お咎め?
お咎め?
「つまり、精霊みたいに半ば強制、という訳ではなく、ただ一人の妖精ためだけに被害が出てしまった、と?」
「・・・あまり言いたくないのですが、そういう事です。教育とかで修正が出来れば良いのですが、先程申した通り、パターンは運命で決まりそれを直すことは到底不可能なのです。いえ、昔から何度も直そうとはしていて、実際に試行錯誤を重ねたのですが、一例も変わることなく失敗に終わってしまったのです。その結果から私達はそのパターンを訂正というか直すことを諦めることにしたのです」
「直すことも失敗してしまったと。成程な。因みにそれって昔過ぎる話だったりしないか?例えば長老みたいな老人がそのような風潮を促すというか、発していることで無理に情報操作しようとは?」
「いえ。そのようなことはありません。このような結果が出たのはそう昔な話ではないのです。私がまだ族長として勤めていない時なので、まだ二十数年前の話ですね。ですので信憑性に問題ありません」
「そうか分かった。素朴な疑問だが、族長はどうやって選ばれる?」
「本当に素朴ですね。っと、お答えしましょう。族長の選ばれ方は、まずは性別が女性であること。これは人族とかでは男尊女卑でしょうが、精霊や妖精界では逆で男卑女尊なのです。それと、自身の持っている魔力や実力にも左右されるのです。かと言って魔力が高ければいい、という訳ではなくそこに性格なども入ってくるので、魔力が高ければ性格がひねくれている者でも良い、という訳ではありません。そして最後に公平に決めるため、選挙制度を取り入れているのです。但し、多数決で決めるのではなく最後に現族長からの指名で決めるという、二重制度を取り入れることで、更に公平性を高めています。実は以前不正がありまして、内容が選挙制のみで多数決で決めていた時期が昔あったのですが、悪党共が賄賂などをしていて、自身に投票しなかったものには一方的な嫌がらせなどをしていた。そのことがあって、指名制を取り入れたのです。無論不正した者に処罰は既に済ませています」
「そうか。分かった。因みに族長として、今回関わった妖精にどのような罰を下すか、決めているか?」
「・・・正直今回関わった妖精は全く悪意のなく罪人の補助をしていた、一言で言えば純粋な心かつ本能的に補助していただけなので、罰を下そうにも下せないのが現状です・・・。これが悪意のある行動でしたら苦労はしないのですが・・・」
「・・・俺達が言うのもあれだが、今回はお咎めなしで良いんじゃないか?」
「?と言いますと?」
「パターンは変えられないのだろ?しかも悪意なく本当のまるで直感で行動しただけという事から、咎める部分が無いという事で、俺達はそう決めるのだが、妖精側はどう思う?」
「・・・日本国がそれで良いのでしたら、ですがこちらにはこちらの事情があることをご理解下さい」
「それは分かっている。最後は君達で決めてくれ。とにかく俺達は特に咎めなしと分かれば良いからな」
「・・・ありがとうございます」




