自由とは
自由とは
「報告感謝する。さて大臣。思ったより泥沼化が酷いが今後はどうするんだ?」
「今後?というと?」
「あれだけ監獄地獄な領に長期間居たんだ。領主のみならず精霊国の信用は無いに等しいだろう。いくら精霊王とかが手に負えませんでしたとか上面並べてももう無理だろう。だから今後はどうするんだ?いくら俺達でも国民の信用や信頼まではどうしようもない。こればかりはな」
「・・・ええ。分かっています。分かっていますが・・・。あの無理を承知でご相談が」
「何だ?一時的に領民たちを保護して欲しいとか?今回は俺達が捜査して領主を捕らえましたとかか?」
「・・・大臣・・・」
「完全に読まれましたね。そうです。いくら私達がどう取り繕ってももうどうにもならないのは分かっています。ですが彼らだって生命がある以上は何処か落ち着ける場所が必要と私は考えています。彼らに戻ってきてとは言いません。ここまで放置した以上そしてここまで監禁した以上、彼らに自由を与えるべきだと思います。確かに私達は彼らに残留して欲しいと考えています。ですが、私が同じ立場ならその忠誠は無いでしょう。貴女はどう思いますか?」
「・・・言いづらいですが、私も同じです。正直この国に居たくない、と思います」
「・・・彼女もこう申しています。ですので再三相談、いえ、お願いです。彼らに自由を」
「・・・自由か・・・」
✩
「精霊女王、精霊王。並びに皆さん。先程の話をお聞きになり、どう思いますか?」
「・・・私ならこんな国、出ていきたいと考えるわね・・・」
「女王!!」
「だってそう思うのも無理はないでしょう!?貴方達だって考えてみなさい!!あれだけ監獄に居ながらどうやって私達に信用しろというのよ!!税金は重税、領から逃げられない、生きていくなら死ぬしかない、女性が娼婦のごとく男に群がりトラウマまで植え付ける、死ねば領主の懐に。そんなところにずっと在住して何になるのよ!領民に我々の誠意を見せても足りないわよ!?なら逆に聞くわ。こんな状況まで放置し続けた国に貴方達ならどう考える?こんな監獄から解放されたらどう思う?税金から逃げれたらどう思う?考えてみなさい」
「・・・」
「答えられないでしょう?なら誠意見せろって言われてどう見せればいいと思う?私は思いつかないわ。私自身が退任しても彼らの気持ちは変わらないと思うわ。それで、どう思う?」
「・・・」
「答えられないでしょう?だから私はこう考えるわ。既に同じ考えを持っているのもいるだろうけど、それでも言わせて。私なら日本国に頭を下げて、更に領民たちに頭を下げるわ。そして出来る限る彼らを支援したいと考えているわ。この発言に異論か他の意見があるものはいる?」
「・・・」
「いないわね?ならこれで行こうと思うけど良いかしら?」
「『はい』」




