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歩みの過去  作者: んやな
2/32

日常


「今日は、魔術の実践の練習だ」


僕は実習場に移動して、授業を受けている。


「じゃあまずペアを作れ!余ったら先生のとこに来いよ」


そう言って周りは思い思いにペアを作っていく。

もちろんいつも一人余るので、先生の所に向かう。


「あの…余りました」


そう先生に近づいて言うが、返事は帰って来ない。


「せんせーい余っちゃった」


そう言いながら、一人の女子生徒が近づいてくる。


「そうかーじゃあ先生とやるか?」


「えー先生少しは手加減してよー」


「俺だって教師だ、かわいい生徒に怪我なんかさせるわけないだろ」


そんなこと言いながら、二人は僕から離れていく。


「よーし全員ペアは組めたな、じゃあ一人は攻撃魔術、もう一人は防御魔術を発動させろ、あーそうそう、言い忘れたけどお前ら怪我は気を付けろよ!誰とは言わないけど流れ弾には気をつけてな、じゃあ始め」


先生がそう言うと、周りからクスクスと笑い声が聞こえる。

いつもの事だと、気にしないフリをしながら練習場の隅で剣の素振りを始める。


「ぐはっ」


素振りをしているところに、魔術で作ったであろう拳大の石がみぞおちめがけて飛んで来た。


「わりわりぃ」


「クライス、それじゃお前のペアの練習にならないだろ」


膝をついた状態のまま顔を向けると、さっき教室で絡んで来た生徒がニヤニヤした顔を向けていた。

先生も僕じゃなく、ペアの相手に謝るように言っているのが聞こえる。


「げほっげほっ」


「アスタル!」


聞きなれた声が聞こえて、声がしたほうに自然と視線を向ける。


「レン?リリア?」


そこには、練習場の入り口にレンとリリアが立っていた。


「アスタル、お前大丈夫か?」



「誰………やったの…」


駆けつけたレンが僕の体を支えている横で、リリアは静かに怒っていた。

リリアの一言に誰も声を発することができず、ただ静かに沈黙が流れる。


「なんで二人がここに…?」


「授業が変わってな、俺たちも今日は実習になったんだよ、それより体大丈夫か?」


「うん…それた魔術に当たっただけだよ」


「あの…」


うつむき加減にクライスが僕たちに、近づいてきた。


「レンさんリリアさんすみません、自分の流れ弾が運悪く当たったみたいで…」


「…………」


リリアは黙ってクライスを睨みつけている。


「えっと君……」


「自分、クライスといいます」


「クライス君、まず君謝る相手が違うんじゃないの?」


そう言われて、苦虫を噛み潰したような表情で頭を下げる。

もちろん、言葉はないせめてもの僕に対する抵抗だろう。


「まあいいんだけど、見てる限りペアで、攻撃と防御の魔術の授業かな君の相手は?」


「か、彼です」


クライスは、少し離れたペア相手を指さした。


「ふーんそっか、あそこから流れ弾ねぇ…クライス君、君魔術のセンス無いんだね」


そう言って、レンは笑顔を見せる。

リリアは対照的に睨み付けたままだった。


「あ…いやそういうことでは…」


「じゃあ、俺たちはアスタルを医務室に運んでくるから」


クライスをそのままに、僕たちは実習場を後にした。


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