聴取(妖精編)
聴取(妖精編)
「さて、精霊側は一旦終了し、次に妖精側だが、何故あんな罪人についていた?」
「それは私、妖精族長がお答えします。まず妖精と言いましても幾つかのパターンを持ち合わせています。このパターンは俗にいう、性格と思ってもらって構いません。私達が回りくどくしているだけなので。話を戻しますと妖精族は色んなパターンを持ち合わせています。自由奔放、博愛、閉鎖的、ナルシスト、野望、無欲など様々です。このパターンは遺伝で組み合わさるものではなく、完全に運命で決まるのです。例えばナルシスト同士で番になり、子を成したところでそのまま引き継がれる、という訳ではありません。仮にナルシストとして成長してその後反面教師としてパターンが組み変わる。という事もなくはないのですが、実例は殆どありません。先程申しました、完全に運命で決まるのです。
何故このようなことを申しますと、罪人の相棒になった娘やその親御様に『育て方間違えたのでは?』と言った責任の押し付け合いはしないで頂きたいのです。どんなに厳しく躾をしてもどうにもならないことがあるのです。
話が再び脱線しました。では今回罪人になった相棒ですが、実は日本国の方々と会って話した、あの気の強そうな娘、あの娘ではないのです。本当の相棒はその妹の妖精なのです。今その娘は現在のこの状況を説明して、一旦監視を付かせています。今後の処罰を考えるためです。そして、その娘のパターンは自由奔放かつ飽き性なのです。・・・日本国の方々は頭を抱えましたね?つまり?」
「・・・一旦は相棒としてその罪人に付いていたが、飽きてしまったのでその罪人をほっぽり出して別の相棒・・・いや、この場合は相棒どころか一人でほっつき歩いていたのか?」
「そういう事です。そしてこれだけではないのです。人族等にある一つのスキル、精霊術師や召喚士等。これは任意にそのものを召喚し、能力向上などの付与をするスキル。勿論他にもありますが、今回はこのスキルを持ち合わせていたのがその罪人なのですが、どういう思考になったのかは定かではありませんが、その娘は何故か一定期間の付与ではなく永続的な付与したことで術者が暴走したのです。実はこの時のタイミングが最悪でして、丁度その娘が飽きて別の場所に行った直後なのです。あっ、勘違いしないでください。能力とかの暴走ではなく、自制心の暴走です。その自制心の暴走は中々のもので、魔物をパーティーで討伐したのに独り占めしていたり、気に入らない奴はなんと始末していたそうなのです。そして何故こうなったのかという事を姉が聞き出して、ある程度まで能力の制御が効くその娘の姉が引き継ぎ、今に至る訳です」




