引き受け
引き受け
「お?アレクサス。決まったか?」
「ああ」
「それで?どうします?私達は君の意見を尊重します」
「そこまで気を張らなくても良いさ。引き受けるんだからさ」
「そうですか・・・。やはりこと・・・え?」
「『え?』」
「聞こえなかった?引き受けると決めたんだ」
「アレクサス君。本当に良いのですか?」
「ああ」
「『うぉぉぉ!!!』」
「アレクサス様!!ありがとうございます!!このお礼は必ず3倍にしてお返します!!」
「そこまでしなくても良い。それより引き受けたからにはお前ら付いて来いよ?」
「『はい!!』」
「ならまずは幾つか聞きたい。まずは闘技祭の参加する規模は?」
「それは私が答えます。規模は小等部から大学部まで全学年が参加する試合形式のイベントです」
「試合内容は?」
「俺が答える。内容は剣や魔法などを使って強いものが勝ち上がるスタイルになってる。因みに攻撃方法は不正や相手を殺さない方法なら基本何でも良いそうだ」
「根拠は?」
「先生やこの国の騎士団達が試合時のみ場外にも余波が来ないように結解を敷くそうだ。なのでよっぽどのことが無い限り平気だ」
「勝ち上がりスタイルは?」
「僕が答える。始めの予選は総当たり戦で上位5組が決勝にコマを進めることが出来る。決勝はトーナメント形式なので負ければそこで終了。勝てばコマを進めるという簡単な方法だ」
「優勝者は?」
「毎年変わるから今は分からないかな?けどある程度の希望は通るみたいだ」
「闘技祭開催時、外部の方は来るか?」
「来るどころか閉会まで来るよ。やはり子供の勇姿を見たいんじゃないかな?」
「注意事項は?」
「ボクが。さっき言っていたけど基本殺したり不正しなければなんでもOKだよ。フィールド全体がステージだから蹴落としとかで場外に出したらその時点で出た者は失格という事は出来ないよ」
「なら敷地出ても試合は続行可能という事な?」
「それはやりすぎかな~~・・・」
「武器とかの制限は?」
「私が答えます。自分の得意としている武器で良いそうです。但しそれによって予選ではバランス調整が行われることがあるそうです」
「魔法は魔法で。剣は剣でか?」
「後は長距離が得意もありますのでその場合は時間も考慮して開始時刻を遅らせることもあるそうです」
「召喚が得意な奴は?」
「事前に召喚する魔物を伺う事があるそうです」
「魔導士は?魔剣士は?」
「どちらも数は少ないから特に考慮しないかもしれません」
「使い魔、精霊関連は?」
「考慮は基本されますが、精霊は具現化か付与で変わってきます」
「闘技祭の期間は?」
「私が答えますわ。期間は再来月の頭からその月の最終日まで行われます。表彰式を除いてそれくらいの期間ですので全体的に終わるのはその次の月の一週間後になりますわ」
「学業とかに影響は?」
「特にありませんわ。このイベントの主催者が各国のトップという事で逆に無下にできないからですわ」
「おいおい・・・。主催者が国のお偉いさん方って・・・。それだけ顔を売りたいのかよ・・・」
「皮肉なこと言いますわね?」
「そうだろ?」
「・・・何も言いませんわ」
「妨害は?」
「妾が答えよう。妨害があった時点で加担者は全員失格の扱いになるのじゃ」
「けどそれは誰がやって指導者は誰か分からないとどうにもならんだろ?」
「正直なところそうなんじゃ。勿論その場合は蹴落として構わんが頭の回転が速い悪者なら逃げられることもある。だから・・・」
「俺も気をつけないと格好の餌食ってか?」
「そうじゃ。まあお主なら大丈夫じゃと思うが用心したことに越したことは無いぞ?」
「妨害が分かって実際に捕まえたら突き出しは?」
「先生とか衛兵か?勿論構わないぞ。じゃがそれが国の指示で動いた妨害となると?」
「お国も黒いな~」
「そういうな。妾達も悩ましいところなんじゃ。今年は大丈夫か?とな。なので妾としてはとある国の衛兵が来てくれると物凄い助かるんじゃが・・・」
「何でだ?お前らの後ろにいる護衛とかは?幾ら弱いと言っても護衛対象者に危害を加えることはしないだろ?」
「勿論こやつらも妾達は信頼しておる。けどこういった不正や妨害が毎年出るからいい加減頭が痛いんじゃよ・・・」
「それでとある国か・・・。因みにそれは何処だ?」
「『日本国です』」
「・・・そんなメイドに護衛さん方まで言ってこなくても」
「『失礼しました。ですが大切なご子息、ご令嬢に何かあってからでは遅いのです。それに私達も万能ではありませんし強敵には数でどうにかするしかありません。ですがそれも限度があるのです。それならこの身を恥じる覚悟で日本国に頼み込む方がまだマシです』」
「・・・そんな息揃えて言わなくても・・・。けど分かった。妨害には要注意しておく」
「頼んだぞ」
「・・・今はこんなところか・・・」
「なら妾達から聞いても良いか?」
「何だ?」
「アレクサスの得意武器ってなんじゃ?」
「う~ん・・・。何でも使うからな。特にないかな?」
「?そうなると召喚も出来るのかの?」
「出来るけどそこまでではないしな・・・」
「ならお主の最終兵器は召喚かの?」
「いや。それも違う。まあお前らが俺の本気を見ることはまずないと思ってくれていいぞ」
「おお・・・それは心強い。逆にアレクサスの本気を見てみたくなった」
「ま、それは別の機会にな。しかしメイドとか執事はまだしも、護衛が弱いのは不味いんじゃないか?」
「『・・・』」
「?何故そこで黙る?てっきり反対意見がごっそりと出てくるのかと思ったが・・・」
「実をいうとな・・・」
「おい、良いのか?」
「逆にここで疑問を持たれますと逆に信用問題になりかねません」
「なのでこればっかりは明かさないと・・・」
「話し合いは終わったか?」
「ええ。お話しします。私達の護衛が弱いのは、護衛の実力不足もあるのですが、それともう一つ」
「・・・いや待て。当ててみる。『長兄や長女が有能、または既に後継人として決定しており弟妹は用無しと判断されて必要最低限しか与えられなかった』とか?」
「『!?』」
「おい・・・まさか・・・」
「まさか当ててくるとは・・・。その通りでございます」
「・・・はぁ~~~・・・。なら尚更協力は惜しまないな。しかしどこ行ってもこれか・・・」
「?協力を惜しまないのはありがたかったのですが、後半は聞き取れなかったのですが・・・」
「いや。独り言だ。それより俺はこれからどうしたらいい?」
「それだけ強いと大丈夫なような気がしますし・・・」
「そういう訳にはいかないな。けど俺も風紀委員の仕事があるからそれに支障がなければ良いぞ」
「あ、なら逆に風紀委員の仕事を続けたら?」
「?何言ってるんだ?今もやっている」
「ああ。ごめんね?言葉が足りなかったね。風紀委員で誰かを取り締まったりするでしょ?」
「ああ」
「その時反抗する輩もいるでしょ?」
「・・・なんとなくわかって来たぞ・・・。つまり容疑者との対決が良い運動だと?」
「そういう事よ。それなら仕事しながら相手の出してくる技とか把握しやすいでしょ?」
「そうだな。分かった。それで行く。んじゃ俺は仕事に戻る」




