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隣の花は赤い  作者: メガセリオン
起きた
12/23

今後の方針2

「元の体に戻るための方法を探るのは当然として、問題は俺達の日常生活をどうやり過ごすかだが……」

 コンコンッ

 塔野さんが話している途中で、また誰かがドアをノックする音が聞こえてきた。

「塔野さん、起きてますか~? 朝早くで悪いんすけど、ちょっと聞いてほしいことがあるんすよ」

 今度は男の人の声だ。塔野さんの名前を呼んでるから、きっと知り合いの人なんだろうな……って、これってヤバいんじゃ?

「クソッ、早速か……仕方ない、代わりに応答してくれ。この声はお隣さんの寺泉だ。あまり重要な話はしてこないだろう」

「え、でも……何て返事をすればいいんですか?」

「適当にハイハイ言っておいても問題ないと思うが……そうだ、何か聞かれたらその手鏡を見てくれ。答える内容をメモに書いて寺泉からは見えないようにその鏡に映す」

「わ、わかりました。じゃあ、出ちゃっていいんですね?」

「ああ、頼んだ」

 私は手鏡を持ったまま、恐る恐るドアを開けた。玄関の前には、私……塔野さんの体よりも少し小柄な男の人が立っていた。その人はメガネをかけていて、チェック柄のシャツを上に着て、青のジーパンを穿いていた。この人が寺泉って人みたい。

「ああ良かった、まだ出掛けてなかった。実はまた録画しておいてほしい番組があるんですよ。今日の夜12時半から1時までの三十分なんですけど」

「え、えーと……」

 手鏡の方を見てみたら、《いいぞ。チャンネルは?》って書いてあるメモ用紙をプラプラさせていた。鏡に映った文字なのに普通に読めるのは、きっとわざわざ鏡文字で書いてくれたから。

「い、いいぞ。チャンネルは?」

「BSの6チャンです。そんじゃ、お願いします」

 そう言い残して、寺泉さんは走り去っていった。

「はあ~……」

 私は椅子にへたり込むような感じで座った。

「やり過ごせたな。次からはこの手は使えないだろうから、居留守を使うことも視野に入れておこう」

 そう言いながら塔野さんはリモコンを手に取って電源ボタンを押した。

「寺泉は三か月ほど前からこのアパートに住み始めた。この近くの専門学校に通っているらしい。あまり交流がないため、まだ何の学校かは聞いていない」

 塔野さんはテレビの番組表を見ながら、寺泉さんについて語り始めた。

「奴は録画機能付きのテレビやプレイヤーを持っていないらしく、先程のようにかなりの頻度で俺に録画を頼みに来る。俺の方も特にみたい番組はないので素直に聞いてやっている」

 ちょっと意外だけど、話の限りだと寺泉さんは私と同い年みたい。少し寺泉さんという人に興味が湧いてきたけど、私はそれよりももっと気になってることがあった。

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