決闘
すみません、切りが良い所で止めたら短くなってしまいました。
--レンside--
「なぁリリア、アスタルなんか様子おかしくなかったか?」
「……うん…でも私が乗ってたから痛かっただけかも…」
「だといいんだけどな…」
俺たちは、いつもより少し暗い雰囲気で学園に向かった。
学園に入ると、いつもうっとうしいぐらい人が集まってくるが今日は集まってこない、まぁ俺的にはそっちのほうが楽で良いんだけど。
「…学園も…変?」
「そうだな、なんかあったのか?」
様子がおかしかったが、俺とリリアは気にせずに教室に向かった。
教室に入ると騒がしかったクラスメイトは一瞬静かになるがまた騒がしくなり始める。
いつもと違うクラスメイトの反応に俺だけじゃなくリリアも表情が険しくなる。
俺は一番近くに居たクラスメートを捕まえる。
「なんかみんな様子おかしいけど、なんかあったの?」
いつもの赤の他人と話すときの表情を作り問いかけるが、その生徒は歯切れ悪く答える。
「あの…落ち…じゃなくてアスタルだったか?それが…その今日放課後退学を賭けて決闘するって話題になってて…」
そう言った瞬間、リリアは急に走りだしたので俺は腕をつかんで止める。
「待て、どこ行くんだ?」
「離して…」
「どこに行くか聞いてんだ」
「…アスタルのとこ」
リリアは動くのを止めたので、俺もゆっくりと手を離す。
「知ってるだろ?本当にアスタルが決闘を受けたんなら、俺たちがもしアスタルに手助けしてみろ」
「アスタルの負けになる…」
リリアは暗い顔で自分の席まで歩いて行った。
誰だ決闘なんか申し込んだ奴は……許さねぇ。
何とかアスタルを助ける手立ては無いのかと、頭を働かすが全然良い案は浮かんでこなかった。
リリアと二人でアスタルの教室に向かうがやはり登校はしていなかった。
何も手だてが無いまま、放課後決闘の時間が来ていた。
決闘場所の実習場に向かっていくが、俺たち以外の生徒は明るい表情を浮かべていた。
「なぁリリアもし、もしアスタルが退学になったらどうする?」
「…愚問…辞めるに決まってる」
「だよな…正直ここで習うことはもう無いし、でもな…」
たとえ俺たちが辞めたいと言っても辞めれるかは別だろう、学園もそうだし親父が認めてくれないだろうな。
嫌な時間は何であっという間に来てしまうのか、と思いながら実習場に入るとそこには多くの生徒が観戦に来ていた。
決闘で使うスペースを開けて、その周りを早々と生徒が囲んでいたのでしょうがなく、俺とリリアが一番後ろで見ようとするが、俺たちに気づいた生徒たちが素早く道を開ける。
自然と最前列に来ることが出来、いつもだったら嫌な生徒たちのおべっかもこの時ばかりは感謝する。
俺たちが最前列に来ると、同時に見計らったかのように一人の生徒が観客の中心に来る。
「あいつは、クライスだったか」
「…アスタルの相手」
俺たちの平穏を奪おうとする奴をつい睨んでしまうが、クライスは俺たちの感情に気づかないのか上機嫌に近づいてくる。
「レンさんリリアさん見に来てくれたんですね、僕もお二人に魔術のセンスが無いと思われたままは嫌ですし、来てくれて良かったです!お二人に僕の本当の実力をお見せしますよ!まぁアスタルが逃げずに来ればですが」
「おまっ「いいぞー!!」「やれやれぇーー!!」」
俺が思わず手が出そうになったのを止めたのは皮肉にも周りの歓声だった。
「クライス!!やってやれ学園の膿をきれいにしてくれー!!」
それをきっかけにしたように、俺とリリア以外が空間が揺れんばかりの声援をクライスに送る。
「明日からやっと気持ちよく登校できるわ!」
「クライス!本気でやれぇー!殺せ!」
「そりゃいい!殺せ!こ・ろ・せ!」
「こ・ろ・せ!こ・ろ・せ!」
俺は自然と一つになった殺せと言う合唱に、唖然と周りを見渡すだけだった。
「アスタル……お前…こんな中で生活してたのかよ」




