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「悔いなき人生などない」  作者: まめこ
4/13

決人

武中勝と出会ったのは高校生の時だった。その時は菜穂の友人の1人と付き合っていて、オシドリカップルで有名だった。

菜穂は1人の男性と長く交際を続ける事が出来ず、付き合っては別れ、本当に好きかどうかも解らないうちに恋愛は通りすぎるものだと感じていた。


そんな中菜穂によく勝からの相談があった。学校の売店で偶然会った時に彼女の束縛が物凄く息苦しい事を告げられた。友人にそれを伝える事も出来ず菜穂は聞く事くらいしか出来なかったが、友人を裏切ってると言うよりも菜穂は優越感に浸って話を聞いていたかもしれない。

最初に相談された時に

「友人の事を悪く言わないで!」

と勝を一括していれば、その先関わる事もなかっただろう。


彼女の愚痴が溜まる度に売店の前での待ち合わせが執着してきた頃、その場面に出くわした別の友人が勝の彼女に告げ口したのだった。

勝の彼女は鬼のような顔をして菜穂を問い詰めた。菜穂は愚痴を聞いていただけだと伝え、正直面倒だと思いながら詳しくは勝へ聞くように促した。

勿論勝も菜穂との関係がどうこうではなく彼女の事が重い事を伝えた結果、多感な時期に失恋した彼女は他の男に手当たり次第関係を作り勝を困らせ勝が離れていった。


それ以来も何故か勝と菜穂は友人のような愚痴の言い合える関係を続けていた。お互い社会人になり2人で飲みに行くようにもなった。


いつもはお互いきちんと自宅に帰るのであったが、その日は酒も進み思いのほか勝も酔っていた。普段はどんなに飲んでも変わらないのだが、その日は休んでから帰りたいと言う勝に付き合い、菜穂も遅くなった為そのまま休んで仕事に行く羽目になりそうだと飲みすぎた事に後悔した。


女友達と飲んだ時は部屋もダブルで取ってよく添い寝をして朝帰ったものだったが、勝と休むのはどっちだろうと思っていたが既に勝がフロントでダブルを取っていた。

お互いその時付き合っている人はいなかったが、友人の一線を超えた事など一度もなかった。男女の友情はあると本気で菜穂は信じていた。


部屋に入ると同時に勝は友人ではなく男になった。とても違和感の覚えた一夜だった。

こんなにも簡単に友達から異性に変えて見なければいけない判断がつかず、先に部屋を出たがしばらく勝と会う気にはなれなかった。

このまま友情も終わってもいいと思うくらい心が疲れたのであった。


勝は諦めなかった。

半年にかけて菜穂にアプローチを続けた。勿論今までのように会う事はなかったものの、毎日のように連絡をし、その合間に付き合いたいという想いを菜穂にぶつけてきた。

菜穂はなかなか勝を恋愛対象として受け入れられず断っていた。


そんな中アルバイトしていた店でしつこく誘う先輩がいた。帰り時間になると誘ってくる為誘いを断るのに本当にうんざりしていた。あまり断る態度に腹がたったのか無理やり唇を重ねてきた時、心の中で「勝!!」

と叫んだ。

先輩を押しのけそのまま勝の家に向かっていた。

なんであの時勝だったのか、友情の情か恋愛の情か確認する事をしなかったのが良かったのか未だに菜穂は解らない。


そこから勝との5年の付き合いが始まった。

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