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隣の花は赤い  作者: メガセリオン
起きた
19/23

想定外の連続2

 萱間志穂が手持ちの鞄から、ノートパソコンを取りだしてこちらに向ける。監視カメラの記録が保存されているSDカードは、既にパソコンに挿さっているようだ。パソコンを起動して直ぐにプレイヤーを開き、昨晩の映像を確認するための準備をする。

「……これで準備はできた。この映像には君の部屋の様子を君の体が眠りについた午前一時から、午前九時までの様子が記録されているはずだ。映像に変化があるまでは八倍速で……いや、シークバーを動かしながら、確認しよう」

「良かった。全部ぶっ通しで見るわけじゃないんですね」

「ああ、それをやってもいいが病院の予約があるからな、あまり時間を掛けていられないだろう。それでは今から映像を再生する。さあ、君も隣に座って一緒に見よう」

「え、あ、お隣ですか? いいんですか?」

「その方が見やすいだろう」

「そうですね……!では、お言葉に甘えて!」

 俺が萱間志穂に共に映像を確認するように促すと、何故か嬉々として隣に座ってきた。元の体に戻ったことや、真相がはっきりするということに対する安堵の表情でもなく、本当に嬉しいといった様子だ。

 彼女は一体何がそんなに嬉しいのだろう? 敵から証拠隠滅の為に狙撃される時に丁度良い盾が出来て安心、とでも思っているのか? 大口径弾や貫通力の高い弾丸を扱う銃器の前では、狙撃手にとって単に使う弾数が減るだけのことだと思うぜ……。

 俺は彼女の表情を不思議に思いながら再生ボタンを押し、人参を頬張る。




 再生を開始してから8分が経過した。映像内では約1時間が経過していることになる。ハンバーグが乗っていた皿は既に店員に片付けさせた。映像にこれといって変化は見受けられない。萱間志穂は呆けた顔をしている。集中力が切れたのだろう。退屈しのぎに昼飯の話題を振るとしよう。

「君は今日、昼食をとってここに来たのか?」

「いいえ。まだです」

「ならばそろそろ何か頼むと良い、自分が寝ている姿をひたすら見続けているのはつまらないだろう?」

「ええ、じゃあ、なんかテキトーに頼みますね」

 彼女は早速メニューを手に取り、何を頼むか思案し始めたようだ。

 この映像は午前九時まで撮影されているが、彼女が起きたのはもっと早い時間のはずだ。にもかかわらず、ここまで誰も彼女の部屋を出入りした様子もなく、手術に使う道具が運び込まれた様子もない。やはり一般的に想像される脳移植の方法とは一線を画す方法で俺達の体を入れ替えるようだ。

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