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隣の花は赤い  作者: メガセリオン
起きた
10/23

現状確認3

「は、はい。そ、そうですね」

 私は言われるがまま、布団から出て塔野さんが指したキャスター付きの椅子に座った。

 はぁ……。本当に気が利く人なんだなあ、この人。

 塔野さんは、冷蔵庫から出した三本の2ℓペットボトルと紙コップ二つを、不器用なはずの私の体で器用に抱えながら運んで、机の下に置いて、私と向かい側のパイプ椅子に座った。

「さて、改めて話すとしよう。どうぞ、飲んでみてくれ」

 そう言って、塔野さんは二つの紙コップを机の上に置いてペットボトルの水を入れて、片方を私の前に置いてくれた。

「あ……ありがとうございます」

 私は差し出された水を遠慮なく飲み干した。

 ふぅ、おかげで少しだけ落ち着いてきた気がする。なんだか、よくわからないけど、塔野さんはいい人っぽいな。ここにお兄ちゃんがいたら、『そんな簡単に男の甘言に惑わされるんじゃない!』とか言ってきそうだけど……って今は私が男なんだっけ?

「君は俺がここに来るまで、ずっと寝ていたのだろう? まだ事態を把握できていないだろうから、とりあえず、俺の話を聞いていてくれ」

「はい、わかりました……」

「俺は今日の6時45分前後の時間に起床した。そしてすぐに異変に気付いた。その後、一頻り考えて君の部屋を探索した後、君が外出時に常備しているであろう所持品を持って俺の部屋へ向かうことにした。君の定期券でこの場所の最寄り駅にも行くことができたので、使わせてもらった。そして、この場所の最寄り駅についた後、万が一に備えてこの部屋の近くに埋めておいた合鍵を手に入れて、俺の部屋の前で君の名前を名乗って反応を伺った、ここから後は君も知っての通りだ」

 塔野さんはそこまで話してから、水を少し飲んだ。

「ふむ、いつもより美味く感じないな。やはり、味覚も変わっているのか? まあいい、そして俺はここに戻る途中で、いくつかこの状況に対する仮説を考えていた。その仮説の内の一つ、『萱間志穂という人物が、俺と同じような状態で俺の家に自宅にいる』、という殆ど冗談で考えた説に、現在の状況は非常に近い」

 うわ~すごいな。それだけ沢山のことを塔野さんはこんなに短い時間でやってのけちゃったのか……。今、七時半だけど、たぶん、私だったら、おはスタ見て終わっちゃってたよ。


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