研修3
研修3
「よし。休憩後通常業務に関して教えよう。と言ってもただ単にブラブラ歩くだけではないぞ。一言で言えば個々の観察だ。例えばあの男子生徒は何かやましい物は持っていないか。何でも良い。持ち込みが許可されていない物の持ち込みや行動とかだ。怪しいと思ったら声をかけて聞く。俺達にはその権限を持っている。遠慮せずに怪しいと思ったら聞けばいい。抵抗したら応援を呼ぶなりなんなりして、最悪は拘束も考えろ。いきなり言われても分からないか・・・。よし。俺が手本を見せてやろう。良く見るといい」
「『はい』」
「まずは軽く辺りを見渡す。さりげなくかつ自然にだ。何故か分かるか?」
「はい!相手に悟られないため、ですか?」
「そういう事だ。確かに俺達は風紀委員のバッジとかを身に着けているが、中には隠せれるバッジを持っているのもいる。そういう時にも発揮するんだ。そういう時に探られないようにするんだ。こう、人探しをしたり、目印を探すような行動みたく辺りを見渡せば、端から見れば誰かを探しているのしか見えないからな。けど重要なのは仮に怪しいのを見つけても注視はしてはいけないぞ。その時点で誰かに見られている感覚に陥る可能性があるんだ。そうなるとバレてしまうか、余計に怪しい動きをされて判断が鈍くなる可能性があるんだ。だから一度目をつけたらわざと視線を外してまたもう一回対象を見る。暫くしたらもう一回視線を外すこれを繰り返すんだ。具体的には4秒程度で一度視線を外し、5秒でまた対象を見るようなスパンだとそう簡単に悟られることはない。けど100%ではないことを注意してくれ。因みに今さっき言った秒数はあくまでも目安だ。ここは各々に任せるとしよう。けど早すぎる視線移動は頭や脳にダメージが蓄積されやすい。疲れやすくなるんだ。逆に遅いと注視されていると悟られる可能性があるし、一歩間違えればストーカーと勘違いされる可能性もあるからそこも気を付けてくれ」
「『はい』」
「よし。まずは見てくれ。アレクサス。すまんがモデルになってくれ」
「分かりました。どこからやりますか?」
「普通に歩いているところで構わない。頃合いを見て声をかける」
「分かりました。取り敢えずのんびりと歩きます」
「頼む」
「あれが怪しいな・・・声をかけるか。この時は一人でも良いし二人でも班でも良い。けど多人数に初めから行けば威圧されていて正常な話が聞けない可能性があるから注意してくれ。すいませ~ん」
「?はい?」
「突然すいません。風紀委員です。何かお困りごとでもありますか?ここでは俺達が立場が下になる。何しろ突然話しかけているんだ。急に声を掛けられて驚く人もいるんだ。なのでまずは低姿勢で対応しろ」
「困る?いえ?それはないのですが・・・」
「そうですか?何かソワソワとしていらっしゃったのでなのかあったのかと」
「い、いえそういう訳ではありません」
「そうですか。でしたらすいません。ちょっと持ち物検査したいのですが、構いませんか?」
「あ、はい大丈夫ですよ。どうぞ」
「ありがとうございます。では少々お付き合いください。この時重要なのは、決して気を荷物に集中し過ぎないことだ。集中し過ぎて、対象から攻撃されると対抗できないし、いつの間にか逃げられる可能性もある。なのでここは一点に集中し過ぎず、周りにも気を配れ。そしてもう一つ。これは対象が女子ならありがちなのだが、荷物内に生理用品がある可能性もある。そこは気を配れよ。はい。ありがとうございました。お次に身体検査も行います。宜しいでしょうか?」
「あ、はい。どうぞ」
「それでは失礼します。ここでは必ず相手に断りを入れてから体に触れろ。相手の身体に触れるだけでも時にはまずい時もある。特に相手が女子だとなおさらだ。因みにここで身体検査を拒むのもいる。そういう場合は怪しくなさそうならスルーしても構わないがここは経験を積むしかないから今はいい。もし身体検査しないと怪しさが抜けきれない場合は応援、または先生を呼べ。はい。ご協力ありがとうございました。特に何もありませんでした。ご協力ありがとうございました。それではよい一日を」
「いえいえ。お勤めご苦労様です」
「最後に時間を取らせてしまって申し訳ない、という意思を相手に伝えることで最後の最後でトラブルが起きるのを回避するんだ。何故か分かるか?幾ら俺達に権限があるからといっても高圧的な態度は相手も『こいつは喧嘩を売ってるのか?』と勘違いされることがあるんだ。実際にそれで何人かの風紀委員が委員の職を解かれた。そこは気を付けてくれ。最後に今回はしなかったが実際にはこの後に相手の名前を聞くんだ。今回は俺がモデルになるから聞いておけ。それでは最後にお名前をお教えいただけますか?これは名前を聞いて端末と風紀委員本部に照会して素行を確認するんだ。実際にやるぞ。HQこちらPL1。照会1名頼む。名前アレクサス、小等部5年だ」
『了解。照会する・・・・・PL1こちらHQ。名前アレクサス小等部5年に異常なし』
「了解。すいません。特に異常もありませんでした。これにて終了です。お時間を取らせてしまい申し訳ございませんでした。この場合は相手に協力の感謝と時間を取らせてしまったことに詫びを入れるんだ。もしかしたらこの後大事な用があるのに協力してもらったんだ。そこは誠意を示さないと不信感を与えかねんぞ。とまあここまでが通常の流れだ。質問はあるか?」
「はい。先程風紀委員本部に問い合わせた際、暗号?みたいなもので問い合わせていたのですが、何の意味が?」
「これは識別番号さ。HQはその通りの本部。PLはパトロールなので俺達みたいな巡回中風紀委員、番号はその日によって変わるからよく聞くように。こんな感じだな。他には?なさそうだな。次は相手が抵抗した場合だ。すまんまた頼む」
「分かりました。今回はどのような形で?」
「今回は一番よくありがちな。問いただしている最中で頭に血が上り始めて、照会の部分でキレる形で頼む」
「分かりました」
「あの人怪しいな・・・。ちょっと声をかけてみるか。すいません。ちょっとよろしいでしょうか?」
「・・・何だお前?」
「すいません。風紀委員です。何かお困りではありませんか?」
「?何もないが?」
「失礼しました。でしたらすいませんがお時間は取らせませんので持ち物検査をさせて下さい」
「は?何でだよ?何も悪い物は持ってないだろ!?」
「はい。それを証明するためにもご協力を頂ければと思います」
「嫌に決まってるだろ」
「ご協力を頂けないのですか?」
「そうに決まってるだろ~が!何か文句あるか!!」
「暴れないでください!他の方に迷惑です」
「知るかよ!!テメーが悪いのだろー-が!!」
「暴れないで!!HQこちらPL1!!現在地を端末に反映させるので応援と先生の呼び出しを!!暴れています!!」
『HQ了解!!!』
「おいこら!!暴れるな!!」
「持ち物検査を強制で行う!!暴れるな!!!」
「・・・先生!!出ました!!」
「分かった!!生徒指導室に連れて行け!!!」
「ま、待て!!俺は知らん!!離せ!!」
「とまあこんな感じだ。先生たちも申し訳ないです」
「良いさ。人材育成も重要だしな」
「心使い感謝します。こんな感じで取締りを行うから、気を引き締めてけよ?」
「『(コクコウ)』」
「よし。これは言葉の話術や洞察力、観察力が重要だぞ。あと優柔不断も不味い。今のうちに実践訓練をするから覚えて行けよ」
「『はい』」




