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中学生とも高校生ともつかない期間―つまりは中学卒業後の春休みのことだ―というのは実に不思議な期間だ。一体全体、こんなどちらでもないような時が一生に何度あるだろう。子供とも大人ともいえる微妙な時期にこういうどっちつかずな時間が与えられると、なんだか哲学的なことを考えたくなるのはだれしもある経験に違いない。なぜ人は生きているんだろうか、とか自分ってなんなんだろうとか。
往々にしてこんな考察は後々考えると一笑に付すしかないような青い、言ってしまえば理想事に過ぎないような益体もないことばかりが浮かぶ。だけれど、そういう物の中にこそ本当があるのだ、とも思う。僕が見たいのはそういうものだった。気を抜けば一瞬に消えてしまいそうな、曖昧で、頼りない輝き。何物にもない何かを、何物でもない何かの中に。
それはちょうど、研がれた刃のように。