聴取(竜族編)
聴取(竜族編)
「さて。お待たせした。最後に竜族の方に聞こうか」
「では儂が。と言っても竜族も実は儂らも妖精みたいなパターンがあって、流石にそこまで複雑ではないがな。儂ら竜族は召喚で応じるパターンか道中でばったり会って同行する2つのパターンがあるんだ。
まずは召喚だが、こちらはさっきの精霊などと同じパターンで、召喚士が任意で召喚術を発動した場合、その使用した魔力量に応じた竜、いやドラゴンだな。ドラゴンを召喚することが出来るんだ。勿論闇雲に発動してどうにかなるわけでは無い。そこはきっちりとした基準があるんだ。
例えば儂が自身の所有する魔力の約5%を使用した場合は・・・だいたいこのような可愛いドラゴンが召喚することが出来るときもあれば、・・・今回は20%を使用した結果多少援護が出来るドラゴンを召喚することが出来る。そして発動した後召喚されたドラゴンは、通常存在を維持するためには召喚する魔力に加え、維持するための魔力も必要だ。つまり召喚できたからって維持が出来なければ途中で消えるし、最悪はドラゴン側が召喚士を見限り、召喚術を消滅することもある。消滅と言っても召喚というのは軽い契約書みたいなものなので、それが消えるという訳だ。別に消えたからって二度と召喚できない訳ではないからな。今こうやって2匹のドラゴンがここにいるが、この間にも儂の魔力から合計25%の魔力が使われている。まあ、それより儂の回復量が大きいからどうってことないがな。
次に道中で同行に応じるパターンだが、こちらは召喚やテイムみたいな契約書があるわけでは無い。単純に同行者として付いて行っているだけである。簡単な話が、冒険者パーティーである。冒険者パーティーに契約書も何もないだろう?ただ単に1人が2人に、2人が3人になっただけだ。そこに何も制約もあるわけでは無いから、変な話が急に別れても問題ないわけだ。そして何より、同行パターンの竜族は1人の亜人、つまり1人として扱われるため、魔力の消費が無い。そしてパーティーに所属するという事は、道中で出会った魔物などを協力して討伐することだってある。この辺りは本当の人族と変わらないことをしていると言っていい。
さて話が長くなったが、今回関わった竜族なんだが、どうやら今回は同行パターンみたいなんだ。罪人が援助だのなんだの言っていたそうだが、実はただの罪人の勘違いみたいなんだ。というのもな、召喚パターンなら儂ら独自の安否確認みたいなものがあって、このようなリストがあるんだ。そこの名前の横にレ点があったら召喚中って事になっている。これは自動的にその時の安否確認が更新される仕組みになっている。いつからかは知らん。先代からこれだからな。そして今回の出来事を照合したんだが、どうやらどこにもマークが無いんだ。つまり」
「罪人が勝手に召喚と勘違いした。という訳だな?」
「そういう事だ。では何故あの場にいたのかというと、初めは只の侵入者排除かと思ったそうなんだ。知っての通りあの場所はかなりの大きい敷地だったから初めは排除を目的に動いたそうなのだが、途中から違和感を覚え最後は君達日本国を見て気持ちが変わったそうだ」
「成程。確かに侵入者なら警戒するしそれなりの行動をするしな。理屈は合っているが、何故あの場所に?」
「初めは興味本位で滞在していたが、途中から楽しくなったこともあるが何よりあの場所って地味に人里から離れていただろ?それで別の場所に行く気にもなれなかったそうだ」
「一人でいた時間の方が長かったのにか?」
「その時偶々運悪く怪我を負っていて治療で滞在していたそうだ」
「・・・確かにあいつは足を引きずっていたな。そういう事か」
「すまんな。腑に落ちないかもしれんがそういう事なんだ」
「分かった。なら今回は良いだろう。けど次は調査に乗り込むからな」
「分かっておる。これ以上の失態は儂らも避けたいからな」




