偵察
偵察
「さてお前ら。戦場へようこそ。戦場と言っても戦争ではないがな。それは置いといて任務内容は事前把握しているだろ。予定通りに四大精霊の一人を捕獲または殲滅する。質問はあるか?」
「隊長。事前に潜入しなくても平気なのですか?敵のパターンとかを把握したほうが任務遂行しやすいですし不測の事態でも対処が容易かと」
「それも考えたが、ある程度どころか膨大な情報量が届いてな。その出番は無くなったわけだ。お陰で潜入特化型隊はのんびりとお茶を啜っているだろうよ。それか鬱憤晴らしに訓練量を倍にしたとか。という訳で今回は敵の動向確認ではなく、この後来る増援に向けて陣地合戦という訳だ。向こうが幾ら独裁政権の如く市民を監視に人員を割いているとはいえ、長距離射撃のプロがいないとも限らんからな」
「成程。そういう事ですね。因みに敵兵がいた場合は勿論?」
「無論構わん。尋問も構わんし捕虜でも構わんが、ここまで情報が集まっていると新たな情報が入るかというと正直疑問ではあるがな。まあ任せる」
「了解しました。班分けも変更に変わりは?」
「そちらもない。おっと、到着したみたいだ。そしたら作戦を開始しろ。車両は中継として使うため魔法で隠蔽しろ。あと数人は万一のことも考慮し、車両を守れ」
「『了解』」
✩
「班長。我々はあの丘の頂上を陣取りましょう。恐らくあそこが一番見渡しが良い気がします」
「周囲の等高線はどうだ?」
「・・・やはりそこが一番高いですね。万一の退避もあそこが一番しやすいですね。衛星写真でも頂上が軽く開けているようなので、死角からの奇襲にも備えられます」
「よし。したら望遠鏡または千里眼で見渡せる範囲であらゆるものを確認するんだ。もしかしたら使えるものがあるかもしれんからな。1-1はここから。1ー2はあの木の上から。1-3は右手に丁度良い建物があるから警戒しながらあそこから望遠してくれ」
「「「了解」」」
『1-1から班長。頂上に敵の櫓らしきものが見えました。それにあの構造だと敵の拠点として使われているみたいです。防衛ラインも確認できます』
『1-2から班長。どうやら敵もあの場所を使って領地の監視をしているみたいです。観測者らしきものを確認しました。通信設備も備わっている模様。あそこを陣取れるだけでもかなり優位に立てます。何でしたらあそこを物資拠点として使用するのもありかもしれません。最も直ぐに戦闘開始し直ぐに制圧するのでしたら不要かもしれませんが』
『1-3から班長。どうやら定期的にあの場所から兵士を出して巡回しているようです。歩兵と騎兵それと竜騎士と飛行兵がここからですと確認できます。あとあの場所に行くまでに幾つか敵防衛ラインを超える必要があるみたいです。と言ってもそこまで厳重ではありませんので突破は容易かと』
「了解。敵拠点があり手前には防衛ラインか・・・。今回の敵は領民の殺害などにためらいはなさそうだな。あの様子から察するに、渋々やらされているわけではなさそうだ。かと言って目的を知っている雰囲気でもなさそうだから、あくまでも”命令に忠実”というところだけだろう。班長から1-3。敵防衛ラインを通る際、敵兵はどうする?地雷とかあった場合は解除したほうが良いか?」
『防衛ライン通過時、拠点の詳細情報を知りたいので、出来る限り敵兵を尋問したほうが良さそうです。地雷などはあれば解除ですが、見たところ拠点手前までは無いのでそこまで気にしなく良さそうです。勿論道中発見次第解体します』
「了解。したら戻れ。よし聞いたな?敵拠点及び防衛ラインがあったぞ。あの丘まで辿り着くのは中々時間を食うが仕方あるまい。ここから先は更に分かれて組を作る。作成が完了したらあの場所にある敵防衛ラインを全て破壊してくれ。手段は問わん」
「全部ですか?」
「ああ。幾らこの問題が終わったとしても敵防衛ラインが健在だと領民も困るだろうからな。なので周囲を囲い、敵防衛ラインを全て破壊する。地雷も櫓も通信機も全てだ。敵兵は殺害した場合は近くにある穴に埋めろ。その中で火を焚け。煙は出したくないが、仕方ない。捕虜にしたら中継車に連絡を入れろ。何。この時のために何台か用意した。言っとくが死体は乗っけないからな」
「『了解』」




