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隣の花は赤い  作者: メガセリオン
起きた
6/23

邂逅

 マンションが火事になって、消防士の人は私を起こして避難させようとしたけど、私が全然起きなかったから仕方なくここまで運んで寝かせた……とか?

 いくら私でも、流石にそれは爆睡し過ぎだよね。でも私がここに運ばれた理由って、それと同じくらいに私にとって良くない出来事が起きたから、なんだろうな……。

 それを理解した途端に不安で胸がいっぱいになってきた。一体何が起こったんだろう?

 私はこれからどうなっちゃうのかな……。

 コンコン!

 突然、ドアからノックをする音が聞こえてきた。

「すみません。萱間志穂という者ですが、塔野誠一さんはご在宅でしょうか?」

外から女の人の声が聞こえる。返事をしようとしたけど、その女の人が変なことを言ってるのに気付いて止めた。

 この人……今、私のことを呼んだんじゃなくて、私の名前を名乗った? 聞き間違いかな?

 戸惑って返事をしないでいたら、ドアが開いて、その女の人が入ってきた。

 私はまたも驚いた。今度は声も出なかった。いきなり人が部屋に入ってきたことに驚いたんじゃなくて、その人の姿を見て。

 入ってきた人は……私だった。顔だけじゃなくて、着ている服や、手に持ってるハンドバックまで、出かける時の格好をした私そのものだった。

「中に居たか……返事をしなかったということは……君、確認のために幾つか質問をさせてもらうぞ。まず一つ、君の名前は何だ?」

 部屋の外から呼びかけてきた時よりも威圧的な口調だけど、声の主は同じ人だった。

 え、えーと、萱間志穂ですがって喋ろうとしたんだけど、何故か声が出せなかった。

 緊張して声を出せないとかじゃなくて、声の出し方そのものをド忘れちゃったみたいな感じで、一生懸命声を出してるつもりなのに、全然声が出なかった。首に手を当ててみると、包帯がしてあるのが分かった。もしかすると、本当に火事に巻き込まれて、喉を怪我しちゃったのかもしれない。

「……わかった。声は出さなくていい、こちらの質問には身振りで簡潔に返答してくれ」

 私の様子から、喋れないことを察してくれたみたい。とりあえず、頷いて答える。


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