(2) ナント・タマールからの依頼
二話目でこの投稿の遅さ…。自分でも先が思いやられます…。
『この世界はすべてランクとレベルで区別されている。ランクの場合は物や人、敵モンスターなどが16のランクに格付けされている。
16のランクは少し複雑で、一番低いのがE級、次がD級、そのままC級、B級、A級、級の最後はS級。そしてS級を超えると単位が段となり、壱段、弐段、参段、肆段、伍段、陸段、漆段、捌段、玖段、拾段となっている。
対してレベルの方はいたってシンプルで、1Lv~200Lv。これは技などにつく値だ。
お前のスキルは視させてもらった。「闇剣」、「隠密」それと「独奏者」だ。「闇剣」と「隠密」に関しては言うこともない。闇の剣術と、忍び足って感じだ。しかし、「独奏者」またの名を「孤独」。これに関してははっきりしたことは言えない。
「孤独」は誰かのコンタクトアドレス(メールアドレスのようなもの)を十個持つと死ぬ、とか言われているからな。ホントかどうかわからんが………。今言ったことはチュートリアルの003に載ってるからそこでも確認してくれ』
ヒロの第一印象は気味が悪い、と、言わなければならければならないことをただ淡々と言ってくる奴だと思った。実際第一印象と変わり無かったことは事実だが。さらに奇妙だったのが、こいつは普段はめっぽう喋らない。一言二言、それだけだ。
俺は扉を開け宿に入った。ロビーを歩いていると、フードを被って顔が見えない男に手招きされた。予言者ヒロだ。
「なんだ、おいしい依頼か」
気軽に聞いてみる。
「いや、違うが」
そこで一呼吸置いてヒロは続ける。
「次のクエ、ユウヤ、新たな出会い」
予言者、つまるところ予言をするもの。未来予知者なんて呼ぶ奴もいる。このスキル「予言」はこの死人島の中にいる、使徒の中でもとても珍しい。
「出会いか、注意しないとな。ありがとな、ヒロ」
一応礼を言っておく、返ってくるはずもないと予想はしたが、ヒロは珍しく、幽霊のように右手を振って『がんばれ』と気の抜けた一言を発した。ヒロの珍しい行動に目を奪われていたため目の前に人がいることに気がつかなかった俺はそれに当たってしまった。
「おい、前見て歩けや」
袖を掴まれる。
「………ッ!っこれはこれは怒号のドランさんじゃないですか」
ドラン・カントス通称、怒号のドランだ。でも俺はチンピラと呼んでいる。この世界で外国人ぽい名前をしているのは珍しい話ではない。金を払えば改名できると聞く。大金らしいが…。
「一匹狼が吠えてらぁ。クーンてな。HAHA」
ウザいからとりあえず相手の腕を振りほどく。
「お、やる気かぁいいぜぇ」
そう言うとチンピラはアイテムストレージからハンマーを取り出し構えた。
「あいにくアンタと闘うほどこっちも暇じゃないんでね」
「ほーそうかお前が嫌ならやらねぇよ」
ん、今日は変に素直だな。いつもなら「んだと、おら」って言ってあれを振りかざしてくるのだが。
「じゃぁな狼ちゃん」
苦笑気味にそう言い残して怒号のドランもと言い、チンピラのドランは宿を出ていった。ホントに素直だなと、思いながら宿屋で少し昼寝をした。今日は買い物にでも出かけるかZzz。
この世界には、俺やヒロのような使徒のほかに、NPCと呼ばれるヒトがいる。最初はゲームかよと、思った。当り前だろう、NPCなんてそうそう現実にいるもんじゃないからな。
でも、この世界のNPCはちょっと違っていて、ちゃんと意志があり、感情があり、命がある。ようは、俺らと同じように生きているってことだ。この、異世界じみたところで。命として、人として、生命として。
しかし使徒の誰かがいつの日からか、使徒以外の奴らのことをNPCと勝手に決め付けたがために、使徒が見たときのNPCの命の価値観が下がってしまい今日に至る、とヒロは前に言っていた。
なぜ俺がこんなことを思い出しているのかというと、遠くでNPCが使徒にカツアゲされていたのだ。ん?あれはドランか?
「おめぇよ、どうせNPCなんだからよ、依頼者なんかやってねぇでよ、俺らによ金くれよ」
ドランに襟を掴まれながらも、NPCの男性は強張った顔で頭を横に振る。
「ふざけんじゃねぇ」
奴はアイテムストレージからハンマーを取り出した。振りかざす。このままいったらNPCの男性は確実に潰されていただろう。
NPCは武器やスキルを持てないからである。いや、NPCの中でもすごく志が強いと持てたりするらしいが、目の前の男性はとてもそんな風には見えない。
俺はそんなチンピラのドランに斬りかかった(峰打ちだがな)。「隠密」の現在レベル68の『風影』を使っていたので、奴の懐に入ることは容易かった。
「っな!」
驚いた様子のチンピラのドランを鼻で笑い、峰打ちといえども流石に痛いであろう強さで地面にたたきつけた。
「っつ、痛っー、おい」
キレかけているいや、完全にキレているドランを背に俺はNPCの男性の手をつかんで走り出した。
「うわー」と意識が飛びそうな男性NPCをつかんでとにかく走った。後ろでドランがなんか喚いているが気にしない。流石の俺もいい加減息が切れてきたところで手を放すと、男性は「ありがとうございます」と、一言、呟いたきり何も喋らなくなった。仕方ないから事情を聞いてみる。
「なんで、あんな奴に絡まれてたんだ。そもそもなんで」
そのあとを言う前に気がついた。男性の頭の上に青の文字で依頼者と書いてある。それに男性の服装は結構立派なスーツだった。それで、だいたい予想がついた。
クエストを募集している間に、あのチンピラのドランが来て男性をカツアゲしていたのだろう。これで奴が素直だったこともうなずける。依頼というものはお金を持っている奴が、依頼者となって依頼をしてもらう。ので、あのドランの頭の中では、依頼者=金持ち=カツアゲするしかねぇだろ。といった感じなのだろう。そこで、ようやく男性が口を開き始めた。
「私はライトハート家第18代ライトハート=ルム=ラクーン様のE級執事を務めております、ナント・タマールと申します。先程は助けていただきありがとうございます」
貴族の執事か、でもE級だからかなり下っ端ってことだろう。ライトハート家と言うと、かなりの金持だったか…。普段ソロで狩りをしている俺はあまり世間に詳しくない。もしかしたらこのナント・タマールさんがヒロの言っていた新たな出会いとか…。ありえん………。
「なんで、あんなぼろぼろくさい街道で大資産家のライトハートの執事が依頼募集なんてしてたんだ」
すると、ナントさんは俺に頭を下げてこう言った。
「私はこの辺りにすごくお強い剣士様がいると聞きましてあなたにラクーン様の護衛をお願いしたい」
「護衛かよくある話だが、なんでラクーン様…だっけ…を護衛しなきゃいけないんだ」
「ラクーン様を攫おうとしてる使徒の方がいるのです」
お嬢様を人質にして金を巻き上げようってことか。ドランがやりそうなことだがこれはもっとやばいかもしれない。
「わかったその依頼俺が引き受けよう」
こうして俺の新たなる冒険が始まる…。
えー多分今回は読んでる方はあまり面白くはなかったのではないでしょうか。面白くもねぇし、投稿速度おせ―から読むのやめようかなー。とか思ってる人もいるかと思います。その点ではすみません。次回は戦闘シーンなどなどを入れていきたいです。これからもよろしくお願いします。