してくる」
「お~怖い怖い。お前に技盗まれないように気をつけなければな」
「そこまで過度にしなくても良いぞ」
「ははっ!行ってくる」
・・・・・
「さて・・・。そろそろ俺の番だな。案外レベルがそこまで高くなくて逆に拍子抜けというか・・・。だが気にせずにやってみるか。しかし初めは総当たり戦と聞いて何日もかけて絞っていくのかと思いきや、物理的に総当たり戦とは流石に思わなかったな・・・。あいつらは知っていたのか?まあいいや」
『お待たせしました!第20グループの出場選手はステージへお入りください』
「そういえば思ったけどどれくらいグループ数があるんだ?まさか50とか言わないよな?」
・・・・・
『さあ皆さん!!お・ま・た・せ・しました!!!第20グループ目の試合が開始します!!!いや~相変わらずここまで長い!!っとそれはさておき、解説の方。今回の注目選手は如何に?』
『そうですね。このグループは比較的高学年が多い傾向にあるようです。数人を除いて後は全員高一以上しかいないグループですので、下級生はかなりしんどいのが目に見えて分かると思いますが、実は先生方からの評価からはこのグループがこれからの鍵を握っているそうなので、注目するのは案外上級生ではなく下級生、ではないでしょうか?』
『ほう!先生からの評価もあるとなると今回の試合はダークホースの登場と言っても過言ではない、そういう事ですね?』
『少なくても私はそう思っています』
『では解説の方もありましたように、今回の試合も瞬きは厳禁という事で、試合前の解説を終えます。では審判の方、お願いします!!』
「では、そろそろ開始します。各自、用意は?」
「『(コク)』」
「では、試合開始!!!」
「・・・さて、まずは・・・」
「まずはお前を狩る!!!」
「おや先輩。高等なのにいきなり下級生を、ですか・・・。そんな無造作に剣を振り回しても無駄ですよ何しろ基礎がなっていないのですから。それに・・・」
ドス!!!
「・・・」
「このように足元がガラ空きですと足払いされて首トスされても文句ないですよね?お次は・・・」
「ねえ坊や?お姉さんの胸に飛び込んでこない~?」
「大学部の先輩。そんな妖艶な雰囲気を出しても俺には効きませんよ?」
「そう言って他の男女も結局は餌食になっているわよ?どう一緒に未知の世界に飛び込んでみない~?」
「すいませんがお断りします」
「あら残念ね・・・。なら私から仕掛けるわよ!!!」
「そんな無防備に突撃しても」
「そう思ったら大間違いだよ!!これならどう!!」
「ほう?突撃してくると予想して構えた敵に直前に止まりそこから魔法で攻撃魔法ですか。不意打ちとしては良いでしょう。ですがそれまでです」
グイ!!!ドスン!!!
「この通り腕一本で背負い投げで飛ばされてしまうのですから」
「ぐ!!!ゲホゲホ!!息が・・・」
「それで?どうします?」
「・・・私の負けよ~・・・。まさか私の魔法を身体能力だけで交わして懐に潜り込むなんて・・・。実力差を思い知ったわ」
「俺なんてまだまだですよ」
「嫌味に聞こえるけど、まあ良いわ~。では私は退場するわ~・・・」
「・・・さて、次は・・・」
ビュン!!!
「まさか本当の意味で不意打ちとは・・・」
「・・・俺のスピードで交わす奴が現れるとは。しかも避ける方向を計算して事前にこのバカでかいハンマーを振りかざしたのに・・・。面白い相手だ貴様は。これはどうだ?」
ビュン!!!ビュン!!!
「・・・これも交わすとは・・・。中々貴様は速いみたいだな」
「そりゃどうも。お次は?」
「・・・!!!」
ビュ~ン!!!
「これも交わす・・・??」
「速すぎて残像が残る形か。けどまだですよ。今度はこっちの番ですよね?行きますよ」
「・・・来い!!!」
「そうですね・・・。まずはこれを避けてください」
ビュ!!!ガシ!!!
「なに!?」
「あらら・・・。これで避けれないのですか・・・。ではここまま」
「ま、待て!!」
「よっこいしょ!!!」
グルン!!!ドスン!!!
「先輩の身体を軸にして投げ飛ばしました。大丈夫ですか?」
「・・・あ、ああ・・・」
「まだやりますか?」
「・・・ここまでの実力差を見せつけられて挑むバカはいない。失礼させてもらう」
「先輩も中々の速さでしたよ。俺だから何とかなりましたが、他の方でしたら先輩が勝っていたのかもしれませんね」
「・・・気持ちは受け取ろう・・・」
「さて」
ガシ!!!
「おりゃ!!!頼む!!!」
「ええ!!これなら君も退場になるわね!!!」
「油断を突いた矢先に仲間の一人が俺を投げ飛ばす。その後に恐らくこの場所に投げる想定で事前に弓を構えて放つ。チームワークはばっちりですよ。それに俺が仮に弓の攻撃を交わした後に」
「言っている暇があるかしら?この弓隊と魔法団体の攻撃から逃れられるかしら!?」
「このように避けられた場合の想定も完璧っと。挙句には」
『まだあるぜ。両方交わしたところでこの搭乗型武装機体からも逃れられん!!』
「一人に対してこれはオーバーキルだと思いますが、甘いですね。何故なら・・・」
ガシ!!!バキ!!!ビュン!!!シュ~~・・・バ~~ン!!!
「まずは空中にいたまま弓を素手で掴み、矢先を除いて折り、ナイフの如く投げ返す。魔法の場合も同じでまずは魔法を消滅させ、溜め込んだエネルギーをカウンターで返す。すると?」
「なに!?」
「うそ!?」
「おい!!防衛陣形!!」
「無理よ!?間に合わないわよ!!」
「『ぎゃ~~~!!!あち~~~!!!!』」
「弓隊と魔法団体はこれで完了武装機体は発動に時間が掛かるから本来は発動前に対処するのが一般的だが、ここは敢えて・・・」
『何だ?諦めたか?弓隊と魔法団体を倒したのは絶賛する。だが、ここまでだ!!放て!!!』
ゴォォォォォ!!!!
「誰が諦めたかって?誰も言っていないだろ?こうすればどうにもならんだろ?」
ゴン・・・・ガン!!!!
『な、なんだ!?地面が・・・機体が、沈む!?』
「先輩も聞いたことありますよね?砂漠とかの蟻地獄を。今回はそれの応用でもがけばもがくほど沈む速度が速くなって最後は完全に埋まるあれを」
『ま、まさか』
「そういう事です。それに先輩が搭乗している機体と残り3体は攻防はかなり強いが回避とかは貧弱では?」
『な、何故それを!?調べたのか!?』
「たった2~3時間で調査できる量にも限りがあるのでそれはありませんね」
『では何だ!?何故知っている!?』
「いや?勘ですよ。つまりカマ掘ってみた。それだけです。まあ強いて言えば今回の試合とは全く関係ありませんが、同じ機体を持っている人を知っているから、という事だけです」
『そこから考えたと・・・。だがお前を倒せば蟻地獄も解放される!!お前ら!!』
『『おう!!』』
「それはないですね・・・。ま、ガス欠まで逃げますか。それにあの様子だと数分でガス欠になりそうですね」
『?おい!!どうした!?急に攻撃できなくなったぞ!?』
『こっちもだ!!』
『こっちもです!!!』
『どうやら全機体攻撃できなくなってしまいました!!』
『どういう事だ!?』
「あ~攻撃しまくるから・・・」
『お前!!何した!?』
「何したと言われましても・・・」
『ふざけるな!!!何かしたろ!!じゃなきゃ急に止まることなんてあり得ない!!』
「そうですね。普通ならあり得ないでしょう。ですが今回は俺は何もしていないですよ。本当です」
『なら何故急に止まる!?』
「・・・先輩。少し考えれば分かることですよ?」
『な、なんだ!?』
「・・・分からないのですか?」
『分からないから聞いている!!』
「・・・先生・・・。この先輩大丈夫ですか?」
「『・・・』」
『そんなこと良いから教えろ!!』
「ではお教えしましょう。何事にもそうですが、動くには何が必要ですか?」
『動くには?・・・』
「言い方変えましょう。攻撃には何が必要ですか?」
『それはあれだろ。エネルギーだろ』
「そうですね。エネルギーですよね。では今回は何故止まってしまったのですか?」
『それはあれだろ?エネルギーが無ければ動か・・・あ』
「気づきました?その機体はエネルギー切れです。そして俺の予想だと動くことも出来ない筈です」
『それはないだろ・・・?あ、エネルギーが無いとなると・・・』
「そこは早かったですね。そういう事です。攻撃できないという事は必然的に動く、つまり移動が出来なる訳です。なので今は蟻地獄に飲まれるがままになっている、という事です」
『クソ!!!』
「どうしますか?機体から降りて俺と戦いますか?」
『・・・それは無理だ・・・。俺達は機体部隊だ。なので機体しか操縦できないんだ。生身での戦闘なんて皆無だ・・・』
「そうですか。そうなると・・・」
『俺達の負けだ』
「そうですか。もう少し戦いたかったですがここまでみたいですね。今蟻地獄から解放しますので、エネルギーを補給してください」
『それは良いが補給の仕方は?』
「あれ?ご存じないですか?授業とかでも習っていると思ったのですが・・・」
『すまん。分からん』
「そうですか・・・。でしたらやる前に確認したいのですが、その機体のエネルギー元って何ですか?」
『・・・いや。それも分からん。それは設計と整備が知っている』
「なら確認するしかないですね。試したい方法があるので協力してください。まずそういった機体ですが、エネルギー供給方法は幾つかあります。外部供給、搭乗者からの供給、両方のハイブリッド。この中からその機体にあった供給方法を探します。まずは先輩たちはその機体を動かすときに魔力を消費して動かしていますか?」
『ああ。そういう事か。なら答えは簡単だ。俺と右隣はハイブリッド。残りは外部供給だ』
「でしたらハイブリッドの機体は搭乗者の魔力を使用すれば動くはずです。やり方は操縦桿を今も握っていますよね?握ったまま魔力を流せば動くはずです。やってみてください」
『・・・よく分かったな・・・。やってみる。消費量は?』
「そこは機体によってそれぞれですのでやってみないことには分かりません」
『分かった。取り敢えず流せる分だけ流す・・・』
「どれくらい流せたかはここからでは確認できないので、動かしてみてください。動かなければもう一度です」
ウ、ウィ~ン・・・
『取り敢えず動くようにはなったが、長くはないだろう。そっちは?』
『こっちも動くようにはなったが、弱弱しいから長時間は無理だな』
「ならその最後の気力で残り二体を運んでくれ」
『ああ。お前は強かった。完敗だ』
「いいえ。さてそうこうしているうちに残り5人になった。つまり・・・」
『そこまで!!!現在残っている5人を決勝トーナメントに進出!!!』
うぉぉぉぉぉぉ!!!!!
「中々活気的だな」
「そらそうでしょ。ある意味お祭りであり仲間と共に切磋琢磨するステージでもあるんだ。盛り上がらないほうが問題でしょ?」
「そうだな。それに俺達がこの場に残っている時点で一部生徒からは羨望の視線が送られてくるんだ。それだけでも中々のお祭り騒ぎになってもおかしくないさ」
「けどボク達からしたら君の攻撃・・・攻撃?まあいいや。君の姿は中々圧巻していたけどね」
「私達でも先輩たちの相手はしんどいのに、平気で指導まがいな事をするし余裕そうだし」
「そうか?まあ先輩も強かったしな。流石学園なだけはあるな」
「それ嫌味でしょ?まあいいや。ここにいる5人が決勝トーナメントに進めれるんだ。そこは素直になろう?」
「そうだな。先輩たちに勝ってしかも進めれるなんてめったにないことだからな。これは貴重にしないとな」
「ま、でもまずは控室に戻ろうか?」
「そうね。まずは汗と汚れを落としたいわね」
「戻るか。俺は中等部1年インザーだ」
「私は中等部2年キリスよ」
「私は中等部1年フィーリアよ。インザーと同級生なの。よろしくね」
「あたしは中等部2年のエルザよ」
「俺は小等部5年のアレクサスだ」
「「「「アレクサス?」」」」
「?そうだが?どうした?」
「あ、いや風紀委員に所属する凄腕の委員が5年にいると聞いたことがある。それがアレクサスと噂になっていたからどんな奴か?と思っていたら、そうかお前か」
「噂?どんなだ?」
「大したことじゃないの。どんな生徒でも返り討ちにして引渡しているから気を付けて、それくらいね」
「大したことあるだろ・・・」
「ま、良いじゃないの~。それよりもう戻ろう?」
「そうだな。まずは洗い流すか」
「なら勝負しねぇか?」
「なんの勝負だ?」
「最後に控室に入った人は飲み物奢り」
「・・・いいねぇ~。やる気出たよ~」
「・・・何しようか・・・ジュルリ・・・」
「なら早速・・・」
「「「「「シャワー室に急げ!!!」」」」」




