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歩みの過去  作者: んやな
13/32

手紙

前回は短くてすみません、今回は普通の長さになったと思います。


もう少しレンの話が続きます。まだまだ書きたいように書きたい様に書けないのでおかしなとこがあるかもしれません、感想やアドバイスなどいただけたら幸いです。


「こ・ろ・せ!こ・ろ・せ!」


「こいつら!!」


俺がここにいる全員を叩きのめそうとしたが、リリアにより止められる。


「…ダメ…今はダメ…アスタルに迷惑かかる」


そう言われれば俺も抑えるしかない、リリアを見ると拳を握って怒りを我慢しているのがわかる。

ここで俺が手を出して良いわけがない。


すべてが終わったら全員ぶちのめしたい、と思う気持ちを必死で抑えていると、一人の先生がクライスの横に近づく。

先生はクライスの耳元で何か話しているが、俺の所までは声は届かない。


「なんと!?それは本当ですか!?」


クライスが何を聞いたかわからないが、大げさな動作をし大きな声でわざとらしく驚く、その姿がいちいち俺の癇に障る。


「みなさんに伝えたいことがあります!今回集まってもらった皆さんには申し訳ないんですが、アスタル君は昨日付けで自主退学したそうです!」


は?自主退学?俺はクライスが言ってる意味がわからず思わず何かにすがるようにリリアを見るが、リリアも同じ気持ちなのか俺を見つめ目が合う。


「まぁ決闘を逃げてしまった彼を責めないで下さい、むしろ賢明な判断だっ「ワァアァアア!!!」おっとすごい歓声ですね」


クライスが、まだ何かを言っていたが俺たちの耳にはそんなものは、入らずリリアと一緒に実習場を飛び出す。


「リリア何か聞いてたか?」


「……………」


俺の問いかけに、リリアは悲しそうに首を横に振るだけだった。


「クソッ!」


俺はそう吐き捨てながら、アスタルの家に向かう。


アスタルの家に着いたが、ノックをしても返事はない、いつも通り勝手に扉を開け中に入ると、いつもより物が少ない部屋が俺たちの目に飛び込んできた。


「…いない」


リリアがそう呟くが、俺は部屋の様子を見たときに起きた胸騒ぎが止まらない。

あいつの大事にしていた調合の道具は?薬草は?剣は?

無くなっているものを一つ一つ頭で浮かべていくと、アスタルがどこか旅にでも行くような物が無くなっている。


「これは?」


アスタルの寝床の上に一枚の紙が置いてあった。それを俺の勘が見るなと言っているが、見ないと先に進めないような気がしてしょうがなく手にする。

リリアも俺の隣に来てその紙をのぞき込む。


『レン、リリアへ

僕はここから出ていきます。直接言えなくてごめんね、でも、二人には本当に感謝してるありがとう。

全てを失ったと思った瞬間でさえ二人は僕の心に残ってくれた。

いつも二人は僕のそばにいてくれた、嬉しい時も悲しい時も、二人には目には見えないけど色んなものもらったなぁ…それこそ数えきれないくらいに。

でも僕は一つだけもらって無いものがあるんだ、だから最後はレンもリリアも一緒それを覚えよう。

誰かを忘れることを。

今までありがとう。 アスタル』





「な…なんでこんな…」


俺がそう言いながら涙を必死に堪えていると、リリアは何も言わずに膝から崩れ落ちる。


「行こう、リリア…」


「……嫌」


膝をついて下を向くリリアの表情は分からないが、多分俺と同じひどい顔をしてるんだろう。

ここで俺も折れるわけにはいかない、俺はアスタルを探す!


「立てリリア!ギルドに行くぞ!今朝まで居たんだ、もしかしたらギルドにアスタルが行った可能性もある探しに行くぞ…」


「…………」


「リリアが動かなくっても俺は行くぞ!こんなふざけた手紙書きやがって…俺は付き返して一発殴らないと気が済まない!リリアお前はどうなんだ!?」


「私はレンとは違う………一発なんかじゃ済まさない………」


リリアはそう言って立ち上がるが、ひどい表情をしていた。

もしかしたら、俺も人のこと言える状態じゃないかも知れないが、それでも俺たちはアスタルの情報を集めるために部屋を後にした。




俺たちがギルドに入るといつも以上に俺たちの周りに人が集まりだした。


「レン君リリアちゃん、俺たちのパーティーに入らないかい?」


「馬鹿お前みたいな弱っちいとこ行くかよ、俺んとこに来ないか?」


「レン君私たちのとこに来ない~?」


俺たちを勧誘するのはいつものことだが、いつもより積極的というか遠慮なしに来る冒険者に少し気おされてしまう。


「みんな、そんなことよりアスタル見なかったか?俺とリリアといっつもパーティー組んでる」


「み、みてないわね…」


「あぁ俺たちも…みてないな」


俺がそう言うとよそよそしく冒険者達が答える。


「……本当に知らない?」


「あ、あぁ知らない」


こんなにあからさまに態度が昨日までと変われば俺でもわかる、こいつらはどっかでアスタルの情報を聞きつけたんだろう。

それでわれ先にと俺たちを誘いに来たってことだろう。


「……レン行こう」


リリアも気づいたのか、もう用事は無いとばかりに冒険者に冷たい目線を浴びせる。

俺たちは集まってきた冒険者をその場に残し、受付嬢の前に移動する。


「すみません、今日アスタル来てないですか?」


何か情報は無いかと聞くが


「今日は見ておりませんね、そういえばレン様とリリア様が来たらギルドマスターを呼ぶように言われておりますので、少々お待ちください」


呼び出し?もしかしたらアスタルのことかも知れない、と思いおとなしく待つことにする。

俺はアスタルのことを思ってか、待っている間にいっつも一緒に受けていた依頼を自然と探していた。

少し遠くにクエストボ-ドがあるせいか、いつもアスタルと一緒に受けていた依頼が見当たらない。

俺は慌ててクエストボードの近くに行くが、そこにはいつでもある常時依頼主に戦闘が必要ないものが軒並みにはがされていた。


「なんだよ…これ」


「おおう、待たせたな!」


俺がクエストボードに釘づけになっているとギルドマスターが上機嫌に近づいてきた。

リリアもマスターの後ろをついてきている。


「…マスターアス「ちょっと待てリリア」」


リリアがマスターにアスタルのことを聞こうとするが、俺がそれを止める。


「マスター聞きたいこと色々あるんですけど、その前に依頼が戦闘系のみになってる意味教えてもらってもいいですか?」


リリアは俺が言ってる意味がわからずクエストボードに近づく。


「ああそれな、たまたま今そんな依頼状態なんだよ」


と笑顔でのたまうマスターに俺の拳が骨がきしむ音を出しながら固く握られる。


「マスター、一応聞いときますけど、アスタルどこ行ったか知りませんか?」


「あぁあの坊主か、俺は知らないなぁ、それよりお前らにはギルドマスターの権限で依頼があってな」


「…それどころじゃない」


リリアが冷たく言い放つがマスターは気にも留めず話し続ける。


「まぁ二人とも最後まで聞いてくれ、お前のパーティーに入れてほしい冒険者が居るんだけどよ」


「…聞こえなかった?……私たちはそれどころじゃない」


「つってもこれ断るとマスターの威厳が無くなるし、俺の権限で冒険者の資格はく奪するかもしれねぞ」


そう俺たちを脅すが俺もリリアも迷わずに冒険者カードを出す。


「どうぞ」


「…そんなの気にしない」


初めてギルドマスターが慌てる。


「ちょっと待て良いのか?もう冒険者出来なくなるんだぞ!?」


「…そんなことより大事なことがある」


「そう言うことですので、じゃあ僕たちはこれで」


カードをマスターに渡してギルドを後にしようとするが、マスターが俺たちの肩を押さえて止める。


「分かった、あの坊主のことは教えてやる、その代わり今日だけでもとりあえず俺が連れてくる奴とパーティー組んでくれ」


「やっぱり知ってたんですね……分かりました…その代わりアスタルの情報は必ず教えてください、じゃないと俺もリリアも何するかわかりませんよ?」


「あ、あぁ約束する…」


俺たちは仕方が無いので、マスターから情報を得るために今日だけの新しいパーティーメンバーを待つことにした。


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