ほしぼしのふたり
以前Twitterで上げたのをそのままにしていますので二人に名前がありません。
男の子は神木太陽
女の子は星名大河です。
私の理想のカップルのひとつです
「この梅雨の時期になるとあのことを思い出すなー。君が告白してきたこと」
雨が降る中、高校生の男女が傘を差しながら二人並んで歩いていた。
「俺梅雨の時に告白したっけ?」
「おやー?とぼける気かい?そういうのは良くないと思うよー。お互い傘を忘れてびしょ濡れになって雨宿りした先でまさか告白というねー。大胆すぎないか?」
「や、やめろ……あの時は動転してたんだ。普段一緒になることなんてなかったから」
少女が意地の悪い笑みを浮かべる。少年は決まりが悪くなり当時のことを思い出しながら恥ずかしがっている。もう二年も前のことである。
「しっかし今でも不思議なんだが、どうして私を好きになったんだ?自分でも言うのはなんだが私は恋人には適してないが……ん?これは告白の時にも聞いたな」
少女が頭を捻る。それに合わせて傘も少しだけ動く。
「別に。ただ好きだと思っただけだよ。……理由はわかんねえよ」
少女のいる方とは別の方向を向き傘に隠れる。
その言葉と様子に少女はにっこりと笑う。気が良くなったのか傘を閉じて雨の下へ躍り出る。
「ばっ……、なにやってるんだ!?」
「そうかそうか、理由なんかないか。ふふっ、ありがとうな」
無邪気な笑顔を向ける。特段美しい訳では無いが少年にとっては何よりの宝だった。
「……どういたしまして。ほら、早く自分の傘に入れよ」
「照れているな。可愛いな。傘はしばらくはこのままだ。私は梅雨が好きなんだ」
雨を楽しむかのように手のひらを上に向ける。
「そうなのか?初めて聞いた」
「それはそうさ。初めて言ったからな」
「どうして好きなんだ?」
何気なく訊ねる。
少女は少し困った顔をする。
「うーん、なんと言えばいいのか……。雨の映る世界が好きと言えばいいかな?」
自分に問いかけるように答える。
「雨の映る世界?」
「そうだ。雨って降るとそれが線みたいに見えるだろう。それが好きなんだ」
「ふーん。よくわかんないな」
「ははっ。君は素直だな。まあ梅雨が好きな理由だよ。さて、傘に入れてくれないか。体が冷えてきた」
「おまっ!急に入ってくるな!自分のあるだろ!」
少年の許可を取らず傘に入り込む。
「そう硬いこと言わず。ほら、もっと寄って」
肩と肩がつく。少年の顔が真っ赤になる。
「あ、もう1つ梅雨が好きな理由があった」
思い出したように言う。
「なんだよ」
少女か耳元に顔を近づける。
「――お前と相合傘ができるからな」
耳を押さえて少年が飛び退く。
「はははは!そんな驚くことないだろ。さ、家まであるからゆっくりと雨を楽しみながら相合傘をして帰ろう。ほら、早く入れてくれ」
「……次同じことしたら逃げるからな」
「それは困るな。もうしないからさ。お前と帰るのは好きなんだ」
「俺もだよ」
「そうか……ありがとう」
少女の顔は赤く、照れている。少年も同様に。
雨が降る中二人はゆっくりと歩いていった。
気が向いたら付き合う前や別の話もあげるかもしれません。