邂逅2
「では代わりの質問だ。塔野誠一という人物に心当たりはあるか?」
いいえ、知らないです。って答えようとして、首を横に振る。
「次の質問だ。萱間志穂という人物について心当たりはあるか?」
はい、というよりそれは私です。っていうのを伝えようとして、私は首を縦に振った後、自分を指した。
「チっ……なんてことだ……まさか、この荒唐無稽な仮説が有力説だとはな……」
私のジェスチャーは上手く伝わったみたいなんだけど、私の姿をした人は舌打ちをした後、なにやら頭を抱えて悩み始めた。でも、一分くらいでこっちに向き直って、また話し出した。っていうか先に説明してよ! こっちにも聞きたいことが沢山あるんだけど! ……なんてことは、もし声が出せたとしても臆病な私にはとても言えないな。
「……三つ目の質問だが、君は今日、鏡で自分の顔を一度でも見たことがあるか? まだ見ていないようなら、この手鏡を使ってくれ。この部屋には鏡を置いていないんだ」
そう言って、私の姿をした人はバッグから手鏡を取り出して、私に差し出した。
え、なんで鏡? 今の私の顔ってそんなに大変なことになってるのかな? や、やっぱり火事のせいで……私はおそるおそる手鏡を見た。
私の身に起きた変化は顔に大きな火傷できたとか、その程度の変化じゃなかった。
私の顔は少しイケメンの男の人になってた。よく見たら手も大きいし、Dぐらいはあったはずの胸も無くなってる。最早、今までの私の姿は影も形もなかった。
こ、これってまさか……私、男の人になっちゃってる⁉